目次
はじめに
本書について
著者紹介
タイトル一覧
駅名いろいろ
荒川二丁目、天神橋筋六丁目...丁目駅
三十八社、五十鈴川...数字が入る駅
つきのわ、ハーモニーホール...表記が「かな」「カナ」のみ
西川緑道公園、有明テニスの森...公園、テーマパーク、スポーツ施設など
湯の川温泉、和倉温泉...温泉駅
武庫川団地前、越谷レイクタウン...住宅地関係
赤土小学校前、研究学園...学校・学園など
鉄道博物館、陶磁資料館南...施設・建物関係
駅前、国際会議場前...前(まえ)で終わる駅
函館どつく前、三越前...企業名が入る駅
市役所前、県庁前...表記が同じ駅
近鉄富田、京急長沢...鉄道会社の略称で始まる駅
金上、高田の鉄橋...金属系
JR俊徳道、上野広小路...道、路で終わる駅
仙台空港、羽田空港国際線ターミナル...空港駅
大船、大湊...船と舟、港と湊
湯浅、浅海...さんずいへんの漢字2字駅
鶴崎、亀有...動物系
桜上水~芦花公園...桜や花や
笠松、梅坪...松・竹・梅
季節関係
青山、白山...色彩駅
山崎、池田...苗字駅
大宝、延徳...元号駅
西新井大師西、東北沢...方位駅
琴電琴平、世田谷代田...一つの駅名に漢字複数
伊勢中川、美濃太田...旧国名駅(1)
淡路、日向...旧国名駅(2)
福島、香川...その県にない県名駅
三宮・花時計前、元町・中華街...「・」が入る駅
やながわ希望の森公園前、千葉ニュータウン中央...長い駅名
原、津...漢字一字駅
原向、向原...入れ替え可能な漢字2字駅
ステップアップ「駅名力」
御茶ノ水~水道橋...駅名でしりとり
小中、上小田井...大中小または上中下
川島、玉戸、下館、新治、大和...2文字駅が続く区間
栗橋~古河~野木...3駅で3県
春日野道、御影...離れた場所にある同エリア・同名駅
高井田と高井田...遠く離れた同名駅
蒲郡競艇場前と三河塩津...異名隣接駅
同字異音駅
同音異字駅
難度の高い臨時駅
本宮、白井...新しい市の名称が駅名と一致
駅がなくなり、駅名漢字もなくなり...
駅名からはわからない地下駅
大手私鉄の駅名平均字数
駅数いろいろ
駅数が多い市区など
駅のよみ、1文字目で多いのは...
駅名漢字、数が多いのは...
付録
2015年春、駅や駅名の変化
奥付
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駅前、国際会議場前...前(まえ)で終わる駅

 


 何はなくとも、「前」(まえ)を後ろに付けることで駅名になるケースは多く、地名としての『川前』(JR磐越東線)、『山前』(JR両毛線)などを含め、「~前」となる駅名は、338に上ります。(写真は、豊橋鉄道東田本線の「駅前」、富山地方鉄道市内軌道線の「国際会議場前」です。)

 「○○駅前」や「○○寺前」などを含め、4文字で「○○○前」となる駅は、全国に81あります。公共施設に限っても、『警察署前』(伊予鉄道城南線)、『公会堂前』(長崎電気軌道)、『試験場前』(西鉄天神大牟田線)、『郵便局前』(岡山電気軌道)など多様です。

 『裁判所前』というのもありそうですが、現存しません。福井鉄道福武線にあった『裁判所前』電停は、2010年3月に改称し、今は『仁愛女子高校』になっています。

 「裁判所」が付く駅としては、広島電鉄白島線の『家庭裁判所前』電停があります。広島電鉄は、「~前」の宝庫で、『佐伯区役所前』『南区役所前』の区役所系、『山陽女子大前』『鈴峯女子大前』の女子大系、『県病院前』『日赤病院前』の病院系と組合せも多彩。臨時駅の『競艇場前』も合わせると、18の「~前」(まえ)駅があります。注意を要するのは、同じ広島電鉄の宮島線にある『地御前』。勢いで「じごまえ」と読んでしまいそうですが、「じごぜん」です。

 「~前」であって、「~まえ」ではない駅は、『地御前』のほかに、『中央弘前』(弘南鉄道大鰐線)、『松前』(まさき-伊予鉄道郡中線)、『房前』(ふさざき-高松琴平電気鉄道志度線)など、全部で9駅あります。


函館どつく前、三越前...企業名が入る駅

 


 「~前(まえ)」は、企業名との組み合わせでもよく使われます。企業名が出てくる駅名の場合、トヨタ発祥の『豊田市』のような例もあるので、「前」が後ろに付くものに限って、企業名にまつわる駅名を抜き出してみました。(『島鉄本社前』『広電本社前』など、鉄道会社の分は除く。)

 駅名とは言え、忠実に社名の表記に合わせる必要があるため、表記と実際の読みとが異なる場合が出てきます。函館市電の『函館どつく前』(はこだてどっくまえ)、岳南電車の『ジヤトコ前』(じゃとこまえ)が好例です。

 限りなく企業名に近い例としては、福井鉄道福武線の『ベル前』があります。「ベル」は、「ショッピングセンター ベル」から来ているため、正確に言えば「商業施設名駅」ですが、運営会社の社名が表に出てこないため、「社名駅」ととらえられてもおかしくはありません。基本的には無人駅ですが、利用客は多く、2010年3月から急行が停まるようになりました。

 店舗名が出てくるケースもあります。扱いとしては副駅名ですが、富山ライトレールには『粟島(大阪屋ショップ前)』、万葉線には『米島口(アルビス米島店前)』があり、高松琴平電気鉄道琴平線には、 2013年10月に『綾川(イオンモール前)』が新たに開業しました。万葉線には、企業名が副駅名に入る『荻布(日本ゼオン前)』もあります。

 「前」が付かない企業関係の駅名としては、『スクリーン』(近江鉄道多賀線)が代表的。駅の南側に「大日本スクリーン製造」があり、同社が設置費用を負担して2008年にできました。駅北側にはブリヂストン彦根工場もあります。

 

駅名 都県名 路線
アスモ前 静岡 天竜浜名湖鉄道
インテック本社前 富山 富山ライトレール
旧居留地・大丸前 兵庫 神戸市営地下鉄海岸線
京セラ前 滋賀 近江鉄道本線
広貫堂前 富山 富山地方鉄道本線
ジヤトコ前 静岡 岳南電車
新日鉄前 愛知 名鉄常滑線
たばこ産業前 鹿児島 鹿児島市電
中電前 広島 広島電鉄宇品線
日華化学前 福井 えちぜん鉄道三国芦原線
日工前 茨城 ひたちなか海浜鉄道
函館どつく前 北海道 函館市電
フジテック前 滋賀 近江鉄道本線
富士フイルム前 神奈川 伊豆箱根鉄道大雄山線
三越前 東京 東京メトロ銀座線・半蔵門線
三菱自工前 岡山 水島臨海鉄道

市役所前、県庁前...表記が同じ駅

 


 全国には、表記上同じになる駅が多数あり、その上位は、『市役所前』(9)、『住吉』(8)、『県庁前』(7)、『大町』(7)になります。(写真は、福井鉄道の『市役所前』、神戸市営地下鉄西神・山手線の『県庁前』です。)

 『市役所前』は、かつて熊本市電にもありましたが、2011年3月に『熊本城・市役所前』に改称されたため、全国で10あった『市役所前』は9に。それでもトップです。「市役所前」が付く駅も多く、熊本市電の分を含め、九つを数えます。他の八つは『各務原市役所前』『関市役所前』『羽島市役所前』『掛川市役所前』『瀬戸市役所前』『京都市役所前』『貝塚市役所前』『廿日市市役所前』です。

 『市役所前』と『県庁前』はセットのようなもので、千葉都市モノレール1号線、伊予鉄道城南線には、両駅がそろって存在します。伊予鉄道では、お隣どうし、駅間距離は200mです。

 表記が同じ駅は、各地に点在するパターンと、一つのエリアにある複数会社の駅が同じ名前のパターンとがあります。『横浜』は後者の典型です。

 1928年、『神奈川』と称していた駅の近くに新たに横浜駅(三代目)ができました。そして東急、京急、相鉄、市営地下鉄の順でこの三代目横浜駅に集結するように駅ができ、2004年には東急との共用で横浜高速鉄道の横浜駅が開業。合わせて六つの『横浜』が存在するに至りました。複数の鉄道会社が集中する場合、多少ひねって同じ駅名にしない工夫が多々見られますが、『横浜』は例外的と言えます。同じ場所かつ同じ駅名での会社数は全国最多ということになります。

 神戸の代表駅『三宮』は、神戸高速鉄道の分も一つの駅として数えた場合、かつては五つありました。(仮にJRが『三ノ宮』ではなく、同じ『三宮』であれば六つ)  今は純粋な『三宮』は、神戸市営地下鉄とポートライナーのみ。2014年4月1日に、阪急の『三宮』、阪神・神戸高速の『三宮』がそろって、『神戸三宮』に改称したためです。

 

駅名 駅数 分布
市役所前 9 北海道、千葉、長野、福井、愛知、和歌山、広島、愛媛、鹿児島に各1駅
住吉 8 東京(都営新宿線、東京メトロ半蔵門線)、大阪(阪堺電気軌道)、兵庫(JR東海道本線、阪神本線、六甲ライナー)、長崎(長崎電気軌道)、熊本(JR三角線)
県庁前 7 千葉、富山、兵庫、広島、愛媛、高知、沖縄に各1駅
大町 7 北海道(函館市電)、千葉(北総鉄道)、富山(富山地方鉄道本線)、広島(JR可部線、広島高速交通)、香川(高松琴平電気鉄道志度線)、佐賀(JR佐世保線)
橋本 6 神奈川(JR横浜線、京王多摩川線)、京都(京阪本線)、和歌山(JR和歌山線、南海高野線)、福岡(福岡市営地下鉄七隈線)
高田 6 神奈川、新潟、奈良、香川、福岡、長崎に各1駅
福島 6 福島(東北新幹線、JR東北本線など、阿武隈急行、福島交通)、大阪(JR大阪環状線、阪神本線)
横浜 6 神奈川(JR各線、東急、京急、相鉄、横浜高速鉄道、横浜市営地下鉄)
新宿 5 東京(JR各線、小田急、京王、都営地下鉄各線、東京メトロ各線)
金山 5 北海道(JR根室本線)、愛知(JR東海道本線など、名鉄、名古屋市営地下鉄)、福岡(福岡市営地下鉄七隈線)
大宮 5 埼玉(東北・上越新幹線など、JR東北本線など、東武野田線、埼玉新都市交通)、京都(阪急京都本線)
小田原 5 神奈川(東海道新幹線、JR東海道本線、小田急、箱根登山鉄道、伊豆箱根鉄道大雄山線)

近鉄富田、京急長沢...鉄道会社の略称で始まる駅

 


 鉄道会社の社名が駅名に入るのは、駅名が重複するのを避ける意味もありますが、自社の駅だったら当然という見方もあるでしょう。

 大手私鉄では、東武、西武、京成、京王、小田急、京急、名鉄、近鉄、京阪、西鉄のほか、東京メトロの「地下鉄」が社名略称として駅名の頭に使われます。その数は、表の通りです。

 京成が24駅と頭抜けています。ただし、行先表示や駅でのアナウンスなど、「京成」が省略される場面が多いので、24もあるようには感じられないのが実際でしょう。

 近鉄は、三岐鉄道の『近鉄富田』もあえて含めると17、京王は8、京急は9、西鉄は13になります。

 

社名(略称) 駅数
東武 7
西武 7
京成 24
京王 8
小田急 3
京急 9
名鉄 3
地下鉄 2
名電 4
近鉄 17
京阪 3
西鉄 13

 

 全国の駅名を五十音順に並べた時、このような社名略称を冠した駅名が連続するケースが随所に出てきますが、特に目立つのは、「京急○○」から「京成○○」の連続です(下表参照)。ただし、その連続性に待ったをかけるように『京急長沢』と『京成稲毛』の間に入ってくる駅が二つ存在します。『京コンピュータ前』(ポートライナー)と『警察署前』(伊予鉄道城南線)です。2011年7月、『ポートアイランド南』から改称されてその名を現したのが『京コンピュータ前』。駅前に独立行政法人理化学研究所 計算科学研究機構があり、ここに演算速度世界一(2011年6月)となったスーパーコンピュータ「京」(けい)があることから、この駅名になりました。

 社名ではなく、電鉄や電気鉄道の略から、2文字で「○電」を冠する駅名もあり、「琴電」「都電」「広電」「名電」「嵐電」の5種類、全16駅を数えます。「電鉄○○」とする駅名は、富山地方鉄道と一畑電車にあります。「富山地方電鉄」と「一畑電鉄」なら、「電鉄○○」でいいことになりますが、そうでないところがポイントです。

 今となっては少数派の「電鉄○○」ですが、かつては、神戸電鉄と山陽電気鉄道が「電鉄○○」を多用していました。全国の駅名を五十音順に並べた時、当時は「電鉄○○」が賑わっていたことになります。

 山陽電鉄は、「魚住」「須磨」「塩屋」「垂水」「明石」「林崎」「別府」「高砂」「曽根」「飾磨」「亀山」「姫路」「天満」「網干」、神戸電鉄は、「丸山」「横山」「木津」「木幡」「栄」「三木」「大村」「市場」「小野」が全て電鉄を冠していました。神戸電鉄は、電鉄を冠するのを全て止め、山陽電鉄は、「山陽○○」に改称した駅名と「電鉄」を外した駅名とに分かれました。『林崎』『別府』『高砂』『飾磨』『亀山』がその外した方です。

 

駅名 都県名
京急大津 神奈川
京急蒲田 東京
京急川崎 神奈川
京急久里浜 神奈川
京急新子安 神奈川
京急田浦 神奈川
京急鶴見 神奈川
京急富岡 神奈川
京急長沢 神奈川
京成稲毛 千葉
京成上野 東京
京成臼井 千葉
京成大久保 千葉
京成大和田 千葉
京成金町 東京
京成小岩 東京
京成佐倉 千葉
京成酒々井 千葉
京成関屋 東京
京成高砂 東京
京成高砂 東京
京成立石 東京
京成千葉 千葉
京成津田沼 千葉
京成中山 千葉
京成成田 千葉
京成西船 千葉
京成曳舟 東京
京成船橋 千葉
京成幕張 千葉
京成幕張本郷 千葉
京成八幡 千葉

金上、高田の鉄橋...金属系

 


 金属に関する駅名も各種あります。代表的な金属、「金」と「銀」で数えてみると、「金」が付く駅が80なのに対し、「銀」は10。数の上では大きな差がありますが、「銀」は少ないゆえの存在感のようなものが感じられます。

 読み方が特異なのは、『銀山町』(かなやまちょう-広島電鉄本線)。JR八戸線には、 『白銀』(しろがね)と『金浜』(かねはま)があるので、「金」「銀」を結ぶ旅ができます。両駅間は営業キロで14km、比較的手軽です。

 他の金属関係では、「鉄」が図抜けています。「鉄道」の話なので当然ではありますが、「近鉄~」「電鉄~」「西鉄~」などを含め51駅あります。鉄に金の『北鉄金沢』(北陸鉄道浅野川線)、鉄に銀の『西鉄銀水』(西鉄天神大牟田線)は、金属の組合せ駅という見方ができます。最も新しい「鉄」駅は、2014年10月開業の『高田の鉄橋』(ひたちなか海浜鉄道)。鉄道橋の名称ですが、地元での愛称が駅名になりました(正式名称は、中丸川橋梁)。ひたちなか海浜鉄道には、『金上』(かねあげ)もあるので、「金」と「鉄」がそろいます。

 「銅」が付く駅は、『和銅黒谷』(秩父鉄道)と『採銅所』(JR日田彦山線)の二つ。『採銅所』は、古くから銅を採掘していたことに由来し、地名、駅名ともに同じです。

 「鉛」については、花巻の温泉郷を走っていた花巻電鉄に該当する駅がありました。『鉛温泉』と『西鉛温泉』です。路線名も「鉛線」でした(1969年全廃)。



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