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ラント

地球は豊かで、平和だ。

虹が空をかけていた。

いつも素敵なハーモニーが重なり合い、皆それぞれ笑って暮らしていた。

誰もがご機嫌で、誰もが楽しく過ごしていた。

 

 

踊っても、笑っても、歌っても!

 

 

 

彼らは歌った。

喜びを感じた時に

感動した時に

いつも歌っていた。

 

とくに歌うことが好きな男の子がいた。

ラント。

歌った、空に響き渡るように

歌った、虹を見て

 

歌った、太陽を浴びながら。

 


夜の声

ラントは日が落ちると、家族の下に帰ってよく寝た。

眠りは彼を夢のかなたに連れて行ったが、彼はいつも覚えていなかった。

 

 

 

だから何も気づかぬまま、目が覚めて朝を迎えていた。

 

 

ある夜、ランドはふと疑問に思った。

「日がくれると、僕は寝るのだけど、その間、この世界はどうなっているのだろう?」

 

 

母に尋ねた。

「そうね、とっても暗くなって静かになるわ。」

 

「それはこわい!」

とラントは答えた。

 

 

「あら、怖くないわ。

月や星が輝いているもの。」

 

 

ラント

「月や星?

月なら、僕も見たことがあるよ。

太陽の反対側にある丸いやつね。

とってもひ弱で昼になると、ほとんど見えないんだ!

そんな弱々しい丸いのなんて、頼りないなぁ。」

 

ラントがそう言うと、姉は

「あら、夜の月はとっても美しいわ。」

と答えた。

 

 


見えない月

ラント

「お姉ちゃんはお月様を見たことがあるの?」

 

「あるわ。お星様も!キラキラして素敵なのよ!

見たことないなんて勿体無い!」

 

ラントはそう言われると、見たくなった。

 

でもひ弱な月がキラキラするなんて、信じられなかった

 

ラントは今夜月を見ることに決めた。

 

 

 

「あら、ラント。一緒に見ましょう。

 

 

ラントが姉と空を眺めていた。

日がくれてくると、空が遠くからすーーと変わって行く。

 

まず、だんだんオレンジになる。

そして、紫の線に続いて、青くて暗い空が、、、、、。

あれ?白くて丸い月?下の方に見えるよ。

 

 

ラントは眠ってしまった。

 


いつも通りに目が覚めた。

ラントは月を見ることができなかったことに気がついた。

 

ラントはとても落ち込んだ。

 

「ラント、いつの間にか眠っていたわ。

私も気づかなかったけど、とても深く寝ていたからそのままにしたのよ。

また今日も一緒に見ましょう。」

 

 

その日からラントは毎晩、姉と一緒に夕暮れの空を眺めた。

そして夜を待った。

月を見るために。

 

姉はラントに、

低いところにある白くて丸いものが月だと、教えた。

やはり、キラキラ輝いているようには見えなかった。

 

 

「それがね、この空の一番上の、一番高いところに来た時に、とっても綺麗なの!」

 

 

ラントはワクワクしたが、また眠ってしまった。

 


ウサギ

何度もチャレンジをしたが、ラントは月を見ることなく眠ってしまった。

 

ラントはとても落ち込んだが、

「いつか見れるようになるわ!」

と姉は励ました。

 

 

ラントは日の暖かい日、野原に出た。

太陽は草や花、木や動物を照らしていた。

場がパワフルで生き生きとした。

 

ラントは歌った。嬉しくなって歌った。

 

そうすると、ひょっこり、ウサギが現れた。

 

ウサギ

『あなたの歌、とても好きよ。』

 

ラント

「ありがとう。ウサギさん。僕は歌うのが好きなんだ。」

 

ウサギ

『とても素敵ね。私は月に行くのが好きなのよ。』

 

ラント

「月に行く?君は月に行けるの?」

 

ウサギ

ええ、空に月が浮かぶ時、いつでも遊びに行けるのよ。』

 



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