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 相も変わらず、ムーンシャインで二人は落ち合い、今回の件の打ち上げを行った。マダム・カジタは全額払おうとしたが、神楽が譲らない。本物のカードは結局見つからず仕舞いだったからだ。最終的に、前金のみを頂くことで、話は落ち着いた。

「神楽なんだか、変わったな」マスターが独り呟く。

「そうかな」

「変わったわ。多分今回の旅のおかげね」

「どこが変わった?」

「相手を思いやる気持ち、かな」

「マスター、こちらのご婦人にカンパリソーダを」

 

今日は新月。思わず苦笑する。一杯目の苦いカンパリを飲み干した後、二杯目はムーンシャインをオーダーした。何が迷信で何が真実か。見極めるのは困難だ。カンパリの戒めを忘れたわけではない。今日の一杯目は戒めのカンパリだった。だが、今日の二杯目はムーンシャイン。ポジティブな思考。次は失敗しないように最善の努力を払うと心に決めていた。ミドリ自身も気付かないうちに、新月にカンパリばかりを飲むというジンクスは、綺麗に消えていた。

不思議な感覚だった。これが浄化されたということなのだろうか。

今回の件で、いろいろな導きに合い、自分や他人の存在や体験だけが全てではなく、より高次の存在を常に忘れてはいけないと、ミドリは感じていた。

ヴィジョンを見ることも導きの一つだろう。

たとえば、タロットが導くのは、より高次の自分からのメッセージだ。それだけではない、あらゆる偶然の出来事もすべて、高次の存在からのメッセージなのだ。

目には見えなくても確実に存在するものもある。

 

 

そう、今宵の新月のように。影に沈んだ月は闇ではない。それは光の裏返しなのだ。

 

(結)


奥付



モーニング・グロー 2 ~18番目のカード~


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著者 : 鈴木 太一
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