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女性線維筋痛症患者におけるbody mass index別の症状の比較

 

 

廿日市記念病院リハビリテーション科

戸田克広

 

まとめ

 線維筋痛症女性患者47人のBMIの平均値は22.6±4.4であった。低体重7人、標準体重29人、過体重7人、肥満4人であった。過体重と肥満の患者数が少ないため、過体重と肥満を一つの群にして低体重、標準体重と比較した。低体重、標準体重、過体重又は肥満の順で平均年齢±標準偏差(40.0±20.6、45.0±13.2、49.0±13.7)、圧痛点の数(13.1±2.1、14.6±2.6、14.3±3.5)、VAS(69.3±25.7、68.3±21.1、59.7±22.5)、SDS(58.3±16.1、52.9±11.2、52.6±9.8)、MPQ(23.1±13.5、21.1±9.4、22,1±9.8)、JFIQ(66.5±21.5、64.6±18.9、68.8±17.6)、FIQR(69.3±18.2、63.9±19.9、67.8±21.7)と一定の傾向はなかった。Kruskal-Wallis検定により、年齢及び6つの指標すべてで三群間には有意な差はなかった。

 

 

緒言

 線維筋痛症(FM)患者の中で肥満者は臨床症状が強いと欧米から報告されている[1]。日本人においてそれを調べた。

 

方法

 2009年8月から2011年12月まで廿日市記念病院を受診した女性FM患者47人の初診時のbody mass index (BMI)および圧痛点の数、visual analog scale (VAS)、抑うつの程度を示すself-rating depression scale(SDS)[2]、痛みの程度を示すshort-form McGill Pain Questionnaire(MPQ)[2]、生活の質を示す日本語版fibromyalgia impact questionnaire(JFIQ)[2]とrevised fibromyalgia impact questionnaire(FIQR)[3]を調べ、BMI別に比較した。1990年にアメリカリウマチ学会が報告したFMの分類基準[4]を満たす患者をFMと診断した。BMI18.5未満(低体重)、18.5以上-25未満(標準体重)、25以上—30未満(過体重)、30以上(肥満)に分類した。

 

 

結果

 BMIの平均値は22.6±4.4であった。低体重7人、標準体重29人、過体重7人、肥満4人であった。過体重と肥満の患者数が少ないため、過体重と肥満を一つの群にして低体重、標準体重と比較した。低体重、標準体重、過体重又は肥満の順で平均年齢±標準偏差(40.0±20.6、45.0±13.2、49.0±13.7)、圧痛点の数(13.1±2.1、14.6±2.6、14.3±3.5)、VAS(69.3±25.7、68.3±21.1、59.7±22.5)、SDS(58.3±16.1、52.9±11.2、52.6±9.8)、MPQ(23.1±13.5、21.1±9.4、22,1±9.8)、JFIQ(66.5±21.5、64.6±18.9、68.8±17.6)、FIQR(69.3±18.2、63.9±19.9、67.8±21.7)と一定の傾向はなかった。Kruskal-Wallis検定により、年齢及び6つの指標すべてで三群間には有意な差はなかった。

 

考察

 FMのBMIに関する論文はほとんど欧米から報告されている。そのため、黒人が幾分含まれているが多くは白人が対象であり、黄色人種はあまり含まれていないと思われる。黄色人種のBMIはほとんど報告されていない。本研究の平均BMIは22.6であり、過体重や肥満の割合は各々14.9%、8,5%であった。女性FM 患者のBMIは26.4であり健常人の23.6より有意に高い(スペイン)[5]、女性患者の33.3%は肥満であり39.2%が過体重(スペイン)[6]、40%の患者は肥満であり30%が過体重(イタリア)[7]と報告されている。つまり、欧米のFM患者と比べると日本のFM患者は痩せている。しかし、日本のFM患者が欧米のFM患者より痩せているというより、日本人全体が欧米人より痩せていると言うべきかもしれない。

 日本人FM患者においては欧米から報告されている「肥満者は臨床症状が強い」[1]ということはなかった。日本人のFM患者があまり太っていないことがその原因と推測している。肥満患者の数が増え、特にBMIが35を超える強度の肥満が増えれば欧米からの報告と同様に「肥満者は臨床症状が強い」となるかもしれない。

 FM患者においては、FMの症状が悪化し運動量が減ったり内服薬の副作用により体重が増える可能性と、痛みのために食事量が減り体重が減る可能性がある。本研究では健常人を対象にしたBMIのデータがないため、FM患者は太っているのか痩せているのかは厳密にはわからない。しかし、女性FM患者の平均BMIが22.6であることから、少なくとも女性FM患者は太ってはいないと私は考えている。

 

まとめ

 女性FM患者の平均BMIは22.6±4.4であった。体重が重い群の患者は臨床症状が重いという傾向はなかった。

 

文献

1) Kim CH, Luedtke CA, Vincent A, Thompson JM, Oh TH: The association of body mass index with symptom severity and quality of life in patients with fibromyalgia. Arthritis Care Res (Hoboken). 64: 222-228, 2012.

2) Toda K, 戸田克広: 線維筋痛症がわかる本. 主婦の友社, 東京, 2010.

3) Toda K: The revised Fibromyalgia Impact Questionnaireの紹介-線維筋痛症やchronic widespread pain(慢性広範痛症)の生活の質の新しい評価方法. 広島医学. 63: 133-135, 2010.

4) Wolfe F, Smythe HA, Yunus MB, Bennett RM, Bombardier C, Goldenberg DL, Tugwell P, Campbell SM, Abeles M, Clark P, Fam AG, Farber SJ, Fiechtner JJ, Franklin CR, Gatter RA, Hamaty D, Lessard J, Lichtbroun AS, Masi AT, McCain GA, Reynolds WJ, Romano TJ, Russell IJ, Sheon RP: The American College of Rheumatology 1990 Criteria for the Classification of Fibromyalgia. Report of the Multicenter Criteria Committee. Arthritis Rheum. 33: 160-172, 1990.

5) Hernandez ME, Becerril E, Perez M, Leff P, Anton B, Estrada S, Estrada I, Sarasa M, Serrano E, Pavon L: Proinflammatory cytokine levels in fibromyalgia patients are independent of body mass index. BMC Res Notes. 3: 156, 2010.

6) Carbonell-Baeza A, Aparicio VA, Sjostrom M, Ruiz JR, Delgado-Fernandez M: Pain and Functional Capacity in Female Fibromyalgia Patients. Pain Med. 12: 1667-1675, 2011.

7) Ursini F, Naty S, Grembiale RD: Fibromyalgia and obesity: the hidden link. Rheumatol Int. 31: 1403-1408, 2011.

 

 


著者紹介

著者紹介

 

戸田克広(とだかつひろ)

1985年新潟大学医学部医学科卒業。元整形外科医。2001年から2004年までアメリカ国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)に勤務した際、線維筋痛症に出会う。帰国後、線維筋痛症を中心とした中枢性過敏症候群や原因不明の痛みの治療を専門にしている。2007年から廿日市記念病院リハビリテーション科(自称慢性痛科)勤務。『線維筋痛症がわかる本』(主婦の友社)を2010年に出版。電子書籍『抗不安薬による常用量依存—恐ろしすぎる副作用と医師の無関心、抗不安薬の罠、日本医学の闇—』http://p.booklog.jp/book/62140を2012年に出版。ブログにて線維筋痛症を中心とした中枢性過敏症候群や痛みの情報を発信している。実名でツイッターをしている。

 

ツイッター:@KatsuhiroTodaMD

 実名でツイッターをしています。キーワードに「線維筋痛症」と入れればすぐに私のつぶやきが出てきます。痛みや抗不安薬に関する問題であれば遠慮なく質問して下さい。私がわかる範囲でお答えいたします。

 

電子書籍:抗不安薬による常用量依存―恐ろしすぎる副作用と医師の無関心、精神安定剤の罠、日本医学の闇―http://p.booklog.jp/book/62140

 日本医学の悪しき習慣である抗不安薬の使用方法に対する内部告発の書籍です。276の引用文献をつけています。2012年の時点では抗不安薬による常用量依存に関して最も詳しい日本語医学書です。医学書ですが、一般の方が理解できる内容になっています。

 

・戸田克広: 「正しい線維筋痛症の知識」の普及を目指して!―まず知ろう診療のポイントー. CareNet 2011

http://www.carenet.com/conference/qa/autoimmune/mt110927/index.html

 薬の優先順位など、私が行っている線維筋痛症の最新の治療方法を記載しています。

 

・戸田克広: 線維筋痛症の基本. CareNet 2012

http://www.carenet.com/special/1208/contribution/index.html

 さらに最新の情報を記載しています。

 

ブログ:腰痛、肩こりから慢性広範痛症、線維筋痛症へー中枢性過敏症候群ー戸田克広 http://fibro.exblog.jp/

 線維筋痛症を中心にした中枢性過敏症候群や抗不安薬による常用量依存などに関する最新の英語論文の翻訳や、痛みに関する私の意見を記載しています。

 

線維筋痛症に関する情報

戸田克広: 線維筋痛症がわかる本. 主婦の友社, 東京, 2010.

医学書ではない一般書ですが、引用文献を400以上つけており、医師が読むに耐える一般書です。

 


電子書籍

通常の書籍のみならず電子書籍もあります。

電子書籍(アップル版、アンドロイド版、パソコン版)

http://bukure.shufunotomo.co.jp/digital/?p=10451

通常の書籍、電子書籍(kindle版)

http://www.amazon.co.jp/%E7%B7%9A%E7%B6%AD%E7%AD%8B%E7%97%9B%E7%97%87%E3%81%8C%E3%82%8F%E3%81%8B%E3%82%8B%E6%9C%AC-ebook/dp/B0095BMLE8/ref=tmm_kin_title_0

電子書籍(XMDF形式)

http://books.livedoor.com/item/4801844

 


奥付

女性線維筋痛症患者におけるbody mass index別の症状の比較

 

著者:戸田克広

 

2014年1月27日 第1 版第1刷発行

 

http://p.booklog.jp/book/81977/read

著者:戸田克広

発行者:吉田健吾

発行所:株式会社ブクログ

              〒150-8512東京都渋谷区桜丘町26-1 セルリアンタワー

              http://booklog.co.jp


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女性線維筋痛症患者におけるbody mass index別の症状の比較


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著者 : 戸田克広
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