閉じる


<<最初から読む

81 / 202ページ

80

はやみんは、ときどき寝ぼけているようで髪がぼさぼさの時もあるが、口紅?の色が
とても魅惑的で、色っぽい。もしかして、最近の若い子はリップというのかもしれないが、
僕にはどうでもいい。

看護師に呼び止められた。「蒼月さん」
「はい」
「速見さんに近づきすぎないでください」
「はい」僕は適当に返事した。
そういう事を考えると、何だか、僕の心が疲れてしまう。どっと負担がくる。
僕ははやみんの回復の妨げになっているのではないか?鬱になる。

はやみんは、今日も突然泣き出してナースステーションで薬をもらっていた。
ああ、よけい鬱になる。


81

今日は、珍しく自販機でブラックコーヒーを買った。味はいいが
微糖の方が美味しいなと思った。おっさんにポーカーに誘われたので断った。

僕の生きる気力はどこだ・・・・缶コーヒー?今日はブラックだったな。
生きてる気が、少しもしない。生きる気力についた火は、いつの間にか風に
吹かれて消えてしまったようだ。ロウソクがポンコツだからダメなんだな。僕自身が。
久しぶりに鏡を見ると、頭はプリンで、口が開けっ放しになっている。いつから
そんな癖がついたんだろう?クスリの副作用か?

ここで見ていると、統合失調症の奴らには2タイプいるようだ。まずはメジャーなのが
おとなしい無口系。しかし少数の人はおしゃべりで、口が軽い軽い。何でもきいても
いない事を喋ってくる。人の話は全然、聞かない。
僕もそんなに喋るほうではないが、日記では別だな。


82

『治療のしおり』って何?ときかれたら僕はまず「読めば読むほど鬱になる魔法のパンフレットだ」
と答えるだろう。初期の目標『精神症状が軽くなり、援助を受けながら日課に沿った生活ができる』
これを書くだけでもう鬱になってしまう。できるわけねーよ。

やっぱり、微糖じゃないとダメだ。微糖じゃないとダメなんだ。
これこそ、生きている実感というもの。ブラックやコーヒー牛乳、カフェオレ・・・
そんなのダメだ。微糖があるから僕は生きているんだ。

昨日は寝れなかった。深夜1時半に目が覚めて、エルレでも聴いていた。
5時に金の微糖を買った。24時間自販機がやっているのが、せめてもの救いだ。
今日一日、なんとかこの世にしがみつけそうな気がする。

 

 


83

夜が少しずつ、ゆっくり青くなって、明けていくのを見ながらRed Hotを聴くのは、悪くない。
多少関係ないが、エルレが嫌いな人は夕焼け色に染まる空を見ながら壁にもたれて
Missingを聴けば、好きにならなくてもちょっと口ずさみたくはなるだろう。大サビは
芸術的としか言いようがない。
というか、朝のわずかな青い光を見ながら、Red Hotを聴いて泣きそうになる。
ガラスに顔を近づけていると、冬でもないのに吐く息でガラスが白くなる。

僕は、洗濯が基本的には好きだ。料理、洗濯、掃除は全部好きだが、正直、
しかし雨の日の、それも大量の湿った洗濯物を見ると正直凹む。乾燥機は
高価いから使わない。
まず、雨の日の洗濯というだけで、気分が悪い。さらに、溜め込んでいたので大量だ。
とりあえずベランダへ出るのが面倒なので隣の空きベッドに干して、それでも干せない
分は外に干した。屋根が天井を覆って、金網があるため風が強く吹かなければ
降り込んでこない。自宅にも欲しい仕組みだ。

 


84

ちょっとした事で鬱になり、ナースステーションの前に座り込んでいた。
僕はもう何をするかわからないから、そこにいれば保護してもらえる
と思ったんだ。でもしばらく待っても誰も来なかった。
僕など大して重要ではないんだ。

今日は風呂の日だった。嫌いな奴と一緒だったけど我慢した。ちょっとだけ
頑張ったから、金の微糖を買って飲んだ。ハーゲンダッツを買って帰る
知り合いの気持ちがよくわかった。

今日ははやみんにまだ朝一度しか会えていない。僕が寂しがっていると思うか?
まあ露骨に言ってしまえばそうだ。でも期待、つまり次会った時に何話そうか
妄想しているから、そんなに激しく寂しいとは思わない。

ヨガを習わされて、ますます鬱になる。後半はあきらめて座り込んでいた。
リスパダールを飲みにいったところ、看護師長の確認がいるとか何とかで
待たされる。その間に少し鬱が退散してくれたが、飲んだ。



読者登録

あめのこやみ(おけちよ)さんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について