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支配者の盲点

 

 リカが主演を務める小劇場公演は後半戦となり、その前日は休演日であった。 

 彼女は体力を充電しようと、余計な体力を使わないようにしていた。ただ、一日中だらだらと過ごすのも不健康だということで、太陽の光を浴びようと近所を散歩をしたり、家事を徹底的にこなそうとしていた。

 

「よいしょ~」

 

 リカは早朝、ラフな格好でごみを捨てに行こうとした。

 

「……お早うございます」

 

 リカがごみを分別していると、彼女の背後から男性の声がした。声の主は、ごみ袋を持った昭であった。

 

「あっどうも~お早うございます」

 

「…今日はお仕事お休みですか?」

 

「はい、休演日なので…」

 

「そうですか、丁度良かった、お伝えしたいことがあったので…急なんですが…今夜、空いていますか?」

 

「…ええ、まあ…特に予定はないですが」

 

「よかった~先日、一緒に食事をする約束をしたと思うのでどうかなと思いまして…行きつけの店に案内しますので…」

 

「確かイタリア料理のお店ですよね?楽しみにしています」

 

「それでは今夜、十九時に予約してありますので…迎え行くので待っておいて下さい」

 

「分かりました、それではまた今夜に…」

 

 リカは昭に一礼して、ごみ捨て場を後にした。

 

「………」

 

 その時、昭から明るい表情が消えて、リカの後ろ姿をじっと見ていた。彼はどうも良からぬことを考えているようで、婦君さを漂わせていた。

 

「………」

 

 ごみ置き場があるフロアには、リカたちの他に何者かが潜んでいた。その人物は以前、リカたちが来店した喫茶店に居た謎の青年であった。彼はずっと監視して、何かを探っているようであった。

 

 リカはごみを捨てに行った後、気晴らしに朝の散歩をしようとした。マンションを出ると、彼女の表情は一変した。

 

「……今夜、誘われたわ…この暮らしも悪くないけど…そろそろ終わりにしないとね…そっちは万全でしょう?」

 

「…ええ、捜査していくうちに色々と分かったわ…彼の化けの皮が剥がせそう…このことが世間に公表されれば大ダメージを受けて堂々と立っていられなくなるでしょうね…」

 

 リカは耳に無線機のイヤホンをつけていて、会話している相手は、相棒であるツバキであった。彼女は、リカと別行動を取って潜入捜査を行っていた。二人は潜入したマンションで起きた不審死事件についての充分な情報を集めて仕上げに入ろうとしていた。

 

「じゃあ、今夜仕掛けるということで…」

 

「本当に任せて大丈夫?あんた、誘惑とか出来るの?」

 

「…出来るに決まっているじゃない!私だって女なんだから…それくらい芝居でカバー出来るわ…なんだったらそっちがスカート履いてデートすればよかった?」

 

「………私が悪かったわ…あんたに任せて正解…」

 

 ツバキはリカの反撃に対し、言い返すことが出来ず、今回、自分が囮役でないことに胸を撫で下ろした。

 

「…にしても、これが仕事じゃなかったらよかったのにな~久々に劇団仲間と集まって楽しかったな~あんたも来ればよかったのに…」

 

「私が行くわけないでしょうが…パーティーみたいなの苦手でね…それに私、先輩なわけだし、何かと気遣うでしょう?」

 

「そうかな~参加しても問題ないと思うんだけどな…そういえばハナがあんたのことを喋ってたよ~」

 

「え…ハナが?」

 

 ツバキはリカから意外なことを耳にして、同じ班に所属するハナが話した内容を聞こうとした。

 

「…ハナ以外にもあんたを慕っている劇団員が居るわ…もう少し心を開いてみたら?」

 

「冷たく接しているつもりはないんだけど…口下手だから…ムードメーカーのチエが居るし…私以外に有望な劇団員は居るでしょうに…」

 

「…素直に喜んだら?もう食事の誘いを断らないようにね…」

 

「考えとくわ…まずそっちの食事を済ませないといけないから、それからよ……で彼女、私たちの関係を知らないのね?」

 

「ええ、ハナも秘密警察のことを知っているけど、現場担当じゃないから知らないわ…教える必要ないし…上手く誤魔化しといたわ…」

 

「…私たちがコンビを組んでいると分かったら驚くでしょうね……それじゃあ今夜、よろしく頼むわ…」

 

 リカとツバキはある打ち合わせをして、今夜に備えようとした。

 

「………!」

 

 昭は、秘密の部屋に閉じこもっていて、独自の監視システムで、リカを含めた住人の部屋を覗き見していたが、その途中に眠気の襲われてそのまま眠ってしまっていた。彼は数時間後に目が覚め、一旦秘密の部屋を退室して、クローゼットに向かい、スーツジャケットを一着手に取り、かすかに笑みを浮かべていた。それは今夜、リカと会う時のために用意されたスーツジャケットのようであった。

 

 そして、ついに運命の夜が訪れた。リカは、普段着ることのない黒のノースリーブワンピースを着用して、昭が来るのを待っていた。

 

「…どうも今晩は~準備の方は大丈夫ですか?」

 

「はい…服装なんですが、これで大丈夫ですか?あまり晩餐会専用の服を持っていなくて…リクルートスーツもおかしいですし…」

 

「それで充分ですよ、よく似合っています」

 

「…そうですか、ありがとうございます!」

 

 リカと昭は準部が整い、予約したイタリアンレストランへと向かった。

 

「…いらっしゃいませ、お待ちしておりました、奥へどうぞ…」

 

 リカと昭は、ウエイターに特等席へと案内されて晩餐を楽しもうとした。

 

「時間を気にせず、好きなだけ召し上がって下さい、勿論、代金のことも…奢りますので…」

 

「本当にすみません…頂きます!」

 

 リカは遠慮せず、次々に運ばれる料理を口に含んでいった。昭はそんな彼女の姿を嬉しそうに眺めていた。

 

「……最近調子はどうですか?よく早朝に出掛ける姿を見かけますが…お忙しそうですね?」

 

「……ええまあ、でも短期間の公演なのであと少しで落ち着きます…」

 

「そうですか、かなりハードみたいですね…表情を見れば分かる………」

 

 昭は、いつも通り軽快な話術でリカを楽しませると思いきや、どうも様子がおかしく、急に押し黙る素振りを見せた。

 

「…あの…どうされました?」

 

「……実は先日、歌劇団大劇場に行って来たんですよ、近所に住んでいながら一度も行ったことなかったものですから…あなたと会ってから興味を持ちましてね…」

 

「!………へえ」

 

 大劇場のことが話題になると、リカの表情が若干強張り、昭の話を黙って聞こうとしていた。

 

「…劇場内を散策しまして、観劇しようと思いましたが、チケットは完売していたのでとても残念でした…」

 

「…当日に観るのは難しいですよ、早い者勝ちでいい席はすぐに埋まって行きますから…」

 

 リカは冷静さを装い、昭に言葉を返した。

 

「…そうでしたか、勝手が分からなくて…観劇を諦めて劇場内の店を回って、最後に喫茶店でコーヒーを飲んで帰りました…結構楽しめましたよ」

 

「…そうですか」

 

「…帰る途中にあることに気づきました、入ってすぐの所にもう一つ劇場がありますよね?大劇場に比べれば規模が小さいですが…どうやら若手の劇団の登竜門として利用されているようですね……」

 

 その時、リカは昭の発言に対して応答しなかった。彼女の顔色は悪くなっていき、無言のままであった。昭はリカの反応を見て、一気に核に迫ろうとした。

 

「………リカさん、あなたと出会って数週間経って打ち解けてきましたが…僕に何か隠していることないですか?」

 

「……え?」

 

 昭は険しい表情を浮かべ、声のトーンを下げて、リカに疑問を投げ掛けた。彼女は突然の彼の質問で体が凍りついていた。

 

「とぼけても駄目ですよ、分かってしまいました、あなたの正体が…」

 

「……私の正体?」

 

 当初、和やかなムードに包まれたディナーであったが、昭の一言で一転して、場の空気は張りつめていた。

 

「あなたは一つ嘘をついている……確かに大劇場で働いているようですが、実際は舞台衣装を扱う仕事などしていない…そうでしょう?」

 

「……面白いですね…結論をどうぞ」

 

 リカが結論を求めると、昭は不敵な笑みを浮かべた。

 

「小劇場の出入り口付近に公演中の作品のポスターが貼ってありました…じっとそれを見るとあなたが写っていた…どう説明します?」

 

「……それは……」

 

「…それからファンの人やネットから情報を集めました…あなたは裏方の人間じゃない…表舞台の人間だ…歌劇団の若手劇団員…現在、小劇場の主演を務めている注目株…あと、とっておきなのがこの写真です…」

 

 昭はそう言って、リカに携帯のカメラで撮ったある写真を見せた。

 

「…これは!」

 

 昭が撮った写真には、楽屋口から出てきたリカの姿が写っていた。彼女は反論する言葉が見つからず、観念するしかなかった。

 

「どうです?」

 

「凄い…出待ちまでされたんですね…」

 

「何故、嘘をついたんですか?」

 

「それは…色々と面倒なんです、中にはしつこく付き纏ってくるファンの人も居るので…近所迷惑にもなるし…だから付き人や一部の関係者しか教えていないんです…出来ればプライベートの時はそっとしておいて欲しいんです…」

 

「…成程、しかし心配は無用ですよ…絶対に口外はしません、二人だけの秘密ってことで…」

 

「ありがとうございます、助かります」

 

 リカは素直に話したことで気分が晴れて、楽しく食事を続けた。

 

「………」

 

 しかし、昭はリカの言ったことに納得した振りをして、裏で何を企んでいるようであった。夜は長く、悪夢を見るのはこれからであった。

 

 それから二時間経ち、リカと昭はデザートを口にした後、店を出ようとしていた。

 

「ご馳走様でした~どの料理も美味しかったです~もうお腹はぱんぱんです」

 

「それは良かった、誘った甲斐がありましたよ……あの、もし良かったらこれからうちに来ませんか?美味しいお酒がたくさんあるので、夜景を肴にして一緒に飲みませんか?」

 

「いいですね、先日頂いたシャンパン、とても美味しかったです、友人たちも喜んでいました」

 

「大手貿易会社に知り合いが居まして…よく譲ってもらったんです」

 

「羨ましい~最近飲めるようになったんで…どんなお酒が飲めるか楽しみです」

 

「…それじゃあ行きましょうか……あれ?水滴が…一雨来そうですね…急ぎましょうか…」

 

 夜空を見ると分厚い雲に覆われおり、ごろごろと音を立て、やがて豪雨が降り注いだ。リカと昭は大粒の水滴を浴びて自分たちが住む塔に帰還した。

 

「…えらい目に遭いましたね、これだから最近の気象情報は当てにならない…」

 

「やっぱり今日はこれで解散しましょうか?こんな格好でお邪魔するのはご迷惑なので…」

 

「全然構いませんよ、お気になさらず…ただ、美しい夜景はお預けになるかもしれません…」

 

 昭は、快くずぶ濡れのリカを招き入れて、

 

リカにタオルを渡して、リビングルームまで誘導した。

 

「うわ、何かうちのリビングより全然広い…最上階は構造が違うんですね」

 

「ええまあ、大体どの部屋も二倍近くの広さでしょうか…あまり物を置くことが嫌いなので殺風景ですが…」

 

「そんなことないです、素敵です、私もあまり物を置くの好きじゃないので…」

 

「…どうぞ掛けて下さい、とっておきのお酒を用意しますので…」

 

 昭はキッチンルームに設置してあるワインクーラーからワインボトルを一本取り出して、リカにご馳走しようとした。

 

「白ワインですか?」

 

「ええ、美味しいですよ、それでは乾杯しましょうか…」

 

「…チン」

 

 リカと昭はワインを一気に飲み干して、心地いい表情を浮かべた。

 

「美味しい~癖になりそうです」

 

「そうでしょう、さあ、飲んで下さい」

 

 昭は、構わずリカのグラスにワインを注いだ。

 

「…あの、私、明日から仕事なのでこのくらいにしときます…」

 

「まあいいじゃないですか、夜はまだ長いんですから……出来ればずっとこうしていたいぐらいですよ…」

 

「え?」

 

 リカは、昭の発言に疑問を感じていた。

 

「…あなたは本当に美しい…初めて会った時、体が疼きました…一目惚れってやつでしょうか…最近、あなたのことが頭から離れない…リカさんは今、恋人とか居るんですか?」

 

「…居ませんけど」

 

「…歌劇団って恋愛禁止なんですか?」

 

「……いいえ、特に決まりはないですが…」

 

「そうですか……あの…突然ですけど、僕と付き合ってもらえませんか?」

 

「…え?そんな……困ります…!」

 

「お願いです、騒ぎにならないようにしますから…結婚まで考えています!」

 

「あの…歌劇団に在籍している間、結婚は認められません、退団した後じゃないと…」

 

「それなら退団するまで待ちます、結婚を前提に交際を考えています!」

 

「…勝手なこと言わないで下さい!お付き合いは出来ません…帰らせてもらいます……!」

 

 昭は、帰ろうとするリカの前に立ちはだかった。

 

「…そう簡単に帰すわけにはいかないな、用は済んでいない…!」

 

「…平松さん!きゃ…!」

 

 昭はじっとリカを睨み付けて、ソファーの方へと彼女を押し倒した。

 

「逃がさないよ……き…君は…僕の…モノだ……ぼ…僕のモノに……なるんだ…歌劇団も…辞めてしまえ…はは…!!」

 

 昭は、豹変して常軌を逸していた。リカは昭に無理やり抱きつかれて身動きが取れなかった。

 

「…止めて!平松さん!!」

 

「大声を出しても無駄だ、誰も助けに来ないよ…ゆっくり楽しもうじゃないか!」

 

 昭は男の力を見せつけて興奮状態のままでリカを押さえつけて、強引に彼女の唇を奪おうとした。

 

 リカは窮地に追い込まれ、昭に犯されそうになった。ここで一つの惨劇が起こると思われたが、意外な展開が待ち受けていて解決の光が見え始めた。

 

「♪~」

 

 昭の住居のチャイムが突然鳴りだし、状況は一変することとなった。

 

「……だ……誰だ?こんな時間に…!!」

 

 焦った昭は、一旦リカから離れて来訪者を確認しようとした。

 

「♪♪♪♪♪♪~…」

 

 謎の来訪者は、しつこくチャイムを鳴らしていた。昭は、直接顔を合わせようとして扉を開けようとした。

 

「五月蝿いぞ!!何のつもりだ……!!」

 

 昭は扉を開けた途端、何かの衝撃で後方に吹き飛ばされた。謎の訪問者は黒ずくめでいかにも怪しかった。

 

「バン!」

 

 謎の来訪者は、昭を蹴飛ばした後、強引に中に入ろうとした。

 

「……痛……おい!!待て……」

 

 昭は謎の訪問者の暴走を止めようとするが、全く言うことを聞こうとしなかった。

 

「…!」  

 

謎の訪問者は、急ぎ足でリビングルームへと向かって、リカと顔を合わせようとした。それはまるで彼女の安否を確認しているように見えた。

 

「…おい!どういうつもりだ?」

 

 突然のことで怒りが抑えられない昭は、謎の訪問者に怒鳴り散らした。

 

「……そっちこそ、ここで何をしていたの?お楽しみのところ邪魔だったかな?」

 

「…!?」

 

 昭は、ようやく謎の訪問者の顔を拝むことが出来たが、呆然と立ちすくんでいた。

 

「……だ…誰だ?」

 

「私?私はこのマンションの住人だよ…」

 

「君のことなど知らないぞ!」

 

「何度か顔を合わせているはずだよ、あんたがオーナーらしいけど、ちゃんと挨拶に行かなきゃいけないの?」

 

「急に現れて、何だ、その口の利き方は?」

 

「…じゃあ軽く自己紹介しときますか…私は東棟の三十九階に住んでいる○○ツバキってもんだけど…」

 

 謎の訪問者の正体は、リカの相棒であるツバキであった。彼女は偉そうに男性のような口調で昭に話した。彼はまだ状況が把握出来ず、大きく口を開いたままであった。

 

「……やはり見覚えがない、無礼じゃないか、勝手に上り込んで…用件は何だ?」

 

 ツバキは昭の質問に対し、冷静に答えようとした。

 

「……そこに居るリカは、私の友人でね…彼女に卑猥なことをしてなかった?」

 

「何を馬鹿な?僕はただ彼女とお酒を飲んでいただけだ…!」

 

「…いくらでも言い訳は聞くけど…被害者本人に訊けば早い話だから…リカ、あの人に襲われていたでしょう?」

 

「…ええ、キスを迫られたわ…」

 

「…!!!」

 

 ますます昭から穏やかな表情が消えていき、顔色が悪くなっていた。

 

「……証拠はまだある、実はあんたたちの会話をずっと聴いていてね…さっきまで外で食事していたんでしょう?」

 

「…どうやってそのことを?」

 

 昭が驚きの表情を浮かべると、リカは着用しているワンピースに付けられたブローチを外し出した。

 

「このブローチは、発信器が内蔵されていまして…音声も傍受出来ます」

 

「…発信器…?何故そんな物を?」

 

 昭はリカの発言について理解出来ず、錯乱状態になっていた。そして、ツバキが事実を述べようとした。

 

「とりあえずリカを襲った件は置いておこう…私たちはある目的でこのマンションに引っ越してきたんだ…」

 

「ある目的?」

 

「先日起きた殺人事件のことを調べていてね…エレベーターで男性が射殺された事件…知っているよね?」

 

「!……え?ああ、向かいの西塔で起こった事件のことだろ?」

 

 昭は殺人事件のことを耳にすると、とぼけた様子を見せた。リカとツバキは、そんな彼をじわじわと追い詰めようとしていた。

 

「…犯人は未だに捕まっておらず、捜査は難航、有力な手掛かりはない……とされているけど、それは表向きの話…実際はかなり進展があってね…解決しそうなの…」

 

「……さっきから君たちが言っていることについて行けないんだけど…殺人事件とか犯人とか…まるで警察の人間と話しているみたいだ…」

 

「……簡単に言うと、私たちはその警察みたいなものよ、極秘で捜査をしているの…狙いはあんたよ、追っている事件の捜査対象になっているわ」

 

「…ちょっと待ってくれ、訊きたいことがたくさんある!…リカさんもその一員なのか?歌劇団の劇団員じゃないのか?」

 

 昭が問いただすと、リカはゆっくりと口を開いた。

 

「…ええ、詳しいことは言えないけど…ツバキの言う通り、極秘捜査でやって来た…騙してごめんなさい…」

 

「…何故、僕を疑っている?根拠は?」

 

 昭は頭の中が整理出来ないまま、リカたちに質問を投げ掛けた。

 

「根拠はある…第一に不審な点は、ここのセキュリティーよ、至る場所に防犯カメラが設置されているのに、犯人の姿が一切映っていないなんて考えられない」

 

「……偶然映っていなかったんだろう…防犯カメラも当てにならない時がある…」

 

「…そう偶然が重なるかな?都合が良すぎると思うけど…何か裏があるように思えて運営側、管理側が怪しいと踏んだのよ」

 

 ツバキは呆れ顔で言い返して、昭は体を小刻みに震わせた状態でリカたちの話を聞いていた。

 

「…もし、マンションのセキュリティーが正常に機能していなかったら…カメラの映像が捏造されていたら…組織ぐるみの犯行だったら…話は変わってくる」

 

「推測するのは勝手だが…それで僕を含めた内部の人間を疑って、解決の糸口は見つかったのか?」

 

「ああ、勿論よ…そのためにリカはあんたと接触して、私は陰であんたのことについて洗いざらい調べようとした…何度か無断でお邪魔したことあるけど、気づいていないようだね…侵入して眠らせた時もあったんだけどな…」

 

「…何だと?……そう言えば急に眠気に襲われたことがあった…君の仕業だったのか…」

 

「私があなたを誘い出している間、ツバキがあなたの住居に忍び込んでいたんです…」

 

「…僕はずっと利用されていたわけか…」

 

「…そうです、すみません」

 

昭は、リカたちの発言に驚愕するばかりであった。

 

「…強引だけど、うちのやり方なんでね…許してくれなくて結構…」

 

「…当然だ、捜査のためと言ってもやりすぎだぞ!」

 

 怒りを露にした昭であったが、リカたちは怯むことなく彼を問い詰めようとした。

 

「怒りを買うのを承知で、あんたの住家に侵入したわけだけど…お蔭でとっておきのものを発見することが出来たわ…」

 

「…何だと?」

 

「…相棒はまだ知らないんでね、案内してもらおうか…あんたの隠れ家に…」

 

「……まさか!!」

 

 昭は、ツバキの意味深な発言で動悸が激しくなり、あるものが頭の中を過った。

 

「……あれを見つけたのか?」

 

「ああ、見つけてしまったよ、案内しない場合、痛い目に遭うよ…」

 

「……分かった」

 

 昭は、素直にツバキの言うことに従って、ある場所へと案内しようとした。そこは仕事場として使っている一室であった。

 

 昭が部屋に設置されたパソコンの操作をすると、本棚が分断されて隠し部屋につながる扉が現れた。

 

「…ここが!」

 

 リカは、初めて隠し部屋にして、ただただ驚いていた。

 

「…ここは変わっていて、他のフロアと独立した構造になっていてね…部屋の大きさ、数が通常と違っていて、こんな隠し部屋まである…ここはリアルタイムで監視出来る設備が整っているわ」

 

「…よく分かったな、ここが…」

 

「こっちもプロなんでね…ここを見つけたことで事態は大きく変わった…」

 

「私は、ここへ来たの初めてだからちゃんと説明して…ここは何なの?」

 

 リカは、ツバキに質問を投げ掛けた。

 

「ちゃんと説明するわ…この部屋が立て続けに起きている不可解な事件のカギを握っているのよ…」

 

昭は、反論せず大人しく聞いていた。

 

「例の事件で殺害されたのは、フリー記者やジャーナリスト…そして、警察関係者…何故彼らは殺されなければならなかったのか…それはこのマンションの秘密を知ってしまったから…ここは反社会勢力、暴力団、犯罪者を匿っていた…それもかなり大人数の…この事実を知っているのは一部の管理会社の人間とオーナーであるあんただけ…」

 

 昭はツバキに真実を暴かれて、じわじわと汗を掻いた。

 

「この部屋は色々な利用方法がある…一つは一般市民と暴力団組織の接触を避けるための防止策…しかし、そのうち闇の住人のことを嗅ぎ付けた者が現れて、一網打尽にされそうになった…それに対処すべく、あんたは恐ろしいことを目論んで、この部屋を使った…」

 

「……この部屋の存在を知ったとなれば、色々といじったということだな…?」

 

 昭は、心臓をバクバクさせながらツバキに質問した。

 

「ああ、過去の映像を調べていったよ、それは何とも身の毛がよだつ惨劇のシーンばかりだった…エレベーターで起きた殺人もはっきり映っていたよ」

 

「…でもその時間、停電して映っていなかったじゃあ…」

 

 リカは途中、ツバキに疑問を投げ掛けた。

 

「…ああ、普通の防犯カメラには映っていないよ、実際、エレベーターの中には一般の住人が知らないもう一つの〝眼〟があったんだよ…」

 

「もう一つの〝眼〟?」

 

「エレベーターの壁に小型カメラが埋め込まれていたのさ…取り出せば分かると思うけど、電池が内蔵されているから停電になっても問題はない、おまけに赤外線暗視カメラだから暗闇でもちゃんと撮影されるわけよ…通常のカメラよりかなり高性能みたいよ…」

 

「…君の言う通りだ、エレベーターだけじゃない、非常通路などにも仕掛けられている…私が監視役となり、殺人実行犯に指示して逃がして、警察を欺いた…」

 

「一つ分からないことがある…何故私の侵入に気づかなかったの?セキュリティーは万全のはずでしょう?カメラをチェックしなかったの?」

 

「……そこまで気が回らなかった…基本、留守中はシステムの電源を切っているし…まさかここに忍び込んでくるなんて考えたことなかったから…一度も泥棒に入られたことがないのが自慢だ…」

 

「…何とも軽率ね…お蔭で楽だったけど…」

 

「……恐れ入るよ」

 

 昭は観念したのか、冷静に白状していった。

 

「…素直に話してくれて嬉しいけど、あんたにはまだ裏の顔があるわ…」

 

 昭は、ツバキの意味深な発言でまた表情が険しくなった。

 

「…ここの部屋の利用方法はもう一つある…例のカメラは各フロアの住居にも仕掛けられているね…おまけに盗聴するための装置も仕掛けてある…かなり悪趣味ね…というより立派な犯罪だわ…」

 

「…これで分かった、先日のパーティーにあなたが訪れたわけが…ずっとこの部屋で私たちの様子を視ていたのね…」

 

 リカの一つの疑問が解決し、昭は言い訳せず黙っていた。

 

「リカのことが好きになり、今夜口説こうとディナーに招待して、家に誘った…こちらとしては好都合だったけどね…こういった行為は、一度や二度じゃない…かなり慣れているようね…タイプの女性住人が現れたら徹底的に監視して我が物にしようとする…ストーカーと同じ行為だね」

 

「何て酷いことを…」

 

 リカは、昭を軽蔑した目で見ていた。

 

「……よくここまで辿り着いたね、君たちが初めてだよ、警察は無能な者ばかりだから挙句の果てに命を落とすことになる…」

 

「…今まで自分の手を汚さず潜り抜けてきたようだけど、年貢の納め時のようだね」

 

「………ふ」

 

 リカたちは、昭を奈落の底に落とそうとしていたが、彼はまだ妙に落ち着いて笑みをこぼしていた。

 

「…何かおかしいの?」

 

「…いやいや、すまない…これだけ追い詰めたら普通パニックを起こすはずだが…何故か不安がない…そもそも君たちが警察関係者だというのも疑わしい…」

 

「…まあそうだね、確かに私たち刑事に見えないよね~話は以上だけど、どうする?」

 

「逮捕するというのなら抵抗させてもらうかもしれない…それに僕には守ってくれる知り合いが多く居るんでね…君たちもただでは済まないよ…」

 

 昭は一切反省の色を見せず、リカたちを馬鹿にする態度を示した。そこで彼女たちは最後の手段に打って出ようとしていた。

 

「…チャキ」

 

「……!!!」

 

 ツバキは、愛用しているリボルバー銃、S&W M29 センチネルアームズカスタムコンバットを昭に向けた。彼は血の気が引いて、リカたちを恐れた。

 

「このままじゃあ埒が明かないんでね、私たちも忙しくてね…こればかりに構っていられない…今日で片づけたいんだよ…抵抗するというのなら容赦なく撃つよ」

 

「……君たちは何をやっても許されるのか?何者か知りたい…」

 

「…知る必要はない、私もリカと同じ境遇で生きているとだけ言っとくよ…好きに動けるけど、その分、リスクを背負っているんでね…もし、私たちの秘密を公表すれば、その人物は無事では済まないだろうね…試してみてもいいけど…どうする?」

 

 昭は、ツバキに脅迫されたことで黙り込んだ。彼女はここで昭への追及を止めて銃を納めた。

 

「…実はここまでやっといて、私たちに逮捕する権限はないんだよ、数分後、あんたが無能呼ばわりしている警察が到着するから…下の怪しい連中も捜査対象になる…逃げ場はないよ…私たちはこれで失礼するよ…」

 

 ツバキはそう言って、リカと共に昭の前から去ろうとしたが、まだ幕を閉じそうになかった。

 

「……うわああああああ…!!」

 

 昭は理性を失って、背中を見せたツバキに襲い掛かろうとした。彼女は対応が間に合いそうになかった。

 

「…ドン!!」

 

 その時、突然銃声が室内で鳴り響き、昭は興奮が冷めて我に返り、そのまま後ずさりした。

 

「……リカ」

 

 銃を撃ったのはツバキではなく、リカであった。彼女は、怖い顔で小型携帯銃であるグロック19を構えていた。

 

「……今の……リカ…さんが撃ったのかい…?その銃は本物…!!」

 

「…ええ、本物です、今のは威嚇だったけど、もし、まだ暴れるようなら急所に命中させる…!」

 

「……ひい!」

 

 リカが言っていることはハッタリではなく、昭は思わず情けない声を発し、全身に力が入らないようであった。

 

「……あなたと知り合って、どんな人間かよく分かったわ、表向きは誠実で好かれるタイプだけど、実際は自分の利益のために手段を選ばない支配欲の強い獣ね…この件の他にも色々とやっているようだし…しばらく暗い獄中で頭を冷やした方がいいんじゃない…?」

 

「相棒の言う通りだ、優秀な弁護士を呼んだり、親に頼んだりしても無駄だから…あんたは裁かれる運命にある…覚悟しといた方がいいよ…」

 

 リカとツバキは昭に警告したが、彼の耳に届いておらず、魂の抜け殻のようになり、そのまま体が固まっていた。リカたちは昭を部屋に置いていき、その場を後にした。

 

それから数分後、雨は止んでツバキが言った通り、昭が所有するマンションに大勢の警官や捜査員が集結した。近隣住人は突然の騒ぎで驚愕して、窓を開けたり、外の様子を確かめようとした。現場付近は大量のパトランプで赤く染まり、しばらく騒然としていた。昭を含め、マンション管理会社の人間が連行されていき、オフィスフロアに住みつく暴力団組織も気づいた時は遅く、捜査されることになった。これで主犯の昭は丸裸にされ、一連の忌まわしい事件は無事に解決しようとしていた。

 

それから数日後…

 

 兵庫県警 刑事部捜査第一課

 

 現場責任者である室山は、捜査資料に目を通しながら部下の赤谷と解決した事件のことについて話し合っていた。

 

「…やはりあのオーナーが一枚噛んでいたか…マークして正解だったな…」

 

「…はい、犯行に関わったのは彼だけはなく、関連した会社を一斉捜査して…彼の父親…平松会長も任意で取り調べを受けさせました…」

 

「あのマンション、かなり問題があるようだな…欠陥住宅ということか?」

 

「…はい、マンションの資料を調べた結果、設計、企画データは改ざんされていることが発覚しました…防犯、防災システムはちゃんと機能しておらず…設置された防犯カメラは全て不良品でした…おまけに住人のプライバシーを覗くための監視室が見つかり…住居エリアには無数のカメラや盗聴器が仕掛けてありました…追加工事は平松昭の指示で行われたとのことです…」

 

「父親は関与していなかったんだな?」

 

「ええ、全て息子がやったことだと言い張っています…」

 

「どちらにしろ、評判はガタ落ちだろう、不動産王の名も形無しだな」

 

「おっしゃる通りで、会社側は朝から休む暇なくクレーム対応に追われていて、契約数が急激に減っているようです…」

 

「…それで事務所を借りていた連中は?」

 

「暴力団組織〝焔矢会〟を脱退した組員の集まりでした、表向きは金融会社ですが、実際は詐欺紛いのことをして、一般市民から金を巻き上げていました…また、オーナーには賃料の他に賄賂も渡していたようです…」

 

「…ところで、平松昭はマンションの秘密を守るために次々と殺害を企てたわけだが…彼はあくまで計画犯だ、実行犯は?…〝焔矢会〟の元組員の仕業か?」

 

「そうだと言いたいところですが、奴らは手伝っただけです…主犯は別にいます…」

 

「!…それは誰なんだ?」

 

「………」

 

 室山は赤谷に問うが、彼はどうも言いにくそうな顔を浮かべた。

 

「…どうした?言えないのか?」

 

「……犯人は所轄の警察官でした、署の武器庫から銃を盗んだ犯人でもあります…名は村本秀臣、警備課に所属しています」

 

「そんな…動機は何なんだ?まさか公安捜査員を殺したのもその警察官なのか?」

 

「…はい、彼の犯行です、村本は、公安捜査員が追っていた犯罪組織の人間と黒いつながりがありました…関係がばれることを恐れた村本は、平松昭と組員に協力してもらい殺害を実行したんです…」

 

「陣川という記者も二人で?」

 

「陣川はマンションの闇を探り、平松昭をゆすっていたそうです…平松昭は彼の要求に応じず、村本と組んで殺害した…その時、管理会社の人間も協力していて、村本のパソコンから闇のデータだけを削除して証拠隠滅を図ったわけです」

 

「…成程、彼らは秘密が明かされないよう、次々に邪魔な存在を消していったわけだな…?」

 

「そうです…そして、何より一番危険なのは平松昭です、彼は多くの秘密を隠していました…」

 

「…何だと?」

 

 室山が唖然とする中、赤谷は昭の裏の姿を明かそうとした。

 

「平松昭は大学卒業後、すぐに会社を設立していますが、経営は上手くいかず、すぐに会社は倒産して多額の借金を背負うことになります、それを見かねた父親は、息子の借金を肩代わりして例のマンションのオーナーになるよう勧めました…それが間違いだった…快適な住居空間は、彼の手でたちまち悪の巣窟に変わってしまったわけです…それと彼は再逮捕することになりそうです…」

 

「どういうことだ…?」

 

「ここ最近、女性の不審死事件が多発しているんですが…一つの原因は過度の危険薬物摂取です…中には学生が居ました…驚くことにその事件と平松昭につながりがありました…彼の監視室に記録された映像に薬物中毒で死亡した女性が映っていて、彼女たちは彼に強姦されて薬漬けに…見るに堪えない映像でした…さらに彼はアルコール中毒症に危険薬物中毒症と診断され…精神面にも欠陥があるのも頷けます…」

 

「…とんでもない化け物を野放しにしていたな…だがもう終わりだ…彼の城はようやく崩れた…今までご苦労だった、お前たちの手柄だ…これからも期待しているぞ…」

 

「…はい、ありがとうございます、経験を活かして努めていきます……」

 

「…?何か質問はあるのか?」

 

「……いえ!ありません…失礼しました」

 

 捜査資料のある写真が赤谷の目に留まっていたが、彼は室山に話そうとしなかった。赤谷は数週間に渡り、昭を尾行していたわけだが、彼と一緒に居る女性のことが少し気になっていた。その女性はリカであった。今回の一連の事件には、リカたちが関わったことは全く記録されていなかった。やがて赤谷も気にしなくなり、彼女たちのことについて詮索することはなかった。

 

 その日、リカが主演を務める公演の千秋楽であった。戦争という重いテーマの芝居から始まり、後半はショーで四季を彩る伝統的な童謡や当時流行っていたJポップの曲が流れて観客を楽しませた。座長であるリカは共演した劇団員を紹介していき、緊張しつつも最後の舞台挨拶を述べた。その時のリカの姿は希望に満ち溢れていた。

 

無事に千秋楽を迎えたリカは帰ろうとせず、何故か大劇場の屋上へと向かっていた。屋上の扉を開けると、夕日の光が浴びせられて綺麗な橙色に染められた場所にツバキが立っていた。

 

「今日はお疲れさん、よかったよ…」

 

「何だ、観に来てくれたんだ…楽屋に来たらよかったのに…」

 

「どうせ、ここで会うんだからいいでしょう…裏の仕事のことは話せないし…進展があったんで伝えようと思ってね…」

 

「…例のマンションの件ね…」

 

「うん、あのマンションはもう住めないわ、取り壊しが決定したようで…その後に商業施設が建つ予定になっているそうよ…その件に平松不動産は関わっていない…」

 

「…平松昭の方は?」

 

「…相変わらず往生際が悪くてね…否認し続けている…起訴を考えているようだけど、時間の無駄よ…父親は助けようとせず、彼に味方する者は一人も居ないわ…」

 

「そりゃそうでしょうね~」

 

「…今回はあんたの活躍が目立ったわ、ご自慢の迫真の演技でぱくることが出来た…キスを迫られそうになった時、殺意が芽生えていたでしょう?」

 

「…まあね、あなたが来るの、もう少し遅かったら頭突きを喰らわせていたかも…」

 

「よく我慢したわね、彼に威嚇発砲した時も非情さ、冷酷さが出ていて良かったわよ…成長したわね」

 

「喜んでいいんだか、悪いんだか…」

 

「褒め言葉だと思って受け止めてよ…これで安心して囮役が任せそう…頼もしいわ、これからも宜しくね…」

 

 リカとツバキは、お互いの握り拳を軽くぶつけ合って絆を深めていった。

 

「……これで公演の方に集中出来る…リカはとっては、そっちの方がいいでしょう…?」

 

「…最近そうでもなくなってきた…裏稼業も色々と勉強になるわ…本業にも活かせそうだし…」

 

「本当に頼もしくなったけど、しばらくお別れね…お互い素晴らしい舞台人になれるよう頑張りましょう」

 

「そうね、これから忙しくなりそうよ」

 

「……おっと、そろそろ時間だわ、食事の約束をしているから行かないと…」

 

「珍しいね、相手は友達?」

 

「…ハナに誘われたのよ、他に後輩が大勢来るみたいだけど…」

 

「へえ、楽しそうね、良かったじゃない」

 

 ツバキは、かすかに笑みを浮かべながらリカの前から去って行った。リカが成長したのと同時にツバキにも変化が起き、彼女たちにとって貴重な期間となったのであった。リカたちは新たなステージに踏む込むこととなり、自らの運命を開こうとしていた。


奥付



鳳の眼 未の章


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著者 : iwaiwa01663856
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