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エピローグ

エピローグ

「やれやれ、これで一体何巡したんだ?」
 淳は呟いた。
「だいた三巡目くらいじゃないの?」
 佐津紀が応える。
「そうか、結構盛り上がったな」
 義弘はそう言いながら気になっている事を尋ねる。
「ところでさ、まだ一度も回っていない奴はどうするの?」
「え?」
 淳が不思議そうに首をかしげる。
 部屋にいる他の全員も怪訝な顔をしている。
 あれ? 俺今おかしな事言ったか?
「義弘、お前何言ってるの?」
 哲夫が義弘に向かって尋ねる。
「いや、俺の隣の女の子まだ一回も順番に当たっていないからさ」
 義弘は隣に座っている赤いワンピースの女子を見ながらそう応えた。
「あはは、なるほどね!」
 義弘の対面に座っていた祐子は納得したようにこう言った。
「最後はホラーでオチを持って行こうって作戦ね! なかなかエロいじゃん!」
「いや、そういうわけではなくてさ……」
 義弘は頭をポリポリ掻きながら困ったような顔で誰かに助けを求める。
 真面目な顔を崩そうとしない義弘を見て淳がこう呟いた。
「義弘、お前の隣ってさ……。縦鏡なんだけど?」
「!?」
 義弘は思わず立ち上がって振り返る。

 ……。

 確かにそこには縦鏡しかなかった。
「お前時々だれと会話してたの?」
 哲夫がたたみ掛けるように問いかける。
「……?!」
 混乱してコメントのしようもない義弘。
 そんな中で、祐子がこう言った。
「もういいじゃん。取りあえず楽しい時間も過ごせたし今日はこれでお開きにしよ!」
「おぉっ! だったらメールアドレスの交換をしようぜ」

「いいわよ」
 義弘を除くみんなが各自のメールアドレスの交換を始める。
「義弘、お前はいいのか?」
 淳にそう言われてようやく我に返る。
「あ、ああ、じゃあ。俺も……」
 義弘のメールアドレス交換を待って、一同は店を後にした。
「解散!」
 淳が今日の合コンの終了を宣言した。
「今日はありがとね!」
「じゃね!」
 女の子の声を背中に聴きながら、義弘はその場を一人後にする。
 
 何だったのだろう?
 あの赤い女は?

『ブルブルッ!』

 携帯のバイブレーションが義弘にメールの着信を告げる。
 きっとさっきの女の子からのお礼のメールだろう。

 義弘は携帯を開いた。
 タイトル無し。
 発信者不明。
 本文をダブルクリックすると、液晶画面には携帯で撮影されたと思われるさほど鮮明では無い写真が映し出された。

 そこには鏡越しの赤い黒いワンピースの女に話しかける自分が撮影されていた。

 思わず義弘は絶叫した。(了)