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集いし幻獣達

そしてしばらく自転車を扱ぎ、夏菊とストレンジャーは家へと帰ってきた。
帰るとすでに日は沈んでおり、辺りが少々暗かった。
夏菊は移動の際に使った自転車をいつもの場所に止め、家へと向かった。

 

 

「ただいまー」
「お帰りなさい夏菊。 随分長い散策だったわね。」

 

夏菊は家へと入ると母親がキッチンから出迎えた。

 

「ごめんなさい。」
「いいのよ。 少しでも記憶が戻ってくれれば、私は嬉しいわ。」

 

母親は夏菊が帰ってくるのが遅れたことに関して特に何も言わず、怒りはしなかった。

 

「ありがとう。 母さん。」
「さ、お風呂に入ってお夕飯を食べなさい。」
「はい。」

 

夏菊は靴を脱ぎ、風呂場へ向かって行った。
ストレンジャーも同様に家へ上がり、夏菊の後について行った。

 

 

 


その後夏菊はお風呂と食事を済ませ、自室へ戻って行った。

 

「ふぅ、今日は疲れたー」

 

夏菊はベットに腰掛け言った。
まだ病院を出たばかりであることもあり、学校と長距離のお出かけは少々疲れたようだ。

 

「学校以外に少し遠出をしたからな、ゆっくり休みなよ。」

 

ストレンジャーも同様にベットに腰掛けつつ夏菊に言った。

 

「でも、そこまでゆっくりもしてられないよ。 まだストレンジャー君以外のオリキャラの記憶が戻ってないから。」

 

夏菊は部屋に置いておいたファイルを取り、ページをめくりつつ言った。
中にはストレンジャーと、ストレンジャー以外のオリキャラが書かれたルーズリーフが閉じられていた。

 

「その件もあったな。 だがとりあえず、そう言うことは明日になってからだ。」
「そうだね。」

 

夏菊は素直にストレンジャーの意見を聞き、照明を消し、ベットに入った。

 

「ストレンジャー君も一緒に寝ない? 昨日は壁にもたれて寝てたけど、いつもベットでしょ?」

 

夏菊は昨日の事といつものストレンジャーの行動を思い出し、ストレンジャーに言った。

 

「俺のことを完全に思い出したみたいだな。 では、そうさせてもらおうか。」

 

ストレンジャーは夏菊の意見を聞き入れ、ベットの下に靴を置き、夏菊の隣に潜り込んだ。

 

「お休み。 ストレンジャー君。」

 

夏菊はそう言うと、目を閉じ寝てしまった。

 

『お休み、マスター』

 

ストレンジャーも同様に目を閉じ寝てしまった。

 

 

 

 

 

そして、次の日の朝日が、街に顔を出した。

 

 

昨日と同様に、街に日差しが照らされ、朝がやってきた。
夏菊とストレンジャーの寝る室内に朝日が差し込み、2人は眩しそうにしつつ、ゆっくり起き上がった。

 

「ううーーーん。 よく寝た~」

 

夏菊はあくびをしつつそう言うと、ベットを降りた。
ストレンジャーもベットから起き上がり、体を伸ばし、ベットの下に置いておいた靴を履いた。

 

「おはよう、ストレンジャー君。」
「おはようマスター」

 

夏菊はストレンジャーとの生活にもなれ、普段の生活の一部となった。

 

 


今日から夏休みのため、夏菊は制服では無く私服に着替えた。
だが起きる時間帯は学校へ行くときと変わらず、6時起き。
そのため夏菊は食事を終えると、学校から出た夏季課題に手を出し、少しずつ片付けていった。

ストレンジャーは夏菊が課題をやっている間は暇なため、部屋に置いてあった適当な本を取り、座って読んでいた。

 

 


「うーーん。 ちょっと疲れちゃった。」

 

夏菊は机に向かった席から立ち上がり、体を伸ばした。
約2時間ほど机に向かっていたため少々疲れたご様子。

 

「お疲れ様マスター。」

 

ストレンジャーは体を伸ばす夏菊にそう言った。

 

「えっと、もう9時か。」

 

夏菊は机の上に置いてあった時計を見て、時刻を確認した。
それから机の上に広がっていた課題をかたし、まとめて机の隅に置いた。

 

「じゃ、そろそろ活動しよっか。」

 

夏菊がそう言うと、ストレンジャーは首を縦に振り同意を示した。
意見がまとまり、夏菊は帽子を被り、携帯とクローバーを持ち、ストレンジャーと共に下へ降りて行った。

 

「ちょっと出かけて来まーす。」

 

夏菊はキッチンに向かってそういい、靴を履いた。

 

 

「? あら夏菊。 お散歩?」

 

キッチンから母親が顔を出し、夏菊に問いかけた。

 

「うん。 お昼過ぎまでには戻るから。」
「わかったわ。」

 

夏菊は母親にそう告げると、ストレンジャーと共に外へ飛び出した。

 

 

 


外は夏休みということもあり、日差しが強く暑かった。
夏菊は自転車置き場に止めておいた自転車に乗った。

 

「えっと、どこに行こうか?」

 

特に目的地を決めてなかったため、夏菊はストレンジャーに問いかけた。

 

「マスターが行くところなら体外迷人がいると思うから、適当に散策しててもいいんじゃないかな。 マスターも俺も見えるんだし。」
「わかった。 じゃあとりあえず、学校の方に行ってみようか。」

 

目的地が決まり、夏菊は自転車を扱ぎ学校近辺へ向かって行った。
ストレンジャーも夏菊の後に続くため、羽を広げて飛んで行った。

夏菊とストレンジャーは学校へ行く途中、道路や街路樹の陰など、迷人がいないかどうかチェックをしつつ進んで行った。

 

『うーーんと、特にいないみたいだね。』

 

夏菊は自転車を扱ぎながら辺りを見渡し、迷人がいないかどうか確認しつつ進んでいた。

 

「普段どこにいるのか情報が無いからな、闇雲に探すしかないな。」

 

ストレンジャーは夏菊からは見えない高い位置を捜索しつつそう言った。

 

「あ。 あれ違うかな?」

 

夏菊は不意に何かを見つけ、指差した。
夏菊がそう言うと、ストレンジャーが高度を低くし、夏菊の元に下りて指差した方向を見た。
そこには黒い靄の塊、迷人がいた。

 

「間違いないな。 迷人だ。」
「早速話せるか確認しよう。」

 

夏菊は自転車を降り、迷人の元へ進んで行った。
すると迷人はこちらを確認し、住宅街の裏を逃げて行った。

 

「あ、行っちゃった。」
「追いかけるか?」
「もちろん。」

 

夏菊はそう言うと、再び自転車に乗り、迷人の逃げて行った方向へ走って行った。
ストレンジャーも同様に後を追いかけた。

 

 

 


しばらく迷人を追いかけると、迷人はどこかの空き地の中心にいた。

 

「ふう、ようやく追いついた。」

 

夏菊は自転車を降り、迷人の元へゆっくり近づいた。
ストレンジャーも夏菊に続いて進んで行く。

 

『かかったな!!』

 

迷人は夏菊達の行動を見つつ、そう言った。
すると空き地に置いてあった土管やタイヤの中から大量の迷人が出現し、夏菊とストレンジャーに襲い掛かった。

 

「何!?」
「チッ 罠か!!」

 

ストレンジャーは夏菊の前に立ち、剣を片手に迷人と戦った。
夏菊はストレンジャーの後ろへ立ち、ストレンジャーの行動を見守るしかなかった。

次々と襲い掛かってくる敵に対し、ストレンジャーは夏菊を守るため、必死になって戦った。
だが敵は攻撃されても次から次へと出てくるため、霧が無い。

 

「くそっ、キリが無い!」

 

ストレンジャーは相手を攻撃するものの、敵が減る様子が無いため、段々と疲れてきた。
夏菊はそんなストレンジャーを見た。

 

『ストレンジャー君1人じゃ手に負えないんだ。 皆、力を貸して!!』

 

夏菊は自分の前で戦うストレンジャーの疲労を察し、手を胸の前で組み願った。

 

 

 

 

 


キラッ!!

 

 


すると持っていたクローバーがあの時同様に強く輝いた。

そしてクローバーの光の中から人影が飛び出し、ストレンジャーの前に立ち相手の攻撃をすべて、それぞれが持っていた武器で防いだ。

 

「ふぅ、とりあえず何とかなったわ。」
「ストレンジャーだけに、戦わせるわけにはいかねぇからな。」
「随分と好き勝手やってくれたわね。」
「でもこれ以上好きにはさせません。」
「俺達に敵うはずが無いからな!!」

 

 

「皆!!」

 

ストレンジャーの前に立っていたのは、夏菊が作り出した、ストレンジャー以外の5人のオリジナルキャラクター達だった。
それぞれが獣と人間を混ぜたようなキャラクターだった。

 

「皆さん!! 力を貸してください!!」

 

夏菊は出てきたほかのオリキャラ達にお願いした。

 

「もちろんよ!」
「依頼されなくても、やってやるさ!!」

 

出てきた5人のうち2人がそう言うと、5人がそれぞれ、目の前にいる敵を倒していった。

 

 

 

 

「ストレンジャー君。 大丈夫ですか?」

 

夏菊は自分の前から敵がいなくなり、その場でひざを付いたストレンジャーに言った。

 

「大丈夫だ。 マスターのおかげだぜ。」


ストレンジャーは少々疲れてはいたものの、夏菊にお礼を言った。

 


狛犬と創造主

夏菊が新たに召還した5人のオリキャラの活躍により、襲い掛かってきた迷人はすべて消えた。

 


「コレで終了ね。」
「歯応え無い奴らだな。」

 

5人は敵を全滅させると、マスターである夏菊の元へ帰ってきた。

 

「ありがとうございます。 皆さん。」
「いいのよ。 気にしないで。」
「僕達を召還して下さった。 それだけで十分ですから。」

 

目の前に立つ5人のうち、2人はそう言った。
夏菊の前に新たに召還されたのは、鳥、虎、亀、犬、豹だった。

 

 

赤いドレスを着ている赤い鳥は、アルドール
青のラインが入ったTシャツと、黄色いズボンを履いている白い虎は、ピスフリー
緑色のドレスを着ている緑色の亀は、ジョイ
白い服と、青い袴を履いた黄色い犬は、ビリーブ。
そして、緑色のマントを纏った橙色の豹は、コレージ。

 

それぞれが別々の服を身に纏ってその場に立っていた。

 


「皆のおかげで助かったぜ。 ありがとう。」

 

体力が回復したストレンジャーは立ち上がり、5人にお礼を言った。

 

「いいのよ。 ストレンジャーもマスターのためにがんばってたんだもの。」
「お疲れ様です。 ストレンジャーさん。」

 

アルドールとビリーブはストレンジャーにそう言った。

 

 


フラッ

 

 

『あれっ』

 

6人が会話をしていると、夏菊の視界が徐々にぼやけ始めた。

 

「? マスター!」

 

ストレンジャーは夏菊の異常を察し、夏菊を支えた。

 

「大丈夫か?」
「う、うん。 なんか視界がぼやけて・・・」

 

夏菊は少々顔色を悪くしつつ、ストレンジャーに言った。

 

「きっとオリキャラを召還しすぎて疲れたんだ。」

 

コレージは夏菊の顔色と体調を見つつ言った。

 

「そうなると、私達も長時間マスターと一緒にはいられないわね。」
「マスター、俺達を戻してください。」

 

ピスフリーはそういい、夏菊に頼んだ。

 

「わかりました。 皆さん、ありがとう。」

 

夏菊は持っていたクローバーを差し出し、ストレンジャー以外の5人を戻した。

 

「また、必要な時に僕達を呼んでください。」

 

ビリーブは去り際にそういい、5人はクローバーの中に戻って行った。

 

 

 

 


残ったストレンジャーは夏菊を背負い、近くの木陰に連れて行き、少し休ませた。

 

「大丈夫か、マスター」
「うん。 大丈夫だよ。」

 

夏菊は体調が良くなり、ストレンジャーに言った。

 

「オリキャラも召還しすぎると駄目なんだね。 ストレンジャー君と一緒の時は大丈夫だったんだけど・・・」
「コレも容量上何か問題があるんだと思う。 無理はしないでくれ。」

 

ストレンジャーは夏菊の身を案じ、そう言った。

 

「でも皆を外にいさせてあげられないのは可愛そう・・」

 

夏菊は持っていたクローバーを出し、クローバーを見つつ言った。
クローバーの中には夏菊が作り出したオリキャラと、迷人が入っている。

 

 

「だったら、俺を戻して、変わりに誰かを召還してくれ。 それだったら大丈夫のはずだから。」

 

不意にストレンジャーは思いつき、夏菊に提案した。

 

「ストレンジャー君はいいの?」

 

提案され、夏菊は少々不安になりつつ問いかけた。

 

「目の前にマスターがいなくても、そばにいることはわかっているから平気さ。 必要な時に呼んでくれ。」
「わかった。 ありがとうストレンジャー君。」

 

夏菊がそう言うと、ストレンジャーはクローバーに手を当て、姿を消した。

 

 

「・・・召還!」

 

夏菊はクローバーを手の中に入れたまま胸の前で組み、召還した。

 

「・・・ よろしくお願いします、マスター」

 

召還されたのはビリーブだった。
ビリーブは膝を曲げ、座っている夏菊の目線に合わせて言った。

 

「少しの間だと思いますが、ストレンジャー君の代わりに、自分をサポートしてください。」
「わかりました。」

 

ビリーブは夏菊からの申し出を受け入れ、そう言った。

 

「では、1回家に帰りましょうか。」

 

夏菊は立ち上がり、ビリーブと共に家へ帰って行った。

 

 

 


「ビリーブさん。」

 

夏菊は自転車を扱ぎつつ、自転車の後ろに乗っているビリーブに問いかけた。
ビリーブには羽が無いため、自転車の後ろに立ち、二人乗りのように乗っていた。

 

「はい。 何でしょうか?」

「ビリーブさんは召還される前、迷人だったんですか?」
「先ほどの皆さんですね。 いいえ、自分は完全に迷人にはなりませんでした。」

 

ビリーブは召還される前までの事を思い出し、そう言った。

 

「・・・ストレンジャー君と一緒ですね。」
「多分、僕以外にも皆、コレを持っていたからだと思います。」

 

ビリーブは右手に破魔矢を召還し、付けていたクローバーを夏菊に見せた。
クローバーはストレンジャー君が持っていたものと同じで、白いクローバーだった。

 

「マスターは僕達6人にこのクローバーを託しました。 そのおかげで僕達の記憶が無くなり、存在価値が無くなっても迷人にはならなかったんだと思います。」
「それが、創造主が本当に認めた証だから。」
「その通りです。」

 

ビリーブは破魔矢をしまった。

 

「オリキャラに存在価値の証を託したから、皆迷人にならなかった。 そんなにすごいものだったんですね。」
「僕もこのクローバーにそんな力があるとは思いませんでした。」

 

ビリーブはクローバーの威力を知り、言った。

 

「迷人の皆さんは、そのクローバーを欲しがっているんです。 創造主が本当に認めた証の塊だから。」
「でも、コレ自体を渡しても意味はありませんね。 マスターは迷人の皆さんを助けたいのですか?」

 

ビリーブはふと思い、夏菊に問いかけた。

 

「ええ、元はといえば創造主である自分達が見捨てた事、忘れてしまった事が原因ですから。 救えるだけ救いたいんです。」
「では、僕では弱いとは思いますが、マスターのお力になります。」
「ありがとう。 ビリーブさん。」

 

夏菊は自分の後ろに立つビリーブにそう言った。

 

 

 

そして、2人は家へと向かって走って行った。

夏菊とビリーブは家に到着し、自転車を片付け家に入った。

 

「ただいまー」
「お帰りなさい夏菊。 お昼ご飯出来てるわよ。」

 

夏菊とビリーブが家に入ると、母親がキッチンから顔を出し、出迎えた。

 

「はーい。」

 

夏菊は靴を脱ぎ、手を洗いに行った。
ビリーブもその後を付いて行った。

 


惑う迷人に襲う迷人

それから夏菊はお昼ご飯を済ませ、1回部屋に戻って行った。

 

「ふぅ、ちょっと休憩っと。」
「お疲れ様です。 ?」

 

ビリーブは夏菊にそう言うと、何かの気配を感じ、窓を見た。
夏菊も同様に気配を察し、窓を見た。
すると、そこには迷人がいた。

 

 

「また、迷人ですか。」

 

ビリーブは窓辺にいる迷人を睨みつつ、右手に破魔矢を召還した。

 

「まって、ビリーブさん。」

 

夏菊は行動しようとしたビリーブを止め、迷人の元へ

 

「貴方は、何か用があって来たのですか?」
『・・・』

 

迷人は窓辺にいたまま、夏菊を見た。

 

『存在・・・認めて・・・』

 

迷人は夏菊を見たまま、そう呟いた。

 

「認めて欲しい、なぜそれを?」
『貴方が・・迷人の1人を・・救ったから・・・』
「あの人ですね。」

 

夏菊はあの時病院であった迷人を思い出し言った。

 

「存在を認める事は構いません。 ですが、新しい存在を作るとき、ほかの迷人と一緒になりますが、よろしいですか?」
『もちろん・・です・・・ 迷人が・・他の迷人と・・いっしょになれれば・・強い存在に・・なれるから・・・』
「わかりました。」

 

夏菊はそう言うと、クローバーを手に乗せ、迷人に差し出した。
迷人はクローバーに手を乗せると、消えてしまった。

 

 

 

「これで、また1人救われた・・・」
「マスターは、その迷人をどうするんですか?」

 

ビリーブは夏菊がとった行動を見つつ、問いかけた。

 

「たくさんの迷人を助けて、自分の新しい存在価値を取れる姿、オリジナルキャラクターにするんです。」
「たくさん集めるのは、なぜですか?」

 

ビリーブは再び夏菊に問いかけた。

 

「ストレンジャー君曰く、オリキャラを作るには容量と時期が足りないんです。 だから、たくさんの迷人を助け、形にするんです。」
「たくさんの人々を助け、形にするんですね。」

 

ビリーブはそう言うと、夏菊はうなずいた。
夏菊はクローバーをしまい、ビリーブの方を向いた。

 

「そうすれば、迷人に存在価値を与えられます。 もう迷わなくてもいいようになります。」
「大変でしょうけど、がんばってくださいね。 僕も、出来る限りのことはしますから。」
「ありがとう、ビリーブさん。」

 

夏菊はクローバーを持ったまま、ビリーブにそう言った。

それからしばらく、夏菊達は部屋で一時休憩を取り、夕方前に再び出かけて行った。

 

 

 

「マスター、今度は何処へ行くんだ?」

 

ビリーブをクローバーの中へ戻し、再び召還されたストレンジャーは夏菊に問いかけた。

 

「午前中は学校周辺だったから、今度は商店街の方を見ようと思うんだ。」

 

夏菊は午前中散策した場所とは別のエリアでの散策を提案した。
ストレンジャーはその提案に同意し、2人は商店街に向かって行った。

 

 


夕方前の商店街は比較的外気温度が安定しており、涼しい陽気だった。
夏菊は商店街の裏道や人通りの少ない場所を重点的に見つつ、辺りを捜索した。
ストレンジャーは夏菊からは見えない高い位置を見つつ、迷人を探した。

 

「夏菊ー」

 

2人が商店街を散策していると、前方から名前を呼ぶ声がした。

 

「あ、藍樹だ。 藍樹ー」

 

夏菊はこちらにやってくる藍樹に手を振った。
藍樹は自転車で夏菊の元へやってきた。

 

「よう。 こんな時間に何してるんだ?」

 

藍樹は普段夜に近い時間帯は外へ出ない夏菊の行動に疑問を抱き、問いかけた。

 

「うん。 ちょっと探し物をしてるんだ。 そこまでたいしたものじゃないんだけどね。」
「ひょっとして、後ろにいる奴と関係があるのか?」

 

藍樹はふと、夏菊の後ろにいたストレンジャーを見つつ言った。

 

「藍樹、見えるの?」

 

夏菊は少々以外に思い少々ビックリしつつ聞き返した。

 

「ああ。 なんだ、意外そうな顔だな。」

 

藍樹は夏菊の意外そうな顔を見つつ言ってきた。

 

「いや、学校にいた時は何も言わなかったから、ちょっとビックリして。」
「その時からいたのか。 始めまして、ストレンジャー」
「始めまして、藍樹。」

 

ストレンジャーは少々前に出て、藍樹と握手した。

 

「まあ探し物を探すのを手伝いたいが、俺には無理そうだな。」

 

藍樹は2人の様子を見て、結論を言った。

 

「ゴメンね。」
「いやいいんだ、気にすんな。 だが怪我だけはしないでくれよな。 あの時同様の気持ちになるのはもう御免だからな。」

 

藍樹は夏菊が目の前で事故にあった時の事を思い出しつつ言った。

 

「うん。 気をつけるよ。」
「じゃあな、夏菊、ストレンジャー」


藍樹は2人に手を振り、自宅へ向かって走って行った。

 

 

「この様子だと、恵さんもストレンジャー達が見えててもおかしくないね。」

 

夏菊は美津華と藍樹の行動を思い出し、そう言った。

 

「ああ、だが俺たちが見えてるって事は、少なからずこの事に巻き込まれてもおかしくは無いな。」
「早くこの事を終わらせて、平和な世界にしないとね。」
「そうだな。」

 

2人は少し会話をし結論に至ると、再び迷人探しを開始した。

すると、

 

 


『助けて・・・!!』

 

夏菊達が再び捜索を開始すると、不意に何処からか声がした。

 

「! 今声が・・・」
「確かにしたな。」

 

ストレンジャーは辺りを見渡し、声の主を探した。
すると、住宅街の裏道に迷人が倒れていたのを発見した。
そのすぐ近くには別の迷人がいた。

 


「襲われてるみたいだな。」
「助けないと!」

 

夏菊は倒れていた迷人を助けるべく、裏道へと入って行った。
ストレンジャーも後に続いて入って行った。


罪人裁きの狼

2人が迷人の元へ付くと、地面に1人の迷人が倒れていた。

 


『ハッ、随分と弱いくせに俺様の指示を聞かない奴だ。 愚かな。』

 

「しっかり!」
『ん?』

 

夏菊は倒れていた迷人を起こし、安否を確かめた。
すると弱ってはいたものの、まだ生きていた。
夏菊は相手の存在を維持するため、とりあえずクローバーの中に倒れていた迷人を入れた。
ストレンジャーは倒れていた迷人を襲った別の迷人の前に立ち、相手を見た。

 

『随分と変わった奴らが出てきたな。 俺とやる気か?』
「随分と性格が曲がった迷人だな。 なぜ攻撃した?」

 

ストレンジャーはまだ手に剣を召還せず、相手に問いかけた。

 

『簡単だ。 俺様の指示を聞かなかった。 だから消すのさ。』
「存在を消すことは、罪深い行為とは気づいていないみたいだな。 お前の方が愚かだと思うが?」
『言わせておけば!!』

 

相手はストレンジャーの言い放った言葉に怒りを抱き、襲い掛かってきた。
だがストレンジャーは片手に剣を召還し、相手の攻撃を防いだ。

 

「確かに強いが、マスターがそばにいる俺に勝てるとでも言うのか?」
『フッ、それだけだったら俺様も普通の存在だ。 だが、これならどうかな!!』

 

敵は体の形を変え、ストレンジャーのことを捕らえた。

 

「何!」

 

ストレンジャーは体の自由を奪われ、抵抗することが出来なかった。

 

「ストレンジャー君!!」
『くらえ!!』

 

相手はストレンジャーの目を見て、何か術をかけた。


「クハッ!!」

 

ストレンジャーは身動きがとれず、術にかかってしまった。
相手は術をかけ終えると、ストレンジャーを投げ捨てた。

 

 

「ストレンジャー君!!」

 

夏菊は投げ飛ばされたストレンジャーの下へ駆けつけ、体を起こした。
だがストレンジャー体の痛みとは違う打撃を受けたせいか、とても弱っていた。

 

「しっかり!!」
「マスター・・ 俺はもう・・」
「何をしたんですか!!」

 

夏菊は先ほどまでのストレンジャーとは違うストレンジャーを抱え、相手を睨んだ。


『存在そのものの名前。 その名前の意味を取ると、その存在はその力を失うのさ。』
「まさか!!」
『その通り、その存在の名前の力を俺は奪ったのさ。 もうそいつには戦うことは出来ない!! 加えて。』

 

相手はそう言うと、手に黒い霧の塊を作り、夏菊の持っていたクローバー目掛けて攻撃した。

 

「わっ!!」

 

夏菊はとっさに避けようとしたが避けられず、クローバーはその霧の攻撃を浴びてしまった。

 

『その中にいる存在にも同じ技をかけた。 もうお前の頼れる奴はいないのさ。』
「そんな・・・」

 

夏菊は自分が支えていたストレンジャーを見た。
ストレンジャーは先ほどまでの強い意志は無く、とても弱弱しくなっていた。
支えているのにもかかわらず、ストレンジャーの体は震えていた。
相手に怯えている様子だった。

 

「ストレンジャー君達にかけた術を解きなさい!!」
『ハッ、そんなことを俺様がするとでも思っているのか?』
「クッ・・・」

 

夏菊は相手を見つつ顔をしかめた。

 

『では、お前たちを消させてもらう!!』

 

相手はそう言うと、こちらに向かって襲い掛かってきた。
ストレンジャーは相手の行動に怯え、夏菊にしがみついて来た。
夏菊はそんなストレンジャーを見て、決心し、目を閉じた。

 

 

 

 

『お願い、自分に力を貸して! 自由の意味を込めし存在!!』

 

 

夏菊は心の中でそう叫び、ストレンジャーを強く抱いた。
すると持っていたクローバーが強く輝き、辺りを包み込んだ。

 

『ぐわっ 眩しい!!』


敵は急な相手の行動に、その場に止まった。

 

 

 


しばらくし、クローバーからの強烈な光が徐々に収まり、辺りにさきほどの空気が戻った。

 

『な、なんだ!!』

 

敵は目を開け、夏菊達を見た。
だがそこには夏菊の姿は無く、代わりに別の存在と、その存在に支えられたストレンジャーがいた。

 

『何者だ貴様!!』

 

敵にはもう何が何だかわからず、相手に問いかけた。

 

「あら、先ほどまで見ていた存在を忘れたとは、随分と馬鹿ですね。 貴方。」
『何!?』

 

敵は相手の言った事に動揺しつつ、相手を見た。
相手はストレンジャーを支えたままゆっくりと立ち、こちらを見た。
その姿は、黄色い布を身につけた、灰色の狼だった。

 

「自分はラプソディ・ウルフ。 この身にフェンリルの意思を染めし存在。 貴方が行った罪なき者に与えた罪、償って頂きます。」

 

ラプソディはこちらを見つつ、そう言った。

 

『何をふざけた事を!!』


相手はそう言うと、ラプソディに襲い掛かってきた。

ラプソディはストレンジャーを抱え片手に傘を召還し、その場でジャンプをして相手の攻撃をかわした。
攻撃をかわしたラプソディはそのままビルの屋上へと降り立った。

 

『くそっ! 降りて来い!!』

 

相手の言った事を聞きつつ、ラプソディはストレンジャーをビルの上に置き、傘を差したまま下へと降りていった。


「それでは、ショータイム込みのフィナーレとさせていただきます!! ファーブ!!」

 

ラプソディは下へと降りたまま、左手に炎を召還し、相手に攻撃した。
相手は上空からの炎攻撃を避けられず、当たってしまった。

 

『ぐわっ!! 貴様!!』

 

相手は炎を浴び、暴れていたがすぐに炎が消え、上空にいたラプソディに攻撃をした。
だがラプソディは相手の攻撃を傘の角度を変えて避けた。


「アニティグロース!!」

 

ラプソディはその場所から攻撃態勢になり、相手に連発で雷攻撃を繰り出した。
相手は空中のため避けることが出来ず、直で喰らった。
そして地上へと叩きつけられた。

 

 

『クッ!』
「終わりです。 デスサーベルス!!」

 

ラプソディは地上へ降り立ち、相手の近くへ行き手にスペードを象った剣を召還し、相手を切った。
敵は真っ二つに切れ、霧の粒子となって消えてしまった。
ラプソディはその霧の粒子をクローバーに収集した。

すると、敵が消えたところから風が吹いてきた。
風はその場から移動し、どこかへ吹いていってしまった。

 

 

 


「ラプソディの力。」

 

ラプソディに変身していた夏菊は元の姿へ戻り、自分の手を見た。
自分の別の姿として作った存在。 その存在は自分を守れ、相手も守れるほどの力を秘めていた。

 

「マスター!」

 

夏菊は不意に上空から声が聞こえ、上を見た。
するとそこには先ほどの状態とは違い、元に戻ったストレンジャーが降りてきた。

 

「ストレンジャー君! もう大丈夫ですか?」

 

夏菊はストレンジャーに状態を聞くと、ストレンジャーは首を縦に振り、体を動かして無事を夏菊にアピールした。

 

「よかった。」
「あの時のマスターの姿でしたね。 その力はやっぱりすごいな。」
「自分自身でもありますからね。 それなりの力は、やっぱりあるのでしょうか。」

 

夏菊は先ほどまでの自分を思い出し、そう言った。

 

 

 

「そうだ。 先ほどの迷人は大丈夫でしょうか・・・」

 

夏菊は先ほど急遽クローバーの中に入れた迷人を召還した。
すると先ほどまで弱っていた姿は無く、少し元気になっていた。


「あの、大丈夫ですか?」
『はい・・ありがとうございます・・・』

 

迷人は形を少し人間に近づけ、夏菊にお礼を言った。

 

『あの・・先ほどのクローバーは・・・』
「これは、自分が作ったオリキャラの存在を認めた証です。」

 

夏菊はクローバーを相手に見せ、説明した。

 

「今、存在価値を失ってしまった迷人を集めているんです。 皆さんに少しでも存在価値を与えることが出来ればと思いまして・・・」
『本当・・ですか・・?』
「はい。 貴方は、いかがしますか?」

 

夏菊は確認のため、迷人に問いかけた。

 

『もちろん・・お願いいたします・・・ ・・・他の方々も・・よろしいですか・・?』
「ええ、この近くにいるんですか?」

 

夏菊は辺りを見渡すと、いろいろな方向から気配がした。

 

『よろしい・・でしょうか・・・』
「もちろんです。 さあ皆さん、この中へどうぞ。」

 

夏菊はクローバーを手のひらに乗せ、上へ掲げた。
するとさまざまな方向から迷人が大量に集まり、クローバーの中へ入って行った。
夏菊にすこし衝撃が来たが、倒れずに立って受け止めた。

 

夏菊の目の前にいた迷人は他の迷人が入ったのを確認すると、お辞儀をし、クローバーの中へ入って行った。

 

 

「すごい数でしたね・・」
「ああ、だがこれでほぼ全員、救われたな。 さっきの奴が迷人を苦しめていた親玉で、そこにいた迷人達。 全部とまでは行かないかもしれないが、ほぼ全員とはいえるな。」
「よかった。」

 

夏菊は持っていたクローバーを握り締め、胸の前に持っていった。

 

「これで、救われたんですね。」
「ああ、マスターのおかげだぜ。」
「ありがとう、ストレンジャー君。」

 

夏菊はストレンジャーにお礼を言うと、もと来た道を戻り、家へと帰って行った。

 


夜間に潜む影

「ただいまー」


夏菊が家に帰ると、外はもうすでに夜になっており、空には月と星が光っていた。

 

「お帰りなさい、随分と遅かったわね。」

 

家に入ると母親がリビングから出てきて夏菊に言った。

 

「ごめんなさい。 ちょっと遠くまで行って来たので遅くなりました。」

 

夏菊は素直に母親に言った。
母親はそれ以上夏菊をとがめず、お風呂へ入ってらっしゃいと進めた。
夏菊は素直にその言葉を受け入れ、バスルームへ向かって行った。

 

 


「ううーーん。 気持ちいい~」

 

夏菊は体と髪を洗い終えると湯船に入り、今日の疲れを癒していた。

 

「今日は結構動き回ったからな。 お疲れ様。」

 

そんな夏菊の様子を、ストレンジャーは浴室とは別のバスルームの入り口近くに座り、夏菊に言った。
夏菊はストレンジャーの言ったことを聞きつつ、浴室に付けられていたテレビをつけた。

 

『・・ぎ次と患者数は増え、市民は恐怖を抱いているようです。』
「?」

 

夏菊はテレビを付け写ったニュース番組を見つつ疑問に思った。
よくわからないが事件が起こっているようだった。
テレビ画面はどこかの病院を写していた。

 

『突如増えた記憶喪失患者は、若い世代に多く、今までの記憶は全部失っている模様。 共通点はいまだに不明です。』
「記憶喪失患者?」

 

夏菊はニュースの司会者の言った事を気にしつつテレビを見た。
入り口にいたストレンジャーは夏菊の言った事が気になり、浴室へ入ってきた。

 

「どうしたんだ?」
「よくわからないけど、記憶喪失の患者が増えてるみたい。」
「記憶喪失?」

 

ストレンジャーも同様に夏菊と共にテレビを見た。
テレビは病院を写し終えると、記憶喪失について説明していた。

 

「記憶喪失って、そんなに頻繁に起こるものなのかな・・」
「いや、ほとんどの場合心身に関する病気の次の症例として発症するくらいだ。 あとはマスターの時と同様に頭部による外部からの衝撃を受けた時に出るくらいだ。」

 

ストレンジャーは一通り知っている知識を夏菊に伝えた。

 

「じゃあそんなに多く出るなんてありえないはずだね。 しかも若い世代ばかりなんて。」
「何かこの事件には裏がありそうだな。」

 

ストレンジャーは夏菊と共にテレビを見つつそう言った。

 

 


その後バスタイムを終えた夏菊はディナーを食べ終えると、自室へ戻っていった。

 

「うーん。 やっぱりさっきの事気になるね。」

 

夏菊はベットに腰掛け、入浴中に仕入れた情報を考えていた。

 

「ああ、確信は出来ないが、何かしら裏で操っている奴がいるはずだからな。」
「記憶喪失。 自分はそこまで強くは無かったから大丈夫だったけど、他の人はもっと深刻なものみたいだね。」
「何が起こっているんだろう。」

 

ストレンジャーは考えつつ言った。
夏菊は部屋に置いておいたクローバーを手に取り、見つつ考えていた。

 

「・・・召還!」

 

すると、夏菊は不意にクローバーに願い、オリキャラを召還した。
出てきたのはビリーブだった。

 

 

 

「どうしたんだ? マスター」

 

ストレンジャーは不意に夏菊が取った行動に驚きつつ問いかけた。

 

「ちょっとね。 ビリーブさん、このクローバーの中にいる迷人の方々と、お話って出来ますか?」

 

夏菊はストレンジャーからの問いかけに軽く答え、ビリーブに問いかけた。


「あの方々とですか? 一応話は出来ますよ。 外にいた時より落ち着いて話が出来るみたいですし。」
「では、先ほどまで自分が話していたことを聞いてきて欲しいんです。 内容はストレンジャー君が知っていますので。 ストレンジャー君もお願い出来ますか?」
「ああ、何か気になることがあるのか?」

 

ストレンジャーは夏菊からの申し出にOKを出しつつ聞き返した。

 

「記憶喪失の患者の中に、以前のマスターがいるかどうか聞いてみたいんです。 患者の方々が作り出した存在で、記憶を失われて迷人になったのなら、この事件との関係が見つかると思って。」
「なるほど、確かに無いとはいい切れないな。 了解だぜ。」
「では、お願いいたします。」

 

夏菊はそう言うと、ストレンジャーとビリーブをクローバーの中に戻した。

そして、ストレンジャーが留守のため、変わりにピスフリーを召還した。

 

「どうしましたか。 マスター」

 

ピスフリーはあたりに敵がいないことを確認し、夏菊に問いかけた。

 

「ストレンジャー君が留守の間、自分といて欲しいなって思いまして。 他に交友的で同姓の方がいないので。」

 

夏菊は少々言葉に困りつつ、ピスフリーに言った。

 

「そうですか。 俺でよければ。」
「ありがとう。 ピスフリーさん。」

 

夏菊はピスフリーにお礼を言うと、電気を消してベットの中へ。
ピスフリーはベットに入った夏菊に誘われるがまま、靴を脱ぎベットの下へ置き、夏菊の隣に入った。

 

「お休みなさい。」

 

夏菊はピスフリーにそう言うと、目を瞑り寝てしまった。
ピスフリーはそんな夏菊の様子を見つつ、夏菊の頭を軽く撫でた。

 

『見た目は青年でも、中身は子供って感じなんだな。 なんか、俺と少し似てるな。』

 

ピスフリーは自分の額に付けていたバンダナを見つつ目を瞑った。

 

「お休みなさい。」

 

ピスフリーは隣で先に寝てしまった夏菊に言いつつ、寝てしまった。

 

 

 

 

 

そんな2人の様子を、窓の外から伺っている人物が。

 

「あいつか。」

 

影は夏菊を見つつ呟いた。

 

「1度お目にかかりたいとは思っていたけど、随分と普通ね。」

 

隣にいたもう1人の小さい影も、同様に呟いた。

 

「アリス様が気になっているのはいいが、なぜ気になっているのかわからないんだよな。」

 

大きいほうの影は夏菊を見つつそう言った。
だが見た目と気になっている人物の言っていたことが余り類似しないため、少々首をかしげていた。

 

「でも、それなりに力があるのかしらね。 意味も無く私たちにお願いすることも無いのだろうから。」

 

小さいほうの影は、大きい影に問いかける感じに言った。

 

「まあ、時機にわかるさ。 いったん引き上げるぜ。」
「了解。」

 

2つの影は意見がまとまり、その場から消えて行った。

 

 

 


そんなやり取りをされていたことを夏菊達は知らずに、街に朝がやってきた。
夏の暑い日差しが、夏菊とピスフリーの顔面に降り注いだ。

 

「ううーーん。」

 

夏菊は目が覚めると、ゆっくりと体を起こした。
隣にはまだ寝息を立てているピスフリーがいた。

 

『起こしたら悪いよね。』

 

夏菊はピスフリーにタオルケットをかけ、朝食を取りに行った。

 

「おはよう母さん。」

 

夏菊はキッチンにいた母親に声をかけた。

 

「おはよう夏菊。 今日も早起きね。」
「うん。」

 

夏菊はいつものトークをしつつ、朝食を用意して食べ始めた。

 

 


それからしばらくして、夏菊が朝食と身支度を終え、自室に戻ってきた。

 

「あ、おはようマスター」


夏菊が部屋に戻ると、睡眠から目が覚めたピスフリーがベットを直していた。

 

「おはようピスフリー よく眠れた?」

 

夏菊はこちらの世界では寝たことが無い、ピスフリーに問いかけた。

 

「ああ、こっちの世界で寝たことは無かったが、悪くなかったぜ。」
「それはよかった。」

 

夏菊はピスフリーからの感想を聞き、一安心のご様子。

 

「あ、そろそろストレンジャー君達ももう起きたかな。」

 

夏菊はそう言いつつ、テーブルの上に置いたクローバーを手に取り、握った。

 

 

「召還!」

 

夏菊はそう言うと、クローバーの中からストレンジャーとビリーブが出てきた。

 

「おはようマスター。 ピスフリー」
「おはようございます。 マスター。 ピスフリーさん。」

 

2人は出てきたのと同時に、夏菊とピスフリーに朝の挨拶をした。

 

「おはようストレンジャー。 ビリーブ。」
「おはようございます2人とも。 あの後どうでしたか?」

 

夏菊はベットに腰掛け、ストレンジャーとビリーブに夜の成果を聞いた。

 

「はい。 マスターの行っていた事は当たっていましたよ。」

「ほとんどの迷人達に、病院にいる患者達の顔を見てもらったが、全員元マスターだった人達だったぜ。」

 

ビリーブは夏菊の行っていた事が当たっていたことを報告し、ストレンジャーは具体的にどんな事だったかを報告した。

 

「だとすると、病院に入院している患者の皆さんが元マスター。 こんな偶然あるんですね。」

 

夏菊は報告を聞き、入院している患者の共通点を見つけた。

 

「誰がやっている事かはわからないが、オリキャラを持っているマスターを狙っているのか?」

 

ストレンジャーは事件の黒幕の行っている目的を推測した。

 

「違うとは、言い切れませんね。」
「だとすると、俺達のマスターも危ないわけだな。」

 

ピスフリーはそう言うと、夏菊を見た。

 

「自分なら大丈夫です。 自分自身を守れる力がありますし、守ってくださる皆さんもいるんですから。」

 

夏菊はそこまで心配はせず、ストレンジャー達を見つつ言った。

 

「そうだな。 黒幕の思い通りにはさせない。」
「俺達が守るからな。 マスター。」
「ありがとうございます。 ストレンジャー君。 ピスフリーさん。 ビリーブさん。」

 

夏菊は改めて3人にお礼を言った。

 

「では、今日も着替えて散策に行きましょうか。」

「了解だぜ、マスター。」

 

夏菊はピスフリーとビリーブをクローバーの中へ戻すと、服を着替え始めた。

 



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