閉じる


<<最初から読む

23 / 202ページ

22

僕は、体育がそんなに得意ではない。でも運動会には参加するつもりだ。
一体どうなるのだろう。

ああ、夕食前、ちょっとマッドになってきた・・・きららはどこにいるんだ?
僕は前にも言ったが、頭が変になって120円を数えるのにも苦労している。
クスリが切れてきた時間なのかもしれない。夕食・・・夕食・・・夕食・・・

夕食はまたタイラーと並んで食べた。何も喋らず、黙々と。
アゲハの視線を感じた。

そういえば、父さんと母さんが面会に来た。「元気でやっとるか」
いつもよりちょっと控えめな感じで言った。僕は眠かったので
「う、うん」と答えてさっさと終わらせた。眠い。ただ寝ていたい。
まぶたが重い。もう二日も寝ていないんだ。


23

夕食後のクスリが効いてきた。頭がほわーんとなってこれ書くのも
やっとだ。とりあえず笑った顔になる。
コップを水色にしたら、他の人も水色の人がいて間違えかけた。かといって黄色も
多い。ピンクは誰もいなかったけれど、それも嫌だ。紫とか
変わった色にしたらよかったかもしれない。

精神科の高齢の皆さん、滑舌が悪いな。僕も年取ったらそうなるのかな。
寂しいな。
あまりにも寂しいので、部屋を出た。この寂しさは高齢のイメージとは違う。
誰か人に会いたい気分だ。タイラーは、Gは、こんなとき何て言うだろう?
寂しいな・・・誰か人に会って、トランプでもして、昔話をしたい。
そんな寂しさだ。


24

カフェテリアに行った。病室の冷たさに比べ、カフェテリアの温もりある
見た目が好きだ。いつまででもここにいられる。ぐるりとゆっくり一周して、
コップを持って病室に帰った。
きっと、家族じゃない。友人がいないと消えない寂しさだろう。
家族がいても、一人。友人がいても、孤独。
早くクスリの時間になればいい。昨日の頓服の睡眠薬、出してもらえる
ように頼みたい。ここは明るくてたまらない。

カフェテリアで温かいお茶を飲んでホッとしていたら、オヤジがジロジロと
こっちを見てくる。ゲイか?


25

ゲイときいて思い出したのは、G。彼はなんだか表情が読めなくて、そのうち
僕をそういう目で見ているのでは、と思うようになった。
・・・そんなこともあったな。遠い昔の話みたいだよ。
おやすみ。その前に一回クスリがあるな。頓服頼むの忘れないように
しなければ。診察もあると思う。この虚しさを。50円と10円握りしめて泣きそうになる
悔しさを、何と表現すれば伝わるんだろう。
僕はこの程度の計算もできないのだ。

まずい僕だけど珍しく蚊やダニに刺されてしまった。そのダニや蚊は今頃死んで
いるだろう。バーカ。虫刺されの薬をナースステーションでもらう。
睡眠薬はどうしても眠れないときだけらしい。クスリ、うまいのになあ。残念。


26

今日の朝食の甘納豆はうまかった。全部食べてしまった。
しかし、話はそれで終わらない。コップが残飯入れの中に落ちてしまった。
何とか手を突っ込み取り出したが、クスリのとき「コップが残飯入れの
中に落ちました」と言ったら
「向こうに洗剤があるので洗っておいで」ということで
必死に洗った。

「爽やかな朝、というが、少しも爽やかじゃない。爽やかな朝なんて・・・
それ以上は、劣等感を感じるからやめておこう。ああ、
爽やかな朝なんて・・・



読者登録

雨野小夜美(おけちよ)さんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について