閉じる


<<最初から読む

8 / 35ページ

夢飛行士

今日は 寝落ちの日
白い魔法なしでも よく寝れるかな

 

掛け布団と手をつないだら
その瞬間に寝落ちするんだ
ぐるぐる回る世界からするっと抜け出すんだ
夢飛行士になりたい
夢飛行士 夢飛行士 夢見心地

 

 

雪山をベッドの中へと滑り落ちたなら
その瞬間に寝落ちするんだ
「誰かのテリトリー」から
さよならするんだ
夢見心地になりたい
夢見心地 夢見心地 夢飛行士


今日はもうごめん 朝だけど
おやすみなさい
明日また帰るからね

時間もない 仕事もない
風邪もない 数学もない
夢の国へ向かうよ
夢飛行士 夢飛行士 夢見心地

 


春の虚しさに負けないように

春になるということは
虚しいということで
ああ 何だかなあ

 

この3月にあの子は
遠くへ行ってしまうよ
しばらくは逢えないな

 

「ここにいるよ 独りじゃないよ」
って独りでつぶやくんだ
日本中で桜の数だけいるよ
寂しい人が

 

春の虚しさに負けないように
春の眩しさに負けないように
強くなりたい
新しく始めたいことがあるんだよ

 

 

頬杖ついて 窓の外を眺める
木の温もりは言葉にできないな

 

春になるということは
花粉が飛ぶということで
ああ 何だかなあ

 

色とりどりのパンジーに
一人だけ白黒の自分だって
バレたくないから 花粉症なのかな

 

「ここにいるよ 独りじゃないよ」
って独りパソコンに打ち込む
雨に濡れた花びらが 虚しく側溝にたまるように
寂しい人ばっかりだ


春の虚しさに負けないように
春の眩しさに負けないように
強くなりたい
君と出逢いたい

 

大地からたった独りで
首を出してしまったつくしのように
強くなりたい
強くなりたい

 

 


免許

もし空を飛ぶのに
免許がいるなら
僕は翼があっても飛べないや

 

エスカレーターにも乗れない
チキンだから
コンタクトレンズも入れられない
弱虫だから
きっと試験に受かることはないだろうな

 

だけど
空の向こうの君に
何かあった日には
誰に止められようとも
逮捕されようとも
僕は空を飛ぶだろう

 

 

 

嵐のような日々が続いて
僕の巣は荒れ放題で
暴風はすべてを奪って
後に残ったのは
なぜか優しい気持ちだった

 

目は悪いし
神経は鈍くて
もう免許どころじゃないや
何の資格もないよ
自分という名の資格さえないよ

 

空なんて飛んだことない
飛び方 知らない
わかんないよ
他人より小さな面倒な翼
抱えて

 

だけど
空の向こうの君に
何かあった日には
誰に止められようとも
逮捕されようとも
僕は空を飛ぶだろう

 

空を飛んでしまえるだろう
飛んでいくよ
飛べないけど
飛んでいくよ


薄緑の教室

白い天井 薄緑の教室 ただの木の椅子と机が一つずつ
忘れてしまった事を学ぶ部屋
数学は100点 社会は98点 国語も学年一位
でも生きる事は赤点

 

朝はカーテンを開けて 青く優しい木々を見つめて
夜は明かりを消して どこまでも続く夜景を学ぶだろう
朝はホットコーヒーを飲んで 熱い飲み物の味を思い出して
夜は今日一日の出来事を ノートに書き留めるだろう

人間らしい生活できずにいる でもやりたいと思ってる
25歳からのリスタート


何もない部屋 本の積み方ひとつで 自分らしくなる
おやつを置いたらもう 自分の家になる
ベッドに潜り込むと 薄緑の教室が見守っていてくれる
落第してもまだ 守られてる 学び直す事ができる

 

生きることが赤点なのは、不器用なだけ。
薄緑の教室に教科書はない。
ただ、あたりまえに起きて、食べて、歯磨きをして、寝て
答えのない事を続けていく事を教えてくれた。

 

1+1より簡単で、難しい事。
たった一人の人間として、自分らしく生きる事を。
たった一人の生き物として、自然らしく生きる事を。

 

 


物理と化学は90点台 なのに生きる事はレベル小学生
英語がいくら書けて話せても 呼吸ができず赤ん坊以下
ミトコンドリアは分かるけど 心の置き場が解らない
学校より大切な物を教えてくれる 薄緑の教室

ベッドにくるまって 25歳からのリスタート


春になったら外に咲く花を見て 美しいと思う事を学ぼう
夜は早めに寝て 自分を大切にする事を学ぼう
人に優しくされた時 素直に嬉しいと思う事を学ぼう
鏡の中の自分がこんなにも恵まれていて 未来があるという事を学ぼう

 

薄緑色の教室に、光が差し込む。

 


リップチーク

唇に塗るものを通常 チークとは言わないでしょう
それはリップとかルージュとかって言うんだよ チークは頬紅でしょう
そんなん知ってるし

でも
君と目が合うたび、あたしの唇は赤くなる
なぜかな 素敵だな
君と目を合わすたび、あたしの唇は赤くなる
なぜかな チークだな

 


ヤバいよね ヤバいよね 妄想は春の赤
チークとは言わないでしょう 口紅と言うのでしょう
冷静そうに見えるけど 実はあたしのこと…
妄想のしすぎね 頭の中スイーツで溢れてる

 

君と目が合うたび、あたしの唇は赤くなる
なぜかな 素敵だな
君と目を合わすたび、あたしの唇は赤くなる
なぜかな チークだな

 

君と逢うたび、唇よ紅に染まれ・・・



読者登録

あめのこやみ(おけちよ)さんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について