閉じる


<<最初から読む

8 / 11ページ

第6章 放射性物質の分解消失処理で露呈する西洋科学の弱点

 量子力学の観測問題

 洋の東西を問わず、人々には言葉で語り説明します。西洋科学も同様で、実験結果もしくは観測結果を示し、言葉で論理的に説明します。その構文は、 「何々が何々である」 という、たとえば 「これは白い」 という、主語と述語の文法です。主語(これは)は、 「白い」 という属性、性質を有しています。いつでも主語として現れてきて、述語にならないものが実体です。その主語になる実体は、複数の属性を有します。しかし、実体が複数の属性を有すると、話は一挙に複雑、かつ、難しくなります。たとえば、 「私は善人です」 とか 「私は悪人です」 の場合に、話を一挙に複雑、かつ、難しくします。古来、人間はそれゆえ悩んでいます。ひとつの実体に矛盾する属性があれば、論理的説明が難しくなるのは当然です。

 翻って、原子力工学の基礎である物理学(=量子力学)では、光子、電子など素粒子は、粒子と波の矛盾する二つの属性を有するとします。無味・無臭・無色の素粒子が二つの属性を有している実験結果に鑑み、量子力学は二つの属性を許容します。そのため、二つの属性の関係を説明しなければならず、コペンハーゲン解釈をします。コペンハーゲン解釈を 『最新先端物理学が描く宇宙(2012年度 真貝)』 から引用します。

 

① 量子力学的な粒子は、観測される側には、波動関数にしたがって空間的な広がりをもつ,  と解釈

   する。(波動関数は波を表し、波は重ね合わせができる。したがって、観測結果はいろいろな状態の

   重ね合わせである, と解釈する。)

② 観測や測定により、粒子の位置や運動量がある領域に制限されて定まることは、波動関数の示す

   波が1点に収縮した(波束の収縮)と解釈する。

③ 波束の収縮する確率は、波動関数の確率解釈に依存する, と解釈する。

 

 実体が、観測時に即時に波から粒子に変身するが、コペンハーゲン解釈では、波束の収束する仕組みを明らかにしておりません。実体があって、そして 「何々がある」 という在り方が初めて意味をもちます。しかし、素粒子なるものは、粒子と波の矛盾する二つの属性を有するうえに、実体が観測時に即時に波から粒子に変身するのですから、奇妙奇天烈な実体です。量子力学は極微の世界の話であり、人間の日常感覚では理解できませんが、論争のすえに観測問題(=有名な 「シュレーディンガーの猫」 問題)を棚上げし、多くの物理学者はコペンハーゲン解釈を受け入れました。

 物理学者は、物質を細かく分解してその機能を分析し、その上で法則から物質を理解しようとする還元主義を信条にしており、人間の想像力が及ばない素粒子の世界ゆえ、観測問題を棚上げし、数学的に矛盾がなければ是とすることで、量子力学が原子レベルから素粒子レベルにまで発展しました。

 

 還元科学で放射性物質の分解消失処理は可能か

 西洋科学は物質の根源を追求し、追求した微細な組み合わせから万物を説明する還元的手法と、その他に多くの事象を矛盾なく説明できる機械論的法則の発見に特徴があります。前者の例としては微細の要素が原子から素粒子へとより細かくなっており、後者の例としては万有引力と相対論が宇宙の端まで成立つと考えます。

 原発は西洋科学(=還元科学)の申し子であり、2つの法則を組み合わせた発電技術です。ひとつは、イタリア生まれの物理学者フェルミが発見した、低速中性子を利用した人工放射性元素とウランの核分裂に関する働き、もうひとつは、世界一有名なエネルギーが物質と等価の公式、エネルギー = 質量 × 光速の2乗により、アインシュタインが極少量の質量欠損が莫大なエネルギーになる保証をしました。 もちろん、両者ともノーベル賞を受賞しています。ところが、西洋科学では、高速中性子を原子核に衝突させれば、元素変換するのは自明なのに、超ウラン元素を寿命の短い放射性物質に変換させる技術は、3つの研究機関で26年経過しても実現できません。第3章で考察した、3つの技術的理由(再度掲載)で頓挫しています。

① 元素選別・・・高純度の超ウラン元素の分離回収ができない。

② 元素配置・・・①で分離回収した超ウラン元素を任意の場所に配置できない。

③ 軌道計算・・・陽子を鉛ビスマス核破砕目標衝突させ間接的に高速中性子を放出するが、

           的に向けた軌道計算は可能?

           更に、高速中性子は超ウラン元素の核種を100%変換できるのか?

 ①と②で高速中性子の的になる極薄い金属片を製造すると思うのですが、製造技術に西洋科学で言うところの理論を適用できるかです。理論が適用できなければ、試行錯誤して理論抜きに製造技術を獲得することになります。この局面では西洋科学で言う理論の範疇外になります。③はニュートン力学で軌道計算して的に衝突させるのしょうか。計算の前提条件たる初速度、角度等は、陽子を衝突させ間接的に高速中性子を放出する仕組みから、高速中性子毎に明確に決められず試行錯誤で高速中性子を放出します。たとえば、大木のてっぺんの木の葉が風に吹かれて舞い落ちる情景を想像してください。万有引力により、木の葉は地上に落下するのですが、どの場所に落下するか風任せです。木の葉の落下場所を計算するための条件たる初速度、風向き、風速等が時時刻刻と変化するため決まらず計算不可になります。

 これから言えることは、西洋科学で言うところの理論では、範疇外もしくは計算不能の現象が多くあります。ですから、机上の理屈による原子レベルの操作手法で放射性物質の核種変換に挑むも、雑多な要素が入り組んだ野外の放射性物質の分解消失処理に無力です。

 

 微生物が有すると思われる創発

 複合微生物による放射性物質の分解消失処理は、西洋科学の還元的手法(原子レベルの操作手法)と機械論的法則の考えと異質と思われます。西洋科学の還元手法なら、放射性物質とその他の物質に分離回収し、ふるい分けた放射性物質を分解消失処理します。しかし、複合微生物による放射性物質の分解消失処理は、第4章で述べたごとく、土に含まれた放射性物質を混然一体で分解処理します。これは西洋科学の還元的手法ではなく、生物学で言うところの創発の働きにより放射性物質が分解消失処理されたと思います。創発は、これまで関連のなかった複数の微生物の新たな相互作用によって生じました。創発の現象は経験的なものであり、形而上学的な論拠に弱いです。

 創発の分かりやすい例に、 「ハンマー」 の話があります。ハンマーは、握りと頭という分離された構成要素と同じ物質から成ります。それでもやはり何か新しいものが、握りと頭の相互作用から生み出されます。木製の握り自体もハンマーの頭もいくら素粒子から成り立っていると言っても、ハンマーの働きは説明できません。握りと頭の2つが一緒になるとき、ハンマーの属性が 「創発する」 のです。

 次に、創発の意味を機械と生物を対比させ筆者なりに考えます。3研究機関が連携しながら進めている長寿命核種の分離変換は、再処理工場の湿式工程で超ウラン元素を分離回収し、その後、正電気を有する陽子を陽子加速器で加速し、鉛ビスマス核破砕目標に衝突させ、そこから飛び出す高速中性子を原子核に衝突させます。共に大仕掛けの装置が稼働しますが、人間が設計した機能しか働きません。複合微生物の場合は人間が環境を好転させ、急激に微生物を増殖させます。複数の微生物が共存・共生・共栄させることで、1gあたりの生菌数が10の9乗を超えると質の変化(菌の大きさが10分の1以下となり、凝集化(固体化)が生じ、数千種、数万種の増殖が可能)が生じます。凝縮化が起こると、第4章の特許明細説明の(7)→(8)へと現象が進みます。つまり、創発とは微生物が増殖し高密度化すると質を変え、予期せぬ機能が出現すると言えます。つまり、創発は微生物が起こす現象であり、無生物を相手にする物理学では、理解できない現象です。実際のところ、3研究機関の研究者が、研究対象にしている万物の根源たる原子レベルの知識を駆使しても、原子から成り立つ微生物の働きを説明できません。

 

 生物学の現象説明においては、物理法則から現象を説明するのでなく、次の方法で説明します。←C

 (1) すべての生物学的システムは秩序あるスシテムであって、その多くの属性はこの組織化に

     負っており、単に構成要素の化学的ー物理的属性のためでないという特徴、

 (2) より低次のシステムの属性に必ずしも還元できない(それでは必ずしも説明できない)より、

     高次のシステムの属性をもった組織化のレベルが存在するという洞察、

 (3) 生物学的システムは、物理主義者の還元主義的分析では接近できない歴史的に獲得され

     た情報を蓄積しているという認識、

 (4) 創発ということがしばしば起こるという認識、に基づいているべきである。

 

 複雑なシステムにおいては、そのシステムの構成要素の知識によっては表せない(予測できない)属性がしばしば創発します。複合微生物体系の土壌発酵による放射能除染は、膨大なエネルギーを注入せずとも実現しており、西洋科学(=物理学)の範疇外ゆえ西洋科学の常識から説明できないのは当然です。複合微生物の相互作用による創発の働きが、元素変換を実現していると思われます。


あとがき

 ガリレオ・ガリレイは、天体望遠鏡を駆使して天体観測をしました。観測結果と数学を組み合わせて考察し、地動説を唱えました。西洋の中世は、教会が世俗の実権を握っており、アリストテレスの天動説を支持していたため地動説を異端の説としました。最終的にガリレオ・ガリレイは、教会の異端審問により職を失い経済的に困窮し、失意のうちに亡くなりました。しかし、地動説は後から真理であると認められました。

 ガリレオ・ガリレイと高嶋康豪は、似ている部分があります。高嶋康豪は、複合微生物体系の土壌発酵による放射能の消滅の野外実験を公表しました。世俗の実権を握っている政治家・官僚・学者、いわゆる原子力村の住民に野外実験結果を説明するも、物理学の常識から微生物で放射能を消せないと否定されました。

 天動説でどれだけの人が困ったか分かりませんが、現状の放射能除染策は役立たず、福島県を中心に多くの人が困り果てています。現状の除染策では放射性物質の自然崩壊を待つしか手がありません。数千年から数万年も、強力な放射線の影響を受けたくありません。高嶋康豪が発明した 「複合微生物体系の土壌発酵による放射能の消滅」 は画期的であり、原子力村に放射能消滅の地動説なる野外実験結果を示しました。しかし、第2章の 「放射線の影響が分かりにくい理由」 で名取春彦が述べている世界ゆえに、事実を頭ら否定し時間を空費しています。

 

                                                 2014年10月4日


参考文献

第1章 やっかいな放射性物質

  ・ 2014年5月21日 真実を探すブログより ←A

  ・ (財)環境科学技術研究所  超ウラン元素とは何か

  ・ 名取春彦著  放射線はなぜわかりにくいのか  あっぷる出版

 

第2章 放射性物質の対処

  ・ 2014年5月21日 真実を探すブログより

  ・ 東電資料  福島第一原子力発電所事故後の取り組みと今後の計画について

  ・ 東電資料  放射性滞留水処理システムの概要について ←B

 

第3章 放射性物質の核種変換

  ・ 資源エネルギー庁編   長寿命核種の分離変換技術に関する研究開発の現状と今後の進め方

  ・  「リョウマの独り言」 のブログより

  ・ 筑波大学 2011.2.14 『放射線の基礎と応用』

 

第4章 微生物による放射性物質の分解消失処理

  ・ 21世紀型エコ産業の展望  排水処理施設における微生物と酵素の働き

  ・  広島大学 助教 寺東宏明  放射線耐性細菌からみた放射線生物学

  ・ 公開特許公報(A) 特開2005-321365  発明の名称は省略

  ・  「EM生活のブログ」 より

  ・ 2014年2月7日 福島放射能除染推進委員会 複合微生物体系の土壌発酵による放射能除染

 

第5章 元素変換とエネルギー

  ・ 松浦晋也署名  2014年2月13日 日経トレンディ   『放射能は微生物で消せません』

  ・ 2014年4月8日の日本経済新聞記事

  ・ YouTubeの動画   2011年11月ワールドフォーラム高嶋康豪講演

  ・ 佐藤勝彦著   宇宙96%の謎  実業之日本社

 

第6章 放射性物質の分解消失処理で露呈する西洋科学の弱点

  ・ 最新先端物理学が描く宇宙(2012年度 真貝)

  ・ エルンスト・マイヤー著 戸田盛康訳   何が生物学を独自なものにするのか ←C

 

 


奥付


放射能処理に見る西洋科学の弱点


http://p.booklog.jp/book/90154


著者 : マーモン
著者プロフィール:http://p.booklog.jp/users/s-komou/profile


感想はこちらのコメントへ
http://p.booklog.jp/book/90154

ブクログ本棚へ入れる
http://booklog.jp/item/3/90154



電子書籍プラットフォーム : ブクログのパブー(http://p.booklog.jp/
運営会社:株式会社ブクログ



この本の内容は以上です。


読者登録

マーモンさんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について