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アメリカン・スナイパー

アメリカン・スナイパー

2015年2月24日鑑賞

心の闇を狙い撃て

 

観終わった後、ひどく疲労感を感じる作品である。イラク戦場で実際に戦った、兵士たちの疲労、ストレスが尋常じゃないことは、本作からよく伝わってくる。

本作の主人公クリス・カイルは実在の人物。当然、本作もドキュメンタリータッチで描かれる。もちろん戦闘シーンでの緊迫感は、実際の戦場さながらだ。

彼はイラクでの戦闘で160人を射殺した伝説の狙撃手である。

彼は現代アメリカ軍で最強とされるSEALsのエリート隊員である。

屈強な肉体をもち、極限の訓練に耐え抜いた人物だ。

やがてイラク戦争が勃発。クリス・カイルも戦地であるイラクに赴く。

アメリカ政府とアメリカ軍は、当初、圧倒的な物量作戦と、先進のハイテク兵器の効果もあって、フセイン政権を比較的たやすく潰すことができた。戦死者も136名とされ、湾岸戦争よりも少なかったそうだ。ブッシュ大統領は「戦争は勝った! 我々はテロに勝利した!」と高らかに宣言した。

しかし、アメリカ政府とアメリカ軍の大きな誤算は戦争の後始末だった。熾烈な泥沼の戦いは、ブッシュ大統領の「戦争終結宣言」の後から始まったのである。それはアメリカ兵士たちにとって悪夢の始まりだった。彼らはイラクの治安維持のために「テロリスト」が潜む街中をしらみつぶしに捜索する羽目になってしまう。

イラクの街や集落。それらをパトロールすることは、まぎれもない「市街戦」の真っ只中に入ることを意味する。

アメリカ軍の優秀な M1戦車も狭い街中では何の役にも立たない。かといって、第二次大戦や、ベトナム戦のような絨毯爆撃は、「戦争終結宣言」をした後でもあるし、民間人も巻き込む。それは現代戦において、世界中の世論を敵に回すことになる。

結局「戦争は終わった」と宣言された後の、アメリカ軍の戦死者は4000人を超えるそうである。

もちろん、心身に傷を負った兵士はこの数をはるかに上回る。

戦いはいつまでも終わらない。本作の主人公クリス・カイルも、結局イラクの「戦場」へ4回も赴くことになる。

SEALs隊員である彼も、プライベートでは、一人の若者である。

当然恋愛もする。危険で過酷な任務に就かされる事の多いSEALs隊員だが、意外にも皆、恋人をもち、結婚している人も多いのだ。

クリスもやがて結婚し、二人の子供を設ける。

気は優しくて力持ち。公園で子供と遊ぶ姿は、どこから見ても温厚で頼り甲斐のある理想的な「パパ」に見える。

しかし、再びイラクの戦場に戻ると、彼は優秀なスナイパーの顔に戻る。彼の仕事はイラクの街中を捜索する、アメリカ軍地上部隊を守ること。クリスは建物の屋上に身を潜め、アメリカ兵士に危害を加えそうな「ターゲット」を探し、照準を定める。

「ターゲット」は敵の「兵士」だけとは限らない。「女性」でも「子供」でさえ、その身に爆弾を隠し持っているかもしれないのだ。

自分にも幼い子供がいる。しかし、照準器で今自分が狙っているのも、子供の姿だ。だが、その小さな体は爆弾を抱えている。また、ロケット砲を担いでアメリカ兵を狙う子供さえいる。

狙撃銃の引き金を引けば、自分は紛れもなく「子供殺し」を行うことになる。

しかし、任務に迷いは禁物だ。

「俺は国を守るんだ」「それが大儀なんだ」

彼は任務を遂行する。

アメリカ軍と敵対する反政府武装勢力側にもスナイパーがいる。これが極めて優秀だ。

この狙撃手は射撃の元オリンピック代表選手との情報が入る。こんな奴に狙われたらおしまいだ。

建物を捜索するアメリカ兵たちは、この凄腕スナイパーに、いともあっけなく「プシュン!」と殺されてしまう。装甲車の上部銃座にいる機関銃手も安心できない。これも「プシュン!」といとも簡単に殺されてしまう。

「目には目をだ!」

主人公クリス・カイルはその凄腕スナイパーを仕留めにかかるのだが……。

クリント監督の手腕で印象的なのは、イラクに住む民間人を決して敵対的な視点で描かないことである。

ご丁寧にアカデミー賞まで受賞させてしまった「ハート・ロッカー」という作品がある。

あの作品で僕が最も違和感を感じたのは、全編にわたって主人公の主観の目線、ひいてはアメリカ目線で描かれたことである。

自分の身を守るためには、イラクの街中で携帯電話をかけている民間人でさえ「敵」と見なさなければならない。

なぜなら、携帯電話は自爆テロの起爆装置に転用されるからである。

そのため主人公の視点で描かれる「ハート・ロッカー」ではスクリーンに登場する、頭にターバンを巻いた人物、ひいては「イラク人はすべて悪者」「憎悪の対象」という印象を観客に植え付けかねない。アメリカのプロパガンダ、そのものではないか? という印象を僕は持った。

その点、昨年公開された「ローン・サバイバー」では、負傷したSEALs隊員を、タリバンから命がけで守ったアフガニスタンの一部族が描かれている。

このわずか4、5年で、アメリカ映画でのイスラム圏の人々の描き方が変わってきている。この変化はなぜだろうか?

その理由の一つとして、アメリカは今、とても傷つき、疲れているからだ、と僕は感じる。

結局「大量破壊兵器」などなかったし、正義なんてどこにあるのか? これじゃ、第二のベトナム戦争じゃないか、 戦争なんてもうこりごりだ……。

多くのアメリカ市民はそう感じているのではなかろうか?

クリント・イーストウッド監督は、21世紀のハイテク戦争「クリーンな戦争」と言われた、戦争の実態を暴いた。兵士や家族、それに国民自体がどれだけ傷つくのか、それを敏感に感じ取ったのだろう。

いくらハイテクな戦争であろうが、クリーンな戦争であろうが、やはり戦争となれば血の通った人間同士が、殺し、殺される。殺しあう兵士たちはもとより、家族も大きな闇を抱え込む。

のちにクリス・カイルの身に降りかかる、不幸な事件。

それは彼が戦争で心に深い後遺症を負った「仲間」をおもいやる気持ちから起きてしまったものだ。イラク戦争に従軍した兵士たちとその家族。その心の傷との戦いは、今現在も進行中なのだ。

映画鑑賞後の苦い後味が、重くのしかかる作品である。

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天見谷行人の独断と偏見による評価(各項目☆5点満点です)

物語 ☆☆☆☆

配役 ☆☆☆☆

演出 ☆☆☆☆

美術 ☆☆☆☆

音楽 ☆☆☆☆

総合評価 ☆☆☆☆

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作品データ

監督   クリント・イーストウッド

主演   ブラッドリー・クーパー、シエナ・ミラー

製作   2014年 アメリカ

上映時間 132分

予告編映像はこちら

 「アメリカン・スナイパー」予告編  

 


繕い裁つ人

2月中旬にして、ようやく今年最初、劇場での映画鑑賞作品となりました。

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繕い裁つ人

2015年2月16日鑑賞

お仕立てしましょう「大人のファンタジー」

 

上質な大人のファンタジーと言える本作。

映画の冒頭に主人公、南市江(中谷美紀)が放つ、こんなセリフがある。

 

「生活感出してたまるもんですか!」

 

これは本作の全てを象徴するセリフと言っていい。この一言にすべてが集約されている。

主人公、市江は祖母が始めたオーダーメイドの店「南洋裁店」を引き継いでいる。彼女は洋服のデザインも手掛ける。着る人の個性に合わせた「世界にただ一つの洋服」がこの店で手作りされている。

物語は、この洋裁店の服に注目したデパートのバイヤー、藤井(三浦貴大)が「南洋裁店」の服を「ブランド」として売り出そうと企画するところから始まる。バイヤー藤井と、主人公、市江のやり取りを軸に、市江の交友関係、南洋裁店と、その洋服を愛してやまない客などの人間模様を描いてゆく。

市江と顔なじみのお得意様は、皆この「南洋裁店」の洋服が、大のお気に入りなのだ。

「ここの服は何十年たっても着られるからね」

歳月を重ねて、自分の体型が変わったとしても心配はいらない。

その時は、この「南洋裁店」に自分の服を持って行けばいい。

すると、市江が客の体型に合わせ、その服を仕立て直してくれるのである。

決して目先の流行を追わない。

今日、ただいまの利潤を追求しない。

丁寧な手仕事。年代物の足踏みミシンを踏む主人公、市江の後ろ姿。

そこに差し込む陽の光の美しさ。

だけど、そんな仕立て直しを丹念に行う店は、もはや絶滅寸前だ。

おなじ仕立て直しをしている、親しい同業者(伊武雅刀)は

「この店は私限りです。もう閉めようと思っています」と寂しげだ。

本作のハイライトは「夜会」と呼ばれるシーン。これが良かったなぁ~。

趣味の良い、おしゃれな服でドレスアップした、ご年配の方々が、シュトラウスの「アンネンポルカ」に合わせてダンスをする。

会場に飾られた花々の美しさ。弦楽アンサンブルの、ゆったりとしたリズム。

この夜会にはドレスコードと参加資格がある。

それは「南洋裁店の服を着ること」

そして「30歳以上であること」

子供達は参加できない。これは「大人の童話の時間」を楽しむ会なのである。

本作で使われる音楽はとてもいい。

だけどエンドロールで唐突に流れる平井堅の歌は、やはり「とってつけた」感じは否めないのが残念。

本作は全編、僕の住む街、神戸、並びに兵庫県下で撮影されている。

坂道が多い神戸の街並み。古くから外国人が住む、異国情緒あふれる街「KOBE」

映画の後半で登場する古い洋館は、神戸の塩屋に建つ「グッゲンハイム邸」である。

ここは今、音楽などのイベント会場として貸し出されている。もちろん、普段の日も見学可能だ。僕も何回か通ったことがある。

板張りの床はギシっという音とともに適度に「しなり」、歩き心地も良い。この異人館を使って本作では結婚式のシーンが撮影されている。

この映画には多くの説明はいらないだろう。

ストーリーを追ってゆくタイプの作品でもない。

この作品世界に描かれる風景を、絵画のように楽しむ心の余裕があれば、本作は十分に満足できるはずである。

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天見谷行人の独断と偏見による評価(各項目☆5点満点です)

物語 ☆☆☆

配役 ☆☆☆☆

演出 ☆☆☆

美術 ☆☆☆☆

音楽 ☆☆☆

総合評価 ☆☆☆

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作品データ

監督   三島有紀子

主演   中谷美紀、三浦貴大、片桐はいり、黒木華、伊武雅刀

製作   2015年 

上映時間 104分

予告編映像はこちら

「繕い裁つ人」予告編

 

 


マエストロ!

マエストロ

2015年2月21日鑑賞

マエストロ、西田敏行にブラヴォー

 

本作の見所はやはり「マエストロ」になり切った西田敏行さんの熱演でしょう。その「熱量」「エネルギー」は凄まじいものがあります。

音楽に対する情熱はだれよりも「アツい!」「しつこい!」「あきらめない!」やさぐれて、才能持て余し気味の、熱血指揮者を演じております。

本作の主人公は香坂真一(松坂桃李)彼は若くしてコンサートマスターを任されるほどの実力と才能に恵まれています。

彼にヴァイオリンと音楽の英才教育を施してくれた父はすでに他界しています。

彼の所属する中央交響楽団は資金難から解散してしまいました。

そこへ以前の仲間が集まってコンサートをしよう、と連絡が入ります。久々にかつての楽団員が集まり、練習を始めることになります。

だけどやっぱり金がない。オーケストラなんて運営しようとすれば、人件費や練習場所の確保、コンサート会場の費用など、とにかくお金がかかるわけですね。

それでこの再結成された中央交響楽団の練習場所は、なんと古びた「工場」

とにかく曲がりなりにも練習できる場所は確保できました。

だけど、肝心の指揮者が現れない。いぶかしむ楽団員の前に現れたのは、彼らの目の前で、さっきまでこの工場内で修理をやっていた、現場作業員のじいさん。

腰に巻いた道具入れには、大工道具のさしがねやハンマー、ドライバーなんかが入っている。

このじいさん、なにをおもったか腰の道具入れから「さしがね」を取り出し、いきなり

「ワシが天道鉄三郎や。今からお前らの指揮をする。ほな、はじめるぞ!!」

さしがねを指揮棒代わりに指揮を始めます。面食らう楽団員たち。

だけど、このじいさんが楽団員たちに指摘するところは、たしかにいちいち的を得ている。

「このじいさん、いったい何者なんだ?!」

楽団員は、ますます訳がわからなくなってくる。

練習を重ねるごとに、指揮者の天道じいさんの鋭い指摘と熱血指導に、反発を覚える楽団員たち。彼らにも、プロとしての意地とプライドがあるわけですね。しかし天道じいさんは、音楽にのめり込むと、演奏者に対して一切の妥協をしない。容赦ない叱責が飛ぶ!

やがて楽団員たちの、天道じいさんへの怒りと対立は、頂点に達するのですが…

物語はやがて、この天道じいさんと、若きコンマス、香坂真一との意外な接点を紡ぎ出してゆきます。

僕はクラシック音楽を題材にした映画は大好きなので、本作も”それなりに”楽しめました。欲を言えば、もう少し説明台詞やナレーションを少なくしてもいいかもね。

また、キャスティングにしても、松坂桃李やMiwaさんを起用した必然性は全くないと僕は思うのですが……。

むしろ、脇を固める高齢のヴァイオリニストや、チェロ、コントラバス、それにホルンなどの金管楽器奏者たちの演技がとても印象に残りました。

映画終盤の見所、コンサート本番の音楽は、佐渡裕さん指揮のドイツ・ベルリン交響楽団が演奏しております。劇場のいい音響設備でフルオーケストラの演奏が聴けるのは嬉しいものです。さらにエンドロールに流れるピアノは辻井伸行さん。やっぱりピュアですね。

音楽を聴くのは楽しいものです。

だけど、音楽という芸術を、いざ演奏する側になろうとした時、音楽という芸術はその牙を向くのです。

音楽を極めよう、プロになろう、一流の演奏をしよう、とするとき、そのあまりの壁の厚さ、高い障壁に、絶望感を抱くことさえあります。芸術はそれを志す者にとって、時に冷酷で、残酷でもあります。たった一つの音にどれだけ集中するのか? どれだけ想いを込めるのか?

音楽を深く知りたい、もっと味わい尽くしたい、クラシック音楽の奥深さは計り知れませんね。

 

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天見谷行人の独断と偏見による評価(各項目☆5点満点です)

物語 ☆☆☆

配役 ☆☆☆☆

演出 ☆☆☆

美術 ☆☆☆

音楽 ☆☆☆☆

総合評価 ☆☆☆

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作品データ

監督   小林聖太郎

主演   松坂桃李、Miwa、西田敏行

製作   2015年 

上映時間 129分

予告編映像はこちら

「マエストロ!」予告編


深夜食堂

深夜食堂

2015年2月27日鑑賞

今夜も「めしや」で逢いましょう

 

人々が家路につく夜の新宿、裏通り。なぜか人が集まる一軒の「めしや」がある、人はここを「深夜食堂」と呼ぶ。

「深夜食堂」という漫画が、「深夜枠」で”ひっそり”とテレビ放送を始めた時、なんとも嬉しかったのと同時に、「まあ、こんなマニアックな番組、ワンクールだけの放送だろう」と思い込んでいた。ところが、原作の人気とともに、テレビシリーズの人気も着実に増え、あれよ、あれよと言う間にテレビ版は第3シーズンに突入、ついに映画化まで行き着いた。

もともと「深夜食堂」は、漫画もテレビシリーズも一話完結の短編だ。映画となると2時間近くお話を紡がなくてはならない。一体どうするのか? 本作、映画版の「深夜食堂」は決して奇をてらわなかった。

いつものように「深夜食堂」の「のれん」をくぐる感じで、ふらりと映画の世界に入って行けるよう、三つのエピソードをつなげて一つの映画としたのである。

その演出手法は、主人公である、口数の少ないマスター(小林薫)が「いつもの料理」を「いつものように」客に出すように、何の気負いもない。

食堂のカウンター越しに集まる「メンツ」も、あのおなじみのメンバーだ。

惚れっぽい新宿のストリッパー、マリリン(安藤玉恵)と、その熱烈なファン、忠さん(不破万作) 地回りのヤクザ、竜さん(松重豊)とその男気に惚れ込んでいる、ゲイ歴48年のベテランおネェ、小寿々さん(綾田俊樹) いつも連れ立って、お茶漬けを食べに来る「お茶漬けシスターズ」の3人。それに刑事とその生意気な女性部下など、個性豊かな顔ぶれがそろう。

今回の映画化では、ここに高岡早紀、多部未華子、田中裕子、そして余貴美子が加わるという、実に豪華な顔ぶれとなった。

本作は「ナポリタン」「とろろご飯」「カレーライス」という三つのエピソードで成り立っている。それぞれ違う内容なのだが、それを繋ぐのが「深夜食堂」に客が置いていった、ある忘れ物だ。

マスターがその包みを解いてみると、それはなんと「骨壷」だった。

本作のハイライトは、パート2の「とろろご飯」だろう。

多部未華子演じる「みちる」という娘が「深夜食堂」で無銭飲食をした。大きなリュックを背負い、何日も風呂に入ってない様子。

マスターは黙って彼女に500円玉を差し出す。

「近くに銭湯があるから……、入って来なよ」

もちろん、マスターには、彼女が色々と訳ありなのは承知している。マスターは「野暮なことは言わない」男なのだ。

無愛想に見えるが、黙って、それとなく態度で気配りしてくれる。

そういうマスターの人柄が、この「めしや」に客が惹かれる理由の一つになっている。やがて「みちる」は深夜食堂に住み込みで働くようになる。そこへマスターの古い知人、塙千恵子(余貴美子)がふらりと現れる……

まさか、多部未華子と日本アカデミー賞女優の余貴美子が「深夜食堂」のカウンター越しに共演するというのは、なんとも贅沢だ。

僕の個人的な趣味だが、この二人の演技をもっと見たかった。できればこの二人が絡むエピソードを膨らませて、一つの映画作品にして欲しかったという気がしている。

それにしても、この界隈の小さな交番の警官役、オダギリ・ジョーのすっとぼけたB級映画感覚はなんとも楽しい。

本作に登場する俳優たちは、それぞれ、大河ドラマ出演や、数々のキャリアと映画賞の受賞歴を持つ、そうそうたるメンバーと監督である。にもかかわらず、このレトロ感漂う、ちょっと怪しげな路地裏の「めしや」「深夜食堂」という物語に、面白がって集まってくるのは何故であろうか?

ここに入れば、なんのしがらみもない。

遠慮もいらない。重苦しい肩書きも外せる。

こういう店あったら、つい、ふらっと入っちゃうよなぁ~。

「いらっしゃい、出来るもんなら、なんでも作るよ」

マスターの声を聞いただけで、もう何か物語が始まりそうな気がする。今日も深夜食堂には、いつもの無愛想なマスターが、いつもの料理を出してくれるのだ。どこにでもありそうな「めしや」だけど、どこにもない店。まさにオンリーワンの味と安らぎ。「深夜食堂」が人を惹きつけてやまない秘密と魅力がそこにある。

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天見谷行人の独断と偏見による評価(各項目☆5点満点です)

物語 ☆☆☆

配役 ☆☆☆☆☆

演出 ☆☆☆☆

美術 ☆☆☆☆☆

音楽 ☆☆☆☆☆

総合評価 ☆☆☆☆

**********

作品データ

監督   松岡錠司

主演   小林薫、高岡早紀、柄本時生、多部未華子

製作   2015年 

上映時間 119分

予告編映像はこちら

「深夜食堂」予告編


奥付



2015・3月号映画に宛てたラブレター


http://p.booklog.jp/book/94108


著者 : 天見谷行人
著者プロフィール:http://p.booklog.jp/users/mussesow/profile


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