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第3章 放射性物質の核種変換

 西洋科学(原子力工学)の核種変換論

 放射性物質の核種変換技術は、放射性物質からの放射線を消滅させるのではなく、非常に長い期間に亘り放射線を出し続ける物質を、寿命の短い放射性物質に変換させる元素変換技術です。

 原発の燃料であるウラン238は、中性子を原子核に当てると都合よく中性子を2個以上放出して核分裂反応を起こしますが、その過程で生成される放射性物質(例:超ウラン元素)は、半減期が万年単位と非常に長いです。核種変換は、高速中性子を長寿命核種に当て強制的に原子構造を変えますが、その中性子を手当てしなければなりません。図2は、中性子は電気的に中性のため直接に高速化できず、正電気を有する陽子を陽子加速器で加速し、鉛ビスマス核破砕目標に衝突させ、そこから飛び出す高速中性子を核種変換させたい放射性物質に当て、短寿命の核種に変換させる模式図です。

 

   

                        図2 陽子加速器による核種変換

                                     出典元: 「リョウマの独り言」 のブログより

 

 核種変換計画の進捗状況

 長寿命核種の分離変換技術の研究開発は、昭和63年(1988年)の 『群分離・消滅処理技術研究開発長期計画』 に基づき、日本原子力研究所、核燃料サイクル開発機構及び電力中央研究所の3機関が中心になって進めました。本計画は、昭和63年から平成12年頃までの研究開発内容を示しており、最初の4~9年を第Ⅰ期、その後の4~9年を第Ⅱ期としています。第Ⅰ期には種々の概念の評価と要素技術の研究開発、第Ⅱ期では要素技術の工学的試験や概念の実証を行いました。

 この分離変換技術は、核燃料サイクルと不可分です。図3の再処理工場では、使用済み核燃料から高レベル放射性物質を取り出し、湿式プロセスで超ウラン元素群やその他の元素群を分離回収します。(乾式プロセスは採用せず)分離回収した超ウラン元素群は、 「加速器」 により核種変換します。

 

 

 

   

                図3 オメガ計画における群処理・消滅処理技術研究開発 

                                     出典元: 「リョウマの独り言」 のブログより

 

 本計画承認後26年経過したのだから、各種変換技術が3機関の協力で実用化されていると思いきや、2013年10月23日NHKは、以下の報道をしました。

 

 文部科学省は専門家の会合で、環境への影響を数万年から100分の1程度の数百年に縮める新たな技術の開発に本格的に乗り出す方針を示し、大筋で了承されました。具体的には、使用済み核燃料から寿命の長い放射性物質を取り出し、 「加速器」 という装置で発生させた 「中性子」 を当てて、寿命の短い物質に変える計画で、実現すれば埋める場所も100分の1程度に小さくできるということです。しかし、寿命の長い物質を取り出す方法や安全性の確保など課題も多く、実現までに少なくとも数十年はかかるとみられています。

 

 この報道内容は、昭和63年(1988年)の 『群分離・消滅処理技術研究開発長期計画』 そのものであり、26年経過しても実現していないのにもかかわらず、更に少なくとも数十年かかります。つまり、消滅の核種変換技術は永久に未完です。なお、平成12年3月31日付の原子力委員会原子力バックエンド対策専門部会 『長寿命核種の分離変換技術に関する研究開発の現状と今後の進め方』 資料から、放射性物質の消滅処理技術を核種変換技術に呼称変更しました。

 

 加速器で核種変換できない理由を探る

 加速器により核種変換ができることは、物理学的には机上で自明のことらしいが、26年経過しても長寿命の放射性物質を寿命の短い放射性物質に変換できない理由は、平成12年3月31日付の原子力委員会原子力バックエンド対策専門部会 『長寿命核種の分離変換技術に関する研究開発の現状と今後の進め方』 を読んでも不明です。当該資料が、実現できないのは核種変換原理に問題があると述べているわけでなく、要約すれば技術的課題、安全性、開発期間、開発費用及び経済性を考慮して進める必要があるとしています。以下、門外漢の筆者が原発で長寿命の放射性物質を作り出せても、陽子加速器による原子構造変化で短寿命にできない技術的理由を探ります。

 まず、 「加速器」 という装置で発生させた 「中性子」 が、放射性物質に当たる確率を計算します。計算に先立ち、超ウラン元素(原子番号93~)を代表して   

原子番号が隣のウラン238(原子番号    92)の原子構造を図4の左図で示します。

中心の赤い部分が原子核で、図4の右図

が原子核を拡大したものです。原子核は、

パチンコ玉を結合させたようなもので、陽子92個と中性子146個から構成されていま

す。原子核(赤い部分)を中心に電子が、

波動(関数に則った動きをします。なお、

原子核と電子の間に働く力は、電気的な力

です。

 原子核の半径は7.4m×10のマイナス

15乗、原子の半径は1m×10のマイナス                 図4 ウランの原子構造

10乗程度です。原子核と原子の半径を           出典元:筑波大学の 『放射線の基礎と応用』 より

比較すると1対13500です。仮に、原子核

の直径は2.7kmになります。ゆえに、ソフトボールから半径約1.4kmの所を、一番外側の電子が波動関数に則った動きをします。この比喩から言えることは、1個の中性子が1個のウラン原子核に当たる確率はゼロです。

 次に、図4の左図の一番外側まで何個の赤丸(=原子核)で埋まるか計算すると、約2×10の8乗個です。この状態とは、ウラン原子が果てしなく重なった筒状の中心部にウラン原子核が、ぎっしり重なっていると連想できます。この場合は、中性子が筒状の中心部に来れば確実にウラン原子核に当たります。ここで、筒状の中を超ウラン元素とすると、高速中性子が超ウランの原子核に衝突すると、運動エネルギーが吸収され核種変換が行われます。筆者は、この後の超ウラン元素の連鎖反応を皆目想像できず、これ以上の考察を断念します。

 ここまで、超ウラン元素の核種変換を考えてきましたが、高速中性子をぶつける金属片は超ウラン元素100%の前提です。図1の発電後の核燃料棒には、1%程度のプルトニウム等超ウラン元素しかありません。図3の再処理工場の湿式プロセス工程で原子レベルの選別から純度100%の超ウラン元素が、分離回収できるかです。答えは、できません。 『長寿命核種の分離変換技術に関する研究開発の現状と今後の進め方』 資料を熟読すると、純度100%と言わずとも、高純度の超ウラン元素の分離回収は非常に困難であることが読み取れます。

 以上の考察から、筆者は技術的課題だけで超ウラン元素の核種変換が実現できないと考えます。

① 元素選別・・・高純度の超ウラン元素の分離回収ができない。

② 元素配置・・・①で分離回収した超ウラン元素を任意の場所に配置できない。

③ 軌道計算・・・陽子を鉛ビスマス核破砕目標衝突させ間接的に高速中性子を放出するが、

           的に向けた軌道計算は可能?

           更に、高速中性子は超ウラン元素の核種を100%変換できるのか?

 

 


第4章 微生物による放射性物質の分解消失処理

 特許明細で用いられている微生物の用語解説

 本章では微生物による放射性物質の分解消失処理を特許明細に沿い述べますが、筆者は特許明細に出てくる微生物の用語を理解しておらず 『21世紀型エコ産業の展望』 資料から予習します。

 最も原始的な生物は細菌類であり、

全ての生物は、この単細胞の生物か

ら始まっています。細菌は図5に示す

ように、呼吸の仕方によって好気性

細菌と嫌気性細菌そして通性嫌気性

細菌の三つに分類されます。呼吸とは、「有機物を分解することでエネルギー

を取り出し、生命活動に利用する仕組み」のことです。

 好気性細菌は、硝酸菌、亜硝酸菌、スファエロチラス(糸状細菌)、酢酸菌、チ

オバチルス(硫黄酸化細菌の一種)が                    図5 細菌類の分類

代表的であり、嫌気性細菌は、メタン細             出典元:21世紀型エコ産業の展望より

菌、硫酸還元菌、放線菌(一部)、酪酸

菌が代表であり、通性嫌気性細菌は、枯草菌(納豆菌)など土壌細菌の多く、乳酸菌、大腸菌など腸内細菌群、放線菌(一部)が代表的です。

 次に、発酵の生物学的意義について説明します。あらゆる生物は、発酵の仕組みを持っています。それは、 「好気呼吸や嫌気呼吸のみでは、エネルギーの必要量を補えなくなってしまった際に、苦肉の策として行われているものである」 ということです。また、発酵と腐敗は基本的に同じものですが、 「微生物が有機物を分解した結果、人間に有用なものが生まれた場合を発酵といい、悪臭や毒物など不要なものが生じた場合は腐敗」 と言われます。一般に嫌気的な環境でタンパク質が分解されると悪臭物質が発生することが多いため、腐敗と呼ばれます。

 次に酵素について説明します。酵素とは、自分自身は変化せずにある化学反応がより速く進むように手助けをするタンパク質の一種のことで、微生物に限らすあらゆる生物が合成し利用しています。そして、気をつけなければいけないことは、 「酵素は生き物では無い」 ということです。酵素は自分自身は変化せず、他の物質の化学変化を促進する働きをします。まるで触媒のようです。多くの酵素は、触媒として働くためには酵素本体だけでは不十分なのです。金属イオンが結合することで、酵素の立体構造が適正化したり、触媒反応が速やかに進んだりします。酵素の活性化を高めるために、様々な金属イオンを含んだミネラルを添加することがあります。

 最後が、放射能、放射性物質を分解消失に関係すると思われる放射線耐性細菌及び光合成細菌です。放射性耐性細菌の一種(Rubrobacter radiotolerans)は、半致死線量が16000Gyというとてつもない強さを持っています。この値は、人間の3200倍にあたるものです。光合成細菌は太陽のエネルギーを利用して、光合成を行う際に必要な水素(H2)を、硫化水素(H2S)、メタン(CH4)、アンモニア(NH3)などの還元物質から切り離して利用しています。そして、その生成物の一部を自分たちが動くためのエネルギー源にすると同時に、炭水化物、アミノ酸、タンパク質、抗酸化物質などの多様な物質も作り出しています。また、光合成細菌は植物が利用できない紫外線やマイクロ波など、あらゆるエネルギーを利用する事ができます(太陽エネルギー全体の90%以上)。放射線などのエネルギーも利用する事ができます。

 

 複合微生物による分解消失処理の説明

 複合微生物による放射性物質の分解消失処理については、出願者兼発明者である高嶋康豪が特許を出願しています。特許内容(=特許明細)は、公開特許公報(特開2005-321365)で誰しも読めます。特許明細は、決められた書式に則り作成します。筆者は、発明名称 「複合微生物体系の複合微生物動態系解析における複合発酵法を用いた放射能・放射性物質分解処理方法」 を熟読しました。一般的に、特許明細そのものが難解であり、加えて微生物が作り出す触媒が放射性物質を消滅する驚愕の内容であり、読解力が試されます。生物工学の知識がない筆者が、特許明細の 【課題を解決するための手段】 項を熟読し、無謀にも解りやすく説明します。ゆえに、筆者の生物工学知識が皆無の上に読解力不足で、誤った放射性物質の消滅記述になっていないか心配です。

 複合微生物による放射性物質の分解消失処理は、第1段階の好気性菌類による発酵系優先微生物処理と、第2段階の好気性菌類及び嫌気性菌類の乳酸菌、放線菌による発酵及び発酵合成系生物群処理と、第3段階の主に嫌気性菌類による発酵合成系生物群処理、及び第4段階の嫌気性菌類による合成系微生物群処理から構成されます。

 

 第1段階の好気性菌類による発酵系優先微生物処理

 (1) 通常は、大腸菌や糸状菌などの好気性及び酸化性細菌が、その他多くの微生物を酸化・変敗・

     腐敗させ、その他多くの微生物の活動を止めています。

 (2) まず、微生物酵素と植物酵素による抗酸化効果を用いて、酸化・変敗・腐敗を抑制します。その

     仕組みは、好気性発発酵微生物である酵母・乳酸菌などが生理活性物質(ビタミン、ミネラル、

     アミノ酸など)を作ります。この生理活性物質が、大腸菌や糸状菌などの好気性及び酸化性

     細菌群の活 動を抑制します。

 第2段階の好気性菌類及び嫌気性菌類の乳酸菌、放線菌による発酵及び発酵合成系生物群処理

 (3) 好気性及び酸化性細菌群の活動が抑制されると、放線菌が現れます。この放線菌は抗菌性

     物質を作り、嫌気性有害菌(細菌、病原菌、ウィルス、リケッチャなど)を浄菌します。

 (4) (3)状態になると、窒素細菌(アゾトバクター、アシロバクターや根瘤菌など)の助けが受けら

         れ、光合成菌や藻類、藻菌類などの合成型微生物が活動しはじめ、複合発酵という理想的な

     生態系へ導かれます。

 (5) 複合発酵状態になると、発酵→分解→合成のサイクルが生まれ、好気性菌類及び嫌気性菌が

     ゼ ロになり、酸化・変敗・腐敗が断ち切られます。すると、すべての微生物を共存、共栄、共生

     させることが可能になります。

 第3段階の主に嫌気性菌類による発酵合成系生物群処理

 (6) すべての微生物を共存、共栄、共生できる環境状態になると、すべての微生物群を発酵から

     合成に導き、生菌数が1ミリリットル当たり10の9乗を超えると、菌の大きさが10分の1以下と

     なり、凝集化(固体化)が生じ、数千種、数万種の増殖が可能となります。

 (7) 凝集化が起こると、微生物のDNA核内に一酸化窒素、二酸化窒素及び高分子タンパク結晶に

     よる情報接合とエネルギー接合を引き起こし、微生物間でDNA融合が生じ、融合微生物による

     対抗菌性、耐衝性菌により獲得した酵素及びタンパク質の高分子結晶体が発生します。

 第4段階の嫌気性菌類による合成系微生物群処理

 (8) 高分子結晶体が放射線エネルギーを吸着し、放射性物質を安定化させます。すると、放射性物

        質は放射線を出さなくなります。ゆえに、微生物が放射性物質を食べることはありません。特許明

        細では難解なため、筆者が2011年11月ワールドフォーラム高嶋康豪講演(YouTubeの動画を

        視聴)から上記のごとく大胆に書き直しました。特許明細では以下のように記述 しています。

 

         高分子結晶体が情報触媒の作用として情報とエネルギーを現生・発現させ、すべての物質の

     分子、原子レベルに対する分解菌並びに分解酵素を現生させて、すべての元素の原子核の陽

     子における分裂と崩壊の法則を抑制し、中性子における合成と融合の法則をハンドリングする

     ことにより 、常温超伝導、常温核分裂及び常温核融合を発現させる。以上の作用により、放射

     線エネルギー 、放射能、放射性物質の相転移、転移、変位、昇華、消失を可能にする。

     それよりも、特許明細【0005】に、 「放射線耐性細菌及び光合成細菌の全部または一部を含む

    微生物群が複合発酵状態において発現・現生することではじめて放射性物質分解性微生物、分

    解酵素が発現・現生し、放射能、放射性物質を分解消失するものである」 と記述あり、こちらの

    方が分かりやすいです。

 更に、特許明細では 【発明の効果】 項と 【実施例】 項で微生物による放射性物質の分解消失処理の具体的技法を記述していますが、割愛します。

 

 放射性物質の分解消失処理の野外実績

 複合微生物の複合発酵法を用いた放射能・放射性物質分解消失処理は、高嶋開発工学総合研究所の高嶋康豪主導で以下の野外実験が実施され、いずれも顕著な実績結果を出しています。

(1) 2011年5月、計画的避難区域に指定されている福島県伊達郡川俣町字山木屋石平山(福島第

    一原発から39km)で5000坪の牧草地で実験しました。

(2) 2012年5月、茨城県高萩市下君田の山林を山林主の佐川安宏氏に依頼されて実験しました。

(3) 2013年9月、福島県浪江町の帰還困難区域へ公益目的での立ち入り許可を得て畑の除染実験

    をしました。本実験結果は、2013年10月福島県庁の記者会見で発表しました。詳細は、 『複合

    微生物体系の土壌発酵による放射能除染』 資料で公開されました。以下に、本野外実験を詳報

    します。現場では、天候状況を加味しながら基本的に2回/日、以下の作業を繰り返しました。

 

  ① 耕運作業で土耕し

  ② 固形バイオ(複合微生物を複合発酵状態でモミ・ワラ・ヌカに吸着・浸透させたもの)を撒く

  ③ 液肥(複合微生物が複合発酵状態でMLSSに吸着したものを水で20倍に希釈したもの)を撒く

  ④ 耕運作業で土耕し

  ➄ 酵素水(糖蜜と鶏糞・乾燥オカラ・ヌカに複合発酵酵素を加えて複合発酵させ、酵素を含んだ水

    を抽出したもの)を撒く

 

 (3)の福島放射能除染推進委員会が、①~➄で用いられている土壌発酵に使うバイオ資材の用語の意味を解説しています。

(ア) 複合発酵固形バイオ

 好気性微生物、嫌気性微生物、通性嫌気性微生物が共存・共生・共栄して、1gあたりの生菌数が10の9乗を超え、コロニー化して固形発酵(固体発酵)を起こしたもの。土壌を複合発酵に導きます。

(イ) 複合発酵バイオ液肥

 複合発酵バイオ液肥は、好気性微生物、嫌気性微生物、通性嫌気性微生物の共生効果と土壌微生物群の活性化に用いられる微生物バイオ剤であり、この効果を複合発酵バイオ液肥と言います。

(ウ) 耐放射性細菌のMLSS菌床

 耐放射性細菌の複合微生物によるMLSS菌床のことで、放射性物質・無機物・重金属等々に反応する微生物として、海底火山の周辺、46億年前の地球に現生していた微生物群が学界においては古細菌、独立栄養細菌、光合成細菌等々として分類されており、その微生物が現生と発現したものを複合微生物のMLSS菌床と言います。

(エ) 複合発酵酵素水

 上記複合発酵液肥を発酵→発酵合成→合成という微生物の発酵増殖フローにより微生物の情報性を現生発現させ、発酵法・増殖法・誘導法を用いて有機エネルギーと微生物生命情報を有し抗酸化作用を生じるものを複合発酵酵素水と言います。

 

 この作業を3週間ほど実施した結果を図6で示します。ゲルマニウムスペクトル核種分析結果は、放射性物質が

 

     

                    図6 放射性セシウム137の土壌分析結果

                        出典元: 『複合微生物体系の土壌発酵による放射能除染』 より

 

1/2~1/14程度軽減されています。この他の核種も分析していますが、省略します。A,B,C,Dは、実験の畑の測定地点です。詳細は、 『複合微生物体系の土壌発酵による放射能除染』 資料を見てください。

 


第5章 元素変換とエネルギー

 放射性物質は自然に崩壊

 微生物による放射性物質の分解消失処理の事実に対し巷間様々に言われており、その内容は、 「トンデモ科学から即実施すべし」 まで実に幅広いです。明確になっていることは、政府が福島県の高放射線量地域の対策として、土の削り取りで臨み、微生物による放射性物質の分解消失処理を採用しなかったことです。政府は、高嶋康豪から野外実験の説明を受けているにも関わらず、何故か決断できません。首相及び大臣自身の頭で理解しないから決断できず、お仲間の官僚及び学者に聞くも 「微生物で放射能は消せません」 と言われ、悲しいかな土の削り取りを選択しました。土の削り取りで高放射線量地域の対策に努めるも、予想通り高放射線量は一時的にしか下がらず、削り取った土の保管場所(=暫定貯蔵地及び中間貯蔵地)の両方で住民を困らせています。官僚及び学者が何故に 「微生物が放射能を消せない」 と思考するか、2014年2月13日付けの日経トレンディ 『放射能は微生物で消せません』 から探ります。

 この記事の要点は、次の通りです。化学変化と原子核変化をエネルギーの観点から比べます。化学変化からはガスが燃えるようなわずかなエネルギーしか得ることができませんが、ウラン235の核分裂からは膨大なエネルギーを得ています。化学反応と核反応では、得られるエネルギーが桁違いです。逆に、物質の原子核変化を起こさせるには、膨大なエネルギーを必要とします。現に、巨大な粒子加速器で粒子にエネルギーを注入し、素粒子実験をしています。微生物は、化学反応を使って生きています。その微生物が、原子核変化させるエネルギーを放出することはありません。だから、 「放射能は微生物で消せません」 と結論付けます。

 この記事と第3章の放射性物質の核種変換論は、理屈が同じです。共に、西洋科学(=原子力工学)による理屈です。しかし、放射性物質は外から膨大なエネルギーを与えずとも、核種変換しています。Newton 『量子論』 を読むと、ウランなどの放射性物質の原子核は、トンネル効果(※)によりアルファ粒子(陽子2個と中性子2個からなる)を放出し、少し軽い原子核に変化すると説明しています。ですから原子力工学に従えば、原子核を強制的に元素変換させるには、膨大なエネルギーが必要になります。

 

(※)トンネル効果は、原子のサイズ程度より小さい粒子であれば、どんな粒子でも起きます。(図4参

   照)その理屈は、エネルギーと時間の不確定性関係により、外からエネルギーを与えられなくて

   も、電子のような小さい粒子であれば、ごく短時間ではあるがエネルギー障壁を超えられるだけ

   のエネルギーを得ることが可能になり、原子核から粒子が外にでます。

 

 元素変換に膨大なエネルギー不要

 2014年4月8日の日本経済新聞は、 『放射性廃棄物の無害化に道? 三菱重、実用化へ』 との見出しで、元素変換に膨大なエネルギーを注入しなくとも実現できる記事を載せました。記事の冒頭で、

 

   三菱重工業は重水素を使い、少ないエネルギーで元素の種類を変える元素変換の基礎技術を

   確立した。原子炉や大がかりな加速器を使わずに、例えばセシウムは元素番号が4つ多いプラ

   セオジウムに変わることなどを実験で確認した。将来の実証装置設置に向け、実用化研究に入

   る。放射性セシウムや同ストロンチウムを、無害な非放射性元素に変換する放射性物質の無害

   化処理に道を開くもので、原発メーカーとして実用化を急ぐ。

 

と要旨を述べています。何しろ、西洋科学からは理解できない実験結果であり、同記事からの不思議内容文言を書き出します。

 (1) 超高温や超高圧をかけることなく、数日で内部で元素が変わり、新たな元素が生まれてくる。

     ただ、詳しい仕組みや理論は分かっていない。

 (2) 元素変換は、エネルギー収支が合わず、従来の物理学の常識では説明できない。

 (3) 新しい元素の量が少なく 「外から混入した可能性も完全には排除できない」 との声もある。

 

 三菱重工業は、厚さが数十ナノ(ナノは10億分の1)と極めて薄い金属のパラジウムと酸化カルシウムの薄膜を交互に積層した多層膜に変換したい金属を付けます。この膜に、重水素を透過させると百数十時間で元素番号がそれぞれ2から4、6に変わりました。従来の物理学からは、当該現象を説明できません。

 

 西洋科学の範疇外の現象

 微生物で放射性物質を分解消失するも、三菱重工業が少ないエネルギーで元素の種類を変えるのも、どちらも話の最後は元素変換に行きつきます。従来の物理学では、原子核を強制的に元素変換させるには、陽子と中性子を繋ぎとめている核力に打ち勝つ、膨大なエネルギーを注入しないと実現できないとされてきました。ゆえに、膨大なエネルギーを与えずに、微生物の触媒の働きによる放射性物質の分解消失で元素変換が実現しているのを理解できないのです。

 それは、従来の西洋科学の理論の範疇外で現象が起こっており、従来の西洋科学の知識で説明できないのは当然です。やるべきことは、微生物で放射能を消す作業をすると共に、微生物の触媒の働きで非放射性物質に変わる説明できる理論を新たに考えることです。かっこよく言えば、事実と西洋科学の理論の矛盾が新しい真理を生みます。

 表1は、筆者が2011年11月ワールドフォーラム高嶋康豪講演(YouTubeの動画を視聴)から作成しました。高嶋康豪は、微生物が放射能を消す理屈を分かりやすく説明するのが非常に困難であると実感しており、聴講者に表1の話しをして理解してもらえるように努めていました。表1の下段内容は、最新の宇宙学の見解です。

 

                     表1 エネルギーに着目した科学の分類

   

 最新の宇宙学では、暗黒物質と暗黒エネルギーを想定しないと宇宙の観測結果を説明できません。通常の物質と暗黒物質と暗黒エネルギーの3つが、宇宙を構成しているエネルギーということになります。宇宙の96%は謎です。宇宙を構成している3つのエネルギーに分裂の科学(=西洋科学)、合成の科学、融合の科学を結びつけました。合成の科学及び融合の科学は、微生物の働き(合成と融合)を意識したのでしょう。微生物の触媒の働きで非放射性物質に変わるのは、合成の科学もしくは融合の科学であり、原子核を分裂させた原発の科学(=分裂の科学)の範疇外と言いたかったのだと思います。

 また高嶋康豪は、西洋科学が還元科学であると何度も強調していました。還元科学の思想で3研究機関(※)が、26年に亘り超ウラン元素を寿命の短い放射性物質に変換させる研究をするも実現しておりません。実現できないのは、西洋科学に隘路があるのでしょう。このところは、第6章で述べます。

 

 (※) 3研究機関とは、日本原子力研究所、核燃料サイクル開発機構及び電力中央研究所です。


第6章 放射性物質の分解消失処理で露呈する西洋科学の弱点

 量子力学の観測問題

 洋の東西を問わず、人々には言葉で語り説明します。西洋科学も同様で、実験結果もしくは観測結果を示し、言葉で論理的に説明します。その構文は、 「何々が何々である」 という、たとえば 「これは白い」 という、主語と述語の文法です。主語(これは)は、 「白い」 という属性、性質を有しています。いつでも主語として現れてきて、述語にならないものが実体です。その主語になる実体は、複数の属性を有します。しかし、実体が複数の属性を有すると、話は一挙に複雑、かつ、難しくなります。たとえば、 「私は善人です」 とか 「私は悪人です」 の場合に、話を一挙に複雑、かつ、難しくします。古来、人間はそれゆえ悩んでいます。ひとつの実体に矛盾する属性があれば、論理的説明が難しくなるのは当然です。

 翻って、原子力工学の基礎である物理学(=量子力学)では、光子、電子など素粒子は、粒子と波の矛盾する二つの属性を有するとします。無味・無臭・無色の素粒子が二つの属性を有している実験結果に鑑み、量子力学は二つの属性を許容します。そのため、二つの属性の関係を説明しなければならず、コペンハーゲン解釈をします。コペンハーゲン解釈を 『最新先端物理学が描く宇宙(2012年度 真貝)』 から引用します。

 

① 量子力学的な粒子は、観測される側には、波動関数にしたがって空間的な広がりをもつ,  と解釈

   する。(波動関数は波を表し、波は重ね合わせができる。したがって、観測結果はいろいろな状態の

   重ね合わせである, と解釈する。)

② 観測や測定により、粒子の位置や運動量がある領域に制限されて定まることは、波動関数の示す

   波が1点に収縮した(波束の収縮)と解釈する。

③ 波束の収縮する確率は、波動関数の確率解釈に依存する, と解釈する。

 

 実体が、観測時に即時に波から粒子に変身するが、コペンハーゲン解釈では、波束の収束する仕組みを明らかにしておりません。実体があって、そして 「何々がある」 という在り方が初めて意味をもちます。しかし、素粒子なるものは、粒子と波の矛盾する二つの属性を有するうえに、実体が観測時に即時に波から粒子に変身するのですから、奇妙奇天烈な実体です。量子力学は極微の世界の話であり、人間の日常感覚では理解できませんが、論争のすえに観測問題(=有名な 「シュレーディンガーの猫」 問題)を棚上げし、多くの物理学者はコペンハーゲン解釈を受け入れました。

 物理学者は、物質を細かく分解してその機能を分析し、その上で法則から物質を理解しようとする還元主義を信条にしており、人間の想像力が及ばない素粒子の世界ゆえ、観測問題を棚上げし、数学的に矛盾がなければ是とすることで、量子力学が原子レベルから素粒子レベルにまで発展しました。

 

 還元科学で放射性物質の分解消失処理は可能か

 西洋科学は物質の根源を追求し、追求した微細な組み合わせから万物を説明する還元的手法と、その他に多くの事象を矛盾なく説明できる機械論的法則の発見に特徴があります。前者の例としては微細の要素が原子から素粒子へとより細かくなっており、後者の例としては万有引力と相対論が宇宙の端まで成立つと考えます。

 原発は西洋科学(=還元科学)の申し子であり、2つの法則を組み合わせた発電技術です。ひとつは、イタリア生まれの物理学者フェルミが発見した、低速中性子を利用した人工放射性元素とウランの核分裂に関する働き、もうひとつは、世界一有名なエネルギーが物質と等価の公式、エネルギー = 質量 × 光速の2乗により、アインシュタインが極少量の質量欠損が莫大なエネルギーになる保証をしました。 もちろん、両者ともノーベル賞を受賞しています。ところが、西洋科学では、高速中性子を原子核に衝突させれば、元素変換するのは自明なのに、超ウラン元素を寿命の短い放射性物質に変換させる技術は、3つの研究機関で26年経過しても実現できません。第3章で考察した、3つの技術的理由(再度掲載)で頓挫しています。

① 元素選別・・・高純度の超ウラン元素の分離回収ができない。

② 元素配置・・・①で分離回収した超ウラン元素を任意の場所に配置できない。

③ 軌道計算・・・陽子を鉛ビスマス核破砕目標衝突させ間接的に高速中性子を放出するが、

           的に向けた軌道計算は可能?

           更に、高速中性子は超ウラン元素の核種を100%変換できるのか?

 ①と②で高速中性子の的になる極薄い金属片を製造すると思うのですが、製造技術に西洋科学で言うところの理論を適用できるかです。理論が適用できなければ、試行錯誤して理論抜きに製造技術を獲得することになります。この局面では西洋科学で言う理論の範疇外になります。③はニュートン力学で軌道計算して的に衝突させるのしょうか。計算の前提条件たる初速度、角度等は、陽子を衝突させ間接的に高速中性子を放出する仕組みから、高速中性子毎に明確に決められず試行錯誤で高速中性子を放出します。たとえば、大木のてっぺんの木の葉が風に吹かれて舞い落ちる情景を想像してください。万有引力により、木の葉は地上に落下するのですが、どの場所に落下するか風任せです。木の葉の落下場所を計算するための条件たる初速度、風向き、風速等が時時刻刻と変化するため決まらず計算不可になります。

 これから言えることは、西洋科学で言うところの理論では、範疇外もしくは計算不能の現象が多くあります。ですから、机上の理屈による原子レベルの操作手法で放射性物質の核種変換に挑むも、雑多な要素が入り組んだ野外の放射性物質の分解消失処理に無力です。

 

 微生物が有すると思われる創発

 複合微生物による放射性物質の分解消失処理は、西洋科学の還元的手法(原子レベルの操作手法)と機械論的法則の考えと異質と思われます。西洋科学の還元手法なら、放射性物質とその他の物質に分離回収し、ふるい分けた放射性物質を分解消失処理します。しかし、複合微生物による放射性物質の分解消失処理は、第4章で述べたごとく、土に含まれた放射性物質を混然一体で分解処理します。これは西洋科学の還元的手法ではなく、生物学で言うところの創発の働きにより放射性物質が分解消失処理されたと思います。創発は、これまで関連のなかった複数の微生物の新たな相互作用によって生じました。創発の現象は経験的なものであり、形而上学的な論拠に弱いです。

 創発の分かりやすい例に、 「ハンマー」 の話があります。ハンマーは、握りと頭という分離された構成要素と同じ物質から成ります。それでもやはり何か新しいものが、握りと頭の相互作用から生み出されます。木製の握り自体もハンマーの頭もいくら素粒子から成り立っていると言っても、ハンマーの働きは説明できません。握りと頭の2つが一緒になるとき、ハンマーの属性が 「創発する」 のです。

 次に、創発の意味を機械と生物を対比させ筆者なりに考えます。3研究機関が連携しながら進めている長寿命核種の分離変換は、再処理工場の湿式工程で超ウラン元素を分離回収し、その後、正電気を有する陽子を陽子加速器で加速し、鉛ビスマス核破砕目標に衝突させ、そこから飛び出す高速中性子を原子核に衝突させます。共に大仕掛けの装置が稼働しますが、人間が設計した機能しか働きません。複合微生物の場合は人間が環境を好転させ、急激に微生物を増殖させます。複数の微生物が共存・共生・共栄させることで、1gあたりの生菌数が10の9乗を超えると質の変化(菌の大きさが10分の1以下となり、凝集化(固体化)が生じ、数千種、数万種の増殖が可能)が生じます。凝縮化が起こると、第4章の特許明細説明の(7)→(8)へと現象が進みます。つまり、創発とは微生物が増殖し高密度化すると質を変え、予期せぬ機能が出現すると言えます。つまり、創発は微生物が起こす現象であり、無生物を相手にする物理学では、理解できない現象です。実際のところ、3研究機関の研究者が、研究対象にしている万物の根源たる原子レベルの知識を駆使しても、原子から成り立つ微生物の働きを説明できません。

 

 生物学の現象説明においては、物理法則から現象を説明するのでなく、次の方法で説明します。←C

 (1) すべての生物学的システムは秩序あるスシテムであって、その多くの属性はこの組織化に

     負っており、単に構成要素の化学的ー物理的属性のためでないという特徴、

 (2) より低次のシステムの属性に必ずしも還元できない(それでは必ずしも説明できない)より、

     高次のシステムの属性をもった組織化のレベルが存在するという洞察、

 (3) 生物学的システムは、物理主義者の還元主義的分析では接近できない歴史的に獲得され

     た情報を蓄積しているという認識、

 (4) 創発ということがしばしば起こるという認識、に基づいているべきである。

 

 複雑なシステムにおいては、そのシステムの構成要素の知識によっては表せない(予測できない)属性がしばしば創発します。複合微生物体系の土壌発酵による放射能除染は、膨大なエネルギーを注入せずとも実現しており、西洋科学(=物理学)の範疇外ゆえ西洋科学の常識から説明できないのは当然です。複合微生物の相互作用による創発の働きが、元素変換を実現していると思われます。


あとがき

 ガリレオ・ガリレイは、天体望遠鏡を駆使して天体観測をしました。観測結果と数学を組み合わせて考察し、地動説を唱えました。西洋の中世は、教会が世俗の実権を握っており、アリストテレスの天動説を支持していたため地動説を異端の説としました。最終的にガリレオ・ガリレイは、教会の異端審問により職を失い経済的に困窮し、失意のうちに亡くなりました。しかし、地動説は後から真理であると認められました。

 ガリレオ・ガリレイと高嶋康豪は、似ている部分があります。高嶋康豪は、複合微生物体系の土壌発酵による放射能の消滅の野外実験を公表しました。世俗の実権を握っている政治家・官僚・学者、いわゆる原子力村の住民に野外実験結果を説明するも、物理学の常識から微生物で放射能を消せないと否定されました。

 天動説でどれだけの人が困ったか分かりませんが、現状の放射能除染策は役立たず、福島県を中心に多くの人が困り果てています。現状の除染策では放射性物質の自然崩壊を待つしか手がありません。数千年から数万年も、強力な放射線の影響を受けたくありません。高嶋康豪が発明した 「複合微生物体系の土壌発酵による放射能の消滅」 は画期的であり、原子力村に放射能消滅の地動説なる野外実験結果を示しました。しかし、第2章の 「放射線の影響が分かりにくい理由」 で名取春彦が述べている世界ゆえに、事実を頭ら否定し時間を空費しています。

 

                                                 2014年10月4日



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