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担当者:「「学校へ行こう」とかに出れますよ」

行動力だけはあった鈴木。

女の子に告白するのも、

身の程を知らず芸能プロダクションに
自分を売り込みに行くのも、


失敗する恐怖より
よくわからない情熱のほうが勝っていたのだ。


芸能プロダクションの担当者に
いろいろ説明を受けたが、


要約すると





「学校へ行こう」とかに出れますよ

冴えないオタク系男子の企画とかね。ニヤニヤ






要はそんな感じだった。



実際はこちらの気持ちを配慮して
話してくれた。


だが・・



顔が微妙だから・・って感じを

直接言わず、なんとか鈴木にわからせようと
何度も切り口を変え、表現を変え、

オブラートに包まれて話されたのが
鈴木の心を折った。



(学校へ行こう、は当時高校生の間で
すごい流行っていたV6の番組

大量の冴えない高校生が出ていた)



だめだ。


いきなり階段すっ飛ばして
ゴールは無理。


とりあえず、


平民以下の俺は平民になるための
努力をしなければならない・・


そのためには何がある??



奇しくもそのヒントは
心を折られた担当者の言葉の中にあった


「学校へ行こう」である。。



2,3ヶ月後、学校へ行こうで
「アイプチ」の存在を知った。


冴えない男子学生をイメチェンする企画である。


髪型を変え、
ファッションを変え

一重の人はアイプチを使って二重に変え・・



「アイプチ??
こんなアイテムあるんだ!?」



鈴木の中に衝撃が走った。


やってる人が2人いた

こんな便利なアイテムが
あるんだ。

整形などは一切考えていなかった
鈴木は、これなら簡単に出来そうと

アイプチについて調べてみることにした。


そしたら、
衝撃の事実が発覚。


え、○○さんも○○君もやってんの?


やってる人が
クラスメイトに2人いた。


マジか!


超ラッキー!
いろいろ聞いてみよう♪


女の子に告って振られ、
クラス中にその愚行を知られていた
鈴木の印象はとりあえず最悪だったが

アイプチやっている人からすれば
仲間が増えるのはウェルカムだったらしく

付け方とか教えてもいいよと言われた。



でもあんま仲良くしてると
思われたくないらしく




人がいる所ではあまり話しかけないでね。




と言われた。




鈴木は2、3ヶ月ぶりに
打ちひしがれたが、

なんとかこらえた。
ちょっと泣きたくなったけど。



そうしてアイプチの使い方を
教えてもらった鈴木は、


さっそく近所のドラッグストアに
足を運ぶのだった。


「怪しい物買いに来た~」

下校時、

アイプチを買うため
ドラッグストアへと向かう鈴木。

やったーこれで
二重が手に入るぞ!

鈴木は高揚していた。


だが、ドラッグストアに入り、
鈴木は一瞬フリーズした。




店員が、女子高生・・・!!?



げ、ヘタしたら同じ学校の生徒かもしれない。



まずい。
絶対買えない。


買ったら


パターン1 「へぇ~・・・ニヤニヤ」

パターン2 「キモ」



このどちらかのパターンになる




軽く女子高生にトラウマを
抱えていた鈴木の脳内では

どう転んでも、その2パターンに
分類されるのみだった。


鈴木は打ちひしがれた。



当時はamazonなんて無い。

いや、あったかもしれないけど
ガラケーを高2で初めて手にした鈴木は
amazonなんて知らなかった。


どうしよう。
他のドラッグストアに行ってみよう。


そして次の店でも
自動ドアが開くと同時にキョドった。



また女子高生じゃねーか!!



ドラッグストアのバイト流行ってんの!?



キョドっちゃったし、なんかもう、


「いらっしゃいませ~」


のトーンが、


「怪しい物買いに来た~」


って言われてるようにしか思えなくなって来た。



ダメだ、出直そう。


鈴木は自宅へ帰るのだった。


「すげぇ!俺の目、キムタクみたい!!!!」

アイプチを購入しようとするも、

あえなく女子高生に撃退された鈴木。


こうなっては仕方ない。
おばちゃんタイムを狙うしかない。


おばちゃんタイムとは、

コンビニもスーパーもドラッグストアも
レジがだいたいおばちゃん一色になる

そんな、平日朝から昼過ぎまでの
おばちゃんパラダイスの事を指す。

たまにフリーターが潜んでいるので
注意が必要。


おばちゃんタイムを制し、

先日とは打って変わって
あっけなくアイプチを
手に入れることが出来た鈴木。


やった!
ついに手に入れたぞッッッ!!!


家に帰り、まぶたに
アイプチを塗りたくる鈴木。



「すげぇ!俺の目、キムタクみたい!!!!」



教えてもらった使い方を
完全そっちのけでひたすら
目に塗りたくった。


まぶたを極限まで奥の方に押し込み、
その上からアイプチで塗り固める

「一回、どれだけ大きくなるのか見てみたい」

という衝動に駆られ、アイプチを
手にした人物が一度はやる行為だ。



普通の人なら、ここで


「これは明らかに不自然だな、
素の状態でこの大きさはまず無理」

と、自分の目にあった二重ラインを
見つける段階に入る。



だが鈴木はそんな単純なことにも気づかず、

そのうちこの大きさで定着
したらいいな、と思った。



次の日にアイプチテクニシャンである
クラスメイトに

この感動と、
自分の目がメッチャ大きくなるかもしれない
未来のワクワクを話した。



そしたら

「ありえない」

と一蹴された。



鈴木は打ちひしがれた。




リベンジしてやる・・!!

目にアイプチを塗りたくり、
まぶたをとにかく押し込みまくる。

この方法ではダメなことを
なんとか理解した鈴木。

とりあえず目が自然に開くラインを
見据えてアイプチを付けることにした。


「うーん、これなら自然か??」


今まで一重だった人間が

二重っぽい自分の目を見て
自然かどうか?を判断するのは難しい。

ただ、

アイプチ塗りたくって作った
異常な大きさの二重よりはだいぶマシに見えた。



「よし・・・


リベンジしてやる!!」



以前友人に無理やりやらされたナンパ。

その時は女子高生2人組に


「はい?」
「何こいつ?」


という対応をされた鈴木。



あの時の記憶を早く脳内から
消し去って上書きしてやりたい。




頭の片隅でずっとそのことを
考えていた鈴木は、

早くもリベンジしようと企んだのだ。



アイプチつければ、とりあえず
はたから見た顔の雰囲気はすぐ変わる。

その状態でどうなるか?
試したくて仕方なかったのだ。



休日、駅前へと自転車を走らせる鈴木。



ドクンドクンドクンドクン・・・


鈴木の心臓は
以前ヤンキーに絡まれた時以上に
心拍数が上がっていた。


ちなみにその時のヤンキー


ヤンキーA「どうする?こいつらやっちまう!?」

ヤンキーB「え?ど、どっちでもいいよ」


鈴木(どっちでもいいんかい!!)(ドキドキ・・)


片方は「クローズ」に出てきそうな
犯人顔の大男だったが、

片方がヘタレで助かったのだ。


それにしても


サイドメニューにポテトでもつけとく?


みたいなノリで、人を殴るかどうか
決めるのはやめて欲しい。



そんなことがあった現場を
通り過ぎながら


鈴木は駅前の駐車場へと自転車を止め

人通りの多いメインストリートへ
歩いて行くのだった。



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