目次
はじめに
はじめに
宗教的表現について
研究者の方々へ - 検証中の仮説
外部リンクの表記、Android対応、訂正箇所のご指摘のお願い
概略
現在の症状
息子の誕生
さらに遠い通院へ
知らされなかった検査結果
アミノ酸分画検査結果
タンデムマス検査結果
合っているかもしれない仮説
閑話休題:創作話 トリケラお母さんの悲劇(# ゚Д゚)
DNA検査の実体験と仕組み
ミトコンドリアDNAの検査
ヒットカウント分析および共起性分析
23andMeのDNAアレイによる検査 - 販売停止命令に至る経緯
遺伝病とコモンディジーズの違い - 優性遺伝と劣性遺伝
ヒトはヒトであるが故にヒトの病を患う
コモンディジーズの検査方式 - アバウトなGWAS
23andMeの深刻な検査結果 - 統計の改善による影響
23andMeのその他の結果
エクソームシーケンシング
コモンとレアの重症度分布 - アレル頻度とエフェクトサイズ
個人向け遺伝子検査の選び方 - 罹患人口カバー率指標
閑話休題:製作物 DNAツリー
希少疾患と難病の制度および数値
希少疾患と難病の違いと制度的起源 - 日米欧比較
赤信号みんなで渡れば - 真面目な日本人の最悪の集団行動
もっとも希少な希少疾患 - 70億人にたった一人
もっとも正確な希少疾患の数 - 毎日約1つ希少疾患が増える?
希少疾患全体の罹患率 - 全部合わせると10~14人に一人
診断に至るまでの年数、または遅延 - 28年?!
GINA(ジーナ) - DNA検査時代の国民、患者を守る法制度
国民皆保険の功罪 - 患者をチェリーピッキングする医師達
節としてまとまらなかった事柄
希少疾患と感染症
感染症と希少疾患の関係 - 未診断の希少疾患という重症化因子
予防接種の健康被害としての未診断の希少疾患
希少疾患としての感染症 - 米国のAIDSの歴史
見えないところに死体の山
医師に頼らない因果関係の追求 - 脳症の本当の原因
更に複雑な感染症の話
医療訴訟が生み出す二次被害 - 無過失賠償制度の必要性
辛い記憶
両親を批判することについて
両親への間違った説明
辛かった学校生活
体育の次の時間に倒れてしまう
電車とバス
繰り返し運動による寝られぬほどの筋肉痛
食事の前後の発作
進化と感染症の間の遺伝性疾患
進化と感染症の間の遺伝性疾患
仮説の更なる展開 - 発見され増加を続ける希少疾患
卵子と精子の間の変異の導入の違い
感染症と遺伝性疾患で重度となる役割 - 男性淘汰進化説
絶滅のシナリオ - 感染症と遺伝性疾患の袋小路
進化のスピード調節 - もっとも強く訴えたいこと
進化と遺伝性疾患の「必然性の枠内の偶然性」
ダーウィンのUNdiagnosed
そして各論へ
遺伝学用語の混乱
遺伝学用語の混乱:genetic、遺伝か起源か
de novo変異 - 両親から受け継がれない優性遺伝の変異
個人向け遺伝子検査のガイドラインの乖離
みんなが保因者の劣性遺伝病? - 平均約10個の遺伝的荷重
劣性病的変異の健常者への影響 - 遺伝子プールの浄化説
あとがき
あとがき
これ以降分冊予定
▲▼そして各論へ
検証実験の山 - バッチ型検証実験の提案
希少疾患の中の更なる希少な患者群についての予測
環境因子か遺伝因子か
代謝異常についての進捗
遺伝子検査の2つの嘘
生まれの平等性または不平等性
▲▼生まれの平等性または不平等性
新型出生前診断と着床前診断 - 技術的に◯、倫理的に☓
生まれる前のDNA検査 - 科学的因果関係の追求ライン
技術としてのNIPT - 生まれのDNA検査の技術予測
我が子に故意に良くない遺伝因子を許容する親の罪
ディストピアな未来像 - 生まれの平等性が崩れた世界
不妊という社会問題 - 男性不妊と父性年齢効果
中絶による母体へのダメージ - 次の妊娠がうまくいく確率
着床前診断の問題点 - NIPTとの倫理的違和感
不妊治療としてのPGD - 不妊としての遺伝性疾患
生殖医療のリアルの写真
男女産み分けの国際比較 - 海外での生殖補助医療のリアル
着床前診断の潜在的なリスク - 子と女性へのリスク
フィルターされた人々による生まれの平等性、不平等性の支配
遺伝学用語の混乱:variation、多様性か変化性か
人権に基づく多様性、人権に基づく変化性
男性不妊と劣性遺伝病の完全予防 - 22世紀の精子起源工学
その他 - うまく分類できずとも価値のあるトピック
DNA検査の結果の公開 - シーケンシング機会の平等性
進化における神の概念
mtDNAとY染色体の永代性 - 未来の血縁者の不利益
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不妊治療としてのPGD - 不妊としての遺伝性疾患

 [不妊という社会問題...]の節で、日本の不妊社会の現状を調べ、[着床前診断の問題点...]の節で、着床前診断(PGD)の手順と、生命倫理として新型出生前診断(NIPT)と大差ないことを調べた。本節では、不妊治療としてのPGDについて調べる。

 

 [生まれる前のDNA検査...]の節で、トリソミーで23対の染色体にほぼ同じだけ不分離による膨大な人数のトリソミーの患児が存在し、我々は出生した患児だけしか気にしていないと述べた。これが意味するのは、流産や死産の多くが、NIPTが現在対象としている21、18、13トリソミーの重症例だけでなく、他の染色体による更に重度のトリソミーを含んでいるだろうということである。早期に流産すればするほど、また、妊娠したかどうかも気付かないぐらい早い段階のものほど、重度のトリソミーであろうという推測が成り立つ*。このことは、卵子の老化によるとされる不妊率*が、ダウン症候群の母親の年令による頻度*と、同年齢で比較すると似たような比率になっていることからも裏付けられる。つまり、不妊治療というのは、いかにしてトリソミーで流産せずに健康な子を産めるか、その高齢性への挑戦とも言える。必然的に不妊治療は体外受精を含み、最終的には体外受精と組み合わせて日本以外の先進国で実施されているPGDと結び付けられる。

 
 上記は高齢で初めて不妊となったケースだが、高齢でない時点から不妊を患っている場合は、トリソミー以外の遺伝性疾患が関係している可能性がある。[中絶による母体へのダメージ...]の節で、トリソミーと並べて他の染色体異常症や単一遺伝子疾患へと、NIPTが対象疾患を拡大する様子を調べたように、重度のトリソミーで流産するのと同じ理由で、その他の染色体異常症や単一遺伝子疾患の中の生まれることもできないほど重度で、とりあえず着床はできるほど軽度のものが、流産の中に潜在的に含まれていると考えらえる。次の図では、下の方の「患児」の部分が生まれることができた遺伝病患児であり、「着床失敗」から「胚の形成不良」を経て「死産」までの間でフィルターアウトされるのが、遺伝病による不妊であり、遺伝病以外の不妊と区別できないが故にこれまで認識してこなかったが、NIPTのようなDNA検査が発達すれば、この部分が問題になってくるはずだ。

 

 子宮筋腫子宮内膜症といった、他の婦人科疾患による不妊も多くあるため、結局のところ、不妊治療は高度になればなるほど、不妊の原因が追求される傾向があり、近年になって女性不妊から男性不妊が区別されて、精子の選別と体外受精に頼るようになったように、今後次第に、高齢による単純なトリソミーなのか、他の遺伝性疾患なのかが区別されるようになるものと思われる。そのために欧米で用いている手段が、PGDと言える。

 

 不妊治療としてPGDを導入するシナリオを具体的に想定してみる。

 

 不妊治療を、原因を探りながら1年以上続けても、原因が分からないまま妊娠できないと想定する。タイミング法、排卵誘発、人工授精、体外受精、顕微授精と、通常のステップアップは全てやったとする。次は、夫婦に対する染色体検査ということになるが、どのタイミングで実施すべきなのかは確かな記述を見つかることができなかった。不妊治療としてはあまり行うことがないとされているが、その理由の一つが「異常が出ても治療が無い事」というのは、強い違和感を感じる。検査結果が得られれば海外でPGDを受けるか、日本で諦めるか決められるので、原因不明のまま不妊治療を続けるという泥沼から抜け出せるのである。異常が出ても治療が無いからと言って、特定の検査を含まずに不妊治療を続けさせるのは、産婦人科医による打算、あるいは、悪く受け取れば、出せる夫婦から限界まで不妊治療に出費させるという種類のチェリーピッキングではないだろうか。

 

 実際に、夫婦染色体検査どころか、あるクリニックでは染色体に転座を持つ反復流産患者に対してPGDは有効と言い切っている。反復流産のことを、ウェブページによって習慣性流産、不育症とも呼んでいるようだ。反復流産の原因が、母体の全身性エリテマトーデスや抗リン脂質抗体症候群でない場合が、夫婦染色体検査、および、流産で天に召された胎児の染色体検査を最も必要とする状況のようだ。後者は、最も頻繁には"流産染色体検査"と呼ばれているようで、非常に手間がかかるがそれでも実施されているということは、やはり流産染色体検査ほど手間がかからないと思われる夫婦染色体検査までは行った方がよいと私は思う。こういった段階でも夫婦染色体検査を提案されない場合、遺伝カウンセリングを円滑に行うことができないというクリニックの事情による可能性が高い。染色体検査にも方式の違いがあり、染色体マイクロアレイ、別名比較ゲノムハイブリダイゼーションというのが最新の方法のようだ。これもおそらくクリニックがどの検査機関に送るかによって違うのだろう。

 

 だんだん状況が稀なケースになってしまうが、夫婦染色体検査または流産染色体検査まで行っても不妊の原因が分からない場合を想定すると、もうとれる選択肢はPGDしかない。

 

 将来、不妊治療からPGDに向かう過程がどうなっていくか想定してみる。

 

 夫婦染色体検査で何も問題がなかったと想定する。夫婦が、二人共エクソームシーケンシングや全ゲノムシーケンシングを受けて、病因性不明の変異を二人の同じ遺伝子に見つけ出し、それが胎児で劣性遺伝病を引き起こして流産となるために不妊なのではないかと推測する場合を考えてみる。妊娠するという以外に中間的な目標がなくだらだらイライラしながら支払いだけが増えるよりも、二人の老後設計として夫婦のどちらがどんながん保険に加入するかという検討も合わせて、エクソームシーケンシングをやってしまった方が、今後はコストパフォーマンスの点でよいだろう。

 

 [ミトコンドリアDNAの検査]で述べたように、シーケンシングによって変異が見つかっても、検証実験が既に行われている場合は少なく、しかし検証実験は患児の形で症例が出ている場合に行われるもので、変異が見つかっただけでは病因性は簡単には証明されない。だから原因不明の不妊で、病因性不明の変異が二人の同じ遺伝子に見つかった場合には、それなりにそれを不妊原因の可能性の一つとして仮定する根拠がある。もちろん、劣性遺伝は25%の確率なので、これまでの不妊の全部が一つの遺伝子のせいだったとは言えないが、すでに夫婦染色体検査まで行って問題がないと分かっているなら、比較の問題として、後は可能性の大きなものにかけるしかない。おそらく、疑わしいものから優先順位をつけて最大3つぐらいの遺伝子による劣性遺伝病を想定して、実質的には上位2つぐらいの遺伝子による劣性遺伝病を、胚の選別で排除できると期待される。2014年12月現在、次世代シーケンシング(NGS)の導入が進み、複数の遺伝子を一度のPGDで同時に検査できる体制が整いつつある**

 

 国内でPGDを行っていると公表しているのがほんの一部のクリニックだけに限られていると、そちらを持ち上げるわけにはいかないので、不本意な感じがするが、多数が利用している海外の場合を考えてみる。念のため記すが、海外でPGDを受ける場合も公式の基準があまりないという点では国内と変わらない。海外から見れば我々は外国人であり、外国人も対象とした特殊な基準が設定されていたとしても、言語が異なるため我々自身がその内容を直接知ることはできない。我々が知ることができる情報はあくまでエージェントを介してのみである。あくまで想像だが、米国では商業主義で高額ではあっても、比較的医療処置の安全性が保たれているのに対して、タイでは、途上国・中進国の常として、日本では想像できないぐらい病院の設備が異なり、富裕層病院と貧困層病院が別になっている*。特に安価なエージェントの場合、貧困層病院に連れて行かれて、日本よりも遥かに劣る医療処置を受けることになるのではないかと想像する。この前置きをした上で本題に戻ると、海外で体外受精+PGDを行い、劣性遺伝の発症パターンで変異が載っていない胚があれば、胚移植を行い、全てに載っていたなら、遺伝子の優先順位にしたがって選別するか、実子を諦めるかということになる。

 

 たとえ、実子を諦めることになっても、DNA検査の結果を眺め、自分達の老後設計を進めれば気持ちも前向きになろうというものではないだろうか。DNA検査による成人病の罹患予測確率から、加入すべき医療保険を決め、それらを支払っても余裕があると分かれば、里親および特別養子縁組という選択肢も残っている。しかし、もしも海外で二度目のPGDに挑戦しようとするならば、だんだん年齢が進んでいるはずで、無理があるのではないかと、私は思う。

 

 おそらく不妊治療の一つの問題は、患者を悩ませないつもりでリスクをリアルに説明しない過保護な医師の態度である。半分は不妊治療の利用を続けさせるための打算だが、もう半分は医師として患者の心を守るという良心から出ているため誰も強くは批判せず、終わりなくズルズルと救いがない状況が続きやすいため、どこかで意図的にピリオドを打たねばならない。前の節でトリソミーについて画像検索へのリンクで具体的に示したように、重度のことが多く、胚の潜在的な死亡原因と思われる染色体異常症や劣性遺伝の遺伝病を避けるために、一度は海外でPGDに手を出すのは、子の健康を望む親の努力として仕方がないと思われるが、その中でも劣性遺伝病の部分は、あくまで夫婦のシーケンシング結果から不妊原因への推測である。まだ日本はそういう状況になっていないが、同じシーケンシング結果に対して、分野が違う複数の医師から意見を聞けるようになれば、別の病名が次々に飛び出すということが起こりえて、最終的には単一遺伝子疾患は必然的に何パーセントかの胎児に起こってくるもので、いくら想定を厚くしたところで、一度のPGDで扱える胚の数が限られている以上、完全に避けるのは無理だということになる。

 

 不妊治療は、現在の日本で体外受精を何回までがんばるかとされているところが、将来的には一度のPGDでピリオドを打つところへと延長されることになるのではないだろうか。体外受精でピリオドとの大きな違いは、夫婦のシーケンシング結果を一つの成果として肯定的に考えることができるという点で、将来の医療保険と、里親ひいては特別養子縁組を望んでもいいぐらい自分達が本当にこれからも健康なのかどうかを、具体的に検討できる点であろうと思われる。

 

 また、気持ちとしては、海外で二度までもPGDを受けるようなお金があるのだったら、遺伝性疾患などの障害をもっているので里親のなりてなどいなくて、乳児院に預けられている恵まれない子供達*の支援に使われれば、どんなに助かるだろうかと想像する。

 

 本節の最後として、補足しておくと、不妊治療に絡むDNA検査として次世代シーケンシングに触れたが、一応23andMeによるDNAアレイの検査でも男性不妊の検査項目"Male Infertility"がある。ただし信頼性が★3つのため、あまりあてにしない方がいいと思われる。罹患予測確率を数値で示していないのは信頼性がそれほどないためと思われる。おそらく女性の方が不妊に関する検査結果の項目が多いのではないかと思うが、受けられないので分からない。以下に私の検査結果の概略を抜き出して示す。3つのSNPsが含まれ、うち3つ目のものは、日本人の研究者による成果のようである。最小限の訳を挿入する。

 

Non-obstructive azoospermia (very low sperm count)

非閉塞性の無精子症

Marker rs955988

CT Slightly higher odds of low sperm count.

Hu Z et al. (2011) . “A genome-wide association study in Chinese men identifies three risk loci for non-obstructive azoospermia.” Nat Genet.

 

Non-obstructive azoospermia (very low sperm count)

非閉塞性の無精子症

Marker rs10910078

CC Typical odds of low sperm count.

Hu Z et al. (2011) . “A genome-wide association study in Chinese men identifies three risk loci for non-obstructive azoospermia.” Nat Genet.

 

Male infertility

男性不妊症

Marker rs35576928

CC Typical odds of male infertility.

Iguchi N et al. (2006) . “An SNP in protamine 1: a possible genetic cause of male infertility?” J Med Genet 43(4):382-4.

 


生殖医療のリアルの写真

 本節では、生殖医療の写真をパブリックドメインから選んだものを示す。多少、グロテスクな部分が含まれてしまうが、高齢妊娠、高齢男性授精、不妊、遺伝性疾患について考える際には、これが産婦人科医の方々が夫婦に示さないリアルであろうと思われる。



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


男女産み分けの国際比較 - 海外での生殖補助医療のリアル

 当初、この節では、医療目的でない男女産み分け、および、そのための海外での着床前診断(PGD)について、批判的な内容を記していたが、[仮説の更なる展開...]の節で記したように、遺伝性疾患の大多数で男子が女子よりも重度になるのが進化的に当たり前と思えるため、日本の夫婦の多くが希望すると言われている女子への産み分けについては、どうしても肯定的にならざるを得ない。現在の段階では、あくまで情報の提供、ウェブページの紹介に留めることにした。

 

“女性のいない世界”は絵空事ではない!?歪んだ未来をもたらす行きすぎた「男女産み分け」――『サイエンス』誌記者 マーラ・ヴィステンドール氏に聞く』 大野和基, 2012年8月7日, ダイヤモンド社

 

最も大規模に男女産み分けが行われているのは中国で、男子への産み分けである。中絶といった倫理的に問題のある措置がとられているとも言われる。

 

"Sperm sorting" Wikipedia

 

男女産み分けの新技術として、MicroSort社のフローサイトメトリーによる精子選別法。

 

Rorvik, David M., and Landrum Brewer Shettles. "Your babys sex: now you can choose." (1970).

 

日本で出回っているピンクゼリーが有効といった情報は、上記の文献で示されたもので、もはや古い。

  

Michelmann, H. W., G. Gratz, and B. Hinney. "XY sperm selection: fact or fiction?." Human Reproduction & Genetic Ethics 6.2 (2000): 32-37.

 

フローサイトメトリーの方が、他の方法よりも優れているが、決して100%ではない。

 

"ESHRE Task Force on ethics and Law 20: sex selection for non-medical reasons" W. Dondorp et al., Accepted March 19, 2013

 

EUでは、医療目的でない男女産み分けをこれまで否定してきたが、重度から軽度へと医療目的の範囲を広げて規制を緩和しつつある。フローサイトメトリーをPGDの前段として用いることで、男女産み分けが技術的に容易になるからである。多くの遺伝性疾患が女子より男子が重度なので、女子への産み分けが正当化しやすくなる。また、ファミリーバランシングという名称で、家族としての男子女子両方を得たいという夫婦の希望を、第二子以降に限るといった条件をつけながら、肯定する方向で話が進んでいる。しかし、まだ決定事項ではないようだ。

 

「代理出産は480万円」「男女産み分けは160万円」 年間100組以上の日本人夫婦が利用するタイの生殖医療事情』, リプトン和子, ウートピ, 2014.08.06より

 

国内でいくら規制されても、タイに渡れば生殖補助医療の多くが利用できてしまう。

 

韓国の生殖ツーリズムと生命倫理 ―日本人間の渡韓卵子売買をめぐって―』 渕上恭子

 

海外で生殖補助医療を受けた中に、日本に帰国して以降、特に患児が生まれて問題を起こすケースがあるようだ。

 

 LCCの登場で航空機運賃が安価になり、海外旅行者数が平成25年(2013年)の統計で1,747万人に上った。のべ人数を無視してざっくり試算すると実に国民の13%が1年間に一度は海外に出ていることになる。今や日本の国内で医療を国際基準よりも制限すればするだけ、日本の中だけで医療を考えている人口と、日本の外で医療の機会を探している人口の間で、巨大な格差医療が出現しようとしている。日本の医師は英語の壁にぶつかってまで国外に出ることにあまり興味がないため、多くは日本国内だけ見て、日本の平等医療を自画自賛し、自分達の苦労も報われていると考える方々が多いと思う。しかしその実、海外で医療を受けた人口は統計に出にくいだけで、毎年のように増えているのだ。その極端な例がPGDと言えるだろう。

 


着床前診断の潜在的なリスク - 子と女性へのリスク

 当初、この節では、着床前診断(PGD)の潜在的なリスクについて、PGDに批判的な内容を記していたが、[男女産み分け...]の節と同様に、[仮説の更なる展開...]の節で記した理由で遺伝性疾患の大多数で男子が女子よりも重度になるのが進化的に当たり前と思え、日本の夫婦の多くが希望すると言われている女子への産み分けによって多少なりとも遺伝性疾患のリスクが回避できるという事実が存在してしまっているので、どうしてもPGDおよび男女産み分けに肯定的にならざるを得ない。そういった男女産み分けの土台の部分で複雑さがあるため、現在の段階では、あまり詳しく調べても曖昧さが増すばかりなので、当初の節より小さくまとめ直すこととなった。

 

"Bust a Myth about PGD/PGS" Fertility Authority, 2014年10月7日閲覧 より

 

"The good news is that embryos damaged by PGD appear to experience an "all or none" effect — they stop growing, rather than sustain long-term damage," she says.

「不幸中の幸いと言えるのは、PGDにより傷ついた胚は、『全か無か』(ゼロか百か)で影響が表れることです - 長期にわたるダメージを受ける前に、それらは成長を止めるのです」とのことです。

Embryos that continue to grow after the biopsy do not become abnormal as a result of the biopsy and are not at greater risk for miscarriage or birth defects.

生検の後も成長を続ける胚は、生検の結果としては異常となることなく、流産や先天異常を引き起こすリスクがより大きくなることはありません。

 

PGDでは8分割ぐらいしかしていない胚から、8分の1を切除するので、言ってみれば、胚の大きさをヒトの体で考えたなら、手足をもぎ取られるぐらいの侵襲を受けることになる。この結果、他の7細胞に大きな傷を付けてしまうと、その胚はあっさり死んでしまう。だから傷がついた胚は排除されて患児として生まれないと言われているが、男性不妊や父性年齢効果で精子だった時の影響が自閉症や統合失調症などの形で及ぶことが統計として出てくると、やはり精子を含んで生じる胚にほんの僅かであれ傷がついたら、子が成人してからその後遺症に悩まされることは起こりうる。なにしろ、1990年に最初のPGDのあかちゃんが生まれて、まだ24歳なのである。人生の後期に患う疾患、特にアルツハイマー病について評価されるのは、ずっと時間がかかるということになり、その点に着目した学術文献がある。

 

Yu, Yang, et al. "Evaluation of blastomere biopsy using a mouse model indicates the potential high risk of neurodegenerative disorders in the offspring." Molecular & Cellular Proteomics 8.7 (2009): 1490-1500.

引用元 32(2014年12月9日)

 

The mice generated after blastomere biopsy showed weight increase and some memory decline compared with the control group. Further protein expression profiles in adult brains were analyzed by a proteomics approach.

割球生検の後に生まれたマウスは、コントロール群と比較して、体重増加およびいくらか記憶力低下を示した。更に、成体の脳におけるタンパク質発現プロファイルが、プロテオミクスのアプローチにより分析された。

A total of 36 proteins were identified with significant differences between the biopsied and control groups, and the alterations in expression of most of these proteins have been associated with neurodegenerative diseases.

全部で36種類のタンパク質について、生検を受けた群とコントロール群で有意な差異が認められ、これらのタンパク質の多くで発現の変化が神経変性疾患に関連付けられてきた。

Furthermore hypomyelination of the nerve fibers was observed in the brains of mice in the biopsied group.

更には、生検を受けた群のマウスの脳において、神経線維のミエリン形成不全が観測された。

This study suggested that the nervous system may be sensitive to blastomere biopsy procedures and indicated an increased relative risk of neurodegenerative disorders in the offspring generated following blastomere biopsy.

この研究は、神経系が割球生検の手順に敏感である可能性があることを示し、割球生検に続いて発生した子孫において神経変性疾患の相対的なリスクが増加したことを示した。

Thus, more studies should be performed to address the possible adverse effects of blastomere biopsy on the development of offspring, and the overall safety of PGD technology should be more rigorously assessed.

それゆえ、子孫の発達についての割球生検の有害作用を同定するため、より多くの研究が行われるべきであり、PGD技術の全体的な安全性をより精力的に評価すべきである。

 

この実験結果を読む限りは、マウスでPGDに似た実験を行うと、アルツハイマー病のリスクが高まるという結果になっている。この研究が中国の研究グループによって行われているのは皮肉で、まだ日本ほどアルツハイマー病が大問題になるほど高齢化が進んでいるとは思われないし、また、PGDというドラスティックな手段で特に不妊治療に関係して新しい生命を守らないといけないほど、子どもが少なくて困っている国でもない。日本の方がこういった研究の需要は高いはずで、ぜひ、日本でもこういった研究を行ったいただけたらありがたいと思う。もしもこの文献の実験結果が再現してしまうのであれば、とてもややこしい話になって、PGDなどとんでもないということになる。

 

 ここまではPGDによる子へのリスクについて述べたが、不妊治療ひいてはPGDによる母体へのリスクも存在する。

 

 男女の生物学的な役割の違いから、女性の方が責任と劣等感を感じて不妊治療に拘っている場合が多いと考えられる。不妊治療を行ううちに、35歳に達して、リスク的に限界と考えられる40歳に達するまでの5年間に、不妊治療として潜在的な遺伝性疾患の可能性を排除するため、海外でのPGDに手を出すのであれば、ここまで調べてきて分かるように、やはり相当に下調べをして慎重を期さないと逆に子や女性にとってリスクが高くなってしまう可能性がある。例えば排卵誘発剤の注射でアナフィラキシーを起こした場合は、抗体を通じて次の不妊治療のリスクへと反映されると考えられるため、アナフィラキシーを起こした薬剤の種類を教えてもらえないだけでも、後日におけるリスクとなってしまう。特に米国と違って英語で医師とやりとりができる保証がないアジアで安く受けるという選択肢は、安全を考える限り、アジアの安価なPGDを受けた者からのクレームやインシデントの件数が分かるまでありえないのではないだろうか。

 

 不妊治療は、真面目に妊娠しようとすればするほど、40歳という実際上の期限に向かって、35歳から苛烈に進んでしまうことが多いはずで、ある意味、希少疾患の診断と似ている。希少疾患の診断は歩いて自分一人で大学病院に通院できるのが診断の限界で、老化や症状の進行によって体力が衰え、通院中に事故を起こしたときが引き際である。私の場合はすでに通院中に自動車事故を起こしているので、半分引いた状態である。半分というのはまだ電車通院はギリギリできるので、DNA検査を自宅で受けて疑わしい変異を絞ってからいずれ通院することにして、今に至る。しかし、これはもしかしたら子に渡してしまった可能性がある病的変異を同定しようとして行っているのであって、子を直接的に危険にさらしているわけではないから、そこまでギリギリでも何とかなるのである。しかし女性が不妊治療を追求する場合は、自らが障害を負ってしまったら、将来妊娠する子にとってもマイナスにしかならない。不妊治療中にアナフィラキシーを起こしたりすれば、妊娠中に何か起こっても投与できる薬剤を制限してしまうだろう。女性が苛烈な不妊治療によって広い意味での障害を負い、その障害がさらに妊娠を困難にする可能性まで考えると、自然となぜそこまでの行為を男性側が止めないだと発想にいきつく。これは、もちろん、男性が女性を止めるべきなのである。本当にその女性のことを愛しているのならば。

 

 結局のところ、男性が女性を守るという役割が不妊治療において発揮されていないことが、日本の不妊治療を苛烈なものにしているのではないだろうか。私もここまで調べるまで、こういった観点から自らが妻の安全を考えて来なかったことに気付いた。何となくこのまま進むとまずいとは思っていても、不妊治療をやめようと言うと女性が怒り出すので、結果的に身を任せているナヨナヨした男性が日本で多いことが、おそらく問題の背景にある。日本では男子よりも女子を多く望んで男女産み分けをしようとしているということは、跡取りとして男子が欲しいという男性的な発想では考えられておらず、妊娠の行為の主体が女性で、もともと不妊治療は女性の意見の方が強く出る傾向があるのだろう。PGDをアジアで安価に受けるなどと、そこまで女性が自らの健康を犠牲にしてまで、と思える苛烈な発想が実行に移されてしまうのは、こういったことが背景にあるのではないだろうか。

 


フィルターされた人々による生まれの平等性、不平等性の支配

 [新型出生前診断...]の節と[着床前診断...]の節で、NIPTとPGDの間で格差を付けた導入のされ方が、既存の患者に対する配慮よりも採血で済むという便宜が優先されたように見受けられ、[遺伝学用語...]の節で、「多様性」という用語の導入のされ方として、単純な生物学的多様性よりも「人権に基づく多様性」が強調されるべきなのに、そうなっていないと述べた。こういったこと、つまり、遺伝性疾患の既存の患者を軽視したかのような意思決定が国の単位で次々になされること、しかも、学会のガイドラインや見解という形なので、国会を通っていないために民意が反映されずますます不平等に見えるという傾向、この現象を説明するために図を描いた。

 学会のガイドラインや見解が、生物学的・社会的フィルターを通り抜けた人々、つまり大学教授や医師の中の限られた層だけによる国民全員、その中で特に遺伝性疾患の患者の家系に対する意思決定を行っている現状を示したものである。私がNIPTとPGDの対象疾患についての国民投票などと持ちだしている理由である。[進化と遺伝病...]の節の「見えないフィルターによる必然性の増大」の図がすでに生物学的フィルターを描いたものなので、その後の過程として社会的フィルターを結合させたものである。つまり、何が言いたいのかというと、生物学的フィルターを基盤にして社会的フィルターが形成されることにより、遺伝性疾患を患うような家系は意思決定に参加できない仕組みが、学会によるガイドラインであり、見解なのである。むしろ、目に見えるような遺伝性疾患の要素が少しでもあったならば、結果として徹底的に排除される仕組みになっている。「目に見えるような」というのは後述する例外があるからである。

 

 図を上から辿ると、親の世代から来る卵子・精子から新生児までは、[進化と遺伝性疾患...]の節で述べた通りである。膨大な数の変異と淘汰が、出生までの間に起こり、生き残った胚だけが新生児となるが、その後も過酷なフィルターが待ち受けている。「遺伝病(先天性異常等)」により、小児のうちに天に召され、また「感染症(インフル等)」との闘いで、CPT2に変異があるとインフルエンザ脳症を起こして重度障害を負ってしまう方々もいる。「若年自殺(いじめや病苦)」の段階から、社会的フィルターの傾向が強くなるが、社会的フィルターと生物学的フィルターを完全に分離することはできない。例えば、自殺の中にも病苦によるものが含まれるからである。「進学高校入学試験」「大学入学試験」「医師国家試験など専門試験」と進んでいって、上司との人間関係などで「社会的挫折」を負わなかった者だけが医局に准教授などとして残れても、ここに至るまでのストレスなどで「うつ・自閉症悪化(理系の職業病)」して教授にまで登れない者も多いだろう。そうやって生物学的要素込みの社会的フィルターを生き残った教授陣とそのお気に入りの部下だけによって学会のガイドライン・見解というのは作られるので、「遺伝病(先天性異常等)」という早い段階で排除されてしまう遺伝性疾患の患者の考えから遠く外れた内容になるのは当たり前のことなのである。これが私が国民投票か、最低でも国会を通すべきと主張する根拠である。

 

 ここまでフィルターされた限られた人々で決めてしまっても、現場に出ている産婦人科医や小児科医といった責任が重くて、重症例を診ている人々が中心になっているのであれば、まだ納得いくのだが、[遺伝学的検査のガイドラインの乖離]の節で述べた10学会ガイドラインのように、本当に遺伝性疾患の悲惨な現場を知っているのか疑わしい人々、それも我々が接したことがないと思われる職業の人々が多く含まれていると、口を挟んで理屈をこねまわしているのは、実は軽症例しか知らない人々なのではないかと思えてくる。具体的には、もしかすると遺伝カウンセリング系の人々が、大きな障害になっているのではないだろうか。なぜなら、本当に悲惨な症例というのを経験したことがなく、現場を知らないからである。それにも関わらず対象の疾患を診ているからと主張してガイドラインに口を挟める。現場とは、具体的にはrare genetic disorders in babiesで画像検索した結果のような世界のことである。なお、このキーワードはグーグルのオートコンプリートによって得たもので、この手の検索キーワードとしては2014年11月現在世界的に最も頻度が高いはずのものである。こういった世界を知らずに、フィルターされた自分達が中心の世界観で判断すれば、「多様性」という言葉をありがたがって、生物学的多様性をそのままヒトに対して適用できるかのように誤解してしまっても無理はない。繰り返しになるが「人権に基づく多様性」と述べてもらわないと、まるで遺伝性疾患を持って生まれてくるのを運が悪かったのだから許容せよと言われているようだ。生存権を蹂躙するほどの多様性を誰も望んで生まれてきたわけではない。あくまでヒトの多様性は人権の幅の中に制限されるべきものなのである。

 

 小児科医や産婦人科医は、決して全てとは言わないが多くの医師が、遺伝性疾患の悲惨な世界を知っているはずである。なぜならこういった患児が生まれてしまったときにどうすべきか、責任問題でもあるし、想定しておく必要があるからである。そもそも生まれた時点で1年生存率が50%を切っていると予測できるような症例は、より重度の患児を厚く診るという倫理の観点から対応するのは限界があり、その限界に悔し涙を流した小児科医は多いはずだ。しかし、遺伝カウンセラーの口からはどうも具体例として軽症例ばかりを挙げていて、重度の例は統計でしか認識していない気がしてならない。今までに2回遺伝カウンセリングを受けているが、これが私の印象である。それなのに同じ疾患を診ているからと口を挟む権利だけは確保されている。理屈ばかりがこね回される事態の原因はこういった事情が主なのではないだろうか。複数の学会の間で学会間のパワーバランスに振り回されて、より重度の患児を厚く診るという倫理を省みる余裕がないまま、より重度の症例を診ている医師により大きな決定権が与えることができず、ガイドラインが作られているのではないだろうか。これが、最も重度の遺伝性疾患に対応できるPGDが規制され、比較的長期生きられるダウン症候群の間引きを主なターゲットとしてNIPTが実施されてしまう遠因なのではないだろうか。しかし、あくまで遠因であり、直接的に日本人類遺伝学会がPGDNIPTの見解に口を出したようには見えない。共著にもなっていない。むしろPGDという重度寄りではなく、NIPTという軽度寄りになっている原因は、最終的に重度の患児が天に召されるのを見とる現場の小児科医が口を出していないことに原因があるのかもしれない。産婦人科医は生まれた際の悲惨さは知っていても、患児が1年間闘って天に召される時のご両親の沈痛さは把握していない可能性が高い。組織のしがらみの中でバランスをとるのが難しいのかもしれないが、患児の出生と最期、両方に配慮してPGDとNIPTのガイドラインは制定していただけることを願ってやまない。

 

 もう一度、図の説明に戻って細かい点を述べると、遺伝病以降は、生きた人口が存在するが、社会的な意思決定の中央へと到達しにくくなってフィルターアウトされる、と考えている。若年自殺は亡くなった人口が多いので、例外として扱った方がいいようにも思えるが、未遂による後遺症も込みで考えると、必ずしも例外とは言えない。うつ・自閉症の悪化のうち、うつについてはよく知られていると思うが、先天性のものを含めて高機能自閉症は理系で罹患率が高い***、言ってみれば理系ひいては医師の職業病である***。これが本節の最初に「目に見えるような」遺伝性疾患は排除されるが例外があると述べたものである。なお、本著では、「遺伝病」を狭くて遺伝性の高い単一遺伝子疾患を示し、「遺伝性疾患」を疾患の範囲を広めにとって染色体異常症を含んで用いている。今回も後述する理由で遺伝性がそこそこ高いと証明されれば遺伝性疾患の範囲に含めていいだろうと考えた。図の最後の段階として、左側の細い線で描いたように、親から子へと社会的ポジションが受け継がれていく場合もあるだろう。それほど多くないと見込んで細い線として描いた。子で遺伝性疾患が発生して初めて、現在この生まれの平等性・不平等性を取り仕切っている社会の意思決定メンバー諸氏の中には、生物学的多様性など誰も望んでいないと気づくものがいるのだろう。

 

 だったら、多少は、生まれの不平等性を味わっていただいてもいいだろう。うつと高機能自閉症を医師法の相対的欠格事由の中に含めるのか、統計的かつ遺伝学的に調査をして、いずれ国会で議論するのだ。現在のところはうつも高機能自閉症も精神疾患ではないために該当しないが、近年、医師による不祥事や医療過誤の影に、統計をとると、うつや高機能自閉症を患っている一部の医師に偏って問題を起こしているのではないかと推測するのは、誰でも思いつくことだ。医師という画一化された職業に限ってGWASを実施すれば、一般人口よりもかなり正確に予測罹患確率が出るだろう。GWASで職業を限れば限るほど環境因子が排除されて数値が正確になることが分からないような馬鹿な医師がいらっしゃるとでも? 医師という人口を対象に研究すること自体が医学の進歩を加速するはずなのに、なんでこれをやらないのか、という話である。画一化されているという意味では、これ以上に理想的な職業は存在しない。図中で医師国家試験の段階までこんなにも狭くフィルターされたこと自体、理想的に一様な患者群であることの証明である。それなのになぜやらないのかというと、もちろん、やりたくないからだ。社会の辺縁の遺伝性疾患などに混じりたくない、そう思っているから、医学の進歩に結びつくのにやらないのである。将来的に准医師という資格など作られて、DNA検査の結果で同僚の後ろに格下げされるのもごめんだからだ。

 

 どうだろう? 遺伝情報差別される気持ちが少しは分かっていただけただろうか。途中、遺伝カウンセラーが重症例を重く扱っていないように見えることに医師と比較して不満を示したが、最後は医師制度を悪用して医師だけを批判する形になって、フェアではない展開になってしまったことをお詫びしたい。医師制度は画一化されているために何かと批判しやすく、遺伝カウンセラーは批判しにくいのである。遺伝カウンセラーと日本人類遺伝学会がどこまで関係しているのか、という点を誰もが読めるようにしていただきたいというのも要望したい。実は、他の遺伝カウンセラーの学会との関係も全体的によく分からない。

 

 なお、図を上ほど細るピラミッドではなく、逆ピラミッドとして描いたのは、ピラミッドで描いた方が食物連鎖を連想させるため説得力はあるだろうという考えが頭をよぎったが、科学的姿勢として混同を利用するのはフェアではないと考えたからである。しかし実際には、一部の医局に限ってはまさに食物連鎖として描いた方が適切かもしれない、とも想像した。遺伝カウンセラーの方々の組織は、医師ほど画一化されていない分、決してそこまで酷くないと思っていることを、フォローになっているかどうかは微妙だが申し添えておきたい。また、うつは私も患っている時期が多いし、自分では理系の自閉症傾向があるかもしれないと思っていたのに23andMeの検査項目に今のところGWASに成功していないからと含まれてなかったので、多少失望した者である。しかし、おそらく一般人口を対象にする群の決め方がまずいのであって、職業を徹底的に限ればGWASなどで比較的レアなSNPを含みつつ理系特有の自閉症について関係性がえられると期待している。

 

 なお、理系らしさをかもしだすために自称アスペを名乗るという妙なブーム*があったようなので、ここに注記しておく。やはり、真面目な話、大規模な統計が必要とされているのではないだろうか。妙なブームの影響もあると思われ、日本で本当に診断された患者人口、職業比率が数値としてはさっぱり分からない。海外でも関係しそうな論文は出ていても引用数があまり伸びていないようだ

 



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