目次
はじめに
火あぶり地蔵とカタストロフィー願望 2012年10月15日号
ムクドリの群れ。迷惑と魅力 2012年11月15日号
よさこいの必須科目と共通言語 2012年12月15日号
そうか公園の水鳥の楽園 2013年1月5日号
ロボットプロレスを草加から世界に発信 2013年1月15号
草加市歌はスイングしてる 2013年2月15号
谷塚の地名から古代が見える 2013年2月15日号
寝そべって走る自転車、リカンベント 2013年2月25日号
浅間神社に富士山がある 2013年3月15日号
女子プロレスラー米山香織選手のストーリー 2013年4月15日号
辰井川をさかのぼる冒険 2013年4月15日号
クルーザーと戯れるイルカの群れ 2013年5月15日号
草加文化会館敷地内にある大きな樽 2013年6月5日号
ニュースポーツを体験しよう! 2013年6月15日号
神輿の作法 2013年7月15日号
ヤンキー文化が発する 街おこしのメッセージ 2013年8月15日号
今、町工場が熱くなっていること 2013年9月15日号
浅草で父娘活弁士、麻生八咫(やた)・子八咫(こやた)の舞台を堪能 2013年9月25日号
「100円商店街」のワークショップ 2013年10月15日号
草加ふささら祭り「踊るん♪よさこい」レポート 2013年11月5日号
「今様・草加宿」市民推進会議は草加の代表チーム 2013年11月15日号
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ヤンキー文化が発する 街おこしのメッセージ 2013年8月15日号

●漢字の当て字のチーム名

 

 よさこいの連の名称に暴走族のような漢字の当て字が目につくため、暴走族とでも関係があるのではないか、と心配する人がいた。

 去る7月20日と21日に開催された草加よさこいサンバフェスティバルに出演した連だと、輝楽喜楽連(きらきられん)、疾風乱舞(しっぷうらんぶ)、朝霞襲雷華撃団(あさかしゅうらいかげきだん)あたりが、そんな余計な心配を引き起こすのだろうか。

 実際には輝楽喜楽連は草加市内の大人の女性チーム、疾風乱舞は平塚のダンススクールが母体となった若い女性たちのチーム、朝霞襲雷華撃団は朝霞市の若い男女のチーム。いずれも暴走族と無縁だ。

 ちなみに疾風乱舞は数々の受賞歴を誇る有名なチームである。今年の11月4日の「踊るん♪よさこい」にも出演するので、その艶やかな美の乱舞をぜひ見逃さないでほしい。

 

●よさこいに連なる「ヤンキー文化」

 

 裾の長い和のテイストの衣装や気合いの入ったかけごえから、よさこいと原宿竹の子族やヤンキー文化との類似を指摘する人は多い。

 この数年、ヤンキー文化は研究対象になりつつあるようだ。

 たとえば以下のような書籍が刊行されている。

 

ヤンキー文化論序説』(五十嵐太郎著)

 あらゆるジャンルの研究者、ライターたちが、硬軟あらゆる側面から日本に偏在するヤンキー的なものを執筆した本。

世界が土曜の夜の夢なら ヤンキーと精神分析』(斎藤環著)

 精神医学者がヤンキー的なあらゆる事象、矢沢永吉、B ' z、EXILE、木村拓哉、白洲次郎などを分析しつつ、日本人の国民性をあぶりだす。

 

 ヤンキーな男女は日本中に大勢いて、生活や文化を享受している。ヤンキーじゃない人というと、どうやら「おたく」などがその代表といえるようだが、おそらくヤンキー層のほうが多数派なのではないだろうか。

 また、ヤンキーは「今・ここ」を肯定するメンタリティだと、大学の講義で聴いてきたと娘が言った。八百万(やおよろず)の神々がいる日本は、どこも神聖な場所であり、つまらない地元もすばらしい故郷たりうるのだ。これがヤンキーが地元で踏ん張って幸福を追求する動機なのかもしれない。

 最近草加のよさこいチームの関係者と話す機会が多い。彼らはみな仕事に熱心な市民であり、またまちづくり、まちおこしの活動にも情熱を傾けるきわめてまじめな大人たちだった。彼らはよさこいを通して街を元気にしようと真剣に考えている。

 よさこいに燃えるとき、自分の中のヤンキー魂に出会うのだろう。

 ヤンキーこそ地元の仲間がひとつになる共通の精神なのだろう。

 

●ヤンキー発のポジティブなメッセージ

 

 ヤンキー文化が気になり始めてから、ヤンキーならではの熱いメッセージが筆者の心にも届き始めた。

 たとえばNHKの連続テレビ小説『あまちゃん』。橋本愛が演じる足立ユイは上京してアイドルになる夢を持っていたが、家庭のトラブルが元で夢が破れ岩手県北三陸に留まらざるを得なかった。そして見る見るうちに風貌、言動が不良に、すなわちヤンキーになっていった。

 だが、周囲の愛情によって明るさを取り戻し、最後は親友の天野アキ(能年玲奈)といっしょに地元のアイドルになった。まちおこしに身を投じたのだ。

 ヤンキーの青春模様を歌い続ける氣志團は、去年から「氣志團万博」という音楽フェスティバルを南房総(袖ヶ浦)で開催し、「自分の生まれ故郷で生きる若者たちに、勇気を与えること」という夢を高らかに掲げた。

 EXILEは斜に構えて威嚇するような目つきの男たちだが、彼らが歌う「Rising Sun」には日本の明るい未来を信じるまっすぐでポジティブなメッセージが込められている。

 これからの日本を考えるとき、ヤンキーは無視できないと思う。自分の中のヤンキーを見つめなおそう。


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草加ふささら祭り「踊るん♪よさこい」レポート 2013年11月5日号

 2013年11月4日(月・振休)、草加ふささら祭り2日目、綾瀬川左岸広場のメインステージと、県道草加足立線と、綾瀬川沿いのウォーターフロントステージで、40組のよさこいチームによる大規模なよさこいイベント、「踊るん♪よさこい」が開催された。

 雨が降ったり止んだりの最高とは言えないコンディションだったが、合計2,000人にも及ぶ踊り手たちの演舞を観客たちは熱く見守った。

 強い印象を残したチームがいくつかあった。

 

維新~心ひとつ~」は千葉県鎌ヶ谷市から来たチームだ。

「維新」というチーム名と「新撰組」をイメージするような衣装から明治維新の時代を連想する。もっとも新撰組は維新派(倒幕派)の敵なのだが。激動の時代に寄せて若者の生き様を表現しているのだろう。

 青春の焦燥と夢を歌い上げる音楽がいい。途中メンバーたちが声を張り上げて一緒に歌う。「でも僕には仲間がいる!」。

 

※参考:Youtube「維新~心ひとつ~ 鎌ヶ谷駅前祭り オリジナル 2013 07 27」

http://www.youtube.com/watch?v=q9EeLhw4HnM

 

 明治維新の時代に寄せたチームがもう一つあった。会津から来た招待チーム「郷人(ごうじん)」。テーマはずばり白虎隊。

 演舞冒頭で、女性鉄砲隊がズドンと一斉射撃。これはただのよさこいじゃないと気づいた。大人数の若い男女が力いっぱいのダンスと表情で表現するのは歴史の悲劇と生命の輝き。ミュージカルの一場面のような完成度。見守っていた他のよさこいチームが感嘆の声をあげていた。

 

※参考:Youtube「郷人 ~2013YOSAKOIソーラン祭り(ファイナルステージ)」

http://www.youtube.com/watch?v=b4RUWd6l6cM

 

 平塚からの招待チーム「疾風乱舞」は中、高、大学生の女性だけのチーム。

 さきごろAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」の「神奈川県 Ver.」という動画がYoutubeで公開されて話題になっていたが、疾風乱舞はそこにも登場したほどの神奈川を代表するよさこいチームだ。

 激しいメタル系ロックに艶やかな衣装とつけまつげばっちりの化粧で、不敵なほほ笑みと前方を睨みつける、いや、ガンを飛ばす凛々しい表情からふと浮かんでくる言葉は「レディース」。個人のダンススキルも素晴らしい上に、衣装や持ち物(傘や扇子)の変化の効果もあって、変幻自在な舞台構成の豊かさは1回では味わい尽くせない。ステージのあと、県道の流し踊りもフォローせざるを得なかった。

 

※参考:Youtube「原宿スパよさ'13 疾風乱舞 - 飛天夢想」

http://www.youtube.com/watch?v=o_0V_zL9mtg

 

 福島からの招待チーム「うつくしま復興PR隊」は小さい子供から大人までの大所帯チーム。素朴な振付の曲なのだが、それが盛り上がりへの伏線。メンバーが客席周辺に散っては、他のチームの踊り手を引っ張って来ていっしょに踊らせる。どんどん踊り手が増えていく。しまいにはステージ周辺は踊り手たちが溢れて楽しさが溢れて、感動に包まれた。

 

 40チームが繰り広げたメインステージの最後に登場したのは地元草加の「team清門」。小学生と中学生を中心としたチームだが、最後にふさわしい大きい演舞。

 ところで「team清門」の県道での演舞が撮影された動画を紹介したい。ここでは自分たちの持ち歌、とくに最近の新曲で踊るのではなく、「うつくしま復興PR隊」のレパートリー曲を踊っている。

 すると途中で沿道にちょうど「うつくしま復興PR隊」が応援してくれている。清門の子供たちは彼らを踊りに引き入れて、いっしょに踊る。みんな本当に楽しそうだ。

 草加のお祭りでは草加のチームはホストとして客人をおもてなしする役割も演じなければならない。team清門は、7月のよさこいサンバフェスティバルでも他市からのチームとのコラボを堂々とこなしていたが、今回の頼もしい活躍ぶりはどうだ。自然に楽しく外部と交流できるような人材がよさこいから育っていくのは間違いない。

 

※参考:Youtube「team清門@2013 草加ふささら祭り・踊るん♪よさこい」

http://www.youtube.com/watch?v=1guyBG87ueU

 

 そのあと、メインステージでは司会者が前の週に行われるはずだった千葉県最大のよさこいイベント「ちばYOSAKOI」が台風で中止なってしまった事情を話した。今回の踊るん♪よさこいには、千葉県から7チーム参加していた。司会者は千葉のチームに、今ここでぜひ「ちばYOSAKOI」で踊れなかった曲を踊ってくれと呼びかけた。千葉からのチームがステージ上や前に駆けつけ、千葉よさこいの総踊り曲「ちばよさこい村」を踊った。

 いや、千葉だけではない、埼玉のチームもその他のチームも大勢がいっしょに踊っていた。みんな踊れるのだ。よさこいの一般教養か。

 感動のフィナーレへと心の準備が整ってきた。

 大旗の競演。何十本もの旗が舞う。

 司会者が声をかける。「そのまま旗を立てていてください」と。「2分後に飛行機が飛んできて、ここを空撮します!」

 来た。南西の方向からまっすぐこちらに飛んでくる。セスナだ。

 無数の大旗が空に向けて掲げられ、踊り手たちは鳴子を振り上げた。

 セスナは上空を2回旋回して去って行った。

 

 フィナーレ。曲は「よっちゃれ」。2000人全員踊れる、これもよさこい界の共通言語だ。

 最後は「うらじゃ音頭」。これまたよさこいの必須演目。踊り手たちが輪を作りながら踊る曲。雨が強くなってきた。踊りの輪はますます大きくなってきた。

 

 こうして今年の踊るん♪よさこいは閉会した。

 


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