閉じる


<<最初から読む

13 / 13ページ

今後の改修点とデータ取得

 ここまでWARの考え方と算出方法について説明してきたが、ここからはWAR算出における現在の問題点と改善点についてである。

 先述の通り、現在DELTAで算出したWARは、アメリカで算出されているWAR(Fangraphs)を参考にしており、今後はよりNPBの現状に即したWARに改修することが必要になる。

 その中で最初にデータ取得について触れたい。主に守備評価(UZRの算出)をするために、2012年は打球のコース・距離・打球性質などを計測してきた。打球性質ではゴロ・フライ・ライナーに加え“フライナー”を採用している。これはフライの基準が余りにも広く、ポップフライとライナーに近いフライ打球でも同じ分類に区分けされるのを嫌ったためだ。

 フライナーの概念は野球の守備評価手法についての考察をまとめた『Fielding Bible』でおなじみのBaseball info Solutions社も採用しているがそれに倣った形となる。今季はフライナーの分類を加えたことで、外野手のレンジ評価が実像に近づいたのは間違いないだろう。

 今後さらなる守備評価の向上には、ハングタイムの計測は欠かせない。2013年シーズンからはデータの集計を検討している。打球の滞空時間を取得することで、UZRをはじめゾーン評価の精度の向上が期待できるからである。

 具体的には滞空時間を計測することで、打球の強さなどの揺らぎの影響を排除することが可能になる。また、データ取得の客観性を高めることで、今回は一部手のつけられなかった走塁や併殺奪取能力に加え、外野手の肩の強さなどをより詳しく分析・評価することが可能になるだろう。現状のデータ取得は、守備評価をする初期段階であることは否めない。少しでもアメリカの評価方法に近づけるようデータ取得では改善を続けていく。

 WARの改修については次のような点を課題として捉えている。「wOBA(及びFIP?)の係数を“統一球環境”でつくり直すか」「パークファクター補正を行うか」「NPBに適した守備位置補正」「UZRの守備位置内リーグ平均値がゼロになるように補正するか」「救援投手のRARにレバレッジを与えるか」「NPBのリプレイスメント・レベルの定義と算出方法」「走塁評価・捕手の守備評価」

 いずれもWARの精度を上げ、よりNPBとの親和性が高いものにするためには避けて通れないものだ。有識者と議論を行いながら検討していきたい。


13
最終更新日 : 2014-04-02 05:00:54

この本の内容は以上です。


読者登録

DELTA CREATIVEさんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について