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てきすとぽい杯について
てきすとぽい杯について
各夜のお題
第17回 募集要項
第17回 審査結果
入賞作品紹介
《大賞》
『百鬼夜行の客商売』 みお
《入賞》 ※得票順/シリーズ作品は並べて掲載
『ヘッセ』 犬子蓮木
『高速道路』 粟田柚香
『集合住宅』 粟田柚香
『シーサイド・ヒル』 大沢愛
『ルーインズ』 大沢愛
『スタティック』 大沢愛
『クリスタル・ムーン』 大沢愛
〈候補作品〉 ※得票順/シリーズ作品は並べて掲載
『The Friendly Ghost』 碧
『The Not-Friendly City』 碧
『創造主の箱庭』 kenrow
『生々しさ』 フィンディル
『幽霊アカウント』 muomuo
『男死病』 muomuo
『名無しの少年』 muomuo
『絆』 muomuo
『そうやって大人になっていく―丁稚安吉の場合』 志菜
『せやせや』 せせせ
『曲り角奇譚』 茶屋
『幽霊屋敷に住むものは』 永坂暖日
『便利な家』 ◆BNSK.80yf2
『助手席の彼女』 永坂暖日
『できごころ』 しゃん@にゃん革
『幽霊屋敷の浴室』 山田佳江
『桜屋敷』 茶屋
『幽霊の生業』 豆ヒヨコ
『幽霊船』 小伏史央
『幽霊屋敷の記憶』 三和すい
『記憶喪失になった俺が大学受験に挑むのだ』 ひこ・ひこたろう
『館長さん』 晴海まどか
『怪談は幽霊屋敷で』 松浦徹郎
『幽霊空き家』 永坂暖日
『九朗右衛門事件帳』 茶屋
『幽霊屋敷の一件』 碓氷穣
『歌声』 茶屋
『ぼくがいまよみたいしょうせつてきすとぽいばーじょん』 ひやとい
『歴史の勉強』 しゃん@にゃん革
『新幹線の中で』 ひこ・ひこたろう
『ぼくとお屋敷』 犬子蓮木
『紅白歌合戦の舞台に俺は立ったのだが』 ひこ・ひこたろう
『幽霊屋敷から出て来たのは古切手』 ひこ・ひこたろう
『大学祭』 ひやとい
『薔薇の香り』 げん@姐さん
『Haunted Horizon』 木野目理兵衛
〈集計外作品〉 ※投稿順
『柿のお供え』 高田@小説垢
『僕がオトコノコを止めた理由』 文才無い魔女
『変な旅』 鳥居三三
〈関連作品〉
関連作品のご紹介
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『幽霊屋敷の一件』 碓氷穣

連載/第二、三、四夜エントリー
投稿時刻 : 2014.05.04 23:47
最終更新 : 2014.05.06 23:43
総文字数 : 6812字

獲得☆3.375
「きゃああ」
 夜の館で女性の悲鳴が響いた。それから雷鳴が轟き、雨が降り始めた。真っ暗な空から土砂降りの雨が降り始め、時折、天に雷光が走った。
 数人の男女がその館の玄関から走り出てきた。
「おい、雨降ってんじゃねーか」
「そんなこと気にするな。それより、早く逃げるぞ」
「でも、一人置いてきて・・・」
「いいから。はやく」
 そんなやり取りがなされ、その若い男女はワンボックスカーに乗り込んだ。ワンボックスカーはライトを点灯させ、タイヤをスリップさせながら方向転換し、急いで走り去って行った。

###

「また、何をやっていたんですか?」
 先ほどの若い男女は交番にいた。びしょ濡れになった服を着たまま警察官の前にいる。警察官はというと、少しあきれた表情をしながら事情を聴取していた。
「ちょっと、肝試しを。大金が隠されているっていう噂で」
 一人の男がそう言った。主に話をしているのはその男で、その男女の中には両肩を抱えたまま震えている女性もいる。
「あー。確かにあそこは心霊スポットって言われているからね。ここいらでも幽霊屋敷と言われて誰も近づかないよ。でも大金ねぇ。で、それで?」
 警察官に促され、また男がしゃべり始めた。
「見ちゃったんですよ、幽霊を」
 その一言を聞いて警察官は笑ってしまった。
「いやでもね。君。何か見間違えたんじゃないの?」
「いやでも見たんですよ。てゆーか、早く館に向かって下さいよ。実は一人置いてきちゃって」
 警察官はその一言を聞いて顔色を変えた。
「それは聞き捨てならないね。てことはまだあの館に一人いるってこと?」
「そう。そうなんだよ。だから早く」
 男がそこまで行ったところで警察官は男の話を遮った。それから電話の受話器を持ち、どこかへ電話し始めた。
「○○署です。ちょっと、事件めいたことがありまして。はい。夜の山荘に若い男女が侵入。それから、一人がけがをして館から動けない模様。はい。はい。至急応援を。はい」
 そんな言葉が聞こえてきた。
「いま応援を頼んだからね。ちょっとその館へ向かわせてもらうよ」
 警官はそう言って交番の奥へと入って行き、出てきたときにはレインコートを手に持っていた。
「悪いけど、君たちにもついてきてもらわなきゃいけないね。はいこれ。君たちの分」
 そう言って警官は、そこにいた数人の男女にレインコートを手渡した。
「君、運転は大丈夫?」
「はい。何とか」
 それからお互いは車の運転席に乗り込み、ワンボックスカーに続いてパトカーが走り出した。

###

「早いね」
 館につくと、既にパトカーが何台か館の前に止まっていた。先ほど交番にいた警察官は
別の警察官と話し込んでいた。
「飛ばしてきたもんですから」
 そう言う警官の後ろでは何人かの警官が現場鑑定やら何やらの準備をせこせこと進めていた。
「あ、こちら刑事さん」
 警官が指示した方にはビニール傘をさして、コートを着た初老の男性がいた。
「君たちも後で話を聞いてもらうからね」
 警官はそう言った。若い男女は肩身を狭そうに、不安げな表情で立っていた。
「でも君、これは事故かもしれないんだろう?」
「それでも、仕事ですよ」
 警官にそう言われると、刑事はとぼとぼと館の方へと歩いて行った。
「あ、僕は君たちの事見張ってなきゃいけないから」
 警官はそう言うと、レインコートの裾を直す仕草をした。そして懐中電灯で周囲を注意し始めたが、特に何もない様子であった。

###

「見つかりました。血を流した女性が倒れています」
「息はあるか?」
「脈を確認していますが、脈拍確認できません」
「人口呼吸は?」
「やってみます」
 館の中は騒がしい様子であった。発せられる声は怒鳴り声に近いものがあった。灯光器が設置され、屋敷の中は明るく照らされているが、照らしきれない箇所があった。
「だめです。息ありません」
 人工呼吸をしている救急隊員の声がして、現場には重苦しい空気が流れた。
「駄目だったか」
 刑事はそう言って煙草に火をつけようとしたが、現場内が禁煙であることを思い出し、すぐに煙草をしまった。
 死体の体温はまだ温かく、死後間もないようであった。倒れている女性の後頭部からは血が流れており、後頭部を強打したことが死因であることが伺われる。
 遺体は階段の傍に倒れていた。刑事が懐中電灯でそちらを照らすと、階段が一段踏み抜かれている跡があった。
 さらに周囲を探索すると、一枚の板が転がっているのが見つかった。
「これは、結構な・・・」
 板は激しく腐食しており、人力でも板の表面を剥くことができるようなものであった。
「折れ跡は、一致するか?」
 刑事はその場で、階段を踏み抜いた場所に板を当ててみた。大体一致するようであったが、正確に知るは鑑識に頼まなければいけないだろう。
「おーい。ここ頼む」
 刑事がそう言うと、鑑識がやってきて、その場の写真を撮り始めた。
「どうやら、事故の可能性が高い、か」
 そう言って刑事は死亡現場から離れて行った。その場に居合わせたであろう男女に話を聞くためだ。

###

 屋敷の外はまだ雨が降っていた。刑事は玄関の脇に立てかけておいた傘を指し、ワンボックスの中で待っている男女の方へと歩き始めた。車の傍には、連絡をくれた警官が立っていた。
「ちょっと話を聞いてもいいかね?」
 刑事がそう聞くと、警官はコクリと頷いた。そして車のウィンドウをノックした。
 後部座席横のスライドドアが開かれ、中には男女の姿が見えた。
「なんすか?刑事さん」
「いや、どうやら階段を踏み外した衝撃で死んでいるようなんだがね、その時の事何か見てない?」
「死んでる・・・」
 メンバーの間に戦慄が走り、第一声を発した男も下を向いてしまった。
「まぁ、つらいのは分かるんだがね。当時の状況を知りたいんだ」
 刑事がそう言ってから、しばらくすると、また若い男が話し始めた。このメンバーのリーダー格なのだろうか。
「いや、俺たち二階に上がって行ったんだよ。結構ひどい有様だったね。荒れ果てて。最初は大金はどこだーって感じだったんだけど、なんか奥に行くにつれてどんどんやばい雰囲気がしてさ、それで、ちらっと懐中電灯を向けた先に、いたわけよ」
「いた?」
「いや、幽霊だよ」
 刑事はその言葉を聞いて顎をさすった。
「君たち薬はやっていないよな?」
「当たり前だぜ」
 男がそう言うと、周囲のメンバーも頷いた。
「どんな姿の幽霊だった?」
「えっと、髪の長い、女だったかな。やべぇ。思い出すだけでも」
 そう言って男はぶるっと武者震いをした。
「それからみんな必死で走り出してよ、無我夢中で、真っ暗ん中」
「それで、最後にあの階段を踏みしめたあの子が命を落としたわけか」
 刑事はそう言った。
「君たち全員幽霊を見たの?」
 そう聞くと、全員がうなずいた。
「そんなにはっきり?」
 また全員がうなずいた。

###

 刑事は再び館の方へと歩き始めた。あと何回この往復をするだろうか。実況見分の状況を聞かなければ。刑事は館の方へと歩みを速めた。
 幽霊の謎は、おそらくのところ、死体の傷跡と、館の中をくまなく探し回れば解けるのではないだろうか。
 とりあえず、事故か他殺なのかを、もっと詳しく調べねば。
「しかし、どうしたものかな」
 簡単にばれそうな嘘をつくものだろうか。いや、分からない。確かにここは薄気味悪くて誰も近づかないような場所だ。
 だが幽霊など。
 刑事はその眼光を光らせた。

###

 刑事は屋敷へと戻り、今度は二階へと昇って行った。若者たちの証言から得られた「幽霊」の正体を調べに行こうと思ったのだ。
 刑事は手摺につかまりながら、階段を上って行った。階段はぎしぎし音を立てていて、この館が古いことを伺わせる。
 階段の一部が腐っていたのだろうか。そうだとすればあの女の子は運がなかったことになる。他の助かった少年たちの事も考えると刑事は何とも言えない気持ちになった。
 二階には部屋が三つあった。そのうち二つは寝室のようだった。そして、もう一つの部屋は箪笥や本棚が置かれていたが、ベッドは置かれてはいなかった。家具はどれも埃をかぶっていて、何年もそのままにされている様子であった。
「しかし、家主は一体何をやっているんだ」
 刑事はそんな愚痴をつぶやきながら部屋の捜索を始めた。そして、部屋の中に一枚の肖像画が掛けられているのを発見した。
「これは・・・」
 刑事は暗闇でその絵画を見て驚いてしまった。
「また、こんなものを部屋の中に」
 その絵画には一人の少年の姿が描かれていた。髪はよく櫛が通っていて、白いシャツにベストを着ている少年だった。
 刑事はその絵画を見て、この屋敷に人が寄り付かなくなった噂を思い出した。確かにこの家には裕福な家族が暮らしていたのだが、ある日、事故で息子が死んでしまった。それからというもの、家族全員が気を病んでしまい、主人が営んでいた事業も倒産してしまい、いつの間にか一家離散してしまったというものだ。
 その後、この建物は不動産競売に掛けられたが買い手が見つからず、そのまま荒れ放題になってしまったそうだ。
 その話に尾ひれがついたものが、この屋敷が幽霊屋敷と呼ばれるようになった所以なのであるのだが。
 と、その時であった。刑事の視界の隅で光の筋が走った。

###

 刑事が驚いてそちらを見ると、一人の若い警官が部屋のドアのところに立っていた。
「驚かせないでくれよ」
 刑事がぶっきらぼうにそう言うと、
「失礼しました。なかなか帰って来ないものですから、探しに行けと指示がありまして」
「その指示をしたのは誰だ?」
「○○さんですが・・・」
 ふん、アイツか、と思い刑事は鼻を鳴らした。刑事は部屋の別の方向へ懐中電灯を向けた。懐中電灯をあちらこちらに向けていると、警官から質問があった。
「ところで、この絵は何なんです?」
 警官はやはり壁に掛けられた絵を見て驚いているようであった。
「お前、この家の噂は知っているか?」
「えぇ、少しですが」
「ならあの事故のこともか?」
「えぇ、はい。・・・あっ、まさか」
 そう言うと、警官は何かに気付いたようであった。
「そうすると、この子は・・・」
 警官は絵画を眺めながらそんなことをつぶやいた。
 ここで刑事には疑問が浮かんだ。先ほどの若者たちは女性の幽霊を見たといった。だがもしこの絵画を見て、幽霊と勘違いしたならば、女性の幽霊を見たと証言するだろうか。しかもあの男は髪の長いとも言っていた。そうすると、いろいろと食い違いが生じてくる。
 刑事は隣で絵を見ていた警官に話しかけた。
「おい、これが女に見えるか?」
 警官は一瞬何のことか分からないようであったが、次のように答えた。
「さすがにそれは無理じゃないかと」
「そうか」
 その答えを聞くと刑事は再び一階へと戻って行った。一階へと降りた時に刑事は鑑識に呼び止められた。

###

「すみません。問題があるのですが」
 刑事にそう話しかけたのは先ほど階段の調査を頼むと依頼した鑑識官だった。
「なんだ」
「先ほどから階段の周囲を調べていたのですが、ちょっと気になることがありまして」
「だからなんだ?」
「いえ、階段に頭をぶつけた形跡が見つからないんです。全ての段を調べましたが、どこにも」
「血液反応は?」
「それも出ませんでした」
「傷口の所見は?」
「私は検視官ではないので、何とも言えませんが、なんというか、階段の角、というよりはもっと丸いもの、ハンマーとかですかね。そう言ったものによる傷口である可能性が高いかと」
「それで、凶器は見つかったのか?」
「それはまだです」
 刑事はその鑑識結果を聞いて何も言えなかった。
「これは、詳しく話を聞く必要がありそうだな」
 刑事はそう言って、ワンボックスカーの方へと歩き始めた。一度目と同じ光景だった。

###

 結局、幽霊騒動は解決しそうになかった。何しろ幽霊を見たかどうかを判断せずに他殺かどうかを判断することができたのだから。
 そうなると、断然死亡現場にいたあの人物の中に犯人がいることになるだろう。
 刑事はそんな気持ちで走り去るワンボックスカーを見送っていた。
「ぼくはかんけいないからね」
 突然、刑事の背後から男の子の声が聞こえたような気がして、刑事は背筋がゾクリとした。驚いて振り返ってみたが、そこには誰もいなかった。
 鑑識官は皆館の中に入ってしまいそこには誰もいなかった。投光器の明かりがあるのが唯一の救いだった。
 その明かりも、館の陰影を際立たせていたが・・・

###

「碓氷刑事じゃないですか」
 碓氷が振り向いたそのまた後ろから声がしたので、碓氷はとても驚いてしまい、びくりと身を翻した。
「何やっているんですか・・」
 そこには長身で痩身の男が立っていた。この男も本署の刑事だ。
「驚かさないでくれ」
「え、驚かしてなんかいませんよ?」
 その刑事は何か状況が理解できていないような様子で、きょとんとした表情をしていた。
「ここで何やっていたんですか?」
「いや、参考人を見送っていただけだ」
「あ、じゃあさっきすれ違った車が」
「そういうこと」
「てことは実況見分はもうほとんど終わっちゃったってことですか?」
「まぁそうなる」
「あちゃー」
 その若い刑事はそう言って頭を抱えた。碓氷も交番から通報を受けてこの現場に来たのだが、その時ちょうどこの刑事は休憩中だったのだ。
「ですがもう一度状況を整理しときません?」
「まぁそうだな」
 そう言って碓氷刑事と長身で痩身の若い刑事は館の方へと歩き始めた。

###

 相変わらず館の中は投光器で照らされている。館に入ってすぐのところに二階へと続く階段があり、そこにはまだ被害者の死体が置かれている。
 投光器の電源であるガソリンモーターが玄関の庇の下に置かれているが、先ほどから降り続く雨でショートしないか不安でしょうがなかったが、そんな碓氷の不安をよそに、大きなエンジン音が館の中まで響いてきている。
「ありゃ」
 若い刑事は死体の前に行き両手を合わせた。
「死因は頭部を強打したことによる脳挫傷、ですか?」
「まぁ、検死結果が出るまでは何ともだが、ここで見る限りそうだろうな」
「この様子だと、階段から転げ落ちたんですかね。あそこ割れてますし」
 この若い刑事も真っ先にそこに注目が行ったようだった。確かに階段の一団は踏み抜かれていて、それはここからでも見える。
「だが踏み段からは血液反応は出ていないそうだ」
「えっ、そうなんですか?」
「あぁ」
 若刑事は少し驚いたような反応をした。
「普通、階段を踏み外したら後ろの方に体が倒れますもんね」
「あぁ、確かに被害者も後頭部を強打しているのだが、この様子だと、凶器が他にあるのかもしれないな」
「じゃあ、あの若者たちをすぐにでも取り調べないと」
「まぁ待て」
 そう言って碓氷は若刑事を二階へと連れて行った。
「わっ、何ですかこれは」
 やはり暗闇で見ると結構な迫力があるようだ。
「この屋敷の噂の原因でもある」
「あ、あの水死したっていう・・・」
「そうだ」
 碓氷と若刑事はまじまじとその絵画を見つめた。1メータ四方ほどの大きさの絵画であったが。
「まぁ、この絵がこんなところに飾られているせいで、この屋敷で肝試しをする輩が後を絶たないんだがな。まぁ家主が行方不明なので撤去するわけにもいかないが」
「・・・それって結構怖い話ですよね。リアルで」
「あ、まぁ問題なのはこの絵が幽霊に見えるかってところなんだが、お前見えるか?」
「あまりそうは見えないかと。まぁ急いでみればそう勘違いすることもあると思いますが、一般論として」
「女性に見えることは?」
「それはなさそうですね。あ、でもおかっぱの女性ならあり得るかもしれませんが」
「やはりそうだろうな」
 碓氷にはそれ以上何かを導き出すことはできなさそうだった。

###

「出ました。血痕です」
 鑑識官は嬉しそうにそう伝えてきた。床から丸型の血痕が見つかったのだ。おそらく被害者を殴った凶器から滴ったものだろう。
「よくやった」
「他にも床から血液反応が」
 碓氷は鑑識を労った。これで取り調べに向かうことができる。
「碓氷さんはそれを待っていたんですか?」
「あぁ、そうだが?」
「てっきり、やることが無いのかと」
 そう言われて碓氷は多少不服に思ったが、なるべく表には出さないように努力した。
「まぁ、取り調べをするにしても、裏付けが必要になってくるからな」
「ところで幽霊問題はどうなったんですか?」
「あぁ」
 碓氷は答えにくそうにしていた。
「まぁ、今回の件に関しては犯人の嘘だろう。本来のこの館の噂とも離れているし」
「そうですか。でもまぁ、今は人がいるからいいですけど、出そうな雰囲気してますよね。ここ」
「まぁそうだな」
「でも、なかなか幽霊なんてみませんよね」
「そんなのが見えたらテレビに出れてしまうよ」
「そうですね~」
 そう喋る二人の後ろで、小奇麗な姿をした少年が手を振っているのに二人は気づいたのだろうか。いや気づかないだろう。
 帰りの車の中で再び少年の声が聞こえたような気がして碓氷と若刑事はビビりまくることになる。

『歌声』 茶屋

第三夜エントリー
投稿時刻 : 2014.05.05 23:30
総文字数 : 1833字

獲得☆3.333
 <<幽霊屋敷>>。
 <海>の中にはそう呼ばれている領域が幾つか(*整数でカウントができない)存在し、今も融合や分裂、消失を繰り返されている。
 それはかつて<海>がまだ<現実>と乖離していた時代(*時系列という概念を参照)に形成されたネットワーク構造体の一部だといわれている。<現実>と乖離していた領域だが、それは変容以前の<現実>とトポロジーが酷似しており変容以前の世界を類推することが可能である(*類推に類推を重ねて情報量に耐えきれず崩壊を起こしたものも多数いるが)。
 <<彼ら>>が訪れた<<幽霊屋敷>>は比較的初期に<海>から乖離したものらしかった。原初的な運動を持ったネットワークで単純なコピー分裂による増殖とエラー増大による<死>を繰り返している。<<彼ら>>はまだ<少年たち>の段階にあったためあくまで好奇心からこの<<幽霊屋敷>>に接触を試みた。接合し、一部を摂取。断片的にその「感」触を確かめ、「見」つめ、<光>にすかしてみる。そのたびに有害な<幽霊>に接触し「呪」われた<少年>を切り離すという単純な手法で防衛を行う(*残念ながらこれは<<彼ら>>の「実験」の<物語>であり<少年>の物語ではない。そのため<呪われた少年>がその後どうなったか、「語」る術をもたぬ)。
 ふと<<彼ら>>は「思」った。<少年>は「呪」われるたびにパージしているが、逆にこちらから<<幽霊屋敷>>に<少年>を打ち込んだ(*打ち込むための手段は様々あるが情報は断片化され「再構築」できない。おそらくDDFによるものと「考」えられる)らどうなるのだろうか。「思」ったら確かめる。それが<<彼ら>>-<少年たち>の行動様式である。そうして1人(*整数ではない)の<<幽霊屋敷>>の中へと打ち込んだ。

 そこは幽霊屋敷と呼ばれていた。
 今では誰も寄り付かないから。
 今では誰も住んでいないから。
 だが、幽霊はそこに存在し続ける。
 幽霊は自動的に稼働し続けるように義務付けられている。
 だから幽霊は歌い続ける。
 誰かに聞かれることもなく、誰かに喜ばれることもなく。
 かつて大金をはたいて個人用に構築された幽霊は男の子の姿をしていた。
 壊れたオーディオのように繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し、リピートする。
 幽霊はそれでも悲しくない。幽霊はもはや感情のもたぬ自動人形だから。
 悲しくなんてないはずだった。
 
 打ち込まれた<少年>は少年になる情報量がコンパクト化されたがその過程でいくつ(*整数でカウントができる)もの<服>や<玩具>を失った。おそらく<少年たち>との再結合は望めない。<本>として「食」べられればまだいいほうで、おそらく「呪」われたままパージされてしまう可能性が高い。
 最初に接触した<<幽霊屋敷>の構造体は単純なパターンを繰り返し再生する機能を中心としたものだろうか。
 あまり好奇心を刺激するようなものではない。「呪」い殺される前に次の領域に移らなければならない。
 だが、ふとそのパターンがどうにも気になって仕方がなくなった。
 「足」が勝手にパターンのほうへ引き寄せられていく。
 屋敷のほうへ。人気のない幽霊屋敷のほうへ。
 「歌」が聞こえる。
 とても美しく綺麗な声だ。
 単純なパターンのはずなのに、とてもよく馴染んでくる。
 <少年は歌に引き寄せられるように、進んでいった。

 打ち込んだ<少年>は意図もたやすく「飲」み込まれてしまった。これは<<彼ら>>とって予想外の出来事だった。しばし、これは面白い<出来事>なのか「考」える。すると好奇心よりも<恐怖>のほうが大きくなってきた(*これも<少年たち>特有のパターンだ)。そうなればあとはすぐさま退散である。いくつかの辺縁にいた<少年>をばら撒きながら高速で<<幽霊屋敷>>から遠ざかる。

 歌を歌う男の子の動画プログラム。
 商用に作られたものではなかった。
 プロトタイプはNPO法人が制作したものだが、精神疾患患者の音楽療法を意図したものだった。
 歌自体に治療の効果は得られなかったが、ある種の催眠効果があることがわかった。
 そのプログラムの作り出すある種のパターンが原因であるらしかったが、結局のところはわからない。
 ある宗教団体がそれを悪用したからだ。
 その宗教団体が摘発されると同時に、そのプログラムに関する領域はネットワークから遮断された。
 歌う男の子はゴーストハウスに幽閉された。
 長い、長い時間。
 誰も訪れることなく。
 
 だがそこへ一人の<少年がやってくる。
 彼の歌を聞くために……。

『ぼくがいまよみたいしょうせつてきすとぽいばーじょん』 ひやとい

第三夜エントリー
投稿時刻 : 2014.05.05 23:00
総文字数 : 1960字

獲得☆3.300
 あさめがさめるとぼくはおふとんからでた。
「あさごはんたべなさい。」
 おかあさんによばれたのでいった。
 てーぶるにはごはんとおみそしる。
 あとはさらだのついたはむえっぐがあった。
 おいしそうだったのでぼくはさっそくたべた。
 むしゃむしゃむしゃ。
「もっとゆっくりかんでたべなさい!」
 はやくたべてたらおこられた。
 だっておいしいんだもん。
 おいしいものははやくたべたい。
 でもおかあさんはだめだっていう。
 いやだなあ。
 はやくたべてもおこられないくに。
 そんなくにがあったらいいなあとおもった。
 ごはんをたべおわるとはをみがいた。
 はみがきこがあまくておいしかった。
 おいしくてついかおをあらうのをわすれそうになった。
「かおもあらいなさい!」
 ぼくはまたおこられたのでかおをあらった。
「ほらはやくきがえてがっこうにいってきなさい。」
 ぼくはめんどうだったけどぎがえた。
 そしてらんどせるをしょった。
「もうはちじですよ。ちこくするからはやくいきなさい」
 ぼくはおかあさんにせかされていえをでた。
 おそらをみあげたらはれだった。
 はれたひはがっこうをやすみたいなあ。
 ぼくはそうおもった。
 でもいかないとおかあさんにおこられる。
 ぼくはしかたなくあるいた。
 とことことこ。
 とことことこ。
 ああやすみたいのに。
 いやだなあ。
 でもおかあさんにはさからえない。
 ぼくのおかあさんはこわい。
 こないだもおとうさんをなげとばしていた。
 そのくせいけめんのひとにはよわそうにみせる。
 おとなってずるいなあとおもった。
 でもさからえない。
 さからったらぼくもなげとばされるかもしれない。
 どうしよう。
 かんがえていたらおしっこがもれそうになった。
 もらすとはずかしい。
 ぼくはかべにおしっこをした。
 ああすっきりした。
 うんよくだれもいなかった。
 ぼくはまたあるきだした。
 するとまたおかあさんのことをおもいだした。
 こわいおかあさん。
 ずるいおかあさん。
 そういえばこんなこともあった。
 おかあさんといっしょにかいものにいったとき。
 れじでおつりがちがうといって。
 おかあさんはおみせじゅうにきこえるこえでどなっていた。
 そんな大金でもないのに。
 こえもきんきんしてこわかった。
 そらはあいかわらずはれてて。
 たまにおいしそうなくもがながれてく。
 こわいおかあさんからにげだしたいなあ。
 でもおいしいごはんがたべられなくなっちゃう。
 がっこうもわけのわからないことばかりだ。
 じゅぎょうのおはなしもわからなかった。
 せんせいはこわくないけど。
 いつもにやにやしててきもちわるい。
 みんなともなかよくできない。
 なにかはなしかけてくるんだけど。
 ぼくはごほんがよみたいんだ。
 じゃましないでほしい。
 むつかしいごほんじゃないよ。
 あんぱんまんとかそういうごほん。
 そういうのをずっとよみたいんだ。
 みんなはまんがとかげーむとかしてるけど。
 ぼくはそういうのにがて。
 でもごほんはむつかしくないし。
 めろんぱんなちゃんだってかわいいし。
 そんなことをかんがえたら。
 がっこうってなんでいってるんだろう。
 なんでかなあ?
 でもこわいのでぼくはがっこうにいった。
 そうしたらせんせいがぼくにおこった。
「こんなじかんにくるこはあなたくらいですよ!」
 いろんなことをかんがえてたら。
 とけいみたらもうおひるすぎだった。
 せんせいにきゅうしょくはまだたべられるかきいた。
「あなたみたいなこにたべさせるきゅうしょくはないですよ!」
 きゅうしょくがたべられないなんて。
 かなしかった。
 そのときぴんとおもった。
 そうか。
 ぼくはがっこうへきゅうしょくをたべにきてる。
 そのかわりつらくてつまんないことにたえてる。
 だからがっこうにいくのか。
 まあがっこうなんてきゅうしょくがなかったら幽霊屋敷といっしょだし。
 がっこうにいくりゆうがわかってうれしかった。
 でもおかあさんがおひるもつくってくれたら.
 がっこういかなくてすむのになあ。
 そうか。
 おとなはずるいから。
 おかあさんはくうたらしたいから。
 わざとぼくをせかしてはやくがっこうにいかせて。
 そのあいだぐうたらしてるんだ。
 ますますおとなってずるいなあとおもった。
 でもきょうはきゅうしょくがない。
 じゃあもうつらいことにたえなくていいんだ。
 ぼくはいろいろとわかったのでがっこうからでた。
 そしていえにかえった。
 するとおかあさんはいなかった。
 ぼくはきがらくになった。
 このままばんごはんまで。
 おかあさんかえってこなければいいなあ。
 きがらくになるとおなかがすいた。
 そうだしょくぱんがある。
 ぼくはとだなからしょくぱんをとってたべた。
 むしゃむしゃむしゃ。
 おいしいなあ。
 れいぞうこにこーらもあったのでのんだ。
 ごくごくごく。
 おいしいなあ。
 ああきもちいい。
 すっかりいいきぶんになったぼくはごほんをひらいた。
 あははあはは。
 かいけつぞろりっておもしろいなあ。
 わらったらなんだかつかれた。
 つかれたのでそのままねた。

『歴史の勉強』 しゃん@にゃん革

第三夜エントリー
投稿時刻 : 2014.05.05 23:43
総文字数 : 1300字

獲得☆3.250
 雨が一日中降り続いたその日、北川正義は一歩も外へは出なかった。
 冷蔵庫もなく、食べ物を買い置きするほどの金もなく、けれども途轍もない空腹に襲われていたが、壁の向こうでは天気が荒れ狂っていた。
 傘はないし、水道も使えない。正義がいたのは、静かな住宅街の一角にある廃屋だ。屋根のある場所を見つけただけでもありがたいと思う。五月だというのに、気温は十五度を下回っていた。旅行カバンに入れたシャツを重ね着しても、うっすらと肌寒い。
 派遣社員として働いていた家電量販店が半年前に閉店し、代わりの仕事も見つからないまま過ごすうちに、ついに家賃も払えず部屋を出た。
 実家とは折り合いが悪く、帰ることはおろか、金を借りるのも容易ではない。もしかしたら、だれのものとも知れぬこの家が死に場所になるかもしれないと思う。まだ二十六だけども、どうせ死ぬのならはやいほうがいい。蜘蛛の巣が張られた壁に囲まれながら、正義はそんな気持ちに支配されていた。
 そうしてペットボトルに溜めた雨水で空腹をしのぎ、やがて日没を迎えると、暗くなった部屋の真ん中にほのかな明かりが現れた。
「お、お? なんだ、これは。人魂か?」
 壁際まで後ずさりすると、嫌な予感が頭をよぎった。
 この家は、どうして廃屋なのか。考えてみれば、五日前から正義が寝床にしているのに、近隣の住人は見て見ぬふりをしているようだった。
「あ、突然ごめんね。人魂じゃないから、大丈夫。歴史の勉強なんだよね」
 明かりの中から姿を見せたのは、いささか風変わりな服を着た一人の少年だった。
「お、お? お前、誰だ? この家に住んでいた坊主の霊魂か?」
 声を震わせながら尋ねる。少年は澄ました顔で微笑んでいた。
「だから歴史の勉強だよ。近頃、お金っていうシステムを人間が使っていたって習ったから。大金なんて言葉があった時代を調べようと思ったんだけどさ。よく分からないのは、お金を持っていない人なんだよね。教科書には、所有しているお金の額が生死に影響するってあったんだけど。どうやら、嘘だったみたいね。ちゃんと生きてるじゃん。住んでいる家は、ちょっとみすぼらしそうだけど」
 まったく大袈裟な表記だな、と言うと少年は大人びた仕草で肩をすくめた。そりゃそうだよね、お金の額で生死が決まるなんて野蛮だし。独り言なのか話しかけているのか、男の子らしい無邪気さに、むしろ背筋が寒くなる。
「ちょ、ちょっと待て。お前、いつの時代から訪れた? 俺も連れていってくれ。教科書に書かれていることは嘘じゃないんだよ」
 正義の訴えが耳に入らなかったのか、少年の姿はすでに消えていた。
 耳に残ったのは野蛮という言葉。絶望が正義の全身に満ちていく。人間は所詮、原人の頃と進化していないのだろうか。そう考えると、世の中のあらゆる欺瞞を許してもいいような気持ちが湧いてきた。
 金がない自分を追い出した大家も、我が強いだけの両親も、根本的には何百万年も前の野蛮な祖先と変わりない。
 少年が立っていた畳の上をなぞり、正義は静かに瞼を伏せた。
 なるほど、これが人間というものだったのか。
 雨が上がっていた。正義は幽霊屋敷を後にすると、数少ない友人が住む町へと歩き出した。

『新幹線の中で』 ひこ・ひこたろう

第四夜エントリー
投稿時刻 : 2014.05.06 23:19
総文字数 : 1295字

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 広島に向かう新幹線の中で、
「あっ、切符がない!」とパパがうろたえ始めた。
「どうしたの、さっきまであったでしょう」とママが不機嫌そうにつぶやく。
「自動改札はバラバラに通過して、それからパパに預けたのは覚えている。それが私が切符を見た最後」こんな時にも姉ちゃんは冷静だ。
「パパのポケットに穴が開いていて、そこから落ちたんじゃない?」僕も何か言おうとして、そう口走ったが、
「そんなわけないでしょ!」と一斉に突っ込まれる。
 通路でこんな会話を交わしてもらちは明かない。早く自分たちの指定席に座らなければ……。しかし、切符を無くしてしまった以上、どこの席かはわからない。たぶん16号車、というのは合っていると思うのだ。だって、駅に着いた時から、「16号車だからホームの端まで歩くわよ」とママに言われたから。何の証拠にもなりはしないが、あらかじめ切符を見たママの頭の片隅には「16」という文字が刻まれていたに違いないのだ。
 四人分だけ並びで空いた席も見当たらず、所在無く立ち尽くしていると新神戸から修学旅行とおぼしき女子高生軍団が乗ってきた。
「先生、指定席がふさがってます」
「ああ、予約ミスだろう。修学旅行のデータをオンライン予約のデータベースに載せる時、夜間バッチの処理で人為的なミスが起こったんだろうな」
「ねえ、先生。座りたいんですけど」
「こういう場合、岡山で臨時便に乗って、そこから広島だ。旅行会社の人に交渉してもらおう」
「いいなあ」そのやり取りを聞いていた僕は思わず呟いた。「まるで大金持ち」
「えっ、何でなん?」と一人の女子高生が僕に尋ねる。
 実はかくかくしかじかと、僕は事情を説明する。
「幽霊屋敷」「きりん」「はい、しりとり終わり!」
 向こうの方では立ったままゲームに興じる元気な女子高生がいる。
「ねえ、座りたい?」と訊かれ、僕は素直に頷く。
「じゃあ、岡山の新幹線に一緒に乗ろうな」
「えっ?」
「修学旅行の余興で服とか化粧とか用意してあるから、家族みんなで女子高生にしてあげるわ」
 そんなわけで僕たち一家は女子高生に変装し、岡山からの臨時便に乗り移ることができた。しかし、問題は広島駅の改札を抜けることである。
 みんなで考え込んでいると、添乗員がやって来て、「私にまかせろ!」と言う。
「よろしくお願いします」とパパとママが頭を下げると、添乗員は携帯で電話をかけ、
「広島駅の改札から駅員を排除しろ、さもなくば……」と言い始めた。
 何じゃ、そりゃ? そんなことをしたら添乗員さんは捕まってしまうだろうに。
「何か、国土交通省から業務停止させられそうなんだよね」と添乗員がふてくされて言う。この人、今話題のJTBの人か?
「だったら、その前に人助けのひとつでもしたいでしょ」
「ようわからんけど、拍手な」と扇動され、僕も女子高生たちと一緒に拍手した。
 広島駅に着くと、僕たちはホームに溢れた出迎えの人たちに大歓迎された。もちろん、改札も余裕で通り抜けることができた。しかし、添乗員さんは手錠をはめられ、パトカーに乗せられ連れて行かれた。
 あれから二十年の歳月が過ぎた。添乗員が何を電話で言ったのか、今でも僕には想像がつかない。


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