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禁止令王国のアリス

「何をやっても、うまくいかない」

「思うように、行動できない」

それは、人生を縛り付ける「禁止令」があるから。

「成功するな」
「何もするな」

無意識の中に埋め込まれた、「心のウイルス」

そんな「禁止令」をテーマに、物語を作ってみました。

この物語は、心理学を学ぶためのエッセンス満載の物語にもなっています。

たくさんのエッセンス、見つけてみてくださいね。


彩くらぶ

いろどり★みどり♪


1
最終更新日 : 2014-02-02 17:33:06

-目次-

【1】匂いを求めて
【2】光と影
【3】岩のつぶやき
【4】変化する孤独
【5】禁止令
【6】遠くのお城
【7】冒険の始まり
【8】王様の世界
【9】目覚めの種
【10】(おまけ)【何もするな】

 

あとがき


2
最終更新日 : 2014-01-26 00:13:07

【1】 匂いを求めて

この花ね、一生懸命育てた花だけど、気に入った匂いじゃなかったの。

だから、この種、もう、いらない。

種を見ただけじゃ、わからないよね。

 

私がそんなことを思った時、森の奥から私のお気に入りの、とてもいい香りがしてきたの。きっと森の神様が、私の気持ちに答えてくれて、香りのいい花のところまで、道案内してくれようとしているんだわ。

 

「必ず見つけるね」

 

森の神様にそう答えたら、風がぷわ~って吹いてきて、とてもいい香りに囲まれた。

まるで、神様がそばにいるような感じで。

 

この種を見つけた時もそうだった。森の神様に「すぐ枯れない、元気に育つ花が欲しい」てお願いしたら、風がぷわ~って吹いてきて、この花の種が飛んできた。

確かに元気に育ったけど、匂いがね~。

 

『今度は、自分の足で探しなさい。そばについているから。』

 

森の神様がそう言っているように感じたから、匂いを頼りに森の中に入っていくことにした。

だけど、どこをどう歩いているか、なんて、冷静に記憶してなかったから、いつの間にか迷子になっちゃった。

 

この時はただ、香りのいい花の種を手にすることに夢中で、冷静さをなくしていたのね。

おかげで、とんでもない目にあったわ。

まさか、こんな花の種を、手にするなんてね。

 

ほら、この花の種、よく見て。

私の、心の物語が詰められた、この花の種。

あなたにも、この種が持つ物語が見えてくるかしら?


3
最終更新日 : 2014-02-02 10:34:49

【2】 光と影

いつもの森と違って、森の奥には、いろんな不思議な生き物がいた。
行列を作って、みな同じ動きをするリスたち。
大きな木の周りで、木の葉っぱの動きに合わせて踊る鳥たち。
恐いライオンの顔をした、いや、顔を形作っているだけのアリたち。
不思議だったけど、私はそんなことは気にせず、匂いだけを求めて歩いていった。

「こっちの方だわ」
だんだんと、お日様の光も差し込まない深い森になってきた。まるで、木が私を取り囲むように近寄ってきている感じ。暗くて道がわからなくなり、なんとか木につかまりながら、匂いだけを頼りに歩いていた。すると、つかまった木の表面が、グニュっとなった。
「何だろう?」と、手でさぐろうととしたら、急に動き始め、私に飛びついてきた。「キャー!」て叫んだら、その声に反応したかのように風が吹き、取り囲んでいた木々にすきまができ、お日様の光がさしこんできた。さっきの木の方向を見たけれど、そこには何もいなかった。気のせいだったのかしら?
気を落ち着かせて、好きな匂いのする方向を見ると、草むらだらけだけど道筋が見えてきた。光が揺れ動き、神様がほほ笑んでくれている感じがした。

「森の神様が助けてくれたのね。ありがとう。」
揺れ動く光をじっと見つめながら、ちょっと休憩することにした。光が差し込んできたのはいいのだけど、サンサンと私を照らしている感じでまぶしかったから、日陰に移ってみた。だけど、すぐに日差しが移ってくる。おかしいな?って思って、すぐ側にあった岩の穴影に隠れてみた。でも、なぜか目の前にお日様が輝いている。よ~く見たら、ガラスのハトが、飛びながら輝いていた。びっくり~。

「ねぇ、もしかして、あなた、ハトなの?」
『あ、わかった?どう?キレイでしょ?』
ガラスのハトの声が心に響いてくる。不思議だったけど、そんなに気にしなかった。
「もしかして、輝く力があるの?じゃあ、この岩の穴の中でも、輝けるの?」
『え?うん、たぶん、、』
ハトは、穴の中に入ってきた。でも、急に輝きを失った。すると、穴の入口側からの光も消え、あたりはまた、闇につつまれていった。
「あら、もしかして、お日様が見えないところでは、輝けないのかしら?」
『わからない~、深く考えさせないで~、禁止令が守れなくなる~、ただ、輝いていたいの~』
「禁止令?深く考えてはいけないっていう命令なの?」
『わからな~い、わからな~い』
ハトは、輝けなくなった自分に驚いているようで、今は何も考えられないみたい。どうしていいかわからずに、ただ、動かずに、闇の中にじっとしている。鳥目だからかな。

わからなくても、どうすればいいか、深く考えてみたっていいのにね。


4
最終更新日 : 2014-02-02 11:24:23

【3】 岩のつぶやき

『うるさいな~、集中できないだろ』
闇の中で、低い声で、誰かがつぶやいた。ガラスのハトさんの声じゃないみたい。
「あなた、誰?」
重い沈黙が続いた。もしかして、さっきの声は、気のせいだったのかな?
『さぁな、もう、自分が誰かもわからないくらい集中してきたからな』
ゆっくりと話す、闇に響く低い声。確かに、誰かがいるみたい。
「何に集中してるの?」
また、長い沈黙が続く。
『さぁ、何だったかな』
そういえば、さっきから、ガラスのハトの声が聞こえない。どこに行ったのだろう?岩にぶつかって、壊れてしまったのかな?
「ねぇ、ハトさん知らない?」
『ハト?集中していて、何も見えないからな、ポーポー』
「ポーポー?」
『あれ?ポーポー、おかしいなポーポー』
闇の奥から小さな光が見えてきた。ハトの楽しそうな笑い声も聞こえてくる。近づいていくと、ガラスのハトが輝きを取り戻していた。近くには鳥かごのような檻があって、小さな「ハート」が閉じ込められている。ハトは小さなハートの揺れに合わせ、ゆらゆらと、光の色を変えながら、喜んでいた。私も、一緒に遊んでみようと、光の揺れに合わせ、手をくねくねと動かしてみた。
「ゆらゆら~、ゆらゆら~」
『ハンド君、ハンド君、もっと、光をゆらして~』
檻の中のハートが楽しそうにはしゃいでいる。この手を「ハンド君」と呼んでいるようだ。光を手に受け、ハトと一緒に光をゆらしてみた。
「キラキラ~、キラキラ~」
『ハト君、ハト君、もっと輝いて』

三人で楽しくはしゃいでいたら、だんだん闇が揺れ始め、どこからともなく、光が差し込んできた。
『うるさ~い、子供のようにはしゃぐな~、禁止令が守れなくなるだろ~!』
闇の奥から、苦痛に満ちたうなり声が響いてくる。
「子供のようにはしゃいだらダメなのかしら~♪誰が禁止したのかしら~♪ポンポンポン♪」
『誰が禁止したのかしら~♪ポンポンポン♪』
ハンド君の手で、ゆらゆらしながら、歌ってみた。ハトとハートも、ゆらゆらしながら合唱していた。
『ダメだダメだ、子供のようにはしゃいじゃダメだ~、うるさ~い、出ていけ~!』
苦痛に満ちた大声が、岩の暗闇に響きわたった。その振動に揺り動かされ、岩の中から吐き出されるように、明るい森に放り出された。

振り返ると、目の前の岩が、ゴゴゴ・・と揺れ動いていた。
『禁止令に集中する邪魔をしないでくれ~』
って、岩の裂け目が口のように動いてしゃべってる~、変なの~。
よく見ると、岩の頭がパカっと割れていて、さっきの小さなハートが檻の中に取り残されたままになっている。
あっけにとられていると、ゴゴゴって音をさせながら岩の頭が閉じていき、元の岩の姿に戻っていった。
『これでいい、これでいい、これで、いい、いい・・』
響き渡る低い声は、次第に落ち着いて、静かになっていった。
岩の周りで、光がキラキラと飛び回っていた。ガラスのハトが、また輝けるようになったことがうれしかったみたい。

岩のおじちゃんも、みんなで一緒に子供のようにはしゃいでみたって、いいのにね。


5
最終更新日 : 2014-02-02 15:46:53


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