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学生時代(小学生編)31

仕方なく

分かったよ~!あげるよ~!あげますよ~!」

と大声でOK(オッケー)するワルオはニヤリと笑う。

 こうしてワルオを連れて家に帰っていく。

 家に戻ると母さんがリビング部屋を掃除していたのだが

「ただいまー」

と言ってワルオと一緒にリビング部屋に入っていった。

「おかえりー。あら、その子アンタのお友達?それにどうしたの?その右手は」

母さんはワルオとケガをしている右手について訊いてくる。

「あっ、僕、阿区(あく) ワルオと申します。学校ではいつも健志郎君にはお世話になっております。実は今日演劇の練習中、健志郎君が転んで右手をケガしてしまったので心配になり彼を家まで送りました」

 ワルオは丁寧に母さんに自己紹介をしただけではなく、俺の右手のケガについても上手(うま)くゴマかしてくれた。

「あら。名前に似合わずえらく礼儀正しく優しい子ね。まあ狭いところですけどゆっくりくつろいでいってね」

母さんがワルオに家にあがってもらうように言うとワルオは

「はい。おじゃまします」

と礼儀正しく言って一緒に俺の部屋に行った。

 部屋に入るとワルオは

「おっ?部屋は意外と綺麗(きれい)にしているんだな。さてマンガはどうかな?」

と本棚から好き勝手にマンガを何冊か取って読みやがる。

「なんかイマイチ面白くねーな。お前マンガの趣味悪いな。ま、いいや。それよりほら、早くゲームソフトを俺にくれよ!」

 ワルオがゲームソフトを催促してくるので

分かった、分かった。ほらよ!持ってけ、ドロボー!」

と3個のゲームソフトをワルオに手渡した。

「まいど。どれもあんまり面白そうなゲームじゃなさそうだが、ま、いいわ。それじゃ、俺もう帰るわ」

ワルオは部屋を出て母さんに

「それではおじゃましました」

と挨拶をして帰っていった。

 ワルオが帰っていくと母さんが

「アンタにもいいお友達がいたのね」

と言ってくるので

「別にアイツはそんなんじゃないよ」

と返した。

『でも本当にワルオのヤツ俺にノドカさんをまともに見ないで済む方法を教えてくれるのだろうか?』

俺は不安になりながら悩みまくる。

 そうしていくうちに時間は過ぎていき、また一日が経つ・・・・。

 

 

 

 


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学生時代(小学生編)32

 次の日。授業時間も相変わらず早く過ぎていくように感じ、気が付けばあっという間に放課後になっていた。

 放課後になると岩鉄先生は逃げるように職員室に行った。

 そんな薄情(はくじょう)な岩鉄先生は今はどうでもよく、早くノドカさんをまともに見ないで演技ができる方法を知りたかったので ワルオに

「ワルオ!早く教えてくれよ!!」

とせがんだ。

 ワルオは

「ちょっと待て!今用意しているだろ」

と言いながらカバンの中から何かを探している。、

「おっ、あった!」

カバンの中からメガネケースを取り出したワルオ。

「おいワルオ!そのメガネケースがいったい何だと言うんだ?」

ワルオにメガネケースについて訊くとワルオはメガネケースからメガネを取り出し

「いいから黙ってこのメガネをかけてみろ!」

と言ってメガネを渡してくれた。

「分かったよ。しょうがねーな」

とりあえずワルオの言うとおりメガネをかけてみることにした。

 メガネをかけてみると不思議なことにメガネのサイズはほぼピッタシだった。

 でも視界がボンヤリとしていて、人の姿や物の形があまりハッキリと見えない。

「どうだ?このメガネをかけていればノドカちゃんをまともに見ずにロミオの演技をすることができるだろうが?」

ワルオは得意気(とくいいげ)に言っている。

「ホントだ!サンキュー!」

俺はワルオに礼を言い演技の練習を始めていく。

 メガネをかけて練習を始めていくとノドカさんが相手でも自然に愛の告白をする演技が出来るしノドカさんに抱きつく演技もすることができた。

 しかしセリフがなかなか完全に覚えられない・・・。

 その時ノドカさんが

「台本のセリフは何度も声を出しながら読んでいけば自然に覚えられるよ!」

とアドバイスをしてくれた。

「ありがとうノドカさん!やってみるよ!」

ノドカさんに礼を言って台本を何度も声を出しながら読んでいこうとしたのだが、ワルオが渡してくれたメガネをかけている状態では台本の文字が見えづらいので、そのメガネを外してから台本を何度も声を出しながら読んでいき、演技の練習をしていった。  

 演技中セリフを忘れてしまうと亜美さんに

「アンタこんなセリフも覚えられないの?こんなセリフはサルでも覚えられるわよ!」

とキツくつっ込まれる。

 その時

『それなら俺の代わりに日光サル軍団のサルかバブルス(ドラゴンボールより)君あたりでも呼んで俺の代わりにロミオ役をソイツラにやらせてみろよ!』

と亜美さんに言ってやりたくなっていたらノドカさんが

 


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学生時代(小学生編)33

「ドンマイ!頑張ろう!」

と俺を励ましてくれた。

 キツくイヤミを言って俺の心をブチのめしてくれる女神(亜美さん)がいれば優しく励ましてくれて俺の心を救ってくれる女神(ノドカさん)もいる。

 このように厳しい演劇の練習の日々は続いていたが、それでも家にいる時も毎日演技の練習をしたり、台本のセリフを声を出しながら何十回も繰り返し読んでいった。

 そして、いよいよ演劇の公演当日を迎える。

 演劇の公演当日になると体育館は観客でいっぱいの状態になっていた。

「うーわー!1もう体育館の中は人がいっぱい入っとるじゃん!!!」

あまりの観客の多さに驚いているワルオ。

 そんなワルオをよそに演劇の公演プログラム表を見てみると俺たちのクラスの演劇の公演は一番最後に行うことになっていた。

 緊張している中、演劇の公演が始まってしまい各クラスの演劇の公演は順調に終わっていく・・・。

 そして、いよいよ俺たちのクラスの演劇の公演になった。

 公演になると亜美さんがリーダーシップをとり

「ここまできたら精一杯頑張りましょう!ファイト!!」

とかけ声を出すとみんなは

「オーッ」

と叫んで気合が入っているのだが、俺は緊張しまくり続けている・・・。

 緊張しまくり続けていたらノドカさんが

「健志郎君。頑張ろうね!!」

とニッコリ笑って俺を励ましてくれているのだが、ワルオは緊張しているせいなのか

健志郎。演劇はバクハツだー!!」

と訳が分からんことをヌカしている。

 そうこうしているうちに舞台の幕が開き、俺たちのクラスの演劇「ロミオとジュリエット」の公演が始まった。

 俺はワルオに渡されたメガネをかけてロミオを演じていく。

 最初はなんとかロミオを演じることができていたのだが途中でアクシデントが起こった。

 何故(なぜ)ならメガネを途中でどこかに落としてしまっていたからだ。

 当然、慌(あわ)てながらそのメガネを探していたのだが、こういう時に限って出番が来てしまう!

 もう逃げることは無理なのでメガネなしで舞台に上がるしかありません。

 舞台はジュリエットの家の二階のバルコニー。

 そこでノドカさんが

「ああロミオ・・・。アナタはどうしてロミオなの?」

と美しい声でジュリエットを演じている。

 俺は緊張し震えながら

「あ、あ、あの・・・て、て、て、天使のような・・・こ、こ、声は・・・」

と言いながらジュリエット役であるノドカさんがいるバルコニーに向かっていった。

 

 

 

 

 


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学生時代(小学生編)34

『正直、天使じゃなくて女神様ですよ・・・』

と内心(ないしん)思いながらノドカさんを見るとノドカさんが

「ロミオ!何故(なぜ)ここにいらしたの?屋敷の石垣(いしがき)は高くて簡単には登れないのに・・・」

と完全にジュリエットになり切っている。

 ジュリエットになり切っているノドカさんをモロに見てしまった俺はパニック状態になり、せっかく覚えたセリフを忘れてしまった。

 だがこの時、鼻がムズムズし始めたのですぐノドカさんから顔をそらし

「ファ、ブア、ブゥアクショイイイイイイー!!!」

と体育館内に響き渡る勢いで大クシャミをした。

 するとすぐ観客全員は

「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」

体育館内にどよめき渡る勢いで大声で笑いまくっていった!

 大声で笑いまくっている観客の中、岩鉄先生はポカーンとして心ここにあらずのような状態になっており、校長、教頭、美樹先生や他の先生たちは呆れ果てたような表情で見ているし、亜美さんやワルオ、そしてクラスのみんなは

「あ~あ・・・・・」

とがく然としていたがノドカさんは

「健志郎君、大丈夫?」

と俺を心配してくれていた。

「う、うん。うわっ!」

「きゃあ!」

突然バルコニーの床が揺れ崩れ落ちた。

 このままではノドカさんが大ケガをしてしまうと判断した俺はノドカさんをかばいながら落ちていきノドカさんの下敷きになって落ちた。

 この瞬間

「ぐええええええええええええーっ!!!」

と断末魔(だんまつま)に近い声を出し意識を失った〔この物語では断末魔という意味は人生最後のおたけびと言う意味で捉(とら)えておいてくださいね〕

健志郎君、大丈夫!?しっかりして!!」

ノドカさんが俺の体を揺さぶりながら心配し、亜美さんやワルオ、クラスのみんなもその場に駆(か)けつけ、観客たちもザワつき始めたので校長が

「おい!もう幕を降ろしてくれ!!」

と大声で言ったので幕が降りていった。

 その後、美樹先生が病院に電話をかけてくれ、まもなく救急車が到着し、救急車の中にいた看護員が俺をタンカに乗せ救急車の中に搬送し、俺を搬送し終えた救急車はピーポーパーポーとサイレンの音を出しながら、以前大変お世話になった病院へ連れて行ってくれた。

 こうして俺たちのクラスの演劇はあっけない幕切れで終了。

 一方、意識を失った俺は暗い闇の中

「くそー!こうなったら何度でも甦(よみがえ)ってやるわー!俺には誰にでも認められる人気者になるという野望が達成するまでは死んでたまるかー!!くじけてたまるかー!!負けてたまるかー!!絶対あきらめねーぞ!勝つまでは!!ウオオオオオオオーッ!!頑張れ、俺!奇跡を起こせーっ!!」

となんとしても生き抜いてやるという執念で生命力を高めていく:・・・。

 

 

 

 


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学生時代(小学生編)35

こうしている間に随分の時が過ぎていっていた。

 意識が戻り目が覚めると近くに看護婦さんがいて看護婦さんは

「よかった!目が覚めたのね」

とホッと安心しながら声をかけてくれた。

「俺はいったい・・・・。確か・・・バルコニーの舞台から落ちて・・・。そうだ!ノドカさんは!?ノドカさんは無事だったんだろうか!?」

ノドカさんが無事だったかどうか不安になっいる俺を見て看護婦さんは

ノドカさん?ああ、君のお見舞いに来ていたあの子ね!」

と言ったので

「すみません!いったいここで何があったのかを教えてもらえますか?」

看護婦さんに訳を話してくれるようお願いした。

「いいわよ!教えてあげる」

看護婦さんは

{まず、ノドカさんたちがお見舞いに来てくれたが俺が昏睡(こんすい)状態でもあるのだが、前回の入院中での騒動もあり親族以外の者を面会謝絶対象者にしていたことや、俺が全身打撲による全治約4ヶ月の重傷であり、その重傷により脳にも影響が出ており約四ヶ月もの間こん睡状態に至っていた}

と話してくれた。

「そうでしたか・・・。話してくれてありがとうございました。ところで俺はいつ退院できるのでしょうか?」

看護婦さんにお礼を言っていつ退院できるのかを訊くと看護婦さんは

「そうねー!君がこん睡状態でいる間にいろいろと手術をしていたから全身打撲によるケガはほぼ治りかけているわ。後はここで約1ヶ月ほどのリハビリ運動をしっかりやっていけば退院できるんじゃない?君次第だけどね・・・」

と答えてから病室を出て行った。

『よーし!なんとか頑張ってリハビリ運動をやっていって必ず卒業式の前日までには退院してやるぞ!』

このような思いで必死にリハビリ運動を約1ヶ月頑張ってやっていき、その結果なんとか卒業式の前日までに退院することができた。

 そして卒業式の日になり、校長のクソ長いお話しから始まってくれたが、卒業証書授与が行われ、校長から各卒業生に卒業証書が渡されていき、そして俺が校長から卒業証書を受け取る番がやって来た。

 卒業証書を受け取る時、校長が小言で

「早くいなくなりやがれ!このクソ問題児が!!」

と言ってきやがった。

 まー、そう言われてみると確かにいろんな問題を起こしバカなことをやらかしまくっていましたからね。

 特に、3ヶ月連続遅刻の罰で校長室を掃除していた時に滑って転んで校長が大事にしていた壺(つぼ)を割ってしまったり、放課後の時にクラスの男子数人と野球をして遊んでいた時に、偶然打てたボールが校長の愛車のフロントガラスにブチ当たって破損させたこともありましたからねー。

 だがそのようなことなど一切気にせず俺も小言で

「うるせー!さっさといなくなってやるよ、このハゲカッパが!」

と言い返した。

 

 



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