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要因な考え方

惑星パルムでの依頼を終え、ギラム達はクラッド6内にあるリトルウィング支社へと戻って来た。


「じゃ、依頼完了の報告へ行かねぇとな。」
「そうだな。」

 

ギラムとフィルスターはそう言うと、書類を手に取り、マイシップを後にしようとした。
すると、

 

 

「あ、あの・・・ ギラムさん。」
「ん?」

 

不意に後方から声をかけられ、ギラムは足を止め振り返った。
そこにはアリンと、ウィンドベルが立っていた。

 

「ギラムさん。 あの・・・」
「なんだ。」

 

喋ろうとしている言葉に、戸惑っている様子を見せるアリンを見て、ギラムは優しい言葉使いで聞いた。

 

「・・・ ありがとう、ございます。 私の事、受け入れてくださって・・ 私、1人で寂しかったので、とても嬉しかったです。」

 

胸の前で組んだ両手を動かし、落ち着かない様子でアリンは言った。

 

「こ、これからも・・・ お願いしますね。 『ジュライ☆エターナル』の配属メンバーとして。 私、一生懸命頑張りますから・・・ だから・・・」
「アリン。」

 

そんなアリンの様子を見て、ギラムはアリンのそばへと寄った。

 

「安心しろ。 俺やフィル、ベルはアリンの大切な友人だ。 もう、1人にはしない事を、約束するぜ。」
「ギラムさん・・・」

 

ギラムの言った言葉を聞き、アリンは涙目になりつつ、ギラムに抱きついた。

 

「・・・ ありがとうございます・・ ギラムさん・・・」
「ああ。 これからもよろしくな、アリン。」

 

そんなアリンの様子を見て、ギラムはアリンの頭に手を乗せ、優しく撫でた。
頭を撫でられ、アリンはそのままの体制で、涙を流した。

 

 

 

「じゃ、またな。 アリン、ベル。」
「またなー」

 

数分間泣いた彼女が落ち着いた頃、ギラムとフィルスターはマイシップを後にし、クラウチのいると思われるリトルウィング支社へと向かって行った。

 

「アリンさん。 僕らも行きましょうか。」

 

ギラムとフィルスターがワープしたのを確認し、ウィンドベルはアリンに行動を促した。

 

「ええ。 顔、大丈夫でしょうか・・・」

 

先ほどまで泣いていた事を考えつつ、アリンはウィンドベルに問いかけた。

 

「はい、いつものアリンさんですよ。 後で一応、顔を洗っておきましょうか。 人工皮膚に、傷がつくといけないので。」
「そうね。」

 

ウィンドベルからの軽いアドバイスを受け、アリンとウィンドベルも、マイシップを後にした。

 

 

 

その後マイルーム周辺のホールへと戻ったアリンとウィンドベルは、その足でひとまずマイルームへと向かって行った。

 

『・・・・・』

 

そんな彼女の様子を伺う、1人の少女の姿が・・・

 

 

 


そんな不穏な空気が流れているホールをよそに、

 

 

「これが、駆除完了の証明印付の書類。 で、これが報酬額の領収書だ。 契約依頼料は、後でクラウチの口座に入れておくぜ。」
「おう、お疲れ。」

 

ギラムはクラウチに、依頼の報告と書類提出を行い、手続きを済ませようとしていた。
フィルスターはと言うと、お気に入りの場所であるギラムの右肩の上に乗ったまま、様子を見ていた。

 

「で、どうだ? 新しく入った新入社員は使えるか?」

 

書類に目を通しつつクラウチは、ギラムの担当する依頼に参加していたアリンの事を気にかけ、問いかけてきた。

 

「ああ。 まだ不慣れだっていうのは目に見えてるが、少しずつ依頼に触れていけば、パーティのフォローが出来る様になりそうだぜ。 武器は悪くないしな。」
「なるほどな。 ってことは、結構いい社員を引いたってわけか。 なら、アイツを解雇する事はないだろ。」

 

ギラムからの報告を聞き、クラウチは社員データの中からアリンの契約書を呼び出し、即解雇不要のサインを施した。

 

「よかったな、主。」
「そうだな。」

 

そんなクラウチの行動を見て、フィルスターはそう言うと、ギラムも口を合わせて言った。

 

 

「あ! いた!」

 

そんな3人のやりとりを終えた後、社内ロビーの扉が開く音がし、あからさまにギラム達に対しての声が聞こえた。
ギラムが体ごと後ろへと振り向くと、そこにはエミリアが立っていた。


『ゲッ・・・ 出た・・』

 

そんな少女を見て、ギラムとフィルスターはほぼ同時に呟いた。

 

「今まで何処行ってたのよ! 探したんだからね?」
「ああ、悪い。 ちょっと野暮用で席を外してた。」

 

エミリアの様子を見て、ギラムはいつもの調子で言った。
フィルスターはと言うと、会話に巻き込まれないよう、ゆっくりとギラムの右肩から背中へと移動し、姿を見せないようにした。

 

「俺から簡単な仕事を頼んだんだ。 用はそれだ。」
「おっさんが? ふぅーん・・・」

 

依頼書の後始末をするクラウチからの言葉を聞き、エミリアは2人の顔を見つつそう呟いた。

 

 

「で、用は何だ。」

 

一通りの会話を済ませ、今度はギラムからエミリアに問いかけた。

 

「ああ、そうだった。 これからランチに付き合いなさい! どうせ食べてないんでしょ? ユートも待ってるから。」
「ユートもいんのか・・・ まぁ、いいが。」

 

エミリアの言った最後の言葉に対して、ギラムは愚痴を零しつつ承諾した。

 

「おっさんも、それが終わったら来てよ?」
「おう。 後でな。」
「じゃあ行くわよ。」

 

クラウチからの返事とほぼ同時に、エミリアはギラムの腕を掴み、先にカフェへと向かおうとした。
すると、

 

 

シャーッ

 

「あ、ギラムさん。 まだここにいらしたんですね。」

 

社内ロビーへと通ずる扉が開き、アリンとウィンドベルがやってきた。

 

「アリン、ベル。 どうした。」
「これから、一緒にランチでもどうかなって・・・ あ、クラウチさん、お仕事ご苦労様です。 依頼、頑張りました。」
「フィル、僕らも一緒にランチにしませんか?」
「あ、ああ・・・ お疲れ。」

 

ギラム達の元へとやって来たアリンは、簡単な誘いをしつつ、クラウチに挨拶をした。
ついさっき誘われた昼食の誘いでも、こうも違うものかと思われるやり取りだ。
その様子を見て、

 

 

「ちょっとアンタ、誰よ。」

 

エミリアはギラムの腕を掴んだまま、アリンへ問いかけた。

 

「あ、ご挨拶が遅れて申し訳ありませんでした。 先日、軍事会社リトルウィングに入隊しました、アリン・カーネと言うものです。 以後、お見知りおきを。」
「僕はアリンさんの専属パートナーマシナリーの、ウィンドベルです。 よろしく。」

 

エミリアに対してアリンとウィンドベルはそう言い、お辞儀をした。

 

「・・・あ、ギラムさん。 もしかしてお昼は、お1人かフィルちゃんとでしたでしょうか・・・」

 

自己紹介を終えた後、ふとアリンの思考回路で別の回答が導き出されたのか、そう言いつつ確認をとった。

 

「いや、そういうわけじゃねぇが・・・」
「?」

 

アリンはギラムからの答えを聞き、辺りを見渡した。
ギラムの背後に隠れたフィルスターと、そのギラムの腕を掴むエミリア。
そして、いそいそと仕事を片付けるクラウチ。
だがその仕事は、その場に漂う空気から逃げるための行動であり、仕事の作業効率は悪そうだった。

 


「・・・まさかアンタ。 彼女と依頼に行ってたんじゃないでしょうね・・?」

 

アリンがさっきまで言っていた事を聞き、エミリアはギラムの方へと振り向きつつ、問い詰めてきた。

 

「だったら、どうするんだ。」
「アタシというパートナーがいるのに、なんで新入社員なんかとパーティを組んで依頼に行ったわけ!?」

 

お決まりの問いただし文句に等しい言葉を、エミリアは言い放った。

 

「俺が誰と依頼に行こうがかまわないだろ。 アリンは新入社員で、仕事にも不慣れで初ミッションがベルと2人じゃ不安そうだったから、誘ったんだ。 フィルの初めての友人だったからな。」
「お、おう・・・」

 

ギラムからの回答に、フィルスターは同意するように言った。

 

「だったら何で声かけないわけ!?」
「俺とフィル、アリンとベルで定員はMAXだったからだ。」
「うぐ・・・」

 

ギラムからの適切な回答を聞き、エミリアは言う言葉が無くなってしまった。

 

 

「とりあえずだ。 まだ俺は誰と昼飯を食うとも言っていない。 とりあえず離せ。」
「あ・・・」

 

一通りの話を終え、不穏な空気を剥がすため、ギラムはエミリアの手を剥がした。

 

「アリン。 昼飯は何処で食べるんだ?」
「えっと、カフェで頂こうと思ったんですが、よろしいでしょうか。」
「ああ。 いいぜ。」

「ちょっと!!」

 

自分の手を剥がされ、目の前でランチの交渉が承諾したのを確認し、エミリアは反論に出た。

 

「何でアタシの方が誘いは早かったのに、新入社員と食べるわけ!?」
「だからさっきも言ったが。 俺がどちらへ行こうとかまわないだろ。 お前の誘うランチには、クラウチやユートが先にいる事が決定しているが、アリンにはベルしかいない。 人数が少ない方に行ってはいけないというルールが何処にある。 誘いは確かに早かったけどな。」
「だからって!」

 


シャーッ

 

「おーい、エミリア。」

 

社内ロビーだと言う事にもかかわらず騒いでいると、再び来訪者が現れた。
エミリアよりも背が高く、幼さが少々残るニューマン『ユート』だった

 

「ユート!」
『また面倒なのが増えた・・・』

 

ギラムとフィルスターは内心毒づきつつ、ユートを見た。

 

「遅いぞエミリア。 俺さっきからずっと待ってるんだからな?」
「あぁ、ごめん。」
「おお、ギラムいるじゃないか。 お前も一緒に、ランチ食べるぞ。」
「・・・・・」


もはや場の空気が乱れに乱れ、ねじれたためか、エミリアですら何も言う気がおきなかった。


突発的な考え方

社内ルーム内でのギラムとの昼食をめぐっての口論は、ユートの登場にひとまず止まり、全員揃って食事をする事となった。
もちろん、フィルスターとウィンドベルも同席だ。

 

 

「いただきまーす。」

 

カフェ内にあるいつもの席へと座り、目の前に置かれた食べ物に手を出しつつ、ユートはひとまず先に昼食を取り出した。
もちろんユートの目の前には、食後のプリンが置かれていたのは、言うまでも無いだろう。

 

「・・・いただきます。」

 

こうして、まだ決着のつかない口論主2人が同席する中、ギラムは食事を取る事となったのだった。

 

 

 

「貴女が、クラウチの言ってた新入社員。」

 

その場で食事を取るギラム達を見て、アリンの前の席に座っていた女性が声をかけてきた。

 

彼女の名前は『ウルスラ・ローラン』 軍事会社リトルウィングの元社長だ。
現在は解雇された身だが、時折クラウチのいるこの場へと足を運び、社員と共に食事を取る事が多々あった。

 

「あ、はい。 アリン・カーネと申します。 えっと・・・」
「ああ、紹介が遅れたわね。 私はウルスラ・ローラン。 リトルウィングの元社長よ。 よろしく。」

 

アリンの様子を見て、ウルスラは察しが着いたのか、名前を名乗った。

 

「よろしくお願いします。 ウルスラさん。」
「こちらこそ、よろしく。」

 

 


「ああ、ユート。 口元汚れてるわよ。」

 

無邪気に食事を進めるユートを見て、エミリアは指摘するように言いつつ、持っていたハンカチを取り出した。

 

「ん? あぁ、ゴメン。」
「待って、今拭くから。」

 

食事の手を一時止めたのを見計らい、エミリアはハンカチを取り出し、ユートの汚れた口元を拭いた。

 

「ありがとう、エミリア。」

 

口元が綺麗になったのを確認し、ユートはお礼を言うと、再び食事を開始した。

 

「・・・こうも背丈差があるのに幼いと、何か悔しいわね。」
「ん? エミリア、何か言ったか?」
「何でも無いですぅー」

 

ユートの軽い問いかけをスルーしつつ、エミリアも食事を開始した。

 

 


「何かすげぇな・・・ こうも見慣れた連中が同席する中、俺らが食事を取るなんて。」

 

そんな目の前で行われる会話を見て、フィルスターは呟く様に言った。

 

「そう言われると、確かにそうですね。」
「なぁ主ー 俺ら先に帰った方がいいか? 邪魔そうだし。」

 

持っていた飲み物を口にしつつ、フィルスターはギラムに問いかけた。

 

「いや、出来ればいて欲しいな。 お前らがいなくなると、再び火の粉が飛んできそうだしな・・・」

 

周りと座席位置を見て、ギラムはフィルスターに言った。

ちなみに座席順はと言うと、ギラムはアリンとエミリアに挟まれている状態にあった。
アリン側にはウルスラとチェルシー。 エミリア側にはユートとクラウチが座っていた。
ちなみにフィルスターとウィンドベルは、アリンとギラムの間に座っている。

 

「じゃあなおさら席外したいー」
「逃がさねぇよ。 道連れだ。」
「ケチー」

 

ギラムとフィルスターは食事をしつつ、そんなやり取りをしていた。
すでに逃げ場は無いためか、覚悟をしつつ食事のようだ。

 

 


「そうだ、エミリア。 今度また、ミッションに行かないか? 俺の実力、見せてやるよ。」

 

不意に、食事を終えたユートが口元を拭いつつ、エミリアに問いかけてきた。

 

「依頼? それは構わないけど、何でまた急に?」
「いいだろ、たまには。」

 

 

「あ、そうだ。 ギラムさん。」
「ん? なんだ?」

 

隣の依頼話を軽く聞いていたギラムは、隣からの問いかけに返事を返した。

 

「この後、また依頼に行きませんか? 簡単な依頼で、またお仕事を教えて欲しいんです。」
「それはかまわねぇが・・・」

「ギラム。 アンタこれから暇?」

 

アリンとの話をしていると、不意に後方から声をかけられた。

 

「なんだ、今度は。」
「ユートが依頼を見つけてきたから、アンタも一緒に行くのよ。」
「・・・それって、何時だ?」

 

少々この後の事がわかっているのか、恐る恐るギラムは問いかけた。

 

「今日。」

『まずい・・・』

 

エミリアからの答えを聞き、再びギラムは板ばさみの状態へと放り込まれた。
こういう面倒事は、一番苦手のようだ。

 

 

「ギラムさん、どうかしましたか?」

 

アリンの声によって、ギラムは現実に引き戻された。

 

「ああ・・・ えっと・・・」
「まさかアンタ、またコイツと依頼に行くなんて、言うんじゃないでしょうね?」

 

問いかけに対する答えに迷っていると、今度はエミリアからの声がかかった。
こうなると、すでに逃げ道が無い事が予想される。

 

『・・・参ったな。』

 

 

「主ー ファイトー」

 

ギラムが答えに迷っていると、不意に声をかけられた。
声のした方向を見ると、そこにはフィルスターが別席で飲みなおしていた。

 

『アイツ・・・! 逃げやがったな!!』

 

「で、どうなのよ。 ギラム。」

 

フィルスターの行動の早さに苛立ちつつ、ギラムはとりあえず回りのやり取りの解決が最優先と判断し、意識を戻した。

 

「・・・はぁ。 この後俺は、寝る。 依頼はまた今度な。」

 

とりあえずこの場の状況から逃れる答えを、ギラムは言った。

 

「そうですか・・・」
「何でよー」
「何でもだ。」

 

エミリアからの問いかけに、ギラムは変わらぬ答えを出した。

 


ガタッ

 

「アンタ、平気で一日に依頼を数個もこなせるくせに、何で行かないって言うのよ!」

 

不意に、エミリアが席から立ち上がり、ギラムに怒鳴るように言った。
さすがにその行動に驚き、クラウチ達や回りの傭兵達が驚き、こちらに視線を向けてきた。

 

「疲れたからだ。」
「まさかとは思うけど。 アンタ、彼女を意識してるんじゃないでしょうね!? パートナーはアタシよ!? 勝手な事をしないで!!」


エミリアは宣戦布告と言わんばかりに、アリンを意識しつつ大声で言った。

 

「おい、勝手な事を」

 

 

「お言葉ですが、エミリアさん。」


エミリアからの言葉を聞いて、アリンも同様にその場に立ち上がった。
だがしかし、彼女の場合は落ち着いて立ち上がったため、物音が立たなかった。

 

「それはエミリアさんの考えであり、ギラムさんの考えではありません。 ご本人がどう考えていようが、今後の行動に口出しは控えてください。」
「な、何でアンタが言うのよ!!」

 

アリンからの正論を言われ、エミリアは噛み付く様に言った。


「ギラムさんは、私が不慣れだと言う事を知り、このようにご協力をしていただいているんです。 私の不慣れなご迷惑だけで、ギラムさんを怒らないでいただけませんか?」

「アンタに関係ないでしょ!? 大体、人のパートナーを勝手に借りておいて、よくもそんな大口がたたけたものね!!」
「これは私の意見です。 貴女が私とギラムさんとのやり取りに、勝手に嫉妬の気持ちを抱いているだけです。」
「なっ・・・!!」

 

アリンの言った一単語を聞き、エミリアは一気に顔色を赤くしつつ、言葉を詰まらせた。


「エミリアは悪くないぞ! 勝手な事を言うな!」
「アリンさんこそ悪くありません! 他言は控えてください!」

 

その後のユートの発言に、ウィンドベルは邪魔させまいと静止させた。

 

 


『面倒な事が、実現しちまったな・・・』

 

「・・・とにかく、これじゃあ拉致があかないわね。 ギラム!」
『来た・・・』


予想を裏切らない展開に、ギラムは面倒そうにエミリアの方へと向いた。

 

 

「貴方のベストパートナーは、誰!?」

 

 

単刀直入、エミリアはギラムにそう問いかけた。
その答えを聞くべきと、その場にいたクラウチ達がいっせいに耳を傾けた。

 

「ああ、そりゃあ決まってんだろ。」


ギラムはそう言い、その場に立ち上がった。

 

『勝てる!』

 

その言葉を聴き、エミリアは勝利を確信した。
アリンはその行動を見て、答えを受け入れる準備をした。

 

 


「フィルスターだ。」

 


「な!!」

 

ギラムの答えを聞きその場にいた全員が驚いた。
それはそうだ。 エミリアかアリンの二択だと思っていたからだ。


「な、何でアイツなのよ!!」
「アイツって言うなー」


別席にいるフィルスターを指差しつつエミリアが言うと、フィルスターは噛み付くように言った。

 

「俺らの最善の行動をするようにシステムが入ってるパートナーマシナリー フィルスターは俺に対してベストを尽くす様に設定されているマシナリーだ。 これ以外の答えがあるか?」
「うっ・・・」

 

ギラムはそう言いつつ、離れた別席に座っていたフィルスターの元へと行き、彼を回収した。
回収されたフィルスターは、ドリンク片手に定位置であるギラムの右肩の上へと上がった。

 

「アリンにはウィンドベルがいる。 その回答の意味、わかるだろ?」
「そうですね。 私にはベルちゃんがいます。」

 

アリンはそういうと、隣に座っていたウィンドベルの頭を軽くなでた。
撫でられたウィンドベルは、嬉しそうな表情を浮かべつつ、アリンを見た。

 

「僕、お役に立てていますか?」
「ええ。 ベルちゃんのおかげで、今の私がいるんですから。」

 

アリンの答えを聞くと、ウィンドベルは満面の笑みを浮かべた。

 

 

「・・・し、質問が悪かったわね・・・ じゃあギラム、次の質問。」

 

問いに対しての正論を言われてしまい、エミリアは負けまいと、次の質問を出す体制となった。

 

「まだあんのかよ。」
「文句言わない! じゃあ、戦闘として役に立ってるのは誰!?」

 

二言させる暇を与えず、エミリアは質問をぶつけた。


『それ選択肢多くないか・・・?』

 

エミリアの言った事に対して、クラウチは思った。

 

 

「それもフィルだな。 アリンはまだ不慣れって事もあるが、エミリアは前方後方の攻撃があってバラバラだからな。 まだフィルみたいに、後方固定の方が楽だ。」
「おぉー 珍しく主に評価されたー」

 

ギラムが言った答えに対して、フィルスターは嬉しそうに喜んだ。
まぁ、褒められる事が少ないからだろう。

 

 

 

「あぁあああーー!! これじゃあラチがあかないっ!!」

 

自分の思い描く回答がギラムから聞けず、エミリアは苛立ちつつ言った。

 

「やめとけってエミリア。 お前が何を言おうと、アイツがお前の名前を呼ぶことは稀だぞ?」
「ぇえーい問答無用!! こうなったら決着をつける必要がありそうね。」


クラウチの言った事に対して耳を貸さず、エミリアはそう言いつつアリンを見た。


「アリン、これがラスト勝負よ。 アンタにこの勝負が勝てるかしら!?」

 

思いついた内容を言わず、エミリアはアリンに宣戦布告を言いわたした。

 

「ええ。 貴女がこれ以上何かを言う前に、私に出来る事があれば受けてたちましょう。」


エミリアの言ったことに対して、アリンはそう答えた。

 

 


『いったい何をするんだか・・・』

 

ギラムはそんな2人の飛ばす火花を尻目に、ため息を付いた。


分析的な考え方

カフェでの騒々しいランチタイムが終わり、エミリア達は同席していた一同と共にクラウチのデスクへと向かって行った。
軽くギラムの両サイドにはエミリアとアリンがおり、もはや逃げ場はない事をギラムは悟っていた。
そのためか、軽く顔が呆れを通り越して疲れていた。

 

「おっさん、依頼リスト頂戴。」

 

先にデスクへとついたクラウチは、険しい顔をするエミリアに半ば苦笑しつつ席へと着いた。
チェルシーも同様に別席へと移動し、ウルスラも同様に彼女と共に一足先にその場を離れていた。

 

「はいはい。 今来てるのは、これな。」

 

そんなエミリアに言われ、クラウチは今現在来ている依頼書リストを呼び出し、彼女に見せた。
それを目にし、彼女の中で考えている作戦に一番ふさわしい物を選んでいた。

 

 


彼女の選んだ、最終勝負。
それはとある依頼を共に引き受け、どちらがよりふさわしい仕事ぶりをしていたかを競うものだ。
そのため、一番決着のつきやすい討伐系ミッションを今回は探していた。

半ばエミリアの方が有利なので、彼女にとってまだ勝ち目のある勝負のようだった。
相手はキャスト。 他の戦法では負けると判断したのだろう。
少々やることが汚い。

 

「・・・よし、コレねっ!」

 

しばらく依頼リストを見たのち、エミリアはとある依頼を見つつそれをやろうと言い出した。
プランにふさわしく、なおかつ倒しやすい原生生物の依頼だった。


「さぁアリン、これでしょう」

 


ヒョイッ

 

「ぶよ・・・ あ、ちょっ!」

 

勝率上よさそうなものを見つけ、エミリアがその依頼を受けようとしたその瞬間。
彼女の持っていた依頼書が急に後ろから伸びた手によって取られ、手元から抜け出した。
依頼書を取り上げたのは、後方に立っていたギラムだった。


「・・・やっぱり、お前が有利な奴を選んだな。 地味にわかりやすい性格してるな、お前。」

 

彼の中でなにか予想していた事があったらしく、彼女はその予想範囲内の依頼を取ったと彼は言った。
詳しくいろいろ見てみると、そこには炎と雷テクニックを使うことの多いエミリアにとって有利な相手だった。
要は土属性の敵で、まだ他のテクニックを使った事のないアリンにとって難しい依頼でもあった。

 

「べ、別に何を選んでもいいじゃないっ!」
「公平にやらねえと、勝負にならねぇだろ。 ったく、もっとマシなのを選んでやる。 ちょっと待ってろ。」
「むぅー・・・」

 

どうやら考えていた事を読まれたらしく、エミリアは反論に困りながらもそう言った。
しかし『勝負は公平に』と言う彼の意見も確かなため、それ以上は何も言えなかった。
軽くむくれつつも、エミリアはギラムの後姿を見るしかなかった。

 


「・・・ギラムさん、私はどんな依頼でも構いません。」

 

そんなやり取りを見て、アリンは依頼書を見比べていたギラムに一言告げていた。
先ほどから反対意見しか言っていないのを見て、自分が何か悪いのではと思ったのだろう。
少し心配そうな表情をしていた。

 

「そうは言っても、さっきのはちょっとハンデが目立ったからな。 安心しろ、もう少し簡単なのにするからさ。」
「ありがとうございます。」

 

だが彼なりの配慮でもあり、勝負に決着をつけないと収まらない事を彼は知っていた。
そのため、早く終わるものを選びたかったようだ。
その言葉を聞いて、アリンは少しだけ元気を出したようにそう言った。

 

 


「・・・んじゃ、これにすっかな。」

 

しばらく見た後、ギラムは1つの依頼書を取り出しアリンとエミリアに見せた。
それは惑星パルムにあるラフォン草原での依頼で、エビルシャーク達の『討伐数』を集める仕事だった。
最近企業からのボーナス依頼で出た代物らしく、『エビル・パル・ギル』の3種類のうちどれを倒しても良いというものだ。
相手も比較的倒しやすい敵のため、簡単であると彼は判断したようだ。

 

「エビルシャークを倒すの?」
「あぁ。 早く30匹倒した方が勝ちだ。 年期とかのハンデとして、エミリアの使うテクニックと同じ属性だ。」
「鮫ねぇ~・・・」

 

依頼書を見て、エミリアは簡単にやることを確認した。
だが相手がパッと見なんとも言えないらしく、倒す分にはいいのだが面倒そうだった。
中型原生生物と言うのも、難点の1つなのだろう。


「ギラムさん。 僕をアリンさんのサポートに、回させてもらえませんか?」
「ベルをか?」
「はい。 その分、倒す数を多くしてもらっても構いません。 アリンさんのために、僕も仕事をしたいんです。」

 

そんな彼女と話をしていると、ウィンドベルが不意にギラムに提案をだした。
2人きりの依頼と言うのも気になったが、まだ彼女は2回目の依頼と言うこともあって不安もあったのだろう。
パートナーとして、一緒に仕事をしたいと言い出した。
そのハンディキャップとして、討伐数を増やしても良いと言った。

 

「で、でもベルちゃん。 これは私と、エミリアさんの問題・・・です。」
「迷惑はかけません。 それに、討伐系は合同で行っても自分で倒さないと数にはカウントされません。 お願いです、アリンさん。」

 

だがアリンからしたら、これは正々堂々戦うものだと考えていたようだ。
たとえ最愛のパートナーに頼まれても、こればかりは1人でやってみたいと言った。
しかしウィンドベルの考えも分かっていたため、強気には否定できないようだった。

 

「ぇっと・・・ ・・・」
「ハンデな。 そうなると、ちゃんと数を数える奴も必要だな。」

 

話を聞き、ギラムは冷静に討伐数と最後の仕上げをした確認をする人が必要だと言った。
もちろんウィンドベルとアリンの考えがあるため、しっかりと両方の意見を順守するつもりのようだった。

 

 

「じゃ、ベルは法撃武器での援護と回復だけを行ってくれ。 ツインセイバーの使用は、不可だ。」
「わかりました。」
「フィルは3人の討伐数のカウントをしてくれ。 援護射撃は、必要と感じた時だけ行ってくれ。」
「了解ー」

 

そして、その依頼に参加するメンツを指名した。
エミリアとアリン、そしてアリンのサポートにウィンドベル。
最後の1人に、討伐数をしっかりとカウント出来るフィルスターを指名した。
だが根本的な目的には手を出さない事を、2人に命じた。

 

「ギラム。 アタシだけ1人なの?」

 

話がまとまったと思った矢先、エミリアはギラムに問いかけた。
いくらハンデとはいえ、1人は寂しいのだろう。
サポートが欲しいと言い出した。

 

「お前は1人でも大丈夫だろ。 それに、ユートなんて連れて行ってみろ。 1人で突っ走るのが目に見えて、根本的な事は達成できずに終わりそうだからな。」
「それもそうね・・・」

 

だが彼女に着ける相方にふさわしい奴も見当たらず、ユートでは逆効果が大きすぎると言った。
元々依頼中の突っ走る傾向が大きすぎて、エミリアもギラムも半ば呆れる点がとても多い。
根本的な事の達成にはならないと言うと、彼女も納得したように言った。

それだけ、彼は突っ走るのだ。

 

「じゃあ、あたしにも回復とかの援護くらい行ってよね。」
「ああ、それはフィルに頼んどく。 面倒事は嫌いでも、アイツはちゃんとしてくれるからな。 フィル。」
「へーい。 回復なー」
「よろしくね。」

 

仕方ないと納得したが、攻めに集中出来るよう援護をつけろと言った。
それはフィルスターに頼むとギラムは承諾し、フィルスターにもう1つ仕事を命じていた。
新たな仕事をもらい、フィルスターはいつも通り返事をした。

 

 

「それじゃ、依頼は確認した通りだ。 先にエビルシャーク達の討伐数を稼いで、俺の所に報告が来た方が勝ちだ。 アリンとベルのチームに、エミリアの2チーム。」
「わかりました。」
「フィルは討伐数を計算して、俺の所に報告な。」
「了解主ー」

 

一通り話がまとまると、ギラムは最終確認とばかりにもう一度依頼の確認をしだした。
2チームに分かれて仕事を行い、先に仕事を終わらせることが出来た方が勝ちというものだ。
後方支援と計算係として、ギラムのパートナーマシナリーであるフィルスターが同行する形になった。

 

「俺はこっちで状況を見守る。 何か手におえないことがあったら、すぐ言ってくれ。」
「しっかりやるんだからねっ 見ててよギラム。」
「はいはい。」

 

定員上ギラムは留守番と言うことになり、連絡によっては個人的に出動すると言った。
軽く意気込むエミリアに対しては、いつも通り軽く返事をしてやる気だけは褒めていた。
仕事に対する熱意だけは、2人とも負けてはいないのだろう。

彼にとって、軽く微笑ましい様子だった。

 


その後依頼の準備を共に終えると、4人は惑星パルムに向かって飛んで行った。

 

 

 

 

ウィーンッ

 

 

「さてと。 どっちが早く終えるかって所か。」

 

4人を乗せたマイシップが飛び出したのを確認した後、ギラムはその足で再びクラウチの所へと戻ってきた。
バックアップで留守番のため、彼にとって暇な時間がこれから始まるのだ。

 

「お前からしたら、どっちがいいんだ? ギラム。」
「え?」

 

一方彼同様に、こちらも仕事なしで暇をしているクラウチ。
ウルスラが帰宅したのを良い事に、如何わしい画像を見つつギラムに問いかけた。

 

「・・・正直言うと、どっちがパートナーっていう感じはあまりないな。 早く和解してくれれば、それで十分だ。」

 

クラウチに問いかけられ、ギラムは軽くデスクに重心を預けつつそう答えた。
彼のパートナーはフィルスター1人であり、どちらが良いとか言われても選ぶことは出来ないようだ。
どちらも大切な友人であり、それ以上でもそれ以下でもない。
彼はそう、考えているようだ。

 

「おうおう、温厚な考えなこって。 そんなんだから、煮え切らないってエミリアがちょっかい出しまくるんだろうけどな。」
「アイツはいったい何を考えてるんだ・・・? 俺はその気はさらさらねえぞ。」

 

そんな意見を聞いて、クラウチは面白いと思ったのか苦笑しながらそう言った。
現に彼を見かけるたんびにエミリアはギラムにちょっかいを出しており、迷惑そうにされても気にしない。
ギラムにとってみると迷惑極まりなく、何を考えていようとそんな気はないと断言した。
呆れて何も言う気がしないようだ。

 

「だろうな。 お前が色気沙汰なんて、似合わねぇしな。」
「恋なんてしてる暇は、今の俺には無いからな。 ・・・それに、俺には会いたい奴が居るんだ。 依頼を何個も受けるのは、その先で出会えるんじゃないかって思ってるだけだ。」

 

恋などをしているギラムは想像がつかないらしく、クラウチは軽く小馬鹿にしたように言った。
ギラム自身もそんな暇はないと言い、もっと別の目的がある事を彼に漏らした。

依頼を何個も引き受けられるほど、彼はリトルウィングでは一目おかれる存在にまでなっていた。
そのチャンスを待っていたとばかりに、ギラムは一生懸命に依頼を行い、とある夢が叶う日がいつか来ることを願っていた。

 

相手は誰とは言わなかったが、彼にとって大切な友人なのだろう。
心なしかそう呟いた彼の眼は、遠くを見ているような感じだった。

 

 

「ぉ、そっちの色気沙汰か?」
「バーカ、ちげえって言ってんだろ。 なんでそうなる。」
「わーったわーった。」

 

またしてもクラウチに茶々をいれられ、ギラムは現実に戻ったようにそう言い軽く怒った。
夢はあっても良いが、黄昏ているギラムはクラウチの中では似合わないのだろう。
正気に戻ったギラムを見て、軽く嬉しそうに見ていた。

 

「・・・さてと、そろそろアイツらもパルムに着いただろ。 なんも妙な連絡が来ないと良いんだがな。」

 

 

 

「でもネー そうハ行かナイみたいヨ?」
「え?」

 

軽い雑談をして時間をつぶすと、ギラムは持っていた時計でエミリア達が到着した頃だろうと予測していた。
危険な事は何もなく、早く事が済めばそれで良いと彼は思っていた。
自分がその場にいないからこそ、親しい友人の身の危険は落ち着かないのだろう。

 

すると、そんな彼の元にチェルシーが軽く腰を揺らしながら彼の元へとやってきた。
その手には、1つの書類が持たれていた。

 

「どういう事だ、チェルシー」
「あの子達ナラ大丈夫だと思うケド。 今あの近くニハ『ディ・ラガン』の巣ガある見たいヨ?」
「なっ! な、なんで黙ってたんだ!」

 

どうやら彼女達の依頼周辺には、ディラガンが最近巣を作った形跡があるようだ。
下手したら襲われてしまうと、チェルシーは今このタイミングでしていた。


「あの子達ヲ、信じテルんデショ? これを聞イタラ、貴方ハ黙ってないだろウって思ったのヨー」
「・・・ ・・・大丈夫かな、アイツ等・・・」
「信じていレバ、大丈夫ヨ。 エミリアも、弱くないワ。」
「そうだな・・・」 『頑張れよ、2人共。』

 

だがチェルシーからしたら、ギラムが行っては意味がない事を悟り今報告した事を告げた。

 

もちろんギラムからしたら、大型のボスレベルの敵が居るのなら自分も同行すると言っただろう。
それだけ、相手が傷つく事が嫌いだからだ。
怪我なんかされたら、もっといやだ。

 

それでも信じているのなら、と。

 

チェルシーは念を押すように言ったため、ギラムはそれ以上は何も言わなかった。
そんな4人が無事帰還する事を、彼は静かに待つことになったのだった。

 


意気込みからの考え方

一方、目的地周辺にディ・ラガンの巣がある事を知らないエミリア達。

 

 

マイシップから降り立ち、目的地である『ラフォン草原』へと到着した。
辺りは一度破壊された自然を作り直した環境とはいえど、綺麗な緑色の大地が広がっていた。
木々も生えており、所々に池に近い沼地もあった。

草原へと向かいつつ、エミリア達はそれぞれが使うことを許可された武器を手に歩いていた。

 

 

「さぁアリン。 ここからはアタシ達は敵同士、本気で行くんだからね。」
「えぇ。 不慣れな私でも、全力で勝たせていただきます。」

 

宣戦布告と言わんばかりに、エミリアはロッドを持ったままアリンにそう告げた。


今回の依頼の最終的な目的は、ギラムのパートナーとしてどちらがふさわしいかと言う事。
一方的にエミリアが主張する中、アリンはそんなギラムの事を考え彼女ではないと意見を言った。
衝突した理由はさておき、今では仲たがいするつもりはないようだ。

 

「アリンさん、頑張りましょう。 僕も出来る限り、フォローします。」
「ありがとう、ベルちゃん。」

 

そんな彼女の横に居たウィンドベルは、使用を許可された法撃武器を手に主人にそう言った。

 

互いにキャストと言う事もあってか、上下関係は少しあるだけで大差ない仲の良さを見せていた。
軽くアリンがウィンドベルの頭を撫で、優しい笑みを浮かべている以外は。
これと言って、支援機械という感じは見せていなかった。

普通に、仲の良いお友達関係である。

 

「じゃ、アタシのフォローもしてよね。 基本はカウントだから、なんもしないんだろうけど。」
「へーい。 ま、頑張れよー」
「わかっまーすぅ。」

 

そんな2人を見て、エミリアは援護とカウントをするためにやってきたフィルスターに言った。

 

元々彼はギラムのパートナーマシナリーだが、今回は特別に主人の命によりそのパーティに参加していた。
だが基本外での仕事をするのが嫌いな彼だからか、接近戦はほとんどしない。
しかし射撃と支援はするため、良いのか悪いのかわからないレベルだ。

 

そんな彼を、ギラムはパートナーにしている理由は彼にしかわからないのだろう。

その上、今回の騒動で彼から名を呼ばれ褒められたこともあってか。
依頼が終わった後も、主人から頼られると思っている彼は、無駄な戦いの行く末を見守るつもりで居る様子だった。
その証拠に、口調とは裏腹に妙に笑みを浮かべていた。

 

『主に褒められる事なんて滅多にねぇからなー ・・・ヘヘッ』

 

普通に、嬉しい様子だった。
それだけ、依頼中の彼は不真面目なのだ。

 


一通りその場でのやり取りを終えると、4人は合同で移動しエビルシャーク達を探し出した。
とどめを刺した人のポイントになるため、誰が出し抜いて攻撃しても勝ちなのだ。
ほぼ実力と言うよりも、運も必要とされる今回の依頼。
結果は、誰にもわからない状態だった。

 

 


その後移動すると、彼女達の視界にエビルシャーク達の姿が見えてきた。

 

「あ、いたいたっ! 貰いぃっ!」

 

一足先に見つけたエミリアは、ロッドを持ったまま生け捕りにと言わんばかりに果敢に向かって行った。
そして炎属性のテクニックを発動させ、エビルシャークを攻撃する。

 

〈シャーッ!〉
「さっさとやられてよねっ! 負けるわけにいかないんだから!!」

 

攻撃を受け怯むエビルシャークを見て、エミリアは意気込みを叫びつつセイバーに武器を変え、相手を打ち上げた。
そしてそのまま空中で薙ぎ払い、『ライジングストライク』で相手を仕留めた。
力尽きたエビルシャークは、地面にたたきつけられそのまま消えてしまった。


「よしっ、1匹ゲット! 次々ー!」
「やる気満々だなー お前。」
「うっさい。 ちゃんと仕事してるんだから、褒めてよね?」
「へーい。」

 

軽く敵を仕留めると、エミリアは調子が良さそうにそう言った。
そんな発言を聞いて軽く突っ込むフィルスターに対して、軽く言いつつエミリアは次の目標を探していた。
今の彼女に何を言っても仕方ないと思い、彼は軽く返事を返し討伐数をカウントした後彼女の後を付いて行った。

 

 


「・・・エミリアさん、凄い意気込んでますね。」
「あ、アリンさん。 あそこにパルシャークがいますよっ」
「え?」

 

エミリアが進んで依頼に励んでいる姿を見て、アリンは軽く尊敬の眼差しで見ていた。
こんなにも簡単に敵を片づけられるとは思っていなかったから、そのスピードが凄いと思っていた。
しかし、慣れた傭兵ならもっと早く仕留められる事を。 彼女は知らない。

 

そんな事を思っていると、不意にウィンドベルが別の場所に居たパルシャーク達を見つけ、主人に報告した。
呼ばれた声を聞き視線をずらすと、そこには赤い色をしたエビルシャークに似た『パルシャーク』が居た。
軽く近場をうろうろしており、まだアリン達には気づいていない様子だった。

 

「3匹も・・・ ・・・」

 

しかしアリンからしたら、ギラムが近くに居ない上に3体を相手にするのは少し躊躇していた。
まだ慣れていない事もあってか、1人で戦えるとは思っていないのだろう。
あの時同様に、足を前に出そうにも出せない状態だった。

 

「僕も応戦します。 頑張りましょう、アリンさん。」
「・・・え、えぇ。 ・・・でも、どうしたら。」
「んーっと。」

 

そんな彼女を見て、ウィンドベルは優しい言葉をかけ一緒にやろうと言い出した。
足を動かそうにも動かせない事がある事を知っていた彼は、この時のために参戦すると言い出したのだ。

 

フィルスターでも任せにくい、彼女のフォロー
それは自分自身しか出来ない事とウィンドベルは認識しており、1人でずっとアリンの心を支えてきた。
今回もそのために居るため、彼女のためにと行動パターンを考えていた。
法撃武器しか今回の彼は使えないため、前線で囮になる事は出来なかった。
しばらく考えたのち、彼は1つの答えを導き出した。

 

「アリンさん。 好きなテクニックを、パルシャークに好きなだけぶつけて下さい。」

 

彼の考えた戦法。 それは今の彼女が最適と思われるテクニックを、自由にぶつけてもらうと言う事。
その後相手が行動を取ることが確定しているのなら、せめて遠距離の攻撃が十分にできる距離を確保する事。
前線のカバーは、自分がやると言ったのだ。

 

「え?」
「それで彼らは反撃してきますが、その行動を僕が阻止します。 アリンさんは、敵の攻撃は気にせず今はやってみて下さい。」
「・・・わかりました。 ベルちゃん、怪我はしないでくださいね。」
「はい!」

 

互いに相手の事を考えた結論を聞き、アリンはそう言いウォンドを手にした。
そしてテクニックを演唱し、相手に向かって放った。


「ホーリー!」

 

パルシャーク達の上空から幾多の光が降り注ぎ、アリンは彼らを攻撃した。
すると攻撃を受けてこちらの存在に気付いたものも居れば、攻撃を受けてそのまま睡魔に襲われ寝てしまったものも居た。
ゆっくりと前進し、案の定アリンに反撃を試みようとしていた。


「ぁ・・・!」
「大丈夫です。 ダム・フォイエ!!」


向かってきたパルシャーク達を見てアリンが竦む中、ウィンドベルはそう言いロッドから炎属性のテクニックを放射した。
その攻撃を受け、彼らは怯み両手で攻撃を防いでいた。


「今です!」
「は、はい! ・・・容赦ない、一撃を・・・!」

 

ウィンドベルの声を聞き、アリンは左手に持っていたカードを振りかざし、彼らに攻撃を仕掛けた。
すると2匹の足もとから小さな刃が大量に吹き出し、彼らを打ち上げた。
竜巻をその場に発動させたように、彼らは無数の刃に襲われ刻まれた。
そして再び地面に倒れると、そのまま消え去った。

 

「や、やりました・・・! ベルちゃん!」

 

自分の放った攻撃で相手を倒したことを見て、アリンは喜びを彼に伝えた。
少し怖かった半面、成し遂げた成果を知りとても嬉しそうだった。

 

「はい! アリンさんが自分で、2体倒したんですよ。 凄いです!」
「・・・じゃあ、あの子も・・・!」

 

ベルの声を聞き、アリンは武器を持ち直し先ほどから眠っているパルシャークに立ち向かっていった。
召喚された武器はツインセイバーであり、そのまま相手を突いた。


「行きます!」

 

突いた拍子に起きたのを見て、アリンはその場で数回周り、力を込めて『クロスハリケーン』を放った。
すると攻撃を受けて再び吹き飛び、パルシャークは地面に倒れた。
だが止めを刺せなかったようで、しばらくすると起き上がり鳴き声をあげた。

 

〈シャーッ!!〉

「キャアアッ!」

 

「アリンさん!!」

 

鳴き声に怯むアリンを見て、ウィンドベルは再び彼女の元へと向かいテクニックを放った。
火球がロッドから飛び出し、そのままパルシャークを焼き付けた。
その一撃が止めになった様子で、パルシャークはその場に倒れ消えてしまった。


「・・・」
「大丈夫ですか、アリンさん?」

 

襲いかかってきた恐怖を覚え、彼女は相手が消えるとその場に座り込んでしまった。
怪我がない事を確認しつつ、ウィンドベルは彼女の事を気にかけた。

 

「え、ええ・・・ ・・・怖かった・・・」
「でも、今のは凄い良かったですよ。 ギラムさんが聞いたら、きっと喜びます。」

 

無事を確認すると、ウィンドベルは先ほど彼女が放った攻撃が素晴らしかったと賞賛した。
自らが打撃武器を持って戦うとは思っていなかったから、その行動も良かったと言った。

 

「そうでしょうか・・・ でも・・・教わった事が、出来たのなら・・・ ギラムさん、喜んでくれます・・・よね。」
「そうですよ。 さぁ、まだ敵は居ます。 片付けましょう!」
「えぇ!」

 

彼の言葉を聞いて、この場にはいないギラムの教えを彼女は思い出した。
教えとは言ってもまだ大した事は習っておらず、一通りの基礎を学んだ程度だ。
しかしそれで意気込み相手を仕留めようとした自分の行動を思うと、きっと喜んでくれると彼女は思っていた。

そして、彼の言葉を聞き再び立ち上がり、別の場所に居るエビルシャーク達を求めて駆け出したのだった。

 


良心的な考え方

その後しばらくエビルシャーク達を倒す事、約1時間・・・

 

 


「・・・フゥー ここらへん一帯のは、全部倒したわね。」

 

大体の探せる範囲で探し討伐し終えた様子で、エミリアは一息付きつつ辺りを見渡した。
マイシップを停泊させた草原地帯から大分移動した場所におり、日は大分昇りお昼頃を示していた。
近くで数をカウントしていたフィルスターはデータを見つつ、討伐数を計算していた。

 

「んーっと。 ・・・ぁ、ちょっと足りねぇ。」
「えぇっ!?」

 

移動した際に作った地図を見つつ討伐数を確認し、フィルスターが言った言葉に対しエミリアは驚愕した。
大体の数を倒した上、ほぼ彼女一人で倒したに等しいのに数が足りないとは思わなかったのだろう。
しかし現に足りていない様子で、2,3匹足りない様子。


「何で足りないのよっ!! アタシ結構倒したじゃない!」
「他にポルティとか倒したから、そんな気がしたんだろ。 現に足りねぇぞー」
「うぅっ・・・悔しいぃーっ!!」

 

彼女からしたら1人の行動は初めての分類に入るらしく、こんなに長時間戦ったのだから足りていると主張した。
だが現にエビルシャーク達以外にもこの草原には原生生物がおり、ポルティやらヴァーラ達とも戦った。
時折フィルスターの援護射撃で倒したこともあり、どうやらそれが原因のようだった。
改めて足りない事を確信し、その場でエミリアは地団駄を踏んでいた。

心なしか可愛い怒り方である。

 


「ぁ、フィル。 ここにいたんですね。」

 

そんな彼女の様子を呆れて見ていると、フィルスター達の元にアリンとウィンドベルがやってきた。
こちらも大まかな敵を倒し終えた様子で、走り回ったのか少し髪を直しつつ彼女はこちらへとやってきていた。

 

「どうですか? 討伐数は。」
「こっちは数匹足らずって所だな。 そっちもデータは貰ったけど、足りねぇんだろ?」
「はい、僕が何匹か倒したこともありますが・・・ ちょっと数が足りなくて。」

 

軽く数の計算報告はこちらも受けており、フィルスターの所には共に数足らずと報告が来ていた。
原因はこちらもウィンドベルが倒したこともあるが、元々他の社員もこの依頼を受けた様子があり数が元々減っていたのだろう。
数を計算し、フィルスターはデータを保存していた。

 

「でも、ベルちゃんのおかげで依頼は安全に行えて助かりました。」
「そう言ってもらえて良かったです。」

 

元々の依頼を完了する事は出来なかったが、それでもアリンは安全に依頼を行えたとウィンドベルに感謝していた。
仕事が得意ではない事は彼女自身も自覚していたが、進んで行動したのは今回が初に等しい。
他のお礼をかねて感謝を言うと、ウィンドベルも嬉しそうにその言葉を受け取っていた。

 

「そうなると、半ば依頼失敗ね。 結果終わらずじまいじゃないっ」
「足りねーんだから仕方ねぇだろ。 主にこれ以上文句言うな。」
「むぅぅー・・・」

 

依頼報告をする前に失敗となり、エミリアは納得いかない様子でそう言っていた。
しかしこれ以上2人の口論で主人であるギラムの悩みを増やしたくない様子で、フィルスターはそれ以上文句を言うなと言った。
現に互いに倒した数はほぼ同じであり、これでは差もないと彼女も渋々口を閉じた。

 


そんなこんなで仕事を終了とし、マイシップへと戻ろうとした。
その瞬間・・・

 

 

 

ズゥーン・・・ ズゥーン・・・

 

「?」

 

何処からともなく鈍い足音と振動が、彼女達の元へとやってきた。
さきほどまで静かだった草原地帯は、なぜか周囲の鳥達が逃げるように飛び交い平穏ではないかのような雰囲気で彼女達を包み込んだ。

 

「・・・ねぇ、なんか聞こえなかった・・・?」
「音がしましたね・・・ ・・・ベルちゃん、周辺に何かいますか?」
「確認してみますね。」

 

大き目の生物の足音に身震いしつつ、エミリアは何か聞こえなかったかとアリンに問いかけた。
問いかけに対しそう答えると、パートナーであるウィンドベルと共に周辺をサーチしだした。

 

「まさかとは思うけど、変なのが現れるんじゃないでしょうね。」
「俺にくっつくなっつーのっ」

 

サーチしてる間も時折聞こえてくる足音に危険を感じ、エミリアはそう言いつつ辺りを見渡しながらフィルスターにくっついた。
しかし主人以外にくっつかれるのを好まない様子でフィルスターは文句を言いつつも、辺りをうかがっていた。

何かが居るが、何かわからない。

 

そんな状況にも見えた。
すると、

 

 


グルァアアアーー!!!

 

「!!」

 

今度は足音ではなく、鳴き声が聞こえてきた。
声の聞こえた方向を見てみると、そこには紅い巨獣と呼ばれる真っ赤なドラゴンが居た。
ラフォン草原に住まう、巨大な原生生物。


「ディ・ラガン!!」

 

エミリア達はその原生生物を見つけ、その場から一目散に逃げ出した。

 

 

 

 

「うそでしょっ!! あんなのが居るなんて聞いてないわよー!!!」
「まさかこんなところに、あのような原生生物の巣があるなんて・・・!」

 

元来た道に等しい道を走りながら、エミリアとアリンは驚いていた。
来る前にギラムからはディラガンの巣があるとは聞いておらず、急な事もあり動揺していた。
とりあえず走って逃げてはいるものの、背後からは先ほどから聞こえていた足音が絶え間なく聞こえ、鳴き声も聞こえてくる。

 

「ま、こんな気はしてたけどなー」
「大体の座標はこれで分かりました。 今後気を付けるための反省にいかせれば、何とかいけませすね。」

 

そんな彼女達と共に逃げているフィルスターとウィンドベルはと言うと、そこまで驚いていない様子でそう呟いていた。
何かしらの情報があった様子でデータを入力しており、今後の行動に生かせるよう努力していた。

 

「何真面目ぶって分析してるのよっ! 早くアイツを呼んでよ!!」
「バーカ、それじゃ意味ねぇんだよ。」

「え?」

 

2人のパートナーマシナリーの言動を聞き、バックアップで待機しているギラムを呼べとエミリアは叫んだ。
しかしそれでは意味がないとフィルスターは言ったため、エミリアは走りながら何故そう言ったのかを聞いた。


「何でもかんでも主に頼ってたら、お前らいつまでたっても自立しねーじゃん。 何で主がこうやって依頼を俺らにしたか、わかってんのか?」
「・・・そりゃあ、アタシとアリンのどっちがパートナーか相応しいかでしょ。」
「ちげーよ。 お前らが早く仲直りする事もだけど、こういう時の土壇場の行動の仕方や処理を、周りに頼らないで自ら出来るようにって考えてんだよ。」
「ギラムさんが、私達のために・・・?」

 

どうやら彼はギラム自身がどうして自らが出ずに依頼をするよう言ったかを見抜いていた様子で、今回の依頼の趣旨を説明した。
エミリア達からしたらただの攻防戦にすぎなかったが、それ以上に何かを求めており早く仲を直すと同時に自ら行動出来るようになってほしいと願っている。
彼がそう説明すると、アリンは軽く走るスピードを遅めつつ再度確認を取った。

 

「お前ら、どっちかっていうと自ら行動しようとはしねーじゃん。 主は心配だからってサポートする事はあるけど、それじゃいつまでだってもお前らは荷物だ。 俺はそう思う。」
「・・・」
「下らない事で主の心配やら悩みを増やすくらいなら、もっとマシな事して主が褒めるような事してみろよ。 パートナーっていうのは、そういうもんじゃねぇのか?」

 

その後一時ディラガンの視界から消える場所へと移動し、再度フィルスターは自らの考えを2人に主張した。
ただそばにいるだけでは、サポートどころかパートナーとして同行するにも荷物になってしまう。

 

それでは仕事にならない上、今回の様な下らない事でいちいち面倒をかけて欲しくないと彼は願っていたのだ。
そして、2人が求めている『パートナーの立ち位置』とは、そういうものではないかとフィルスターは言った。

 

 


「アリンさん。」

 

そんな軽めの説教を受け沈んでいるアリンに対し、ウィンドベルは軽く彼女の手を握った。

 

「ギラムさんが僕達のために今回の依頼を用意したんです。 たとえ急な事があったとしても、アリンさんは後ろばかり向いてはいけないんです。」
「・・・」
「たとえ不慣れであったとしても、それを支えるのが僕達パートナーマシナリーです。 キャスト以上の働きは出来なくても、僕はこれで満足していますよ。」
「ベルちゃん・・・」

 

不意に握られた事を感じアリンがウィンドベルを見ると、彼はそっと笑顔を見せながら彼女に微笑んだ。
彼も彼なりに何かしようとしており、たとえ不慣れで一番未熟でも出来る事をやりたい。
最善を尽くせるかわからなくても、それでもアリンと共に居たいと言った。

 

苦痛だなんて思っていない、彼は再度そう言っていた。

 

 

「・・・ハァ。 いい加減自立しなきゃーって思ってたけど、まさかこんな相手の前でする決心をしないといけないなんてね。」
「エミリアさん・・・?」

 

そんな彼女達のやり取りを見て、エミリアは不意にそう言い隠れていた茂みから出る動きを見せていた。
手にはいつの間にかロッドが持たれており、どうやら相手を迎え撃つ体制を取りつつある様子だった。

 

「アタシも、アイツにはたくさん面倒かけたしパートナーとして自信持ってるってわけじゃないよ。 ・・・でも、アイツへの恩は返せないくらいたくさんあるの。」
「・・・」
「だから、アタシもアタシなりに何かするって決めた。 たとえ学者っぽい事を最近してても、アタシは馬鹿に戻ってやる事をやってやるんだから・・・! 絶対に、見返してやる!」

 

そして目の前に徐々に移りつつあるディラガンの姿を目にしつつ、彼女は自分の意見をアリンに伝えた。

 

元より不慣れでたくさん迷惑をかけ、学者としても行動しつつある最近でも自分は馬鹿だ。
馬鹿なら馬鹿らしく行動して、それで見返す方が自分らしいと言ったのだ。

 

そんな彼女の意気込みを聞き、アリンはただ彼女の後姿を見る事しか出来なかった。
すると、

 


ギュッ・・・

 

「?」
「アリンさん、僕達も行きましょう。 僕達も負けてはいられません!」

「そうだ! 主ばっかりに頼りっきりだって思われてるんだったら、自力であんな奴くらい倒してやらないとなっ!!」

 

棒立ちになっていたアリンの手を握る感触が伝わり、彼女は両方から意気込みを伝えてくるマシナリーの姿が目に映った。
2人も自立しつつある行動を見せてやりたいと言い、いつまでも頼りっきりではないと意気込んだ。
そんな二人の励ましを受け、アリンも頷き両手でロッドを握った。

 

 

『そうです。 私も、ギラムさんに迷惑をかけてばかりでは申し訳がたたない。 だったら、今の私に出来る事を・・・ 精一杯、やらないと・・・!』

 

両手で強くロッドを握り、彼女も何かを決心したように前を向いた。

 


「行こう! アリン!!」
「はいっ!」

 

その後前に居たエミリアの声に魅かれ、彼女も茂みから飛び出しディラガンを迎え撃つ体制になった。
彼女達の後ろから臨戦態勢になったウィンドベルとフィルスターもおり、危険度が高い事を認識し武器制限を外し共に立ち向かって行った。

 


4人の姿を見て、ディラガンは再び鳴き声を上げ襲いかかって行ったのだった・・・



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