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てきすとぽい杯について


「てきすとぽい」とは

URL : http://text-poi.net/
Twitter : http://twitter.com/textpoi

てきすとぽい は、2012年2月より製作中の、競作・共作サイトです。
無計画書房に集うWEB作家の有志で開発を進めております。
先日ようやく、投稿・投票・感想・チャットなど最低限の機能が稼働いたしまして、2013年1月より てきすとぽい主催の競作イベント「てきすとぽい杯」を開始いたしました。


 

「てきすとぽい杯」 とは

神様は七日間で世界を創造した。
僕らは一時間で物語を想造する。


てきすとぽい杯は、制限時間1時間+推敲15分で、お題に沿った小説を競作するイベントです。
競作で作品が集まった後は、☆投票による審査、感想コメント、チャット会での意見交換や交流がセットになった、全体としては約一週間ほどのイベントになります。

第11回てきすとぽい杯
会  場 : http://text-poi.net/vote/37/
お  題 : 三題 「首」「霜」(事前公開) 「林檎」(当日発表)
       これらの言葉を、タイトルまたは本文で使用してください。
投稿期間 : 2013年11月16日 22:30 ~ 同日 23:45
審査期間 : 2013年11月17日 0:00 ~ 2013年11月24日 24:00
投稿期間中のTwitterまとめ : http://togetter.com/li/591048

 第11回は、三つのお題のうち二つを事前公開、残る一つを当日開始時刻に発表しての開催でしたが、初参加の作家さんお二人を含む、計15作品をお寄せいただきました。
 また、事前公開の二題「首」「霜」は、第10回ぽい杯スピンオフ賞の覇者である碧さんがご考案くださいました(お題決定までの経緯 : http://togetter.com/li/586833)。

第11回 募集要項

【投稿について】

投稿期間:
11月16日(土) 22:30 ~ 同日 23:45

制限時間1時間の間に、お題に沿った小説を書いて投稿してください。
お題は、三題のうち二題を事前公開、残る一題を当日開始時刻に、会場や てきすとぽいTwitter にて発表いたします。
会場 : http://text-poi.net/vote/37/
てきすとぽいTwitter : http://twitter.com/textpoi
お題発表より1時間で執筆、その後15分で推敲&投稿してください。
締切は同日23:45頃になる予定です(お題発表時刻により、若干前後します)。


【審査について】

審査期間:
11月17日(日) 0時 ~ 11月24日(日) 24時

審査方法は☆5段階評価で、てきすとぽい のアカウントをお持ちの方ならどなたでも投票できます。
個々の作品に感想ページもございますので、作品を読んで感じたこと、☆投票では表現しきれない評価など、ありましたらなんでも、お気軽にご記入ください。

票の集計方法:
☆評価の平均で、最も多くの☆を獲得した作品を「大賞」、以降3作品前後を「入賞」といたします。

※ 時間外に投稿された作品、お題を満たしていない作品も、投票や感想は同じように行えます。
  ただ、結果発表の際に、集計対象からは外させていただくことをご了承ください。

第11回 審査結果

【審査結果】 ※得票順、敬称略

1位 ☆4.300
『AMY』 豆ヒヨコ
http://text-poi.net/vote/37/9/
投稿時刻 : 2013.11.16 23:37 最終更新 : 2013.11.16 23:44
総文字数 : 2413字

2位 ☆4.200
『首畑』 小伏史央(旧・丁史ウイナ)
http://text-poi.net/vote/37/3/
投稿時刻 : 2013.11.16 23:12 最終更新 : 2013.11.16 23:31
総文字数 : 1352字

2位 ☆4.200
『ライフログハックな彼女たち』 犬子蓮木
http://text-poi.net/vote/37/5/
投稿時刻 : 2013.11.16 23:29 最終更新 : 2013.11.16 23:31
総文字数 : 2248字

2位 ☆4.200
『娘と林檎(仮)』 永坂暖日
http://text-poi.net/vote/37/13/
投稿時刻 : 2013.11.16 23:44
総文字数 : 3452字

5位 ☆4.100
『スノーホワイトは赤い林檎を好む』 晴海まどか
http://text-poi.net/vote/37/10/
投稿時刻 : 2013.11.16 23:41 最終更新 : 2013.11.16 23:44
総文字数 : 3636字

6位 ☆4.000
『齧る』 茶屋
http://text-poi.net/vote/37/2/
投稿時刻 : 2013.11.16 23:09
総文字数 : 905字

7位 ☆3.800
『実に、ささやかな』 志菜
http://text-poi.net/vote/37/12/
投稿時刻 : 2013.11.16 23:43 最終更新 : 2013.11.16 23:53
総文字数 : 899字

8位 ☆3.600
『林檎と彼女』 orksrzy
http://text-poi.net/vote/37/14/
投稿時刻 : 2013.11.16 23:45
総文字数 : 2605字

9位 ☆3.583
『電子レンジ』 ひこ・ひこたろう
http://text-poi.net/vote/37/1/
投稿時刻 : 2013.11.16 23:05 最終更新 : 2013.11.16 23:09
総文字数 : 2033字

(番外) ☆3.545
『間に合わなかった。』 秋吉君
http://text-poi.net/vote/37/15/
投稿時刻 : 2013.11.17 01:45
総文字数 : 970字

10位 ☆3.455
『不完全な首長竜の死』 Wheelie
http://text-poi.net/vote/37/7/
投稿時刻 : 2013.11.16 23:33
総文字数 : 236字

10位 ☆3.455
『切る』 茶屋
http://text-poi.net/vote/37/8/
投稿時刻 : 2013.11.16 23:36
総文字数 : 971字

12位 ☆3.400
『祖母の庭』 粟田柚香
http://text-poi.net/vote/37/6/
投稿時刻 : 2013.11.16 23:32
総文字数 : 2576字

13位 ☆3.333
『大都会』 碧
http://text-poi.net/vote/37/11/
投稿時刻 : 2013.11.16 23:42
総文字数 : 737字

14位 ☆3.182
『寒い荒野と発掘と』 うわああああああ
http://text-poi.net/vote/37/4/
投稿時刻 : 2013.11.16 23:25
総文字数 : 1665字




※ 獲得☆票の内訳につきましては、てきすとぽい杯の会場にてご確認ください。
会場 : http://text-poi.net/vote/37/

入賞作品紹介



《大賞1作品》
獲得☆4.300
『AMY』
http://text-poi.net/vote/37/9/
著:豆ヒヨコ

少女の名は、AMY。その冷えた手で、砂の中からすくい集める「宝石」のように
きらきらと光る少女の心と、彼女のようには光を見出だせずにいる主人公――
二人の不思議な交流を描いたこの作品が、第11回の接戦を制し、大賞を獲得しました!
幸福とは、強さとは何なのか、答えのない問いを強く訴えかける作品です。




 

《入賞3作品》
獲得☆4.200
『首畑』
http://text-poi.net/vote/37/3/
著:小伏史央(旧・丁史ウイナ)

畑一面に育った、首たち。収穫のその日まで、大事に大事に、世話をする。
けれど、そんな首畑の栽培を邪魔する者たちがいて……?
長閑さと不気味さがシュールに入り混じる、いとも風変わりな首畑の物語です。
獲得☆4.200
『ライフログハックな彼女たち』
http://text-poi.net/vote/37/5/
著:犬子蓮木

この頃なぜか、ブログに書いた覚えのない話をツイッターなんかで指摘される。
読み返すと、実際の出来事を微妙に塗り替えたような記事がいくつも出てきて――いったい、誰が!?
SNS利用者ならゾクリとせずにはいられない、今にも現実に起こりそうなサイバーサスペンスです。
獲得☆4.200
『娘と林檎(仮)』
http://text-poi.net/vote/37/13/
著:永坂暖日

王家に不老長寿をもたらすという、神水。“巫女狩り”の手によって多くの神水が失われた今、
病に伏せる王は、妃は、その娘や、王に仕える者らは、何を思い、何を目論むのか。
権力と因縁が生み出した、歪んだ愛憎の行く末は……? 神水を巡る物語、第10回の続編です。




 

《特別賞》
《「首」賞》
『首畑』
http://text-poi.net/vote/37/3/
著:小伏史央(旧・丁史ウイナ)

首の存在感、質感、味わいを、最も鮮明に感じさせる、まさに首一色の作品でした。
第11回入賞とのダブル受賞となります! 
《「林檎」賞》
『齧る』
http://text-poi.net/vote/37/2/
著:茶屋

古今東西、世界を動かしてきた林檎を巡って、時空を渡り歩くような周遊感のある作品でした。
《弘法は筆を選ばず賞》
『大都会』
http://text-poi.net/vote/37/11/
著:碧

出先の、回線も機器も不確実な環境で、なんとKindleによって執筆・投稿された作品でした。





――受賞された皆さま、おめでとうございます!
素晴らしい作品をありがとうございました。

(次のページから、作品が始まります。)

『AMY』 豆ヒヨコ

投稿時刻 : 2013.11.16 23:37
最終更新 : 2013.11.16 23:44
総文字数 : 2413字
獲得☆4.300


《大賞受賞作品》
AMY
豆ヒヨコ


 AMYは砂場の砂をひとつかみ取り、さらさらと指の間から零す。慎重に、ていねいに塵芥をふるう。何度か繰り返す。すると、細かなガラス質のかけらたちが、僅かばかり彼女の手のひらに残る。
 AMYは、それを『宝石』と呼んでいる。
「ねえ、AMY」
 私は砂場をぐるりと囲む、錆びた鉄製の枠に腰かけていた。震える両腕をこすりながら、つい諭してしまう。
「風邪をひいて死んじゃうわ、あなたも私も。諦めて家で暖まるべきよ。なんでも努力すればいい、ってもんじゃない」
 AMYはきょとんと眼を見張ったのち、脈絡なく弾けるように笑う。
「素敵な宝石がほしいの」
 私をこそ諭すように、彼女はゆっくり、ひとことずつ区切って発音した。
「とっても素敵なのをね。クラスの皆が持っていないような、とても輝くのを」
 私は大きなため息をつく。吐きだされた心配が、白い湯気となってあたりに漂う。
 十二月を迎え、夜の公園はひどく冷え込んだ。明日の朝は霜が降りるに違いない。しかし十歳のAMYは、少しも気にしないのだった。ひとり母親の帰宅を待っている。真っ暗な砂場で、真夏の熱帯夜と変わらず、ニコニコご機嫌で。深夜まで皿洗いをする、フィリピーナの母親を迎えるために。
「まりこ」
 鈴のように陽気な声で、AMYは私の名を呼んだ。
「どうしてそんなことを言うの? 努力するな、なんて?」
 月明かりに、南方の人特有のすべらかな肌が艶めく。彼女の目は本当に澄んでいる。
 私は答えかけ、うまく言えず、仕方なく笑いで紛らせた。
 AMYの真似をして、目の前の砂をすこし掬い上げた。10gほどのはずの白い砂は冷たく湿り、思いのほか持ち重りがした。かすかに左右に揺らすと、糸のようにさらさらと零れていくのが上から見えた。それは脳髄を麻痺させるエクスタシーで、私はしばし感触を楽しんだ。
「気持ちがいいのね」
 驚きを含んだ声で言うと、AMYは得意げに胸を張った。
「もちろんよ。エステみたいでしょ」
 彼女は私の横にちょこんと座り、またも砂をふるう作業に没頭し始める。
 指の先が凍りそうに冷える夜気だというのに、AMYは長袖のTシャツ一枚だった。かろうじて十分丈のウェットパンツは薄いナイロン素材で、小麦色の裸足にはビーズをあしらった安っぽいヒールサンダルを履いている。無造作に伸びたロングヘアはくるくると巻き、黒ずんで汚れた首筋に、ツタのように絡みついた。放り出された林檎柄のトートバッグから、傷だらけの古い携帯電話がはみ出し砂にまみれていた。 
 さっき口にしようとして、すぐに諦めてしまった言葉。
「あなたが好きだから、愛しいから、絶対に傷ついてほしくないから」
 恥ずかしくて、へんに勘ぐられたくなくて、とても言えなかった。私たちは血さえ繋がっていない、ましてや親子でもない、ただの知り合いだ。理解してもらえるはずもない気がした。

 以前バイトしていたスーパーからの帰り――まさにクビになった日だ――この公園で、はじめてAMYを見かけた。天啓のように、私と同じ生き物がいる、と思った。期待されないこと、興味を持たれないこと。それは取りも直さず、ほぼ生きていないということだ。
 例えば私。
 コミュニケーション能力がなく、社会のお荷物で、アルバイトさえ転々とするフリーター。親からも見放された愚図で下らない娘。同棲相手はゲーム廃人のろくでなし。恫喝されるばかりで萎縮するばかりの人生。でも、かまわないと思っていた。もう何も望まないと、とうの昔に決めていた。その代わり、私は誰からも努力を強いられない。私は、空白のような自由をふんだんに持っている。
 毎夜、つめたい布団の中で、自分に延々そう言い聞かせている。
 AMYに会うと、自分まで愛しくなった。なぜか。
 そして哀れに思い、最後に激しく憎らしくなった。「私のように育ってほしくない」と願い、一方で、「私と同じ泥の中へ引きずり込みたい」という衝動に混乱させられた。誰だって独りは寂しい。けれど私にも矜持はある。人として外れたことはしたくない、出来損ないだからこそ、その思いは人一倍なのだ。
 だから、もう会わなければいい。会うべきじゃない。
 そう思うのに、気づけば夜の公園に向かってしまうのだった。自分が、よく分からなかった。

 ふいに肩を叩かれ、はっと目を上げる。
「これあげる」
 AMYは目をほころばせ、私の左手を開かせて、何かをぽとりと落とした。
 ごく小さな煌めきがあった。波で洗われ削られた、おそらくビール瓶の一部だった。海で生まれたものに違いない。誰が拾って持ってきたのか、街中の砂場にあるはずもない物質だ。それは三センチほどの大きさで、耳のかたちをしている。上品な薄茶色の、美しい擦りガラスだった。
 私は思わず感嘆してしまう。
「なんて綺麗なの」
 もらえないわと辞退したが、AMYは首をぶんぶん横に振った。
「これは、私が探している宝石ではなくて」
 人差し指を天に向け、太陽のようににっこり笑う。
「ミラクルよ」
 ふいに、中年女の呼び声がした。フィリピーナだ。
 酒に枯れた、怒りに満ちた響き。ひゅっとAMYは肩を竦める。あかるく優しい笑顔は引っ込められ、鼠のように卑屈な光が瞳に宿る。それでも彼女は言いつのる。
「探せばあるわ、何だって」
 私は、掌のガラス質をそっと転がす。心地よい滑らかさと、細かなざらつきが皮膚に伝わる。
 AMYは勇気をもって、少しずつ肩をもとに戻す。私はなおもガラスを味わう。しかしヒステリックな叫びは繰り返された。AMY! はやくでてきなさい、言うこと聞かなきゃ…… AMY!少女は、今度は果敢に笑ってみせる。すこしだけ、舌さえ出して見せる。
 私は畏敬の念を抱く。その強さに、健全さに、まっすぐな心根に。おかえしに、おどけて肩をすくめてみせる。
 私たちは笑う。
 声が止んだりはしない。それでも、歩くのを止めたりはしない。決めているのだ。たとえ誰も、私たちの気配に気がつかないとしても。このガラスみたいに。
  AーーMYーーー!


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