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プロローグ

プロローグ

 義弘達は合コンの二次会にカラオケボックスを選んだ。
 しかし、これは義弘達にとって失敗だった。
 会ったばかりの人間を前に歌を歌うような女の子は一人もいなかった。加えて義弘達自身それ程歌に覚えがあるとは言いがたく、歌う者のいないカラオケボックスに自然と不自然な時間だけが過ぎていく。
 どうしたものか……そんな焦りばかりが義弘を苦しめた。
 すると義弘のとなりの赤いワンピースの女が義弘に向かってこう囁いた。
「三題噺でもしない?」
「さんだいばなし?」
 二人だけの秘密の会話をしているようで、少しゾクゾクしながら義弘は彼女の言葉の意味を訊く。
「三題噺というのは三つのお題に従ってお話を作るの」
「ふむふむ」
「お話を完成させた人が次の三つのお題を決めて次の人を指名するのよ」
 なんだか面白そうじゃないか。
 果たして女子連中がこの提案にのってくれるかどうかだ。
「大丈夫よ、女子三人に男子三人。人数的にも丁度良いと思うわ」
 赤いワンピースの女は義弘の耳元で囁き続ける。
「そうか、そうだね」
 せっかくの提案だ。乗ってみるとしよう。
 義弘は椅子の上に立ち上がって高らかに宣言した。
「三題噺始めるぞ!」