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ご挨拶

「映画に宛てたラブレター2月号」が私の体調不良から休刊となってしまい、ご愛読していただいている皆様、まことに申し訳ございません。詳しい、いきさつについては、先日発行の「僕がスモールハウスをやめた訳」(本文はこちら)に述べた通りでございます。ご一読いただければ幸いです。

2月号休刊のお詫びと言ってはなんですが、「映画年間ベスト5企画」を今年もやることにしました。

昨年2014年、私が劇場で鑑賞した洋画31作品、邦画16作品(DVD鑑賞作品は含みません)の中から、わたくし、天見谷行人が「独断と偏見で」選ぶ、マイ・ベスト5作品を発表したいと思います。


選考基準は

 

①もう一度スクリーンで鑑賞したい作品である事。

②DVDをコレクションしたい作品である事。

③上記①、②を両方満たす事。

以上三点です。

 

では、さっそく発表にまいりましょう。


2014年洋画ベスト5

2014年洋画ベスト5

 

第1位 ジャージー・ボーイズ

    「ジャージーボーイズ」予告編

 

第2位 鑑定士と顔のない依頼人

    「鑑定士と顔のない依頼人」予告編

 

第3位 チョコレートドーナッツ

    「チョコレートドーナッツ」予告編

 

第4位 ベイマックス

    「ベイマックス」予告編

 

第5位 アナと雪の女王

    「アナと雪の女王」予告編

 

次点  それでも夜は明ける

    「それでも夜は明ける」予告編

 

次点  パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間

    「パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間」予告編

 

おすすめde賞 LUCY/ルーシー

       「LUCY/ルーシー」予告編 

 

おすすめde賞 グランド・ブダペスト・ホテル

       「グランド・ブダペスト・ホテル」予告編

 

以上です。


2014年邦画ベスト5

2014年邦画ベスト5

 

第1位 該当作なし

 

第2位 蜩の記

     「蜩の記」予告編

 

第3位 小さいおうち

    「小さいおうち」予告編

 

第4位 WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~

     「WOOD JOB (ウッジョブ)〜神去なあなあ日常~」予告編

 

第5位 STAND BY ME ドラえもん

   「STAND BY ME ドラえもん」予告編

 

次点  超高速!参覲交代

   「超高速!参覲交代」予告編

 

おすすめde賞  テルマエ・ロマエⅡ

        「テルマエ・ロマエⅡ」予告編

 

おすすめde賞  晴天の霹靂

        「青天の霹靂」予告編

以上です。

 

 


2014年の映画を振り返って

2014年の映画を振り返って

 

2014年は、僕の映画鑑賞にとっては随分とバランスの悪い年でした。洋画については大当たり!! 豊作!! 邦画については「スッカスカ」と言ってもよい不作の年だなぁ~、と感じました。

まずは洋画部門。

ベスト5を選ぶのに、そんなに迷いはありませんでした。

僕のダントツ、一押し作品は「ジャージー・ボーイズ」なんですね。クリント・イーストウッド監督作品です。

とにかく楽しい! 音楽がいい!! 映画館で思わず体を揺すってしまうほどノリノリの楽しい映画です。クリント監督、なんでこんな傑作を、次から次へとヒョイヒョイ作れるんでしょうかねぇ、しかもあのご高齢で(失礼!)そのパワフルさは、まったく衰えを見せませんねぇ。

第2位に入った「鑑定士と顔のない依頼人」

これは皆さん、ちょっと意外だったかもしれませんね。完全に僕の趣味です。

アート作品を題材とした映画、僕は大好きなのです。映画のスクリーンで美術鑑賞をするというような体験は楽しいものです。しかも本作は、気難しい天才鑑定士など、登場人物の作り込み、設定が絶妙。ストーリー終盤の大どんでん返しなど、観客をあっと驚かせる巧妙な仕掛け。映画の最後の最後まで観客を騙しおおせたジュゼッペ・トルナトーレ監督の手腕の見事さに拍手です。

第3位の「チョコレートドーナッツ」

映画レビュー本編で書きましたが、「2014年、最も美しい人間ドラマ」だと断言できます。ダウン症という障害をもって生まれたマルコという少年の、なんという愛らしさ!! 騙されたと思って、黙ってレンタルビデオでご鑑賞くださいませ。なお、ご覧になるときはハンカチのご用意をお忘れなく。

第4位と第5位はディズニーアニメ作品となりました。

「ベイマックス」については、この原稿を書いている2月中旬でも、僕の行きつけのシネコンでは、今だに1日4回上映中です。

「子供と大人が同時に楽しめて何が悪い」「わかりやすい映画で何が悪い」「ハッピーエンドで何が悪い?」まさに理屈抜きに楽しめるのが本作なのです。

さて昨年、日本中をブームに巻き込み、社会現象とまで言われた「アナと雪の女王」

僕のような、ひねくれた映画オヤジでも、やはりベスト5に入れざるを得ませんでした。映像の美しさ、作品としての完成度も抜群でした。僕は映画が公開された3月に鑑賞していました。しかし本作は半年以上という異例の大ロングラン、大ヒット映画となりました。昨年のとある夏の日、バスに乗った僕は、前に座った小さな女の子がいきなり

「レリゴー、レリッゴー!!」と唄い始めたのにびっくりいたしました。

「こんなにヒットしてたんだ」と改めて「アナ雪」現象のインパクトに驚かされました。この映画だけを見たくて映画館に何度も通うリピーターまで出現しましたね。これをきっかけに「やっぱり、映画は映画館で観るのがいいよね」と思う方が増えたのではないか?と思います。そういう意味で本作は、映画界への貢献度が極めて大きな作品となりました。

次点とさせて頂いたのは2作品、しかし、作品のクオリティーということではベスト5に引けを取りません。

「それでも夜は明ける」は黒人奴隷制度、並びにアメリカの歴史の暗部を真正面から描く見応えのある力作、秀作です。

また「パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間」は、ケネディ暗殺事件の当日、偶然に8ミリキャメラに歴史的瞬間を映しとってしまった一市民、そして、銃撃された大統領が搬送された、地方病院の状況をドキュメンタリータッチで描いた作品です。その息もつかせぬ緊迫感あふれる描写は、観客の目を釘付けにしてしまいます。

さて、2014年の洋画は僕にとっての当たり年。ベスト5では収まりきらないのです。そこで今回、どうしてもオススメしたい作品として「おすすめde賞」を特別に設けました。

LUCY/ルーシー」はリュック・ベッソン監督の、乾いたタッチの映像感覚が抜群です。スカーレット・ヨハンソンのアクションシーンも魅力ですね。

「グランド・ブダペスト・ホテル」は、ウェス・アンダーソン監督ファンなら絶対、外せないでしょう。万人向けとは言えませんが、この監督の映像感覚、タッチ、そして豪華俳優陣。まだウェス・アンダーソン監督作品を一度も観たことがないという方へ、お試しになられてはいかがでしょうか。

次に邦画部門です。

残念ながら2014年の邦画で1位は該当作なしとさせていただきました。これはあくまでも僕の独断と偏見で選んでおりますので、ご了承くださいませ。

第2位となりました「蜩の記」これは日本の原風景と言いましょうか、スクリーンに映る風景の美しさに心惹かれました。監督は黒澤組で長く助監督を務められ「雨あがる」などの作品で知られる小泉堯史監督です。黒澤組で培われた美しい絵の作り込みが継承されていることを嬉しく思いました。

第3位は山田洋次監督作品「小さいおうち」です。松たか子さん、そしてベルリン国際映画祭で最優秀女優賞(銀熊賞)に輝いた黒木華さんの演技は注目ですよ。僕は彼女が出演した「シャニダールの花」もいいなぁ~と思っています。

第4位に入りました「WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~」

矢口史靖監督作品です。矢口監督は、そのキャリアの当初、かなりマニアックな映画を撮っていて、コアな矢口映画ファンを生み出してきました。しかし「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」とたて続けに大ヒット作品を連発。いまや、矢口監督が撮る映画は「必ずヒットする」という、映画会社にとってはハズレの危険性が極めて少ない、それだけ安心して映画制作を任せることのできる日本人監督となりました。

矢口監督の目の付け所、映画の題材はいつもユニークで注目を浴びることでも有名ですね。今回、矢口監督が取り上げるのはなんと「林業」

そんなもん、映画になるんかいな? と思うでしょうが、矢口監督の手にかかればこんなにも面白い作品になるんですね、なにより、こういう作品にありがちな「地方再生」「里山の暮らしの素晴らしさ」「エコな暮らしで環境に優しい」などという空々しい「お題目」、押し付けがましさが全くありません。

スカッと笑える。あくまでも「エンターテインメント」であることに徹する「プロ根性」と「すがすがしさ」があるのです。

それこそが矢口監督作品の真骨頂といえるでしょう。

第5位には3Dアニメ作品「STAND BY ME ドラえもん」を選んでみました。「永遠の0」を撮った山崎貴監督作品ですね。共同監督は八木竜一さんです。この時期に敢えて「永遠の0」をどうして撮らねばならなかったのか? 僕には理解不能でした。国策映画、プロパガンダ映画と受け止められかねない。山崎監督はそんな体制べったりの監督さんだったんだろうか? そう疑問に思っていました。しかし、その山崎監督が「ドラえもん」を映画化したことによって、なんだか僕の方も肩の力が抜けたように思いましたね。子供たちや大人まで巻き込んでしまうドラえもんの魅力。

「タケコプターで空を飛んでみたい」

誰もが一度は想像したことでしょう。あたかも自分が空を飛んでいるような爽快感。それは本作を劇場で3D鑑賞した人だけが味わうことのできる特別な体験です。いやぁ〜、本当に気持ちよかった!!

次点となりました「超高速!参覲交代」これは小気味良いコメディー時代劇に仕上がりましたね。もっと言えば、舞台となったあの福島、「フクシマ」からの、中央政権への強烈な批判精神とちゃぶ台返し、それこそ「100倍返し」の怨念。それを笑いで吹き飛ばすように表現したところに、この作品の痛快さがあるのだとおもいます。

なお、おすすめde賞には「テルマエロマエⅡ」「青天の霹靂」を選んでみました。

特に「青天の霹靂」を撮った「劇団ひとり」さんの映画監督としての手腕は、極めて非凡なものがあると思います。前作「陰日向に咲く」では原作、俳優としての参加でしたが、これも強く印象に残りました。今後とも注目ですよ。

 

 


受賞作レビュー怒涛の10連チャン!

では、おまたせいたしました。昨年の洋画、邦画各ベスト5に輝いた作品の映画レビューを、怒濤の確変、ノンストップ!! 激アツ10連チャンでお楽しみくださいませ。まずは邦画部門第五位からです。

 

邦画部門第5位 STAND BY ME ドラえもん

2014年8月18日鑑賞

 

まだまだ君が必要なんだよ、ドラえもん

 

子供の頃、僕は逆上がりができなかった。

子供の頃、僕は自転車に乗れなかった。

子供の頃、僕の家のトイレは水洗じゃなかった。

子供の頃、僕はいくじなしで、泣いてばかりいた。

ジャイアンのような「いじめっ子」にはいじめられなかったけど、のび太君の気持ちはよく分かった。

出来損ないの僕を助けてくれる、理想の相棒。

もし、そんな夢が叶えられるとしたら、きっとそれは

お腹の四次元ポケットから、何でも出してくれる、

未来から来たねこ型ロボット。

「ドラえもん」にちがいない。

本作は十分大人の鑑賞に堪えうる。

のみならず、子供だった頃の自分に、ドラえもんが「タイムマシン」をつかって時空を飛び越えてくれるみたいだ。

誰もが一度はあこがれた「タケコプター」

あれをつけて空を飛べたら、どんなに気持ちいいだろう!

その夢は2014年の夏、映画館で実現する。

本作は余分にお金を払ってでも3Dで鑑賞した方がいい。タケコプターで空を飛ぶスイスイ感は、実に気持ちいいものである。

他にも、おなじみの「どこでもドア」や「タイムマシン」「暗記パン」などが次々登場する。鑑賞した劇場の観客は大半が子供たち。みんな「ドラえもん」の時空間に引込まれてゆく様子が伝わってきた。

日本の「マンガ」キャラクターたちは、手塚治虫の「鉄腕アトム」を筆頭に、赤塚不二夫、藤子不二雄など半世紀ちかく経っても、まだ生命力を失っていない。特に子供たちだけでなく、大人にまで絶大な人気を誇るのが「ドラえもん」なのだ。藤子不二雄氏の造形は「オバケのQ太郎」をはじめとして実にシンプルである。これ以上削ぎ落とせない、ギリギリの単純な線描でキャラクターが成り立っている。

それが今回、3Dアニメーションという「飛び出す絵本」的な道具で映画化された。映画界にとっては3Dこそ、喉から手が出るほどほしかった「四次元ポケット」そのものなのだろう。21世紀の日本の子供たちは、この夏、劇場で三次元空間を自由に飛びまわる「ドラえもん」に出会えるのだ。

本作を作ったのは八木竜一、山崎貴という二人の監督である。

山崎貴監督は「永遠の0」を監督した。なぜこの人が、この内容の映画作品を、この時期に作らねばならなかったのか?

僕は首を傾げるばかりであった。山崎貴監督にしても「永遠の0」は自分の手がけた作品の中で、どのような位置づけになるのか? 迷いがあったのかもしれない。

「一歩間違えば、国策映画、プロパガンダ映画と誤解されるのではないか?」

それこそ、ヒトラーとナチのプロパガンダ映画を作った、女流監督レニ・リーフェンシュタールのような立場になりはしないか?

その山崎監督が、本作「ドラえもん」では、その鬱屈したドロドロ感を吹き飛ばすかのように、心地よい映画を作ってくれた。

短い上映時間の中で、ドラえもんとのび太君との出会い、別れ、そしてのび太少年の心の内面、葛藤、成長まで描いている。作品を観て、それをどのように感じるのかは、その人の人生経験によって大きく異なる。子供たちは、子供たちなりに、大人になった僕たちは、僕たちなりの「ドラえもん」の「イメージ」がある。

逆上がりが出来なかった、自転車が乗れなかった、少年だった頃の僕に、ドラえもんは「四次元ポケット」から何を出して、助けてくれるのだろう?

「ぼくがいなくなってもやっていける?」

それはのび太君への問いかけでもあり、迷走するニッポンや、僕たち大人への問いかけでもある。

でも、ドラえもん。

僕たちや、子供たちには、まだまだ君が必要なんだよ。だって、この世界には、幸せではない子供たちの方が、ずっと、ずぅ~っと、多いのだから。

 

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天見谷行人の独断と偏見による評価(各項目☆5点満点です)

物語 ☆☆☆☆

配役 ☆☆☆☆

演出 ☆☆☆☆☆

美術 ☆☆☆☆☆

音楽 ☆☆☆

総合評価 ☆☆☆☆

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作品データ

監督   八木竜一、山崎貴

声の出演 水田わさび、大原めぐみ、妻夫木聡

製作   2014年 

上映時間 95分

予告編映像はこちら

https://www.youtube.com/watch?v=RP-KqRkDWS0

 

邦画部門第4位 WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~

2014年5月10日鑑賞

負の遺産を抱えた僕たちが思う事

 

矢口監督作品を観ると、いつも「ああ、そういう手があったか!!」と驚かされる。そして映画の可能性なんて、まだまだあるんだよ、と教えてくれるような気がする。

今回、矢口監督が眼を付けたのはなんと「林業」

はっきりいって「そんなもん、映画になるんかいな?」と誰もが思う。半信半疑で公開初日、劇場で鑑賞した。

結果。

文句なし! おもしろい!! ちゃんと、映画になってる! 

だけではない。お恥ずかしながら、最後は感動のあまり、涙腺がユルユルになり涙が流れた。

最初は林業など、全く本気で取り組むつもりなどなかった主人公、勇気(染谷将太)だが、林業研修を進めるうち、少しずつではあるが、「木と向き合う事」になじんでゆく。

矢口監督作品を追っかけている人は本作を観てすぐ察するだろう。「ウォーターボーイズ」や「スウィングガールズ」のあのパターン。

はじめは全くやる気がない主人公。だけど、あるひとつの物事に出会い、「しかたなく」「巻き込まれ」最後には「自ら進んで」それをやり遂げる。人間として成長し、人生のステップをひとつ上がる。

矢口監督作品は皆、鑑賞した後、とてもすっきりと後味が良い。

僕は、この映画の主人公と全く同じような体験を、現在進行形で継続中だ。友人が、この映画に出て来るような過疎の山村で、「小さな家」を手作りしているのである。僕も”しょうがなく、巻き込まれて、いやいやながら”作業を手伝うハメになった。まるでこれは矢口映画のパターンそのものである。

彼の車に乗って高速道をすっ飛ばし、やがて険しい山間部に入る。道路は木々が覆い被さり、昼なお暗い。たどり着いた先はもう、本作の舞台と同じ、”ど田舎”としか言いようが無かった。電車はおろか、バスも走ってない。コンビニはふた山超したところにしかない。携帯はかろうじて繋がった。しかし、WiFiの電波は届かない。僕のケータイではネットにつなげられなかった。

車から降りた僕は、里山と里山が重なり合う、その風景に圧倒された。なにより目の前に広がるのは「直線」が一切存在しない世界なのだ。僕の身体に染み付いた遠近法はまやかしだった。僕の感覚はクラクラし始めた。

都会暮らしは、全て人工的な直線で囲まれた世界だ。中毒のように使っているパソコンも人工的な平面である。この集落で暮らす事は、里山の複雑な曲線が創る、多様な造形のハーモニーの元で暮らす事なのだ。

友人がつぶやく

「ここ、鹿がよう出るんや」

友人が作っている家の、となりのおばちゃんの話では

「山には猿も出るし、熊も出るんやでぇ」という。

 

更には、この映画にもあるが、僕の友人は作業中、マムシにかまれ、一週間入院した。実際に里山に暮らす事は、都会人が思うほど生易しくはない。決して、生半可な気持ちで出来ない。当然向き不向きはあると思う。しかし、僕はこの過疎の山村に何度か通ううち、いろんな発見をした。

作業中、寝泊まりさせてもらう、隣の古民家。そこに薪ストーブがある。

試しに僕は火をつけさせてもらった。都会人の僕は薪に火をつける事が出来なかった。

愕然とした。しかし、大きな発見があった。

木と言うのは貴重な財産だ。燃やせばエネルギーになる。お湯を沸かし、料理をし、部屋を暖めることができる。もちろん、建築の材料となり、食器になり、家具となる。その大切な木が、この集落の山間部では間伐されておらず、倒木が至る所にほったらかしにされているのだ。いわば、エネルギー、財産のカタマリが、そこら中に手つかずのままゴロゴロころがっているのである。そして僕らは海の向こうから、高いお金を払って油を買い求め、それで電気を作り、ケータイやパソコンを使う。僕たちはそれを当たり前だと思って利用している。

ちょっと立ち止まって考えれば、こんなおかしな事は無いのだ。

僕は「この集落をなんとかできないか」とまで考えるようになった。

僕たち都会人は、今再び、里山での暮らし方を再発見しようとしている。

ただ、矢口監督は「この映画で林業の啓蒙をやりたかった訳ではない」と述べている。今回、矢口監督は「林業」という題材、その「リアルな姿」に純粋な興味を持ち、映画の素材として使いたかったのだろう。林業という「テーマ」は矢口監督の腕にかかれば、エンターテイメント映画として成立する事を証明したのだ。

自分の二世代前、おじいちゃん達が育てた木を、平成の現代に”恵み”として有り難くいただくこと。主人公の勇気は気づいたのだ。林業は木を切り倒す事だけではない。木を植え、育て、そして次の世代ではなく、もっと先の世代にバトンタッチをする事なのだと。

何万年後まで保存しなければならない「負の遺産」をかかえてしまった21世紀、ニッポンの僕たちは、22世紀、いや、もっと先に何を受け渡すことができるのだろう。それを今考えてみてもいいのではないだろうか?

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天見谷行人の独断と偏見による評価(各項目☆5点満点です)

物語 ☆☆☆☆

配役 ☆☆☆☆☆

演出 ☆☆☆☆☆

美術 ☆☆☆☆

音楽 ☆☆☆☆

総合評価 ☆☆☆☆

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作品データ

監督   矢口史靖

主演   染谷将太、長澤まさみ、伊藤英明

製作   2014年 

上映時間 116分

予告編映像はこちら

 

https://www.youtube.com/watch?v=czlmoufvB8U

 

 

邦画部門第3位 小さいおうち

2014年2月24日鑑賞

いとしい愛にも惨禍はふりかかる

 

黒木華さんがベルリン国際映画祭で最優秀女優賞(銀熊賞)を獲得した事で話題となった本作。

彼女は雪深い山村から、東京に上京してきたお手伝い、タキさんを演じる。

時代は昭和初期、東京の閑静な住宅地、丘の上にある小さな家。昭和モダニズムを色濃く感じさせる洋館が舞台となる。赤い瓦屋根。そこにちょこんと飛び出た出窓。玄関のガラスには、アールデコを思わせるデザインのステンドグラスがはめ込まれ、応接間にはシャンデリアさえあるのだ。

このオシャレで、なんとも愛らしい家のお手伝いとして、タキさんは奉公する事になる。

この家のご主人(片岡孝太郎)は、おもちゃ会社の常務さん。奥さん(松たか子)は才色兼備な人だ。物語は、ご主人の会社の新人デザイナー(吉岡秀隆)と奥さんとの間で、ある秘められた関係ができてしまう。それを察したお手伝い、タキさんの、胸にずぅーっとしまい込んできた想いを回想する形で描かれてゆく。

相変わらず、巨匠、山田洋次監督の編集は、もうほとんどマジックと言っていい。時間軸が現代と昭和初期を行ったり来たりするわけだが、映画は緩やかに流れる川のように淀みがなく、まさに絶妙。

 今やおばあちゃんになったタキさんが、昭和初期の世相を淡々と語ってゆく。観客である僕たちは、その時代の雰囲気の中にすんなりと取り込まれる。当時は既に支那事変の頃なのだが、日本国内、特に都市部では、豊かで比較的自由な生活を謳歌していた事が伺える。贅沢とも言える着物を着てクラシックコンサートにいったり、カフェでコーヒーを飲んだり、蓄音機のレコードを聴いたりもできたのだ。

 だが、すこしづつ、ほんとうにすこしづつ、時代の雰囲気や、流れは微妙に、そして確実に変化してゆくのである。このあたりの描き方、山田監督、本当にうまいなぁ、とうなってしまう。

そんな時代の流れの中、奥さんは若いデザイナーに心引かれるものを感じてしまう。

彼が家に遊びにきて、帰るその間際。玄関で見送る奥さんの後ろ姿。彼女は手を後ろに組んでいる。それも右手人差し指を、左手の親指と人差し指で、もてあそぶように少し揺らしている。

ぼくはこの指の組み方に「ドキリ!!」とした。

これが「女の心」だと思った。

奥さんの心の「トキメキ」を見事に表している。

これは、松たか子という優れた女優のアドリブだろうか? それとも山田監督の演出だろうか? いずれにしても「奥さん」のこころの揺れ動きを見事に表現した仕草だった。それをしっかり映像に撮りきった山田監督の絵心がニクい。

本作は山田洋次監督が、おそらく最も信頼し、気に入っている俳優さん達、吉岡秀隆、妻夫木聡、倍賞千恵子など、いわゆる「山田組」の総力を結集して作ったのだろう。

山田監督はその外見、お人柄からも分かるように、大変穏やかな映画を作る監督さんである。過去の作品を見ても分かるように、決して映画作家としての主張は強くない。「山田洋次監督作品」というカラーをあえて前面に出さない監督さんである。

その山田監督が本作では、ついに「吠えた」と僕は思った。

物語の重要な舞台である、愛らしい赤い瓦屋根の小さなお家。その家にも戦争の惨禍が襲ってくる。

山田洋次監督は、残酷にも、この家を焼夷弾の嵐にさらすのである。

どんな愛しいものであっても、無差別、無慈悲に襲いかかる悲惨な状況、その表現こそ、

「何があっても戦争は許さない」という山田洋次監督の、極めて強いメッセージである、と僕は思う。

アニメ界の巨匠、宮崎駿監督は「風立ちぬ」で、戦争に突き進む時代と、そこを懸命に生き抜いた人物像を描いた。同じように、時代の流れを敏感に感じ取るセンサーとして、山田洋次監督は、この作品をあえて「今、撮らねばならない」と思ったに違いない。

その強い覚悟を感じる秀作である。

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天見谷行人の独断と偏見による評価(各項目☆5点満点です)

物語 ☆☆☆☆

配役 ☆☆☆☆☆

演出 ☆☆☆☆☆

美術 ☆☆☆☆

音楽 ☆☆☆☆

 

総合評価 ☆☆☆☆

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作品データ

 

監督   山田洋次

主演   松たか子、黒木華、吉岡秀隆、妻夫木聡

製作   2013年 

上映時間 136分

 

予告編映像はこちら

 

https://www.youtube.com/watch?v=u2s9MKDnhNA

 

 

邦画部門第2位 蜩の記

2014年10月12日鑑賞

武士ならば弱いものを守りなさい

 

佇まいの良い作品だなぁ~。監督は小泉堯史氏である。

この人は山本周五郎原作、黒澤明監督の遺稿「雨あがる」を監督した。

僕は原作を読み終えた後、しばらく涙が止まらなかった。

ありふれた「市井の人たち」を映画作品として撮る。

しかし、ありふれたひとたちであっても、人の事を思いやる、弱い人の心に寄り添う。そんな生き方が出来る人は、それだけであっても、今の世の中、映画の主人公として撮る価値がある。

本作を観終わった後、小泉監督が表現したかった事が、自分の腹の奥底の方に、ストンと落ちてゆく。

後味が清々しく、美しい作品である。

どこかの国のエラい人が「美しいニッポン」と言った。

「ゲンパツ」とかいう「ホーシャノー」を垂れ流す「巨大湯沸かし器」は

「コントロールできています」と言いきった。

こういう人たちはきっと、「人の事を思いやる、弱い人の心に寄り添う」よりも「自分の出世を思いやる、そのためには、より強い人に寄り添う」のだろう。

そういう人たちに、この作品を見せてあげたいと思う。

まともな人間なら、きっと自分の生き様に「恥」を感じるだろう。

この映画の主人公のように三年先と言わず、今すぐ

「腹を召されよ!!!」

と厳に申し上げたい。

本作の主人公、戸田秋谷(とだしゅうこく・役所広司)は不祥事を起こし、三年後に切腹する運命を受け入れている。

今は自宅蟄居の身だ。その見張り役として、藩から命を受けたのが岡田准一演じる、壇野庄三郎である。壇野は、戸田の逃亡など、不審な行動がないかを常に監視する。しかし、壇野がそこで見たのは、同じ武士として、戸田が極めて尊敬すべき人物であったことだ。

彼は一つの疑問を抱くのである。

本当にこの戸田が「藩主の側室と一夜を共にした」という、驚嘆すべき大罪を犯した人物なのか?

やがて壇野庄三郎は、藩の根幹を揺るがすような事実を知るのだが………

この作品で特筆すべきは、何よりも美しい絵心だ。端正でしっとりとしている。しかし、決して浮つかず、がっしりとした「絵」をスクリーン上に投影させている。小泉監督は、黒澤明監督によって鍛え上げられた、いわゆる「黒澤組」出身である。本作の絵の美しさは、その黒澤作品を上回るのではないか? とさえ思えるほどだ。

かつて黒澤監督は映画の事を「シャシン」と呼んだ。

映像を、キャメラのレンズを通してフィルムに焼き付けること。その、なんとも手作業の感覚が、大切に大切に、小泉監督に受け継がれている感じがする。

スクリーンに映る、日本の風景。日本の家並み。そしてなにより、質素ではあるが、毎日の暮らしを丁寧に、丁寧に生きていた、江戸時代の「ニッポン人」そして「武士」の姿が印象的だ。

私は決して武士の生き方や、所作を美化しようとか、誉め称えようなどとは、これっぽっちも思わない。

「仏作って魂入れず」と言うたとえがある。

いくら武士として武術が優れようが、その所作が寸分なく完璧であろうが、関係ない。

自分より身分の低いもの、立場的に弱い者。そういった人たちに罪を被せたり、辛い暮らしを負担させたりする者は、すでに武士のココロを失っている。

「美しいニッポン」とか言っているエラい人や、どこかの大都会に「世界の運動会」を呼んだぞ!!と浮かれている人々よ。

武士ならば「弱いものを守ってこそ武士」である事をお忘れなく。

 

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天見谷行人の独断と偏見による評価(各項目☆5点満点です)

物語 ☆☆☆☆

配役 ☆☆☆☆

演出 ☆☆☆☆☆

美術 ☆☆☆☆☆

音楽 ☆☆☆☆☆

総合評価 ☆☆☆☆

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作品データ

監督   小泉堯史

主演   役所広司、岡田准一、堀北真希、原田美枝子

製作   2014年 

上映時間 129分

予告編映像はこちら

https://www.youtube.com/watch?v=aS00mZIHWmo

 

邦画部門第1位 該当作なし

 

 

洋画部門第5位 アナと雪の女王

2014年3月17日鑑賞

「人を想う心」は凍らせないよ

 

第86回アカデミー長編アニメ映画部門で、宮崎駿監督の「風立ちぬ」を抑えて、見事オスカーを勝ち獲った本作。いったいどれほどの素晴らしい出来映えなのか? 2D版を劇場で鑑賞して参りました。

とある王国でのお話。

美しい二人の王女がおりました。

妹の名はアナ(声優 神田沙也加)お姉ちゃんはエルサ(声優 松たか子)この王位継承権をもったエルサには秘密があります。

ある魔法を使えるのです。急逝された国王に代わって、王位につく事になったエルサ。彼女は心配でたまりません。

もし、自分の魔法が国中の人々に知られてしまったらどうしよう……。

そんな事も知らぬ妹アナは、姉の戴冠式に招かれた、12人兄弟の末っ子の王子に一目惚れ。いきなり、この初対面の王子と結婚する、と言い出します。それを知ったエルサは激怒します。

「何考えてるの? 絶対にダメ!! 私は許しません!」

その怒りが、固く封じ込めていた魔法の封印を破ってしまいました。激情は幾千の氷の刃となり、人々を驚かせます。王宮はもとより、噴水までもが、一瞬で凍り付きます。エルサの魔法は国中を吹雪にしてしまいます。戴冠式は正に一瞬で凍り付きました。エルサは王宮から逃げ出し、たったひとりぼっちで険しい山に籠ってしまいます。

妹のアナは心配でたまりません。姉が封じ込めていた魔法を使わせてしまった。その原因を作ってしまったのはアナなのです。姉さんは私より、もっと、もっと、辛いに違いない。そう思ったアナは猛吹雪の中、姉エルサが魔法で作りあげた、凍てつく氷の宮殿を目指すのでした……。

と言う訳で、この作品、ミュージカル仕立てなんですね。

劇中歌を歌う、神田沙也加さんと松たか子さんの歌声。

これが、あまりに素晴らしすぎて、私みたいな中年おじさんは「う~ん?!」と首を傾げてしまうんですね。こんなに歌えるヴォーカリストは、ミュージカル専門の劇団でも、そうそういないでしょう。そう思って、疑り深いおじさんは、早速、お二人の別の楽曲を聴いてみたのです。

衝撃!! 

「ああ~、やっぱり、歌、上手かったのね~!」

ようやく納得。神田沙也加様、松たか子様に、お詫びの意味もこめて音楽は☆☆☆☆☆五つ星です!!

劇中、アナと一緒に氷の宮殿を目指す事になる、山男のクリストフとトナカイ、それに雪だるまの「オラフ」

この道化役であり「雪の精」とも言えるオラフは、かなりのハイテンションな演技。まさか声優が、ピエール瀧さんだったとは気がつきませんでした。

もちろん、本作はディズニー製作のアニメだけあって、子供から大人まで楽しめます。

ウィキペディアで調べたら、ピクサーってディズニーに2006年買収されているのですね。本作の総指揮はジョン・ラセター氏が担当。

彼が手がけた、世界初のフルCGアニメ「トイ・ストーリー」は大ヒットしましたね。

しかし、当初、僕は「しょせん、コンピュータで作った、人工的な画面」とタカをくくっていたのです。しかし、後にピクサーの「レミーのおいしいレストラン」を劇場で鑑賞したとき、衝撃を受けました。

あまりに美しい、パリの夜景に素直に感動いたしました。

本作での作画技法は、絵画の領域とは別の、CGでしか表現できない領域に達したのでは? と思わせるほどの出来映えです。

僕が最も感動したのは「氷」の表現でした。

湖の氷を切り出すシーンがあります。切った氷の断面に光が通り抜けてゆきます。その複雑な光の屈折。実写でも、ここまで見事に氷の質感と透過する光を、カメラに収めるのは至難の業でしょう。更には凍り付いた床の表現では、その表面に、うっすらと、きめ細かな霜がついているところまで分かりますね。また、エルサの宮殿では、クリスタルのような、きらめき輝く、壮麗で精緻な氷の建築を観る事が出来ます。

エルサはこの誰も近づけない、氷で閉ざされたお城に、一人閉じこもります。彼女の”孤独”と”閉ざした心”を象徴するもの。それがまさしく凍てつく「氷」なんですね。

その氷を溶かし、エルサの心に春を呼ぶものは……。

僕が映画を観るとき、いつも注目すること。

「この映画は、どういう精神、どういう哲学の元につくられているか?」

本作は「人を想う心」を大切にしたい、という作り手の”固い信念”が感じられます。そこは大変明快に、子供達にも分かるように描かれております。

過去、一連のピクサー・ディズニーアニメ作品。

「Mr・インクレディブル」では元ヒーロー達の悲哀を感じました。

「レミーのおいしいレストラン」では「フランスのエスプリ」を楽しませてくれました。「ウォーリー」では、おんぼろロボットが主人公。彼は人間によって出された命令を忠実に守って、何百年もの間、もくもくと廃棄物処理を続けてきたのです。この作品には哲学的な香りさえ感じました。そして、最新のCGテクノロジーは、本作「アナと雪の女王」で、美しさの極限にまで達したように感じます。

僕は2D版で鑑賞しましたが、3Dでも観てみたいものです。まだまだ、映画の進化は止まらないのでしょうね。

 

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天見谷行人の独断と偏見による評価(各項目☆5点満点です)

物語 ☆☆☆

配役 ☆☆☆☆☆

演出 ☆☆☆☆

美術 ☆☆☆☆☆

音楽 ☆☆☆☆☆

 

総合評価 ☆☆☆☆

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作品データ

 

監督     クリス・バック、ジェニファー・リー

日本語版声優 神田沙也加、松たか子、ピエール瀧   

製作     2013年 アメリカ

上映時間   102分

 

予告編映像はこちら

「アナと雪の女王」予告編

 

洋画部門第4位 ベイマックス

2014年12月25日鑑賞

荒廃した日本にベイマックスを

 

観てよかた! 僕が鑑賞した劇場では多くの子供達の笑顔に出会えました。当初、全く観る予定がなかったのです。というのも、ずいぶん前にチラシや予告編で主役キャラのロボット「ベイマックス」を見かけました。僕は何の魅力も感じなかった。なんで、主役キャラがこんなにもブサイクなんだろう?

無味乾燥な色とデザインなんだろう?

「どうも、ディズニーのスタッフは日本人の感性を誤解しているようだ」とさえ思いました。

何しろ、本作はディズニーのスタッフが日本の文化、漫画、アニメへの強烈な敬愛の念を込めて作った、という触れ込みだったからです。

実は、ひねくれていたのは、僕の方でした。どうせ脳天気で楽観主義者のアメリカ人が作った、ありきたりなヒーロー物の子供向けアニメだろう、などとハスに構えて傍観していたのです。その僕の予想はいい意味で「ちゃぶ台返し」のようにひっくり返りました。

本作は見て損はない作品です。

物語の主人公ヒロ(本城雄太郎)は天才的な才能を持つロボットオタクの少年です。ロボット同士の賭け試合をやって、こっそり、賞金稼ぎのアルバイトをしたりしている。

「おまえ、そんなことやってるなら、オレの大学でロボットを学べ」と勧めてくれたのがお兄ちゃんのタダシ(小泉孝太郎)です。

早くに両親を亡くしたのか、彼らはカフェを営むキャス叔母さん(菅野美穂)のもとで暮らしています。

やがてヒロが作った新型ロボットが大評判。タダシの担当教授の推薦もあって、ヒロはお兄ちゃんの大学へ入学が許されます。

憧れていた大学、ロボット研究室に入ったヒロ。そこには変わったロボット、けったいなキャラの学生たちがいっぱい。その中でお兄いちゃんの開発しているのが、ケアロボットの「ベイマックス」ふわふわの真っ白な風船を組み合わせたようなロボット。見た目ははっきりいって、ぜんぜん「COOL!!」じゃないんですね、これが。なんとも野暮ったい。でもその隠された機能は抜群!

 

ある日、大学で大火事が発生。ヒロはこの火事で、たったひとりの家族である、兄のタダシを亡くしてしまいます。残ったのはロボットのベイマックスだけ。しかも、ヒロの作った画期的な新型ロボットまでもが何者かによって奪われてしまいます。兄さんの命を奪った火事と、盗まれたヒロのロボット。これはどこかでつながっているのか? 

ヒロとベイマックス、大学の仲間たちは協力して、この大事件の真相に迫ろうとするのですが……

以前から僕は、ハリウッドのアクション映画や、VFXを多用したCG映画に否定的で、軽蔑さえしていました。

しかし、本作ベイマックスを観終わって、偏見の目でCG映画を否定することはやめよう、と思いました。

なぜなら、CGということを全く意識させないほど、作品の描く世界にぐいぐい引き込まれていったからです。

コンピューターグラフィックは、あくまで道具であり、表現手法の一つです。画家で言えば「絵筆」と「絵の具」にあたります。

表現者の根底に流れる、血の通った芸術への哲学と魂。その背骨さえ曲がっていなければ「どんな道具を使おうが自由」「何を描いても自由」「どう表現しても自由」

そういった「自由な表現」が守られることこそが大事なのだ、と遅まきながら思い知らされました。

ところでクラシック音楽では、冬のこの時期にピッタリ「くるみ割り人形」という作品があります。

その中の一曲「花のワルツ」

花のワルツ、小澤征爾指揮ベルリンフィル

試しにクラッシックなど聴いたことのない子供たちに聴かせてあげたいと思います。

なんでこんなに美しいのだろう! 

なんでこんなに愛らしいのだろう! 

まさか、こんなカワイイ楽曲が、ひげもじゃらのチャイコフスキーという、オッサンによって作られたなんて!!

「花のワルツ」という楽曲は作曲家の手を離れ、すでに普遍性を持っているのです。美しいものは美しいのです。大人も子供も楽しめる楽曲なのです。

話がだいぶ脱線しました。

本作「ベイマックス」のCG表現は申し分なく素晴らしい。本作は「誰でもわかる作品」「子供と大人がともに楽しめる」映画作品、背骨の曲がっていない魂と哲学を持ち合わせた作品だと思うのです。

それを突き詰めていけば結局のところ

「おもしろい!!」の一言に尽きるのです。

多くの芸術家が自由自在に絵筆を操り、楽器を演奏し、原稿用紙にペンを走らせたように、CGクリエイターたちは、本作において思う存分にその才能を発揮させています。コンピューターで作られた映画であろうが、もうそんなことはどうでもいい時代に入ってきました。

本作は日本のマンガ、アニメに代表される日本文化への敬愛の念が随所に見受けられます。街の風景もどことなく日本の街角を思わせます。心優しいケアロボット、ベイマックス。ラストシーンでは主人公ヒロを守るその健気な自己犠牲の精神に、自らは燃え尽きて、地球にカプセルを送り届けた、あの小惑星探査機「はやぶさ」の帰還をオーバーラップさせる人も多いと思いますね。

おっと、これはネタバラし寸前ですな。でも、エンディングはアメリカ人が作ったであろう、ひとひねりを加えたハッピーエンディングが待ってます。

えっ、なに? 

「ハッピーエンドなんぞ深みがない?」

 何で良くないんです?ハッピーエンド。大いに結構じゃありませんか。現実の世界、そしてニッポンという国は、一家に一体ケアロボットのベイマックスが必要なほど、すさんで、疲れ果て、荒廃しきっているのですからね。

なお、エンドロールは最後まで見たほうがいいですよ。素敵なプレゼント映像が待ってます。

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天見谷行人の独断と偏見による評価(各項目☆5点満点です)

物語 ☆☆☆☆

配役 ☆☆☆☆

演出 ☆☆☆☆☆

美術 ☆☆☆☆☆

音楽 ☆☆☆☆

総合評価 ☆☆☆☆

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作品データ

監督   ドン・ホール、クリス・ウィリアムズ

主演   スコット・アツィット、ライアン・ポッター

日本語版 本城雄太郎、川島得愛、菅野美穂、小泉孝太郎

製作   2014年 アメリカ

上映時間 102分

予告編映像はこちら

ベイマックス予告編

 

洋画部門第3位 チョコレートドーナッツ

2014年5月29日鑑賞

解き放て、命の美しさを

 

この作品は2014年、最も美しい人間達のドラマだ。

その美しさは「アナと雪の女王」よりも輝いている、とさえ僕は思う。

何が美しいのか?

人間の心である。

作品の精神である。

この作品を形作る全ての要素が美しいのだ。

これは、ある男性二人が、ダウン症の少年をひきとり、育てる話だ。

ただ、この男性二人は世間の偏見にさらされている。

二人はホモ・セクシュアリティーなのである。

時代は1979年、今よりも、よほど同性愛について偏見のきつい時代の話だ。

二人の元に身を寄せる少年マルコ。

彼の父親について、この映画ではよく語られていない。また、その必要も無いだろう。マルコの育ってきた環境は、一見するだけで劣悪極まりない場所だと分かる。母親は麻薬中毒、いわゆるジャンキーである。薬を射ち、ラリって男を連れ込んでいる。その間、マルコに居場所は無い。部屋の外で事が済むまで待つしか無いのだ。母親は恐ろしい音量でガンガン、ロックを掛けまくる。騒音、爆音の洪水の中で彼女はSEXに溺れる。

隣の部屋に住むのが、ゲイバーでダンサーをやっているルディ。「仕事中」はセクシーな衣装で女装し、派手な化粧もしている。

ステージに立つ彼は、店にやってきたある男性に一目惚れする。男性はお固い法律事務所に勤める、エリート社員ポールである。二人はやがて「男と男」の恋愛関係に陥る。

さて、ルディは隣の部屋からの騒音に堪えかね、怒鳴り込む。その顔は、化粧を落とし、無精髭が見える。どこからみたって、むさ苦しいおっさんである。爆音が鳴り響く部屋で彼が見たのは、耳を抑えておびえたように部屋の片隅ですくんでいる小太りの少年、マルコだった。

その後母親は、麻薬所持で逮捕。ある日、ルディは夜の街を彷徨っているマルコを見つける。

「この子をほうっておけない」

ルディとポールは二人で、ダウン症の少年、マルコを育てようとする。

マルコが二人の部屋に保護された時のシーン。

「ここ、ぼくのおうち?」

「そうだよ。これから僕たちは家族だよ」

体をふるわせて、喜びの涙を流すマルコ。

このシーン、マルコとルディの背中ごしのショットである。

正面からマルコの喜びや悲しみや安堵の表情は撮らない。

あくまで、マルコの震える背中、それだけで、彼の育ってきた環境、苦しみ、悲しみ、救い、喜び、全てを表現しきっている。

この監督の手腕の素晴らしさ、表現の的確さに、僕は賞賛の拍手を惜しまない。

他にも「このシーンはそろそろカットをかけてもいいな」と僕が思った瞬間、次のカットに移っている。通常、自己主張の強い監督であるならば、観客の意向など無視して、自分の趣味のカットや、意味のない「長回し」などをしてしまう。本作ではそれが一切無い。しかも編集が見事だ。シーンとシーンの長さ、つなぎに全く違和感がない。ただ、ひとつ僕が注文を付けるとすれば、本作がほぼ全編、手持ちカメラで撮影されている事だけだ。ただ、作品があまりにも魅力的であるだけに、手持ちカメラ特有の、ぶれる画面もさほど気にはならない。

さらには、音楽の使い方、そのセンスの良さには驚くばかりだ。

ルディの歌声にも是非注目してほしい。

さて、障害を持つ子供と、ホモ・セクシュアリティーの男性二人は、ひとつの家族として認められるのか?

映画の後半、アメリカ映画お得意の法廷場面となる。

僕はこの作品を見ながら、チャップリンの「キッド」を思い出していた。貧しい浮浪者の元で暮らす児童は「適切な処置」が必要。そこでお役人は、チャーリーから子供を取り上げ、孤児院に送ろうとする。それを必死で取り戻すチャーリー。

チャップリンの「キッド」はハッピーエンドで締めくくられるお話である。

本作のマルコもハッピーエンドのお話が大好きだ。マルコが夜、寝付くとき、ルディにおとぎ話をせがむ。そしてルディは「ハッピーエンド」のお話を語って聴かせる。そこには子供を思いやる、保護者としての美しさと崇高さがある。

しかし、世間や、一般常識や、法廷と言う場所は「美しさ」や「思いやり」などの人間性を評価する場ではなく「異端者達」を排除する場所であった。

ルディとポールが見守る夕餉の食卓。大好きなチョコレートドーナッツを一口、頬張るマルコ。マルコはにっこり微笑む。

「ありがとう」

ダウン症という障害を持つマルコの微笑み。そのあまりの清らかさ、たとえ障害をもった命であっても、その命に宿された崇高な美しさは、やはりスクリーンで体験すべきだろう。

 

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天見谷行人の独断と偏見による評価(各項目☆5点満点です)

物語 ☆☆☆☆☆

配役 ☆☆☆☆

演出 ☆☆☆☆☆

美術 ☆☆☆☆

音楽 ☆☆☆☆☆

総合評価 ☆☆☆☆

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作品データ

監督   トラヴィス・ファイン

主演   アラン・カミング、ギャレット・ディラハント

製作   2012年 アメリカ

上映時間 97分

予告編映像はこちら

 

https://www.youtube.com/watch?v=uAeb4Ze3fKk

  

洋画部門第2位 鑑定士と顔のない依頼人

 2014年1月5日鑑賞

 やられた!!まさかの傑作!

 

まさに、やられた!!である。 まさか、年明け早々、こんな傑作に巡り会うとは思わなかった。観終わって、劇場のロビーに飾られていた、本作紹介のプレゼンボードを見つめた。そこに記された「監督 ジュゼッペ・トルナトーレ」の文字に向かって

「やってくれましたね、監督」とおもわずつぶやいてしまった。

衝撃の結末はどうぞ皆様、劇場で大いなる驚きをもって味わっていただきたい。ここまでうまく観客全員を騙し通せた、ジュゼッペ・トルナトーレ監督の手腕に、僕は拍手を惜しまない。

本作を今年の映画初め、鑑賞初め、映画レビュー初めに選んだ自分を褒めたくなる。そんな高揚した気分だ。これほどの傑作を、いきなり年明け早々に鑑賞した興奮がまだ収まらない。

主人公の鑑定士、ヴァージル・オールドマンは、まさに”超”がつくほどの、世界一流の美術鑑定家である。富豪たちや著名な美術コレクター達が集まる、美術オークションの司会進行役を務める。これを競売人、オークショニア、と言うんだそうですな。初めて知りました。

まあ、美術に疎い僕なんかからすれば、なんでこんなモンに何千万、何億という値打ちがつくのか,よく分からないのだが、世界の超一流のオークションとなると、それこそ、何億円単位の取引が、当たり前のように整然、粛々と進められている。そういったオークションの成功の鍵を握るのがオークショニアの存在である。

主人公ヴァージルは、オークショニアの才能だけでも超一流なのだが、それ以上に彼は、際立った美術鑑定眼、天才的としか言いようのない「ホンモノ」と「ニセモノ」を見分ける才能と知識を持ち合わせているのである。

「これは17世紀に作られた有名な贋作ですな……。まあ、それなりの価値はございますが」などとサラリと鑑定してみせる。その贋作でさえ、当然時代を経た価値があるので、何千万円というお値段がつけられる。もし本物であれば、おそらく、その数十倍の価値だろう。彼の日常は、こういう、とんでもないお宝美術品と、四六時中つきあい続ける事で成立している。

そんな彼に一件の鑑定依頼が舞い込んだ。

依頼主は資産家の娘からだった。自分の古い屋敷にある、すべての家具調度品、美術品を鑑定し、良い条件で売り払ってほしいというのだ。彼は依頼主の屋敷を訪れる。しかし、奇妙な事に依頼主は姿を見せない。電話で聴いたのは、確かに若い娘の声だ。

時代を経た、ロココ調(でいいのかな? 間違ってたらゴメンしてね)の部屋。その壁の中から小さな声が聞こえる。依頼主は壁の中にいたのだ。しかし驚いた事に、若い女性依頼主は、その壁の中から絶対に出たくない、姿を見せたくないと言い張る。

やむ終えない。ヴァージルは資産の鑑定、および売却に関する説明や契約書へのサインなど、事務手続きをすべて壁越しに行うのである。

この謎めいた依頼主と屋敷、そして美術品オークションはどうなるのか?

この作品、一回観ただけでは、もったいない。

ぜひ、二度三度観て、その登場する美術品の数々を、じっくり味わいたいと思う。それだけでもこの映画を見る価値がある,と私は思う。

さらには音楽だ。

これがいい。

巨匠、エンニオ・モリコーネの音楽が正に絶品!!

映画を邪魔する事なく、さりげない風景画のように流れている。そこには自己顕示欲にまみれた作曲家の主張が一切ない。モリコーネの音楽は、いつの間にか、この謎めいた作品世界の中へ、われわれ観客を運んでゆく。それはまるで大河の流れに、ゆったりとたゆたう、船に乗り合わせたかのようである。

キャスティングも、ほとんど究極とも言えるチョイスだ。主役のジェフリー・ラッシュがいいねぇ。天才にありがちな我が儘さや、潔癖性、偏屈、それでいて物腰は優雅で紳士的。もちろん、自分の仕事と、社会的地位、それに自分しか持ち合わせていない才能に、大いなる自信を持っている。そういう人物像を見事に演じ上げた。

彼の商売の相方、ちょっとくせ者の美術商、ビリーにドナルド・サザーランド。この人もよかったねぇ。

彼は天才鑑定士ヴァージルと組んで、オイシイ利ざや稼ぎをしているのである。なにせ世の中には、ヴァージルしか真贋を判定できない美術品なんてものが存在する。本物をあえて偽物と判定してもらってオークションに出品し、安値でビリーが競り落とす。その後、本物の値段でコレクターに売り渡すのだ。以前、僕は営業マンをやっていたとき「商売ってのは生まれ持ったセンスだなぁ」と感じるときがよくあったが、まさにこういう抜群の商売センスを持った人物には、とても素人は叶わないなと思わせられる。

この映画の魅力は数少ない言葉では言い尽くせない。是非とも、あなたご自身の心の眼と感性で、この映画に潜む、深くて濃い、さまざまな要素を味わい尽くしてほしいと思う。その上で、私の映画レビューの”真贋”をご判断していただくのも一興かと思う。

 

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天見谷行人の独断と偏見による評価(各項目☆5点満点です)

物語 ☆☆☆☆☆

配役 ☆☆☆☆

演出 ☆☆☆☆☆

美術 ☆☆☆☆☆

音楽 ☆☆☆☆☆

 

総合評価 ☆☆☆☆

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作品データ

 

監督   ジュゼッペ・トルナトーレ

主演   ジェフリー・ラッシュ、シルヴィア・フークス、

     ドナルド・サザーランド

音楽   エンニオ・モリコーネ

製作   2013年 イタリア

上映時間 131分

 

予告編映像はこちら

http://www.youtube.com/watch?v=6oeE9w_w6Ak

 

洋画部門第1位 ジャージー・ボーイズ

2014年10月23日鑑賞

なんて素敵な映画なんだろう

 

ああ、なんて素敵な映画なんだろう。

これを観たら「アナと雪の女王」さえ、かすんで見えてしまう。

ああ、なんて素敵な音楽映画なんだろう。

監督は、あの人です。

もう、映画界の巨匠と言っていいでしょうね、ここまで来ると。

クリント・イーストウッド監督であります。

クリント監督は「ハズレ」が、まあ、ほぼ、ないんです。

クリント監督の作った作品なら、どんな作品でもそれなりに面白い。

感動したり、泣けてきたり、複雑な感情を、いともたやすく映画の中に絶妙なブレンドで溶け込ませてくれる。

それは、とびっきりうまい、香り高いコーヒーを飲む時のよろこびや、極上のお酒をチビリとやって「うまいなぁ~」と舌を鳴らして感嘆する。そんな極上の時間を演出してくれるのです。

僕は以前、映画館で本作のチラシが置かれているのを観ました。

棚の下の方にひっそりと置かれていました。

チラシの片隅に四人の若者達。

暗がりの中、路上で、スポットライトを浴びてコーラスしている。

全然目立たない、これで宣伝用のチラシなの? と疑うような地味なチラシでした。

手に取ってみると、小さな文字で「監督 クリント・イーストウッド」とありました。

「うそでしょ?!」

もっと派手に宣伝しなさいよ! と思いました。同時に、これは絶対に観に行こうと思いました。

結果。観て損はありませんでした。

もう一度1800円払ってでも「もう一回観たい!!」と思わせてくれました。

僕みたいなヘタクソな物書きの感想文読んでる暇があったら、さっさと映画館へ鑑賞しに行ってくださいませ。

この映画を観るには、出来れば、とびっきりお洒落してゆくといいですよ。恋人やご夫婦で観るもオススメです。

観終わったら、美味しいワインでも傾けながら、この映画をお二人で語り合う、なんてのもいい趣味ですね。

本作は1950年代から60年代にかけて、まさにアメリカン・ポップスを席巻した「ザ・フォー・シーズンズ」というコーラスグループの結成のいきさつから、その解散、そして現在までを描いたものです。

2時間あまりの中に、それだけの内容を詰め込むのは無理があるのでは? とお思いでしょうが、そこはアナタ、巨匠「クリント監督」なんですよ。

脚本は抜群の出来。ストーリーは実によどみなく進みます。しかし、重要なポイントはじっくり描かれてます。

メリハリが効いてるんですね。だから、観ている観客は全然疲れない。

「ザ・フォー・シーズンズ」のメンバーはニュージャージー州の、ありふれた田舎町の不良少年でした。

どっかから、くすねてきたグッズを売りさばいては、それで遊ぶ金を稼いだりしている連中でした。

ただ、彼らの幸運は、たまたまメンバーだったフランキー・バリ(ジョン・ロイド・ヤング)の声が、実に「イカしていた」ことです。

彼の甘ぁ~い裏声(ファルセットといいますね)は、クラブの女の子達を虜にしちゃいます。誰もがうっとりする歌声。その声を聞いて、これも一人の才能あふれるピアノ弾きの若者が「ぜひ、こいつと組んで、バンドをやりたい」と思いたちます。こうして結成されたのが「ザ・フォー・シーズンズ」

やがて彼らはメジャーデビューを果たします。

レコードは売れる、売れる!! テレビ、ラジオには引っ張りだご。コンサートのチケットは即「SOLD OUT!!」

お金が入ってきます。

高級車も買った。群がりよってくる女の子は選び放題。

まさに、アメリカンドリーム、これこそ、サクセスストーリーの王道!!

と、思いきや、彼らにある災難が降り掛かります。それは彼らのグループ活動はおろか、人生を狂わせるほどの、深刻な事態でした。グループはあわや解散と言うところまで追い込まれるのですが……

本作を観ていて、ぼくはまるでコンサート会場にいるような錯覚を覚えました。本作で使われる音楽はまさに極上。

クリント監督は、自身でも作曲するほどの音楽好きで知られていますね。

音楽への造詣が深い、それも映画音楽について熟知している。

どこでどんな音楽を使ったら、この映画はもっと「美味しくなる」のか?

それをクリント監督は、もうねぇ、知り抜いてるのね、この人。

だからこれだけ素晴らしい音楽映画を作れたんですね。

アメリカンポップスを題材にした映画と言えば

ジェイミー・フォックス主演の「Ray」やマイケル・ジャクソンのドキュメンタリー映画「THIS IS IT」などがすぐに想い浮かびます。

これらがお好きな方には、本作はきっと受け入れられるでしょう。

どうぞ映画館で、素敵な4ビートの”ヨコノリ”で、スウィングしちゃってください。楽しい作品ですよ、

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天見谷行人の独断と偏見による評価(各項目☆5点満点です)

物語 ☆☆☆☆

配役 ☆☆☆☆

演出 ☆☆☆☆☆

美術 ☆☆☆☆

音楽 ☆☆☆☆☆

総合評価 ☆☆☆☆

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作品データ

監督   クリント・イーストウッド

主演   ジョン・ロイド・ヤング、エリック・バーゲン

製作   2014年 アメリカ

上映時間 134分

予告編映像はこちら

 

https://www.youtube.com/watch?v=hpBPUapfxag 

 



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