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『6人答えられない人は、星5つ』 デーブ・“しゃん”・スペクター

投稿時刻 : 2014.01.18 23:44
総文字数 : 824字
獲得☆3.000
 その日、クアラルンプールには怒りを秘めた人々が集まっていた。
「さて、みなさん。先だっての話ですが、いよいよ我々が復讐を果たす時が訪れました」
 テロリストを名乗る一人が、威嚇するような低い声でそう言った。
「それはともかく、この会場に納豆はないのか? 広報部長代理、ちゃんと説明したまえ。わざわざマレーシアくんだりまで来て、何故揚げバナナなど食わなくてはならん。本来なら、私はいまごろスイミングをしている予定だったのだよ」
「ふよふよ~。そうですよ。私だって仙台のスーパーで働いていて忙しいのに。地域活性化のために、また店長と悪だくみ……じゃなくて、斬新なイベントを考えなくちゃいけないんですよ」
「しかし、納豆部長。我々の統計では、昨年はあなたが一番いじられていたはずです。今は仲間割れをしている時ではありません。力をひとつにして、奴に仕返しをしなければ。月曜と奴は、我々の共通の敵です。我々はそれを確認するために、こうして国際会議を開いていることを、どうか理解してください」
 テロリストが食い下がると、向かいの席の参加者が乾杯を待たずに、手酌で酒を注いでいた。
「そんなのどうでもいいよ。はやく飲もうよ。納豆部長は魔界都市に住んでいるんだから、もうちょっと割り切ってよぉ。みうらだいちとお酒は今が旬ってね。折角のオフ会なんだから、楽しくやらなくちゃあ。楽しく~」
「そんなの、どうでもいい。プロコンさいこー。つか、あんた折角なんだかホタルイカの一匹くらい持ってきなさいよ。何一人で先に飲んでるの?」
 ほどなくして、「あの、みなさん」という小さな声がテーブルの端から聞こえた。
「一応、幹事は僕なんですが。マレーシアといえば、僕なんですが。無視しないでくださいね。どーじん、よろしくお願いします。無視しないでね」

 こうして、6人によるオフ会は開かれた。
 彼らは一体、誰に復讐しようというのか。
 その具体的な手段とは?
 謎とともに、夜が更けていく2月のマレーシアだった。


 おしまい

『はゆらのみくす』 ひやとい

投稿時刻 : 2014.01.18 23:17
最終更新 : 2014.01.18 23:26
総文字数 : 1772字
獲得☆2.900
 ローラ(もちろんヤッホー、ローラだよ~のローラのイメージ)! きみはーなぜーにー!
 とかなんとかゆってると誰かこっちに向かって走ってきたんだあ。
 なんかっていうと登場人物を走らせるのって基本よね。増田みず子先生も海燕でやってたもん。おじさんが持ってるバックナンバーにあったもんね。
「なんだなんだあ」
 砂煙とかあげてこっち来るし。
 しかも超はやい。
 おじさんぶつかって死んだりしないかなあ。
 とかなんとかマドマギちがったドギマギしてるうちにー来た来た来た来たー、北ー! ていうのを前にマージャンしてたとき近所のおじさんがよく北の牌出しながらゆってたっけなあ。
 わあ逃げなきゃ。
 よく見たら集団だし。
 しかも円陣組んで回転しながら走ってくるし。アニメのミスター味っ子かおまいらは! サンライズか! スタンハンセンか!
 まあそんなわけで、ここで5人登場ってわけだあ。
 ホントはおじさんもいるから出すのは4人でいいんだけど、それじゃダークダックスとかボニージャックスとかデュークエイセスとかそういう人たちしか思い浮かばないからなんか懐メロみたいだし5人でいいや。
 どわあああああああああん!
 でも道とかほっそいし。
 逃げ場所ないっぽいし。
 どうすっかあ。
「わあもうだめかあ」
 しょうがないから観念して、購入三年目のガラケー出してダイヤルだぶるわんないんにお電話しよかっかあって思ったの。
 したっけさ。
 急に立ち止まって。
 よく見たら兄弟だったの。
 うち五人兄弟でさあ、おじさん長男なんだけど、ほかの人はみーんな北海道いるんだあ。
 なんでまたこんないきなり東京の貧民層窟に来たんだあ。
 ていうか一人多いし。
 実名出すとアレだから年齢順にY子おじさんK二N美R子の五人なんだけど。
 なんか知らん顔のおじさんがいる。
「どうしたの? ひさしぶりだあねえ」
 すっとんきょうな気分になってたら、一番上のねーちゃんの口が開いたの。
「この人がね、あんたのにーちゃん!」
 聞いたことはあったよ。
 ねーちゃんとおじさんの間に一人いたっていうの。
 子供のころ聞いた話では、なんでも流れちゃったってことで、あーにいちゃんがいたらなあよかったのになあとか思ってたっけなあ。
「おやじとおふくろがウソついてて、実は、生きてたんだよ」
 弟のK二がぼつり。
「あっそうなん? でもわざわざいきなり東京来てまでサプライズってバカじゃないの……驚いたね」
 某名人の口真似をしながら、おじさん思わずゆっちゃったよ。
「私たちもこの人にお金出してもらってこっち来たってわけさあ。紹介するよ、この人がHさん」
「へえ、おっかねもちなんだなあ。かーちゃんとかとーちゃんは?」
「もう旅行とか行くのキツいんだって」
「ふうん」
 親がいないのは残念だったけど、妹二人にあらためて紹介してもらったその人は、おじさんよりかーちゃんに似てて、紅顔の美少年とゆわれた(一回だけ)おじさんにはかなわないと思うけど、まあまあいい男だったあ。
「はじめまして、Hです」
 そっから積もる話いろいろして、なんでもうちがびんぼったれすぎたからどっかに預けられてて、そっからかーちゃんがポンポン子供生むもんだから、その預けられたとこの養子になって子供のころから東京に住んでるんだっていう話だった。
 まあそっからその辺の店でビール飲んだり餃子食ったりしながらいろいろ話して、あっというまに時間が過ぎてったあよ。
 そんでいよいよお別れのときになって、兄ちゃんにあたるHさんにこうゆったの。
「どうもこんな騒がしい兄弟ですけど、もうじきみんな死にますんで、短い付き合いですがよろしくおねがいします。しかし豪気ですねえ4人も呼ぶとは。さっきもゆったけどおっかねもちですねえ」
「いやーそんなことないですけど、せっかくですからね。家も近いしまたあらためて飲みましょう」
「いやーあんまりごちそうになるのもアレだから、てきとうーにそのへんは……」
「まあお金持ちというよりは」
「いうよりは?」
 何でかしらないけど、残りの4人が声をそろえてパンチDEデートごっこしてから、Hさんゆったの。
「越後製菓の切もちって感じですかねえ」
「正解は~、って英樹か!」
 そしてまた五人は円陣を組みながら回転して去ってったとさ。
 元気だなあ。みんなもういい歳なのに。
 いつまでも元気でいるといいなあ。
 
 まあおじさんは、できるだけはやくこの世からいなくなりたいけどね。

『テンプレート』 ウツミ

投稿時刻 : 2014.01.19 01:56
最終更新 : 2014.01.19 02:55
総文字数 : 2374字
獲得☆3.556
※制限時間後に投稿
 閉ざされた部屋の中、その場にいる全ての人物の目は部屋の中心、ある一点に注がれていた。
 かつて鮮血の色を帯びていたであろうソレも、今はもう赤黒く変色している。

A「……間違いなく、死んでいるな」
C「いったいどうして……」
B「見れば分かるだろう。背後から刃物で一突きだ。殺されたんだよ」
D「そんな……」

 その場に重苦しい空気が漂う。
 昨日までの平和的な関係はそこには無く、誰もが瞳に猜疑の光を灯していた。

A「みんな分かっているとは思うが、一応言っておくぞ。Eを殺した犯人はこの中に居る」

 そう、嵐に閉ざされたこの別荘は今やクローズドサークルと化している。外部の人間が入り込む余地は無かった。

A「まずは死亡推定時刻から確かめようか。昨日の22時までは全員がEを見ている。そこまでは彼は生きていたのは確かだ」
D「じゃあ、Eが死んだのはそれから今朝の9時にAとわたしが遺体を見つけるまでの間ってことね」
B「昨日最後にEを見たのは誰だ?」
C「ああ、それなら俺だと思う。24時ごろ、Eがこの、彼の泊っている部屋に入っていくのを見たよ」
B「ってことは、昨日の24時から9時までの間か」
A「そうなるな。……ところでC、昨日から今朝のアリバイはどうなっている?」
C「お、おい! 俺を疑っているのかよ!」
A「ちゃんと全員に確認するさ。ちなみに俺は、昨夜の23時から今朝の6時頃まではBがアリバイを保証してくれる。そうだろ?」
B「ああ、そうだな。その間Aは部屋から一歩も外に出ていない。Aの部屋のすぐ外は俺の居たリビングだったしな」
C「じゃあBがずっとリビングに居たって証拠はあるのかよ?」
B「リビングはエントランスの監視カメラに映ってる。それを見れば俺がずっとリビングに居た証拠になる筈だ」
A「C、そろそろお前のアリバイも話してはくれないか? 昨日から今朝、お前は何をしていたんだ?」
C「お、俺は……。ずっと部屋で寝てたよ。俺の部屋はリビングとは離れてるから……。で、でも! 俺の部屋からEの部屋に行こうとすれば、必ずリビングの前を通るだろ!」
A「そうだな。この別荘には外に出入りできるような窓やなんかも無いし、CがEの部屋に行こうとすればBが見てるか」
B「ちなみに、Cがリビングの前を通ったのは24時ごろだけ、Cの自室に向かっている所だけだな。遺体を発見した時の声で部屋から出てくるまで見ていない」
C「そうだろ! それが俺のアリバイだ!」
D「でも、Eの部屋以外には行けたんだよね?」
C「それがどうしたって言うんだ? Eが殺されたのはあいつの部屋だろ?」
A「それとD、お前のアリバイも聞いておかないとだ」
D「わたし? わたしは昨日の22時から今朝の7時まで部屋を出ていないのはBが保証してくれるよね?」
B「ああ。Aと同じくBの部屋も扉のすぐ外がリビングだしな」
C「状況を整理しようぜ。Eが死んだのは24時から今朝の9時の間で、その間ずっとBはリビングに居て他の全員のアリバイを保証してる」
B「ああ。Aが23時から6時まで、Dが22時から7時まで部屋を出ていない」
A「Cは24時以降アリバイが無いが、遺体発見時の9時までEの部屋には行っていない」
C「ってことは、Eを殺せたのはAとDだけじゃないか!」
D「そんな、酷い! わたし達には無理よ!」
C「どこにそんな証拠があるんだよ!」
A「……鍵だよ。Eの部屋には鍵がかかってたんだ。そしてEの持っていた鍵は部屋の机の上に置いてあったのをDが見つけた」
C「はあ? じゃあお前らどうやってEの部屋に入ったんだよ?」
D「Eの部屋に入ろうとしたら鍵がかかってたの。Aにも試してもらったけど開かなくて、だからAにマスターキーを取って来てもらってわたしが開けたら……」
B「ちなみにこの別荘の鍵は、それぞれの部屋の1本とマスターキー1本しかないぞ。複製やなんかも出来なかったはずだ」
C「鍵が中に閉じ込められていたって……。じゃあ、Eの部屋は密室じゃないか!」
A「そういうことになる。開けられる鍵はマスターキー1本のみ」
B「マスターキーが置いてある管理人室はエントランスの横だし、入ろうとすれば監視カメラに映るな」
A「この別荘に訪れてから管理人室には誰も入っていなかったことはそれを見ればわかるだろう。つまりマスターキーは俺が管理人室に入るまでずっと管理人室の中にあったことになる」
C「おいおい……。どうすんだよ、これ。完全に密室殺人じゃないか!」
D「じゃあ……Eは自殺だった、とか……?」
B「おいおい、背中から一刺しだぜ? 完全に他殺だろ」
A「そうだな。この傷だと即死だっただろうし、自殺を他殺に見せかけるようなトリックなどの痕跡も無かった」
C「でも、密室だったんだろ? 部屋の構造的に部屋の外から殺すのは無理だし、トリックを使った仕掛けも無い! 確かに犯人はこの部屋の中に居たんだ!」
B「ってことは、『どうやって密室で殺したか』ではなく、『どうやって密室にしたか』が問題になるのか」
A「……ふむ。その考え方だと、犯人は絞られるな」

 そうして一同はもう一度互いを見つめ合い、その結論に辿り着く。
 閉ざされた部屋の中、犯人以外の人物の目は部屋の中に居る人物、その一点に注がれていた。
 かつて猜疑の色を浮かべていた犯人の顔色も、今はもう青ざめている。

 「犯人は、お前だ」


読者への挑戦
 『Eを殺した犯人は誰か?』

※補足説明
・犯人は単独犯であり、共犯は存在しない
・監視カメラの映像に嘘は無く、Bはずっとリビングにおり、A以外は管理人室に入っていない
・容疑者5人以外は犯人になりえない
・隠し通路などの、説明されていない仕掛けは存在しない
・すべての居室は1つの扉以外から出入りできない
・扉は自動では施錠されない


 
おまけ
 『実はEを殺した犯人になれる人物はもう1人いる』

補足説明
・自殺は殺人に含まれない

終わりに

 2014年最初の てきすとぽい杯、お楽しみいただけましたでしょうか。

 新年第一回目ということもありまして、今回は今までとは少し違うお題形式、「登場人物5人以上」とさせていただきました。
 前回までの投稿作品を見ますに、1時間制限での掌編は人物2~3人ほどの作品が多く、登場人物が増え、物語が複雑になることによって、2,000字超、3,000字超の作品が盛り沢山の、非常に読み応えある回となったように思います。

 作品の内容を見ましても、複数人物による多視点描写、本文が全て台詞、人物に名前がない、推理パズル……などなど、登場人物が多いことを利用した構成や、多人数の表現に一工夫凝らしたものが多く、その工夫も様々で、印象に残る作品がとても多い回だったように思いますが、いかがでしたでしょうか。


 ――最後になりますが、開催一年を経過した てきすとぽい杯に多くの魅力的な作品をお寄せいただきましたこと、作者の皆さま、また、投票・感想・チャット会にご参加くださった全ての皆さまに、この場を借りてお礼申し上げます。

 次回てきすとぽい杯は明日2月8日(土)、かねてより計画しておりました〈オン&オフ同時開催〉です!
 執筆オフは地域によって、またご予定によって、ご参加が難しい方もいらっしゃると思いますが、お気軽にお問い合わせいただければ嬉しく思います。
 オフ参加が難しい方も、よろしければぜひ、いつも通りのオンライン投稿へご参加くださいませ。

2014年2月7日
てきすとぽい杯 運営担当

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最終更新日 : 2014-02-07 01:06:27


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