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夜が少しずつ、ゆっくり青くなって、明けていくのを見ながらRed Hotを聴くのは、悪くない。
多少関係ないが、エルレが嫌いな人は夕焼け色に染まる空を見ながら壁にもたれて
Missingを聴けば、好きにならなくてもちょっと口ずさみたくはなるだろう。大サビは
芸術的としか言いようがない。
というか、朝のわずかな青い光を見ながら、Red Hotを聴いて泣きそうになる。
ガラスに顔を近づけていると、冬でもないのに吐く息でガラスが白くなる。

僕は、洗濯が基本的には好きだ。料理、洗濯、掃除は全部好きだが、正直、
しかし雨の日の、それも大量の湿った洗濯物を見ると正直凹む。乾燥機は
高価いから使わない。
まず、雨の日の洗濯というだけで、気分が悪い。さらに、溜め込んでいたので大量だ。
とりあえずベランダへ出るのが面倒なので隣の空きベッドに干して、それでも干せない
分は外に干した。屋根が天井を覆って、金網があるため風が強く吹かなければ
降り込んでこない。自宅にも欲しい仕組みだ。

 


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ちょっとした事で鬱になり、ナースステーションの前に座り込んでいた。
僕はもう何をするかわからないから、そこにいれば保護してもらえる
と思ったんだ。でもしばらく待っても誰も来なかった。
僕など大して重要ではないんだ。

今日は風呂の日だった。嫌いな奴と一緒だったけど我慢した。ちょっとだけ
頑張ったから、金の微糖を買って飲んだ。ハーゲンダッツを買って帰る
知り合いの気持ちがよくわかった。

今日ははやみんにまだ朝一度しか会えていない。僕が寂しがっていると思うか?
まあ露骨に言ってしまえばそうだ。でも期待、つまり次会った時に何話そうか
妄想しているから、そんなに激しく寂しいとは思わない。

ヨガを習わされて、ますます鬱になる。後半はあきらめて座り込んでいた。
リスパダールを飲みにいったところ、看護師長の確認がいるとか何とかで
待たされる。その間に少し鬱が退散してくれたが、飲んだ。


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実は、ここ一時間半の記憶がまったくない。腹が減ったのでカフェテリアに
行ったら「食事はもう済んだよ。ジュナンさん爆睡してたね」と看護師に
笑いながら言われた。
しかし食事はとっておいてくれたようで、何とか食事にありつく。しかし寝てたなんて
少しも覚えていないのだけど。

今日看護師に言われたのは、「ジュナンさん、軍隊みたいに返事したり、ペコペコ
頭下げなくてもいいんだよ。ここ病院なんだから」
自覚症状は、ない。僕は軍隊のように厳格に礼儀正しく返事をしたり、頭下げまくって
いるのか・・・自分は礼儀作法や敬語のできない、だらしないやつだと思ってた。
就職活動の失敗がまだ根っこのところにあるのかな。

 


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一人黙々と食べようとすると、はやみんが入ってきて、前の席に
座った。何か話したそうな感じでこちらを見つめていた。
「やめてよ」僕は断った。「今日はごめん、どいてくれないかな」
嫌いになったわけじゃない。嫌いになれればいいのに。
はやみん・・・そんなに見つめられたら
食べられないじゃないか。

今日もいろいろあったけど、一日の終わりが気持ちよくて良かったよ。
Missingを聴いていると、心まで共鳴して同じリズムで鳴り出す。
今日は泣いてなんかいないさ。

夢の中で、ある男性スタッフがなぜかうどん屋をやっていたので、僕は
財布を逆さまにしてぶちまけた。いくらでも持っていけ。どうせ
夢の中でしか使えないお金だ。うどんは超美味しかった。数秒しか食べられなくて
目が覚めたけど、いい夢見れたな。

 


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僕に生きる希望を与えてくれるもの。あるとすれば、コーヒーだね。
家にいた頃は、フェイスブックとかオンラインゲームの類、読書、家事とか
そういう楽しみもあったけど、今はやりようがない。
もう文字を書く事すら厳しくなってきてるけど、金の微糖飲んでる時はやっぱり生きてて
よかったと思う。金の微糖のために、生きたいという気持ちが煙が立つように
出てくる。

はやみんを抱きたいとか、そういう欲求もないわけではない。僕はこれでも男だから。
でもここは病院だし、僕にはきららがいる。いろんな妄想もするけど、
たとえ病気でも理性的でありたいよ。でもそういう枯れてしまったと思っていた
欲望も、僕を生きる気にさせてくれるもののひとつだ。

さて、夜明けを見ながら聴くエルレのRed Hotは最高だ。誰もいない部屋で
踊りまくっていた。監視カメラとかついてないよな?

 



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