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★審査結果発表

てきすとぽい

「来たれ てきすとぽい作家! 800字小説バトル」 主催 : ayamarido

http://text-poi.net/vote/81/

結果発表

 


【グランプリ 読者投票1位】

偶然と運命の紙一重
晴海まどか

http://p.booklog.jp/book/91864/page/2455819

あざやかな場面転換で、読後感も良い、素敵な800字。

読者投票でも、最初から好評価がつづいていた気がしますー。

 

 

【グランプリ 読者投票1位】

オノデラさんのはなし

kenrow
http://p.booklog.jp/book/91864/page/2455822

こちらもみごとに読者投票1位。

荒廃した風景が印象的。

主催者的には、タイトルといい、いろいろミステリアスな800字だと思っておりましたー。

 

 

【入選 読者投票3位】

曇天
伊守梟

http://p.booklog.jp/book/91864/page/2455824

丹念な描写が、非常にはっきりとした情景を想像させる800字だと思いましたー。

読者投票でも安定した評価があったように思いますー。

 

【入選 読者投票3位】

白白

http://p.booklog.jp/book/91864/page/2455825

主催者的には、全体的に、まどろみの、淡いもやのような雰囲気を持つ800字だと感じておりました。

同得点で読者投票第3位ですー。

 

【入選 主催者選】

サクリファイス・ミー

muomuo

http://p.booklog.jp/book/91864/page/2455826

物語の断片のような800字小説が多かった中で、主催者がもっとも惹かれた一作でした。

魔王と勇者の駅前広場の戦いが気になりますー。

 

 

 


全体レビュー

みなさんこんにちは。

気がつけばすっかり秋、というかもう冬の話が聞かれるので、月日の経つのは早いもんだなあ、と平凡なことを思うております。

年を食ったせいでしょうかね。

 

さて、「来たれ てきすとぽい作家! 800字小説バトル」には、主催者がなまけていたにもかかわらず、14編もの作品を投稿していただきました。ありがとうございます。ありがとうございます。

この「800字小説バトル」は、もともと「超文系サイト・テキスポ」というところで、サイト運営者が開催していたものを、あやまり堂がぱくって、10回まで開催してきたものです。
(テキスポは3年前、2011年12月に滅亡しました)
今回の「てきすとぽい・800字小説バトル」開催にあたっても、開催方法など、そのまま踏襲いたしました。

 

グランプリ作品については、点数が公開されていたので、わかっている方も多いかもしれませんが、あらためて審査の結果を、全体レビューを添えてお知らせします。
今回は残念ながら選にもれた人も、てきすとぽいの色々な企画にドシドシご参加くださいませー!

 

全体レビュー

主催者的には、「てきすぽ」の頃の800字小説と較べてしまうのですが、当時の800字小説が、一つの物語を押し込んでくるものが多かったような記憶があるのに対し、今回は、物語の断片といいますか、点描的なものが多かったなあと感じました。

あと、場面転換。800字しかないのに、前半と後半でがらりと変える手法は、あんまり見た事がなかった気がします。

 

点数的には、当初は厳しめに推移していた気がしますが、最終的には半分以上の8作が3.00以上となり、まずまず、妥当な結果となった気がしております。

 

個人的には、短いながらも情景がはっきり思い浮かぶもの、物語性が感じられる作品に、高めの点数をつけさせていただきました。

 

選考基準など

グランプリ2作と入選2作については、読者投票の結果に従いました。

今回、4.00の1位が2作になっていたので、驚きました。

また、以前の「てきすぽ」では「特選」を設定していましたが、今回はグランプリが2作も出たこともあり、「特選」なしで、入選3作とさせていただきました。

 

設定テーマについて

3つのテーマ「少し昔」「駅前」「高校生」について、まず「いつ」「どこで」「誰が」という3テーマを設けるのは、「てきすぽ」時代の800字小説バトルと同じ方式でした。
ちなみに今回のテーマ設定に当って思い浮かべたのは、少し前に主催者あやまり堂が旅した、北九州の門司港駅です(駅舎工事中でしたが)。

 

そんなこんなで

グランプリ作者のお二人には、年末ごろに副賞がわりの「大きなお友だちの文学:てきすぽどーじん8号」をお送りします。こちらからご連絡さしあげますので、「いらない」場合は、さくっと無視して下されば結構です。

 

作品の投稿、投票、そしてコメントをお寄せいただきまして、ありがとうございました。

主催者いいかげんですが、また開催するかもしれませんので、その時はよろしくお願いしますー。

ではでは、選りすぐりの5作品を鑑賞してまいりましょうー。

 

 


投稿作品一覧

来たれ てきすとぽい作家! 800字小説バトル

http://text-poi.net/vote/81/

 

(投稿順・敬称略)

 

噂(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/87.html

月蝕(茶屋)
http://text-poi.net/post/chayakyu/88.html

マレー鉄道は、まれに短くされちゃいまふ(しゃん@にゃん革)
http://text-poi.net/post/syan1717/50.html

曇天(伊守梟)
http://text-poi.net/post/fukuro_imori/3.html

爆発は突然に(碓氷穣)
http://text-poi.net/post/_latefragment/30.html

承前:夢のあと(碓氷穣)
http://text-poi.net/post/_latefragment/31.html

サクリファイス・ミー(muomuo)
http://text-poi.net/post/muo_2/16.html

Birth & Rebirth(muomuo)
http://text-poi.net/post/muo_2/17.html

偶然と運命の紙一重(晴海まどか)
http://text-poi.net/post/harumima/21.html

白白(碧)
http://text-poi.net/post/mimimdr/40.html

目的(山田佳江)
http://text-poi.net/post/yo4e/8.html

オノデラさんのはなし(kenrow)
http://text-poi.net/post/kenrow3/4.html

あれ(しゃん@にゃん革)
http://text-poi.net/post/syan1717/52.html

運命の恋(渡辺一斗)
http://text-poi.net/post/kazutowatanabe3/1.html


【グランプリ】偶然と運命の紙一重 (晴海まどか)

 

偶然と運命の紙一重

 

晴海まどか




 バスロータリーに面した駅前広場には、たくさんの人が往来している。
 制服を着た学生。スーツ姿のサラリーマン。腰の曲がったおばあちゃん。老若男女。
 人、人、人。
 東京近郊のなんてことないベッドタウン。けっして大きな街じゃないけど、それでもこんなにもたくさんの人であふれてる。世界にはたくさんの人がいる。
 そんな中で、私はあいつと出会ったのだ。
 なんて考えてみると、出会ったその事実だけで、ものすごい奇跡みたいに思えた。
 だから私は、じっと待つ。私の奇跡がやってくるのを。

 電車が流れて、人が流れて、時間も静かに流れていく。
 待ち合わせは午後四時のはずだった。気がつけば、時刻すでに午後六時半を回っている。
 さすがにこれは遅すぎやしないかね。
 募っていた不安が一気に膨らむ。少なくとも、あいつは遅刻しても約束を破ったことはない。
 私の家は駅のこっち側だけど、あいつの家は駅の反対側。
 家まで行ったら迷惑かな、なんて思いつつ、でも押さえきれない焦燥感で駅前広場に背を向けて駅の構内に入った直後。
「あ」と上げた声が重なった。それから、「何やってんだよ」っていう声も。
「お前が来ないから」「こっちだってあんたが来ないから……」
 私と彼は顔を見合わせ、そして二人して吹き出した。

***

「……何、なんでそれが結婚の決め手になるの?」
 私の言葉を母は鼻で笑った。
「そりゃね。生まれたときからケータイだのスマホだのがあったあなたにはわからないでしょうね」
 いい? と母は、眉を寄せたままの私の鼻先を指さす。
「二時間半。ママとパパは、駅の反対側で相手が待ってるのに気づかないで待ち続けてたわけよ? しかも心配になって、同時に駅の反対側に行こうとしてはち合わせたの。わかる?」
「ま、すごい偶然だね」
 リビングのソファでトドのようにぐでんと横になり、いびきをかいている父をチラと見て、母はこれ見よがしにため息をついた。
「その『偶然』が『運命』に思えた高校時代があったのよ」
 若いって怖い、と呟いた母に、私は深々と頷いた。

 

 

 

 

 


来たれてきすとぽい作家 800字小説バトル! グランプリ作品

初出:

偶然と運命の紙一重

晴海まどか
http://text-poi.net/post/harumima/21.html

 

 

 

 


【グランプリ】オノデラさんのはなし (kenrow)

 

オノデラさんのはなし
kenrow

 

 



 煤けたトロッコで廃線跡を進んでいくと、緑の街が見えてくる。
 かつて炭鉱で栄え、今は誰も住まない街。ひび割れたアスファルトの隙間を、公営住宅の壁面を、草木が覆い尽くしている。捨てられた大地で、どこから種子が来たのかもわからない。けれどその場所は確かに、生命の残る街だった。
「研修時間は午後の三時まで。あまり遠くまで行かないようにしてね」
 教師がそう告げると、生徒は皆スケッチブックを片手に駆け出していく。教科書や文献でしか見たことのない世界が、広がっているに違いなかった。けれど私の興味からは外れていた。旧駅前広場に一人残り、ボロボロのベンチに腰掛ける。背もたれに身を委ねて、時間いっぱいやり過ごそうと決意する。
「何をしているの、カサイさん」
 声をかけられて振り向くと、防護マスクをつけた女子生徒が立っていた。女子だと分かったのは制服のおかげであり、顔は判別できない。そもそも顔を覚えているクラスメイトの方が少数だった。
「別に何も。あなたこそどうして残っているの?」当たり障りのない声色で返してやる。
 質問に彼女は答えなかった。答えずに「マスク」と、私の手元を指差してきた。
「それ、付けなくていいの?」
「ああ。これね」マスクを翻しながら鼻で笑った。
「いいよこんなの。この辺はあまり危険じゃないっぽいし」
 彼女は何かを言おうとしたが、やがて踵を返して立ち去る素振りを見せた。しつこいようなら強行策を取るつもりだったが、手間が省けたなと密かに安堵する。
 けれど彼女は、その場から動こうとしなかった。
 やがてもう一度向き直ったかと思うと、マスクを外して私の隣に座り込んできた。
「ねえ、私も一緒に描いてもいい?」
「描くって、何を」
「もちろんこの街を。ここからなら全体を見渡せるもんね」
 独り占めなんてずるいよと付言して、彼女は画材を手に取った。
 その日、絵を描かずにサボるつもりだったことは、親しくなるまで言えずじまいであった。

 

 

 

 


 

来たれてきすとぽい作家 800字小説バトル! グランプリ作品

初出:

オノデラさんのはなし
kenrow
http://text-poi.net/post/kenrow3/4.html

 

 

 

 

 



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