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『鮮明すぎて怖いくらいだと言えば』

言わせてくれ 今だけは
君のあの日の眼差しが
なぜこんなにも焼きついて離れない?
全てに裏切られたあの日
何を思ったのかも忘れたと言ったが
あれは嘘だ
君を守るための
 
鮮明すぎて怖いくらいだと言えば
傷つけることになると
そう思ったから
 
あの日の空気の味を
今でも忘れない
最大の侮辱を味わうかのようなあの空気を
忘れられるはずもない
 
僕が傷つくのは我慢できた だけど
君が傷めつけられて なお
傷めつけられた現実を見せ付けられた瞬間
壊れてしまったんだよ 僕は
 
あの日から僕は見失った事などなかった
片時も

『恐れる故の思いもあるけど』

怖がっているままじゃ何も生まれない
怯えた心を直視しながらも
一歩踏み出す事に意味がある
 
最初から完全だなんてあり得ない
求めたものそのままが
すぐに手に入るはずもない
積み上げていったその先に
本当に欲しいものがあるはずだ
それは時に自分の想像をも超えていくような
そんな輝きを放つ事もしばしばで
失う事が怖くて仕方がないものをもっている事以上に
幸福な事はない
 
恐れる故の思いもあるけど
だからこそ生きていけるというものだ
くすぐったい痛みは
大切にしてもいいような
そんな気になってくるものなのさ

『泣かない事が本物の慟哭』

触れる事が辛い過去
それなのになぜだろう
最近少し触れてみたいと思うようになったんだ
治りかけた傷を掘り起こしてしまえば
すぐに傷ついた直後のようになってしまうから
近づけなかったはずなのに
 
滲む傷跡があるからこそ
出来る事があると
気付く事ができたからなのかもしれない
初めて話してみてもいいと思えた
あからさまでもなく
隠すでもなく淡々と
 
一生胸の奥にしまいこんでしまった所で
何も残らないような気がして
その魂から溢れる涙を僕は知っている
だからこそ涙する理由も 
涙しない事の大切さも知っていて
前進する時には涙を見せない 決して
涙を見せるのは限られた人にだけ
後はすべて強気でいること
それが君が真に心から泣く事で
泣かない事が本物の慟哭

『頬を濡らしながら』

見上げてみた所で
涙が止まる事はなかった
しかし それでもいい
泣いたままでも顔を上げて
進んでいく事に意味はある
頬を濡らしながら 
そう心を叱咤した
 
自分の言葉しか届かなくなった時には
その声に耳を傾ければいい
悲鳴を上げてまで
自らを押し殺す必要はない
 
それでも そうせざるを得ない場面は存在している
その時はどうか 
自らを出せない自分を責めないで
正しいと思う事は
後からいくらでも打ち立てていけるものだから
焦ることなく 目的は何か 何のためなのか
それだけを見失わなければ
万事大丈夫だ

『この翼をむしりとられたあの日から』

この翼をむしりとられたあの日から
どれぐらいの年月が流れただろうか
まだ感触を忘れられずにいる僕を
現在が指を指して笑っている事だけが
唯一の救いだ
 
もうとっくに忘れたと
何度言っても消えない
忘れたなんて嘘
一秒前の出来事のように
鮮烈に刻まれているよ
自分でも笑ってしまうくらいに
 
すぐに始まり
すぐに終わるはずの一生は
ちっとも終わらない
君はいないというのに
 
それでも生き抜きたいと
心の底から叫ぶ事ができるのも
やっぱり君がいたからで
あなたがいたからで
涙を流したところで
君に何かを捧げたことにはならないから
君に差しだせるようなもの 手に入れるまで
僕は走るよ


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