閉じる


試し読みできます

 

 

幼馴染なんて、近いようで、遠い存在。
恋愛としては、もっと遠い存在になる。


相手が私を「幼馴染」の枠から外して、
一人の女の子として見てくれなきゃ、意味がない。

 

 


「おはよう、あやか!!」

 

「・・・うっさい。」

 

「相変わらず、お前は朝弱いのなー。」

 

「・・・奏は夏休みが終わったのに、ずいぶんとテンションが高いのね。」

 

「ふっ、まぁな。俺、ついに彼女できたんだよ。」

 

「・・・・・・いつ?」

 

「夏休み中に友達と遊んでたら、部活の先輩達に会ったんだよ。んで、一緒に遊んだ時に仲良くなったんだ。」

 

「ふーん・・。初カノは、年上の彼女なんだ。」

 

「おう。今日から一緒にお昼、食べるから。」

 

「あぁ、そう。」

 

「なになに?寂しいわけ~?」

 

「寝言は寝て言って。」

 

 

 


試し読みできます

 

 

つれねぇの~と、拗ねているこの男は私の幼馴染。
神崎 奏(かんざき かなで)。

 

容姿は一般的に見ても、格好よく背も高い。
高校デビューするんだと張り切って、クールな男を演じている所為で、中学よりは遥かにモテる。
同級生から先輩まで、それはもう幅広く。

 

それに対して私は、女子の中では平均より高めの身長。
肩ぐらいまでの黒髪、顔は可愛い系より、綺麗系らしい。
自分では、そうは思っていないが良く言われる。

 

 


「あやか~。」


「なに?」


「俺の母さんさ、親父の単身赴任が心配で、ついて行っちゃったじゃん?」


「子供を置いてね。よく平気だこと。」


「母さんが、あやかちゃんがいれば安心だもんね~。だってさ。」


「どういう意味?」


「お前は、小さい頃から家のことやってたし。安心して任せられるんだろ。」


「まぁ、うちは両親共に夜間勤務だし。ほぼ、家の事は私がやってきてるからね。」


「うん、でな。今日、オムライスが食いたい。」


「あのねぇ・・・。」

 


試し読みできます

 

私が文句をいう前に、可愛い声が奏をよんだ。
誰が、なんて言わなくてもわかる。


ゆっくりと呼ばれた方に歩いて行く奏を、目で追いかける。
目線の先にいたのは、奏と一つ先輩の彼女。

 

美少女の多いこの学校。
その中でも、マドンナ的存在の彼女。

 

フワフワのロングに、ぱっちりとした目。
私より背の小さいであろう、先輩。

 

一週間で、数十回と告白されている先輩としても、有名だ。
なのに、なんで奏だったんだろう・・・。

 

 


「どうしたの、三縞先輩。」


「ふふ。待ちきれなくて、迎えにきちゃった。」


「あっ、待たせてごめん。お昼食べる場所は決まった?」


「それね、まだ悩んでて・・・。」


「三縞先輩、俺が決めてもいいかな?」


「うんっ!もちろん!」

 

 


うーん、なんだろう、この違和感。
先輩に対する奏の話し方に、すごい違和感を感じる。

 

じっと二人を見ていると、奏が戻ってくる。
あれ、ご飯いかないのかな・・・?


試し読みできます

 

 

 

「なぁ、普通お昼って、どこで食べる?」


「はぁ?意味わかんない。」


「ずっとお前と一緒に中庭で食べてたから、他の場所が思い浮かばねぇんだよ。」


「屋上でも、どっかの教室でも、いけばいいでしょ。」


「いきなり二人とか、無理だっつーの。」


「誰が空き教室って言ったのよ。・・・もう屋上にしたら?」


「・・・そうするわ。あっ、今日どうする?」


「彼女、送って帰りなさい。夕飯は待ってるから。」


「さすが。全部言わなくても、わかんのな、あやか。」


「・・・ほら、待たせてるんでしょ?」

 

 

 


あぁ、わかった。
違和感の正体。

 


試し読みできます

 

 

奏は話し方を変えてるんだ。
先輩に対しては、素を見せない話し方をしてるんだ。

 

 

私は「あやか」って、名前の呼び捨てで、
彼女は「三縞先輩」って、苗字で先輩もついてる。

 


・・・幼馴染と、彼女ってどちらが特別な存在になるのだろう。

 

 

 

だけど、この私の疑問は、この後の二人の付き合いを目の当たりにすることで、粉々に砕け散るとは、この時はまだ知らなかった・・・・。

 

 


試し読みはここまでです。続きは購入後にお読みいただけます。

この本は有料です。閲覧するには購入する必要があります。
購入するにはしてください。
有料本の購入に関しては、こちらのマニュアルをご確認ください。
販売価格80円(税込)

読者登録

美羽さんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について