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 やっぱり、猫を虐める人がいるんだ!

 おばさんは悲しそうな表情になった。

「昨日もね、可愛らしいクロちゃんが口から餌を吐いて死んでたの。きっと、毒を食べさせられたのよ・・・」

「ひどい!」

 本気で腹が立った。

 何にも悪いことしてない猫に対して、最低だ。多分、罪の意識なんてこれっぽちも感じない人間なんだろう。

 

「おばさんも悲しいわ。猫ちゃんを虐めたって、何の得にもならないのに・・・」

「警察には言ったんですか?」


「ダメだったわ、全然相手にしてくれないの。所詮、動物のことだからって」

「そんな・・・」

「悲しいけど、これが現実」

 おばさんは少し間を置いた後、私の方を見つめて話し始めた。

「お嬢ちゃん、お名前は?」

「奈美です」

 

「もしよかったら、奈美ちゃんも暇な時に猫ちゃんに会いに来て欲しいのよ。人の目が増えるだけでも、大分違ってくるからね」

 

「猫ちゃんのボディガードですね!」

 

「その通り、いいかしら?」

「はい、喜んで!」


「ありがとう、奈美ちゃん!」

 おばさんの笑顔に、私も笑顔で応えた。

 

「さて、猫ちゃんがしっぽを掴まれないよう、ケアしなくちゃ!」

 

 おばさんはそばにいた三毛のしっぽを素早く掴んだ。

 そして、ポケットから黒い布切りバサミを取り出し、慣れた手つきで根元から斬り落とした。

(第2話 完)


第3話

外科医の趣味


 私は外科医だ。消化器を専門にもう20年以上、大きくも小さくもないそれなりの病院で、それなりの権限を与えられてそれなりに働いている。

 また、家族もいる、妻と娘、父と母も健在だ。
 

 皆、私の収入で生きている。貧しかった子供の頃とは違い、生活も満ちたりており、皆、私に感謝してくれて、医師として、また家族の長としての私に全面の信頼をおいてくれている。

「少しでも体調が悪くなったら、私の病院に来てほしい」



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