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1.「カウンセリング」


「あたしの方をまっすぐ見なさい! どうして目をそむけるの?!」

「すみません。ボクにはまっすぐ向けない理由があるんです」
「どういう理由?」
「言えません」
「ほら、また、目をそらす! ちゃんと、こっち向いて、ハッキリ言いなさい!」
「ごめんなさい。言えません」

「あたしが女だから?」
「ええ」
「ええって? あたしをばかにしてるの? 女だと思って」
「いえ、そうじゃなくって、先生を尊敬してるから、先生が美しいから、よけい見れないんです」

「何を言ってるの? どういうこと?」
「言えません。言ったら先生は面と向かってボクと話してくれなくなるから」
「あなたの方が、面と向かって話してくれないから聞いてるんでしょ。言いなさい」
「言えません」
「言わないと始まらないでしょ。カウンセリング」
「わ、分かりました…」

 

「実は、ボク、透視ができるんです」
「透視?」
「面と向かっちゃうと、先生のおっぱいも、あそこの茂みも、ぜんぶ丸見えなんです」

「あっち向きなさい! 目をそむけなさーーーい!!!!!!」

 

     〈ion〉


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2.「遺伝体質」


 彼と久しぶりに会った。
 喫茶店の相向かいの席に座って、あたしの彼は、相変わらずおバカなことを口走る。

「霊界って信じないって言ってたよね」
「うん、信じない」
「バカだな、あるんだぜ霊界」
「見たの?」
「見たも、見た、見た」
「またあ」

「オレって、死んだお袋の体質、遺伝したんかも」
「あなたのお母さん、霊感強かったの?」
「イヤ、お袋の親友だった人が、『お母さん、出てきた』って言ったんだ」
「親友だった人が、霊感強かったの?」
「お袋、ユーレイになって出てきて、オレのこと、『よろしく』って頼んだらしい」

「コワ! でも、それって、親友の人が霊感強いってことでしょ。遺伝、関係ないじゃん」
「だから、違うんだって」
「どういうこと?」

「だから、こうやって、ユーレイになって出やすい体質がってことさ」
 テーブルの向こうの彼は、そう言うと、スウッと見えなくなった。

 

    〈ion〉


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3.「白雪姫」


肩をゆすられて目がさめた。 朝だよ! いつまで寝てるの!
そこにいたのは七人の小人たち。

 

口づけされて目がさめた。 ポロッと口から落ちた毒リンゴ。
そこにいたのは王子さま。

 

お腹の上に乗られて目がさめた。 ねえ! 起きて遊んでよ!
そこにいたのはかわいい孫たち。
今ではすっかりおばあちゃんになった白雪姫。

 

    〈ion〉


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4.「彼を連れて帰った日」

 

 あたしが初めて彼を家に連れて帰った日、

 

 パパは彼を見て、あたしに言った。
「おまえ、なんでまたこんな男を選んだんだ?」
「ひどい! パパ! あたしはパパが好きだから、パパそっくりの彼を選んだのに!」

 

「って、パパは結婚した時まだ、フサフサだったぞ! コイツはもうツルツルじゃないか!」

 

     〈ion〉


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5.「親父の背中…弔いの夜」


 親父が背を向けてうつむいている。
 その肩が小刻みにふるえている。

 

 オレのジイちゃん、つまり、親父の父が死んだんだ。
 お葬式の席で、親父は一人、みんなに背を向けてなにかつぶやいている。

 

「カ~~ッ! クソッ! また死んだ!!」
「オヤジ! なにやってんだよ!」
「勝てねえ! ちっとも勝てねえーーッ!!」
「オ、オヤジ、喪主だろ?! ゲームボーイやってんじゃねえよ! バイブ機能オンにして!」

 

★ 「イヤさ、ジイちゃんの遺品の中から出てきてさ…。はまっちゃったよ♪」
「おめーも、カンオケにぶちこんだろっかーーーーーーっ?!」

 

    〈ion〉



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