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 それは、小さくて古い、いい感じの喫茶店だった。高校生が行くところとは思えないが。

「一人でよく来ました。で、ゲームするんです」

「ゲーム?」

「家では将棋の勉強してないと、親が不安がるから。僕は天才だから大丈夫って言っても、信じないんですよ。だから携帯ゲームを外でしてました」

 窓辺だがあまり光の入らない席に、二人腰かけた。建物に似合ったくたびれたおじさんが、水とメニューを持ってくる。

「これがいいんですよ、ビーフシチューセット」

「ふーん」

「これ二つでいいですか」

「任せた」

「おじさーん、シチューセット二つ。ホットコーヒーで」

 おじさんは返事もせずに料理を始めた。妙に愛想良くされるよりも、こちらの方が気が楽ではある。

「あの、それで……つっこちゃんのことですけど」

「うん」

「彼女は、何者なんですか。高校でも、将棋の世界でも、ああいう子は見たことがない。皆川さんも相当悔しがってましたよ」

 辻村君の目は、好奇心に満ちてきらきらしていた。わからないものに対しては恐怖することもあるが、強烈な好奇心を寄せることもある。特に男というのは、女性の未知なる部分に惹かれやすいのだ。

「それは、僕が説明することじゃないよ。君が研究すればいいことじゃないか」

「けん……きゅう?」

「得意だろ」

 ビーフシチューが運ばれてきた。小さなパンも添えられている。

「僕は苦手なんだ、研究」

「あの……」

「ただ……月子さんは、もっと苦手かもしれないね」

 二人はしばらく、食べることに集中した。まずくはないが、とても美味しいとも感じなかった。

 食後に運ばれてきたコーヒーは、とても好みの味だった。

「月子さんはね……ちゃんとした子供時代を経ていないと思う。そのことは、気にかけてやってほしい」

「……」

 帰り道は、将棋の話ばかりした。そういえば対局の途中だったと、ぼんやりと思った。

「みんなが進路を選ぶのを見ると、少し悲しかったんです。僕も、将棋以外の道があるかもしれないと、思ったりします」

 ふと、辻村君はそんなことを言った。天才なりの悩み、とは思わなかった。僕らは皆、あまりにも幼い時に職業を決めてしまう。そして、辻村君はまだ、取り返しのつく年齢だ。まあ、そういう理由で将棋界から去った人はほとんどいないのだが。

 月子さんは、まだ引き返せるのだ。

 どうやら僕は、月子さんのためと思っていたことに対し、疑問を感じているらしい。寂しかった時にたまたま現れた少女。何の躊躇いもなく僕に全てを頼ってくる存在。僕の方が、甘えていたのではないか。

「辻村君……君たちと接することが、あの子には必要だと思う」

「え……」

「……自分一人では決められないことを、決意しなきゃいけない日が来るかもしれない」

 月子さんにとって、プロになれないときの決断はどれほど厳しいものとなるだろうか。連盟としては女流棋士になってほしいようだが、彼女にとってはそれでは意味がない。しかし最近の月子さんには、純粋に将棋を楽しむ様子も伺える。彼女を両親の呪縛から解放し、将棋そのものを目的としてやることはできるだろうか。

 今のところ、彼女は僕に従うことしかしないのだ。僕が嘘をついても、簡単にそれを信じてしまうだろう。

 友人や、ときには恋人も必要だ。

「わかりました」

 会館に着き、僕らはそれぞれの盤へと別れて行った。

 将棋は、ペースが速くならないまま進んでいき、夕食休憩を過ぎてもほとんど駒がぶつからない展開だったが、突如黒澤五段が果敢に攻めだしてきて、それを丁寧に受けていたら投了された。

「あかんわ。なんか、今日の三東君、えらい落ち着いてるんやもん」

「いやいや、そんなことは……」

 自分でもよくわからないが、余計なことを考えているせいか、失敗を恐れることなく指せたのかもしれない。もしくは、本当にたまたま間違わなかっただけなのか。

 とりあえず、初めて開幕局に勝つことができた。順位戦で、初めて勝ち越しているのだ。


 買い物から帰ってくると、電気が点いていなかった。時間はまだ七時。靴はある。

「月子さん?」

 電気をつけた。下にはいない。見上げると、ロフトの中にこんもりとした布団があった。

「どうしたの」

「……」

 今日は奨励会の例会があった。そこで何かあったのだろうか。僕は梯子を上った。

「起きてるよね」

「……はい」

「ご飯は食べられる感じ?」

「……わからないです」

「何かあったなら、言って」

「……Bに落ちました」

 絞り出すような声だった。

 奨励会では、ある一定の悪い成績を取ると、Bというレッテルが張られる。ここでさらに一定の成績を取ってしまうと、降級するのだ。つまり今月子さんは、降級予備軍ということになる。

「僕なんか、何回も落ちたよ。降級もした」

「……時間が、ないんです」

「月子さん?」

「こうしてる間にも借金は増えて……。先生への借金も……。夢を見るんです。お母さんが、私に別れを告げて……海へ入っていって……。それなのに私は、プロになるどころか、勝ち越しすら……」

「月子さん、一つ教えておかなくちゃいけないことがある」

「……はい」

「挫折を知らないまま成功した棋士なんて、僕は知らない。大天才も、他の大天才に一回は打ちのめされている。だけど、奨励会に落ちたり、降級して名人になった人もいる。並の天才は、挫折を糧にして強くなるんだ」

「……私は……」

「ここまでは、生まれ持っての才能だよ。実戦が少ないのに、これだけの将棋を指せるのはすごい。でもここからは、自分で勝ち取っていくんだ」

「……はい……でも……」

 月子さんの手は、僕の胸に伸びてきた。そして、体ごと、飛び込んでくる。

「辛いんです……。辛いんです」

「……仕方ないんだ」

 やめてしまえばいい、と言いたかった。将棋も両親も捨てて、普通の貧乏な女の子になってしまえ、と。けれども、僕にはそんなことは言えなかった。僕も、将棋を辞められなかったから。どんなに辛くても、将棋を続けたから。それさえなくなってしまった時のことを考えたら、眩暈がするから。

 そんなことも、父親のことも、口に出すことはできなかった。ただただ、そこから動かなかった。

「……先生でよかったです」

「……え」

「よかったです。……なんとか、頑張ります」

 なぜか、僕も月子さんから力をもらった気がした。こんな僕でも人から頼られるなんて、月子さんがいなければ知ることができなかった。

 僕も、頑張りたい。純粋に、そう思った。


 一時間後、月子さんは下りてきた。僕らは遅い夕食をとった。

 月子さんが風呂に入っている間、いつものように外に出る。夜空を見上げるが、星は見えない。遠すぎるらしい。

 僕は壁に当たった時、ただじっと時が過ぎるのを待つしかなかった。両親は僕がプロになろうがなるまいがどうでも良いようだったし、師匠とは会う機会さえほとんどなかった。自分のメンタルを調整するすべなんて知らなかったし、将棋のほかに趣味もなかった。だから、落ちるときは底を知らなかった。あるとき、朱里が僕にとって大事な存在になるまでは。

 月子さんにとっても、大事な人が必要な時が来るだろう。それが誰なのか……辻村君のような人なのかは、僕の知るところではない。

「幸典」

 突然の声に、僕はつんのめってこけそうになった。いつかもこんなことがあったような気がする。

「朱里?」

「今から、家に行こうかと思ってたんだ」

「どうしたの」

 街頭に照らされる位置まで来て、朱里の顔がはっきりと確認できた。五メートルほどの距離をおいて、二人は向かい合うことになった。

「この前テレビ観たよ」

「ああ……あれ」

「頑張ってんじゃん」

「そうでもないよ」

「……あのさ」

 朱里が俯き、長い髪が垂れ下がった。そう、別れた時よりかなり長くなった髪。

「なに」

「私、勘違いしてたんだよね」

 朱里が顔を上げた。僕のよく知っている顔だ。

「私がいるから、安心しちゃうんだって。追い詰められて、独りで苦しんで、そこから立ち直るのが勝負師だって……でも……そうじゃなかった。私がいるとかいないとか、関係ないんだなって」

「そんなことはないよ」

「……幸典はさ、いろんなことに敏感すぎるだけで、でも私はそんなところが好きで……。何言ってるか分かんないね」

「……続けて」

「私の方が辛いから。わがままなのは分かってるけど……戻れないかな」

 あまりにも突然のことだった。それなのに……僕の頭はあまりにもはっきりと返答を導き出した。

「無理だよ」

「……」

 何故そう言ったのか、自分でもわからなかった。でも、答えは決まっていたのだ。

「朱里は……僕じゃなくてもいいはずだよ」

 口から出たのは、そんな理由だった。僕の頭が考え出したのかどうかすらあやしいが、この場では有効的だった。

「でも……可能性ぐらいは、あるってことにしてよ」

「……同じことを繰り返すことになるよ。俺は、変わらないもの」

「前とは、違う顔してる。テレビで見て、思った」

「……そんなことはないよ」

 朱里は、拗ねたときの顔をした。今の僕には、その表情の甘ったるさを受け取る資格はないと思った。

「ただ、張り合いはあるよ。弟子をとったんだ」

「幸典が……弟子?」

「ああ。だから、しっかりしなきゃ、って思ってるのかも」

「そうなんだ」

 半分は本当だけど、残りの半分は違った。それを言い訳にして、全部のことを簡単に考えようとしているだけだ。

 かつては朱里も言い訳にして、プロを目指した。それでプロになれたのだ。だから僕はまた、言い訳を正当化する。

「それなら、私、見守るだけにするね」

「……ありがとう」

「じゃあ、またね」

「じゃあ。気をつけて」

 送っていくよ、とは言わなかった。彼女がどちらに帰っていくのか、知らない方がいいと思ったから。

 闇の中へ消えていく、かつての恋人。僕はその人のことをもう好きではないと、今、わかった。


 何があっても勝負は続く。勝負師とは、常に勝ち負けにこだわる生き物だ。

 Bに落ちた月子さんも、昔の恋人に会った僕も、将棋に向き合う日々が続いた。月子さんは何とかBを脱出し、降級の危機を免れた。そして僕は勝ったり負けたりを繰り返しながらも、ほぼ五割の勝率を保ち続けていた。若手としてはよくない成績だが、僕としては例年になくいい成績だ。

 それでも、何もかもが問題なく続くほど人生は楽ではない。

「あの……先生」

「どうしたの」

 ある日の夜。夕食後のまったりとした時間、僕がネットでニュースを見ていると、神妙な顔つきをした月子さんが近づいてきた。

「その……本当に申し訳ないんですが……」

「えらくかしこまるね」

「その……服がちっちゃくなってるんです」

「え……ああ」

 確かに、最近月子さんはぐんと大きくなった。初めて会った時の彼女は僕よりも随分背が低かったが、今では僕の鼻あたりまである。体つきも丸みを帯びてきた気がするが、これはあるいは食生活のせいかもしれない。

「そんな恐縮しなくてもいいのに。明日買いに行こうか」

「すいません……本当に、どんどん借金してしまって……」

「ははは、いいよ、すごく強くなったら、倍にして返してね」

 口ではそんなことを言うが、最近は僕に対する借金のことなんかどうでもよくなっていた。いろいろと考えながら生活していたら、いつのまにか一人暮らしの時とそんなに変わらない出費にまで抑えられていた、ということもある。ただそれ以上に、月子さんからお金を返してもらうなんてことは、今では想像もできなくなってしまったのだ。出会ったときは他人だったが、今では家族同然に思えている。食事を食べさせるのも、服を買ってあげるのも、義務のような気すらしているのだ。

 ただ、月子さんにはそれを言わない方がいい、と思う。彼女にとってお金を返すことは、将棋に打ち込むための大きな動機だからだ。そして、家族を再び手に入れることが彼女の目的である以上、僕は彼女の家族でない方がいいのだ。

 少し、寂しさも感じる。将棋の師弟というのは、はっきりとしたきずなで結ばれているような、ただの書類上必要な関係のような、曖昧なものだった。病気と闘いながら共に暮らしたような子弟もあれば、何年間もほとんど会話もないままの子弟もいる。僕たちの関係は珍しいだろうが、どういうのがオーソドックスかと言われても答えづらい。

 次の日、朝から僕らは買い物に出かけた。二人とも人混みが苦手で、平日の午前中が一番出かけるのに適しているのだ。社会人ぐらいの男と高校生ぐらいの女が昼間からぶらぶらしていれば、相当不真面目なカップルに見えていることだろう。

 大きなショッピングセンターに着くと、月子さんにお金を渡してそれぞれ単独行動ということになる。女の子の服のことは相変わらずわからないし、だいたい月子さんから切り出すときは下着などが必要となった時だから、ついていくのがためらわれる。

 特に自分のものはいらなかったので、雑貨店などで時間をつぶした。昔からこまごまとしたものを見るのが好きで、気にいると要りもしないのに何本もペンなどを買ってしまう。今日は、「一行日記帳」というものに目がとまった。その名の通り毎日一行だけ、三年間日記が書けるものだが、「50%オフ」のシールが貼られていた。僕は、その日記帳を購入した。

 そして、買った後すぐにいつも思う。これ、本当に使うのかな?

 待ち合わせの時間まではまだもう少しある。何となくぶらぶらしていたら、時計店の前にいた。こういう高い小物にはあまり興味なかったが、店内でカップルが腕時計を選んでいるのを見て、気が付いたことがある。月子さんは、女物の腕時計を持っていない。僕が昔使っていた大きなものを貸しているが、あれでは女の子として可愛くないなあ、と今初めて思った。

 月子さんに選ばせたら、きっと遠慮して安いものを買う。そう思った僕は、躊躇わずにそこそこいい腕時計を購入した。

 そろそろ時間だ。待ち合わせの場所に行くと、月子さんはすでに来ていた。両手に紙袋をぶら下げて、きょろきょろとあたりを見回している。

「お待たせ」

「あ、いえ、待ってないです」

 月子さんは手をぶんぶんと振り回したが、紙袋も一緒に振り回されて、遊園地の乗り物のようになっていた。

「ご飯食べようか」

「はい」

 本当にデートみたいだな、と思った。朱里はいつも僕を待たせていたから、この感じはちょっと新鮮だ。

 外食も久しぶりだったし、なんとなく気持ちが落ちていた二人が、優しく笑えた気がした。

 それなのに……


 帰宅すると、玄関の前におばさんがいた。大きなリュックを抱くように座っていて、髪の毛はぼさぼさ、服も薄汚れている。階段を上ってくる月子さんを見つけるなり、喉を震わせてずっと彼女のことを凝視している。僕はこの人に全く見覚えがなかった。しかし、その顔つきやたたずまいは、初めて見るようには思えなかった。

「月子ちゃん!」

「お母さん!」

「お母さん?」

 そう、このおばさんは、月子さんによく似ている。それは、親子の再会だった。母親は、娘を抱きしめた。

「ごめんね、月子ちゃん。ずっと、迎えに来ようと思ってた……」

「……お母さん……」

「お母さんね、お父さんと離婚したの」

「……あの……」

「それですぐに迎えに来たかったけど、生きていくので精いっぱいで……。でも、こんなお母さんと再婚してもいいって人がいてね……お金もないし、弱気な人なんだけど、お母さんこの人と生きていこうって。ね、月子ちゃん、新しいお父さんと、三人で暮らそ」

 突然の話に僕は見ているしかなかったが、月子さんも戸惑っているようだった。感動する暇もなく、突然の話が襲いかかってきているのだ。

「わ、私は……」

「もう、将棋なんかしなくていいの。ね、ちょっと遅れちゃったけど、何とかして高校にも行かせてあげるから」

「……お父さんはどうなるの?」

「お父さんは、一人で借金を返すからって。私たちに心配はかけないからって。月子ちゃんがお金のことを心配する必要はないの」

「……わかんない。よくわかんない」

 その時、初めておばさんと眼があった。僕がいることに初めて気付いたかのようだった。

「三東先生……今まで本当にありがとうございました」

「……いえ」

 頭を下げられたので、僕も頭を下げた。

「さ、月子ちゃん、準備して」

「お母さん……私、行けない」

 月子さんは母親の腕から逃れ、真正面から対峙した。

「私、お父さんとお母さんと三人で、普通に暮らすのが目標だった。だから、別の人と暮らすって言われても……。それに、私、将棋のプロになるの」

「月子ちゃん……無理にそんなもの目指さなくていいのよ。あんな男くさくて博打みたいな世界からは早く抜け出さなきゃ」

「私、将棋が好きなの」

「月子ちゃん……」

「どうしていいのか、突然過ぎてよくわかんないけど……でも、将棋を辞めるとか、ここから離れるとか、すぐに決められるようなことじゃないの……。ごめんなさい……」

 三人の時間が、別々に動いて、それでいて全てが止まっているようだった。母親は、失っていた娘との生活を取り戻そうとしている。月子さんは、足枷のようになっていた父親の借金から解放され、家族との暮らしを手に入れられる。僕は……僕のメリットは、只飯食らいがいなくなるということだろうか。少なくとも、僕らは今不幸に直面しているのではない。けれども、誰も幸福な顔をしていない。

「月子ちゃん……将棋を続けたいの?」

「うん」

「先生……止めてください」

「……え」

「向いてないでしょう? 月子は将棋なんかに向いてないでしょう? あの人のせいで無理やりやらされていたんだから、もうそんなことからは……」

「僕が決めることじゃないです」

 自分の出した声が、とても低くてとがっていることに驚いた。感情が抑えられないらしいが、それがどんな感情なのかはよく分からない。

「向いているとか、いないとか。ただ僕は、月子さんの頼みを受け入れました。そして月子さんは奨励会に受かって、昇級した。そんな子を途中でやめさせる師匠はいませんよ」

「先生までそんな……」

 なんとなく、自分の心の中で膨れていく感情の名前が分かってきた。それは、憐れみだ。この人は、自分の都合でしか娘を愛せないのだ。本当に必要ならば、最初から手放してはいけなかった。本当に大事ならば、娘の目標をもっとじっくり聞いてやらねばならない。僕と過ごした日々のことを聞きもせずに、ただ自分の元に引き戻そうとする身勝手さを、僕は憐れんでいる。

「どうするかは、月子さんが決めればいい」

「……私……そこには行けない」

 月子さんは僕が握っていた鍵を奪い取って、乱暴に玄関を開けた。そして、家の中に飛び込んで行った。

 残されたのは、初対面の二人。

「あの……」

「考える時間をあげてください。落ち着いたら、考えも変わるかもしれません」

 そのおばさんは、何もかも信じられないとでも言いたげに、何回も首を振った。そして何も言わずに振り返り、そのまま去って行った。

 一人きりになったマンションの廊下で、僕はもっとお礼を言われてもいいはずなのにな、と少しだけ怒りが込み上げてきた。



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