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タイトル一覧
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あとがき
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解説
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奥付
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2004/06/02 小林の湖

 

 

 

 

夢の話。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真冬の夜明け前の湖のふちを あたしとゆゆは走っていた 

 

 

 

 

 

二人ともおそろいの白いトレーナー (ミルクランド北海道)着て 

おそろいの濃い色のGパンはいていた 

 

ゆゆは湖にはった氷のうえを走り 

あたしは湖ぎりぎりの陸地を走って 

 

10メートルくらい先をゆくゆゆを追いかけ 

 

「やめな! 氷割れるって やめな! 氷割れるって!!!」 

 

いくら叫んでもゆゆは氷のうえを走るのをやめず 

 

さいきん この湖で 氷のうえで遊んでた子どもが 割ってしまった氷の穴に落ちて死んだ 

 

「子どもで割れるんだから ぜったい割るってー」 

 

あたしは悲鳴みたいに叫びつづけてゆゆを追ったが ゆゆはときどきチラッとあたしをふり向くだけで 氷のうえを走りつづける 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんでゆうこときかないの! あんたさいきん生ゴミもちゃんとしないし! 洗濯しないし! だらしなくなって! なんでそんなんなった!?」 

 

悪魔があたしたちをみおろして賭け事をしてるような渦巻いた空 

冬の天空いっぱいに小林幸子の演歌が響き渡っていた。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

むー  りしー  てーえ  のん  んーじゃ  いけーーーえ  なあー いいー とーー  

 

かー  たーを  や さ し くー  だきーーい  よーー  せー  たーー

 

 

 

 

 

 

 

ゆゆはいきなり大きく転び ごと。 とぶきみな音を立てて前方に倒れた。  

ビシビシーっと 八方にひびが広がる音がして 

氷はゆゆのしたで割れ、暗い水がみえた 

 

あたしは気が狂ったように叫んで 氷のうえに駆けだす 

 

ゆゆは水のなかに頭から落ちてゆき いまはGパンのすそと白いスニーカーしかみえない 

あたしはおおきく息すって迷わず穴のなかに飛びこみ 

水は暗いだけでなく にごっていて イカ墨のようなちょっとだけミルクいれたコーヒーのような 茶色がかった灰色だった。どんどん沈んでいったが 息は苦しくない 肺のなかには空気がたくさん入ってるな、とあたしはおもった。 

 

ぜったい助けられる自信があって、こういう根拠のない 疑うすきもない原始的な自信でまんまんのときのあたしは かならずうまくいく。 

ゆゆはもがきもしないのか 無抵抗で落ちてゆく白いトレーナーがぼんやりみえて あたしはおもいきり腕を伸ばしてつかんだ。 

水からひきあげるとあたしの手はゆゆのトレーナーの首のうしろのたるみをつかんでいた。 首のうしろのたるみ? ( うさぎじゃあるまいし ) トレーナーだとおもってたのはパーカだったのかもしれない。 

 

 

つぎの瞬間あたしとゆゆは その湖がそのまま川になったような大きな流れのまんなかにいた。 

 

あたしはゆゆをかついで浮きながら流されていたが 

岸に寄ろうと泳ぎ出したとき 背後で怒る声がした 

「川の両端は流れがはやいからまんなかで流されて体力を温存しろ」 

というような意味のことをいった。 

 

父だった。 

 

いつから一緒に流されていたのか知らないが 姉妹を心配して飛びこんできたのかもしれない。 

 

川の両端のほうが流れがはやいというのは 

いまおもうとへんな理屈だが そのときはそうなのか、とおもってあたしは川のまんなかを流されつづけることにした。 

 

 

 

 

そのあとあたしとゆゆ ( ミルクランドのトレーナーもGパンも乾いている )は 知床観光センターとかいうような とても天井の高い 

明るい木目の壁のログハウスのようなところにいた。 

ガラスの壁になっている一角に かまくらがみえた 

まわりは7月のようなあざやかな緑の森だというのに かまくらだ。 

 

かまくらはガラスの角がくいこむようにしてつくられており ( たぶん真上からみると90度に口をあけたパックマンのよう ) 

こちらからはかまくらの内部がみえる。 

なんでもこのかまくら製法は世界初のこころみで 特許をとっているだとかで かまくらの青い影のなかにいる4人の中年女性は愉快そうに談笑していた 

4人のうちひとりは小林幸子だった 

小林幸子は黄色のビーズ刺繍のある白いセーター着てて 

仕事であんな派手なかっこうしても ふだん着はふつうのおばさんっぽいなとあたしはおもった。 

 

 

 

 

 

 

 

おしっこしたさで目が覚めると トイレのホワイトボードに 

特許ものだという世界初の製法でつくられたとかいうかまくらの図を 

忘れないうちにとおもって描いておいた。 

 

 

 

 

 

*「おもいで酒」 歌:小林幸子、曲:梅谷忠洋、詞:高田直和 より一部引用しました。


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2004/06/18 ビガロポリスの冷奴

 

 

 

 

朝いつも 幸福感が胸にせりあがるようにして目が覚める。 

 

 

 

 

けさは目が覚めたときすでに どこかにある理想の空港のことを考えていた。 

 

人間の作ったものでは空港が一番すきかもしれない。 

 

 

 

 

空港はあたしにとって すきな人を迎えるか迎えられるか 見送るか見送られるか しかない場所なので 

 

空港で食べる飯は興奮のあまり うまいのかまずいのかわからない 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この空港飯における興奮した味覚の麻痺や 

 

ドライアイスにさわっても平気だったこと  

 

割れた体温計から散らばった水銀のつぶを指でひろいあつめても平気だったこと 

 

恋人のセーターのあまりの素晴らしさにクリーニング屋が驚愕したこと 

 

真夜中の紅葉谷でガス欠になり、ガソリンを両腕に浴びながら車に注いだ記憶 

 

冬の真夜中にガス欠になり、毛布をふって後続車にたすけをもとめた記憶 ( ガス欠の記憶がおおい ) 

 

地下3階のモンシロチョウの記憶など 

 

くりかえしあちこちで語ったり書いたりするモチーフがあって 

 

モンシロチョウに関しては十年後にその続きのような夢をみたり 

 

そういういくつかのモチーフをくりかえし表現することで 

 

じぶんのなかに物語がからみあった一本の樹みたいものが育ってゆくのがわかる。 

 

 

 

 

 

 

 

それはとても楽しい作業で 

 

手ぶらのときもポケットの中に入っている 

 

ポケットない服のときは 

 

右肩の少しうえあたりに浮かんでいる 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中央線で。 

 

大久保あたりで電車から一瞬だけみえる喫茶店があって 

 

その窓から 着席した客にウェイトレスがメニューわたして オーダーとって戻るまでをみたような気がしてしょうがないのだが 

 

じっさいには駅から遠くて通りすぎるだけの場所なので そんなに長い時間みていられるはずがない 

 

 

 

 

 

どうしてだろう と ずっとおもってたら 

 

ある日ひらめいた 

 

人身事故かなにかで電車が新宿らへんで徐行しはじめ 

 

それでゆっくりその店の前を通ったのかもしれない 

 

あたしが乗ってるときにそんなことがあったかおぼえてないけど 可能性としては一番ありうる 

 

 

 

でもそんなんじゃなくてほんとに一瞬しかみてないのに一分くらいみてた気もする 

 

ささやかな並行宇宙 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんにもなくて豆腐たべた。 

 

スパークル。 

 

あたしは食卓に ごん と音を立てて 額をつけた 

 

幸せだった。 

 

ずっとずっと幸せだった。 

 

37.3度が平熱になったことも楽しい 

 

恋人に 「坊ちゃんあたしをすきかい」と メルすると 

 

二日もたって忘れた頃に 「もちろんでーあります」 と 返ってきて 

 

何のことだか一瞬わからないことがあることも 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3億円あたったら 

 

半分くらい 余生を過ごす馬たちに寄付したい 

 

あとの半分で世界一周して 気に入った国の気に入った町におうちをたててすきな人と暮らそう。 

 

おでんをつくるよ、ルートヴィヒ。 


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2005/01/10 大戸屋メメント・モリ

 

 

 

 

ゆゆあそび 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“氏名”のところに 自分じゃない名前を書いてみると楽しいよ。 

 

 

ふつうによくありそうな名前にしてみると楽しいよ。 ○山○子とか。 

 

 

なんか自分自身まで変わっちゃうようなちょうへんな感じがちょう楽しいよ。 

 

 

とくに、“子”とか。 

 

 

なるべくさ、なんか 自分の愛着してるものとか、これはぜったい自分の! っていう物に書いてみるとかね、するの。 

 

 

そしたらすごい違和感。ちょう楽しいの。 

 

 

大戸屋でまかないのうどんたのむと そばがたくさん混じってるの。 


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2005/02/12 綿ぼこり占い

 

 

 

 

廊下におちていた 一角獣のかたちの綿ぼこりをみつめていたら 

 

さっと風がふいて飛ばされてしまい 

 

かわりにあなたが立っていた。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

病院にいった日のウサギは疲れている 

 

病院にいった日のあたしも疲れている 

 

ふたりはエビチリのように  

 

赤いふとんのなかでそれぞれまるくなってねむった 

 

あたしはブラックタイガー 

 

ウサギは甘エビ 

 

まるくなって 

 

ねむった 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【今週の綿ぼこり占い : 監修 エリザベスカラー・サンテグジュペリ・エールフランス・コバヤシ】 

 

 

 

 

 

★一角獣のかたち 

 

人生の転換点にいます。窓をあけて風通しをよくしましょう。風邪に気をつけましょう。 

 

 

 

 

 

★犬のかたち 

 

早朝のお散歩がつきをよびます。ラッキーフードは固い物。 

 

 

 

 

 

★電車のかたち 

 

お友だちへのお手紙に10円分多い切手を貼りましょう。お互いに厄除けになります。 

 

 

 

 

 

★雲のかたち 

 

長年待っているお返事、待たせているお返事を、はっきりさせるときです。 

ラッキーシューズは、長靴(紺)。 

 

 

 

 

 

★鳥のかたち 

 

金運上昇! 帰り道、ふつうに歩くのではなく時折スキップをまぜると新しいアイディアが浮かびます。 

 

 

 

 

 

★飛行船のかたち 

 

なにかと頼られることの多い週になりそうですが、ここは骨折りをしてあげましょう。ラッキーフードは、シェーキーズのランチバイキング。 

 

 

 

 

 

★ギターのかたち、傘のかたち 

 

コンサートや美術館など 刺激を求めてお出かけしましょう。ラッキースポットは、奇岩。 

 

 

 

 

 

★橋のかたち、牛のかたち、液体のかたち 

 

野山、高原につきがあります。おおぜいで楽しく出かけましょう! 乗馬するとさらに吉。ラッキードリンクは飲むヨーグルト。 

 

 

 

 

 

★ひょうたんのかたち ブラジャーのかたち メビウスの環のかたち 

 

嵐がとおりすぎるのをじっと待つしかないようです。 ねるときに枕をやめてみるのも効果てき。血圧をはかってみましょう。 

 

 

 

 

 

★魚のかたち、エビのかたち 

 

今週はちょっとふしぎな体験をするかもしれません。デジャヴ、幽体離脱、ドッペルゲンガー、家の前に美少女型宇宙人が捨てられているなど。 

 

 

 

 

 

★タツノオトシゴのかたち、ビールびんのかたち 

 

長年ほしかったものが手に入る暗示です。とくに、かたちのないものが手に入ります。  

あなたが男性なら、わざとひげをそり残してみるのもグッド 

 

 

 

 

 

★綿ぼこりにしかみえない 

 

今週のあなたは未知数です。なんにでもチャレンジ! 大胆な行動がつきをよびます。履歴書に、ちょっぴりうそをかくのもいいかもしれません。 


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下巻タイトル一覧

 

2004年

 

1 銀河鉄道69 桐壺ステーション <下>

2 豪 と バスキア

3 世界の車窓から

4 豪 と ヴァニラウエハー ①

5 ラ フランス 

6 ラジオソープの末裔

7 歯の指輪 ⑥

8 歯の指輪 ⑦

9 歯の指輪 ⑧

10 豪 と バスキア (続)

11 沖田恋愛総司

12 こなゆき。愛する

13 BEETHOVENTRILOQISM

14 味わいにきた。

15 ドライアイスエイジ

16 土星の環のハイウェイ

17 ゆゆの夢

18 お菓子をくれる人の系譜

19 ヒライワ君 moi non plus

20 マッキントッシュ

21 バスキアン・スイート ⑥

22 たまねぎ

23 ふかひれ

24 シュラフ

25 まぐろ

26 バスキアン・スイート ⑦

27 鼻水の結晶

28 舌が切れる

29 苺の腰

30 ぼくのお嫁さん

31 きみがすきだ、名まえはまだない。

32 歯の指輪 ⑨

33 雛祭

34 歯の指輪 ⑩

35 レトリバー

36 めざめの梨

37 風の塔

38 ワルキューレのおしっこ

39 恋人の島

40 ヰタ セクスアリス

41 クリトリスドリーム

42 林檎と泥

43 歯の指輪 ⑪

44 レモンつぶし

45 アイスクリームの天ぷら

46 ネフェルティティ

47 観光客

48 とぶとりをおとすいきおい 海へ

49 モンシロチョウの卵色の夜

50 いつか船を買う夜

51 ジャパニーズ・ミント・スピリット

52 惑星強制給餌

53 魚は戻ってきていた

54 海 と クリームパン

55 幸福な囚人

56 熊 と 鮭

57 恋人の滝

58 コロンフォーミー コロンフォーユー

59 バスキアン・スイート ⑧

60 モンスターと夜景

61 海南記

62 歯の指輪 ⑫

63 ラムネの舟 飴の舟 鉄の舟 

64 あかいタツノオトシゴ

65 ワイルドブランケット

66 チーズくさい指

67 幸福か死か

68 WANDERER 天衣無縫

69 果汁はひとみしり

70 青い蜘蛛の魔法使い

71 小林の湖

72 七月の壁のない家

73 梅サイレントナイト

74 地下3階のモンシロチョウ

75 ビガロポリスの冷奴

76 水のまじわり お湯のまじわり

77 夜という夜

78 きらきらはあはあ

79 最高級液体墨 古心

80 歯の指輪 ⑬

81 歯の指輪 ⑭

82 歯の指輪 ⑮

83 羽根のはえた奴との戦い

84 歯の指輪 ⑯

85 ミーと二人

86 サマータイム

87 クーリエ

88 もどれない汽車のご飯

89 心臓からコイン

90 ミャー ミャー

91 ノーフューチャー ノーシスターズ

92 おはじき水

93 歯の指輪 ⑰

94 ジャイアンの錘

95 歯の指輪 ⑱

96 熊なつやすみ・前夜 

97 ひこるき

98 猫なんか可愛がんないで

99 ひこるき 2

100 ひこるき 3

101 日向匂主甘塩短太指命 (ひなたにおいぬしあまじおみじかふとゆびのみこと)

102 ぺろり森 うさぎ

103 魔物のように幸せに

104 うさぎの香水

105 歯の指輪 ⑲

106 片羽の道

107 台風の兄さん

108 みてただけ

109 わたしの写真

110 ランニング・ナイト・ジンジャー

111 心臓に住むガブローシュ

112 お墓をよむ

113 秋ゆゆ

114 far east small ear

115 シャービックが冷えるまでの100の質問

116 マラソンリーディング2004-終了しました。

117 マラソンリーディング2004 テキスト

118 補聴器屋の金魚

119 ビール

120 歯の指輪 ⑳

121 おどる十二人の王女

122 かならず花火がみられるよ

123 歯の指輪 21

124 綺麗なひどい力

125 ボサノバがくるうとき

126 臨月第3水曜日

127 火の川、宝石を語る。

128 耳の後ろをまもれへのオマージュ

129 青い蟹

130 歯の指輪 22

131 フランスパンロード

132 コスモゾーンもしくは福島駅

133 蛇つかいとその弟子

134 オリオン

135 ノヴェンバー・ツキユビランドの春

136 地球がくる

137 とりにく

 

2005年

 

138 ひよこ色のカヌー

139 花柄の忍者

140 ガラパゴス

141 大戸屋メメント・モリ

142 エビテラル・グイの飼い方

143 歯の指輪 23

144 目をこすらない約束

145 砂糖をくれる男

146 ウサギちゃん夜のしめしめ

147 梅の花

148 ツィーザー・ワルツ

149 ハワイアン ヒーリング ジャーニー

150 綿ぼこり占い

151 はい色の丘さよなら

152 ミシンウォーカー

153 すみれ職人 と 泥の車

154 きゅうくつなばしょ千夜一夜 

155 どこからきたの

156 幼な心の君

157 マナティー オン ザ プラネット

158 夜の左手のための練習曲

159 他人が心に住んでしまう瞬間

160 二重らせんマーカー

161 モリブデンの夜

162 双葉と巨人

163 梅雨のなかの砂糖

164 歯の指輪 24

165 ユーカラ

166 歯の指輪 25

167 馬のピアノ

168 火 と feu

169 歯の指輪 26

170 にんにの歌

171 どんなにか……ことでしょう

172 卵をときます

173 可愛くない

174 心を持った落書き

175 ぬー太 と ダイヤモンドマン

176 銀色の耳

177 うさぎのおじさん

 

2006年

 

178 精緻郎 と 楽子

179 精緻郎かく語りき

180 楽子かく語りき

181 何でもする

182 真夜中の洗濯

183 シンバルの上でチーズを切った

184 オリオン

185 鉱脈

186 竜を放した庭

187 もじおんぷ とび

188 ばら色のかかと

189 恋人たちの相撲

190 猫耳 パイ耳

191 夏は4時

192 ゆんたん

193 猯 (声と裸)

194 スイートララバイソースイート

195 大佐の桃

196 数ノ森 と 蔵

197 蔵かく語りき

198 明け方のきゅうり

199 視力0.02の世界

200 サブマリンとファクシミリ

201 恋びとへ羽根の星より100の質問

202 つじうら

203 すみれくんの夜

204 数ノ森 と 蔵 ②

205 オータム・ライス・フィールド・アンダー・ハート

206 きみとぼく・ほどの・水のあつまり

207 二つの世界

208 ベルナール

209 明るい崖

210 腕が凍るまえに

211 シガール

212 天秤座

213 遠野

214 森雅之

215 去年は月に住んでいた

216 からえずきの女王

217 いらないかもしれないもの

218 両目をハートにしたドラえもん

 

2007、2008年

 

219 時を越えて赤い飲み物

220 いってもむだ

221 オリーブ

222 アンチョビーフィレー

223 am 5:40

224 ヒヤシンスのケーキ

225 心臓の中で

226 ちからをあわせよう?

227 ラッキョウオパール

228 すくない夜の

229 魔女とともに

230 流氷にのる

231 流氷にのる・2

232 だんなさん 金魚

233 竜●糖を食べにゆく

234 無尽蔵ルマンド

235 夢中味覚

236 十一月の骨の森

237 新・武蔵春駅

238 にしん漬け

239 ビョークの料理

240 生まれかわりの遊び

241 ほー猫

242 海の子

243 スペインの死の8番

244 にんにく

245 かれを焼く


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宇宙からの愛
 
ツイッターとブログを中心に活動する「雪舟えまファンクラブ」を発足して一年が過ぎた。
そのなかでわたしは雪舟作品の愛読者のことを「ユキフネーゼ」と呼んでいるが、「地球の恋人たちの朝食」は、その内容もボリュームも、まさに「ユキフネーゼのバイブル」と言うにふさわしい、奇跡の作品集だと思う。

もともとwebニッキという体裁で2001年7月から更新されていた「地恋」は、ちょうど7年後の2008年7月に非公開となったので、2011年に刊行された歌集『たんぽるぽる』(短歌研究社)や、その翌年に刊行された小説集『タラチネ・ドリーム・マイン』(PARCO出版)以降の読者にとっては「幻の作品」としてその影をちらつかされるばかりで、なかなかお目にかかることのできないものだった。
その反面「地恋」からの愛読者という方々も一定数いて、ネット上などでもたびたび「『地恋』の書籍化はまだですか」という声があがっているのを目撃した。最後に読んだのが7年前だとか10年前だとか14年前だとかそんなことは関係なく、あの「聖書」を手元に置いておきたい、というユキフネーゼたちの切実な想いは、本書をお読みになった方にはよく理解していただけると思う。

わたしが「地球の恋人たちの朝食」を初めて知ったのは2007年の12月なので、かなり後期だ。短歌に興味を持ちだしたばかりのころで、京都のワークショップで知り合った歌人の穂村弘さんに、彼の著書である『手紙魔まみ、夏の引っ越し(ウサギ連れ)』(小学館)にはモデルがいるのか質問して、「雪舟えま」というふしぎな名前を教えてもらった。

そうして出会った「地恋」は、わたしの想像をはるかに越えるものだった。まずはその作品の量に圧倒され、読んでみると文体のごくナチュラルな奇抜さと、そこに描かれる唯一無二の世界観に圧倒された。初期のほうから順番に読んだり、最近の更新からさかのぼって読んだりしてその全貌を捉えようとしたが、続けて読んでいくうちにそのエネルギーに酔ってしまい、何がなにやらわからなくなる。最終的には目についたタイトルをクリックして、時系列にこだわらず読むことに決めた。そのため同じものを何度も読んだり、一度も読まない作品もあった。もったいないことだが、そうする他なかった。

いま改めて最初から最後まで読み通してみると、当時とはまた違った感慨がある。雪舟さん本人も「2003、4年ごろの自分がカオスで黄金時代すぎて、もう自分なのに怖かった」と発言しているように、やはりそのころの作品はこの地球を生き抜く上でのひとつの答えを提示されたような、絶対不可侵領域的な輝きがある。
その後ももちろんコンスタントに魅力的な作品を発表されていて、2007年に「地恋」読者であった星四朗さんとご結婚されるすこし前からは、今の作風にかなり近い、満ち足りた雰囲気の物語が増えているように思う。愛を求める表現から、それを得て、愛を与える表現に切り替わったのかもしれない。このあたりの変遷は、ほぼ編年体を採用した歌集『たんぽるぽる』の流れとも一致するので、読み比べてみるのも面白い。

「地恋」には、完結していない作品も多い。また、完結したかのように見えて、していない作品も多いだろう。そもそも同じキャラクターが別の作品に姿を変えて登場したり、パラレルワールドが描かれたりする雪舟作品に「完結」という概念はない。地球は丸く、運命は円環的で、始まりと終わりは繋がっている。
2014年に刊行された小説『プラトニック・プラネッツ』(KADOKAWA)の紹介文には、「雪舟えま版『火の鳥』」という表現が使われている。


――ひとりで歩いてゆける力を、つけてやるのが愛なら。君は愛をくれた――
『プラトニック・プラネッツ』(雪舟えま/KADOKAWA)より


その血を飲むことで永遠の命を手に入れられる「火の鳥」のように、これからも多くの人が雪舟作品を読むことで、永遠に生きていける力を手に入れることになるだろう。それは雪舟さんを通して宇宙から伝えられる「愛」なのかもしれない。
 
 

 

太田ユリ(雪舟えまファンクラブ管理人)
 
雪舟えまファンクラブ:http://yukifuneemma-fanclub.jimdo.com/
twitter:@yukifune_club

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最終更新日 : 2015-04-06 11:02:48

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