目次
はじめに
火あぶり地蔵とカタストロフィー願望 2012年10月15日号
ムクドリの群れ。迷惑と魅力 2012年11月15日号
よさこいの必須科目と共通言語 2012年12月15日号
そうか公園の水鳥の楽園 2013年1月5日号
ロボットプロレスを草加から世界に発信 2013年1月15号
草加市歌はスイングしてる 2013年2月15号
谷塚の地名から古代が見える 2013年2月15日号
寝そべって走る自転車、リカンベント 2013年2月25日号
浅間神社に富士山がある 2013年3月15日号
女子プロレスラー米山香織選手のストーリー 2013年4月15日号
辰井川をさかのぼる冒険 2013年4月15日号
クルーザーと戯れるイルカの群れ 2013年5月15日号
草加文化会館敷地内にある大きな樽 2013年6月5日号
ニュースポーツを体験しよう! 2013年6月15日号
神輿の作法 2013年7月15日号
ヤンキー文化が発する 街おこしのメッセージ 2013年8月15日号
今、町工場が熱くなっていること 2013年9月15日号
浅草で父娘活弁士、麻生八咫(やた)・子八咫(こやた)の舞台を堪能 2013年9月25日号
「100円商店街」のワークショップ 2013年10月15日号
草加ふささら祭り「踊るん♪よさこい」レポート 2013年11月5日号
「今様・草加宿」市民推進会議は草加の代表チーム 2013年11月15日号
奥付
奥付

閉じる


<<最初から読む

13 / 23ページ

試し読みできます

クルーザーと戯れるイルカの群れ 2013年5月15日号

 4月28日、日曜日。草加市高砂のスポーツ自転車専門店、ロードギャラリーミラノが運営するクラブ、「チーム・ミラノ」のアサラン(朝の走行会)に同行した。

 

 毎週日曜日に100キロランと50キロランを交互に開催している。この日は50キロランなので朝8時出発だ。集合場所は草加栄町のセブンイレブン前。快晴だ。

 体にぴったりはりついた赤系の派手なミラノのユニフォーム姿の筋肉質な男女が、数人集まっていた。塀には精悍なロードバイクが数台立てかけてある。

 ミラノの店長、岩澤克政さんは普段着。チーム・ミラノのロゴがでかでかと貼られたワゴン車を、サポートカーとして運転するからだ。機材や人のトラブルに対処するために、サポートカーを必ず同行させるという。

 

「みんな集まりましたね」と岩澤さん。ここでは数人だが、沿道の途中からの参加があるので、この先どんどん増えていくという。

「それでは出発しましょう!」

 私はワゴン車の助手席に乗せていただいた。

 

 県道草加流山線を東に向けて走る。渋滞気味で車が滞っている間にチームの自転車はすっかり見えなくなった。

 サポートカーが自転車を伴走するようなイメージを持っていたので少々拍子抜けだ。

 自転車は渋滞の影響を受けにくく、実は街中では自動車よりも速い乗り物なのだ。自転車最強。

 

 「ブログ、読ませていただきました。『手を叩く意味』。感銘を受けました」と、僕は岩澤さんが去年の5月29日にミラノのブログにアップした記事に言及した。

「ありがとうございます」と岩澤さんが答えた。

 

 現在26歳の岩澤さんは去年の4月にミラノの店員となった。それから間もなく5月22日に社長の木村隆博さんが亡くなった。

 木村さんは、計画していたツアーの下見をするために岩澤さんといっしょに車で出かけ、その途中で倒れたのだった。

 ブログにはその日のドライブの様子が、豊富な写真といっしょに詳細に淡々とつづられていた。

 風景が通り過ぎる中で交わされる何気ない会話が再現されていた。会話の内容は、結末を知っている読者にはとても重く感じられるものだった。

 木村さんは岩澤さんにこう問いかけたのだ。

 

「ガンちゃん。手を叩いたら音がなるよね?どっちから音が出ていると思う?」

 R.G.MILANO BLOG「手を叩く音の意味」(2012-05-29)

http://rgmilano.exblog.jp/15440216/

 

  三郷駅前を通過、江戸川を渡って左折。千葉県道5号松戸野田線へ。

 しばらく走ると田園風景が開けてきた。松戸野田有料道路(現在は有料ではない)に入っていた。

 反対車線を、正面から1台のロードバイクがこっちへ向かってくる。岩澤さんが手を振った。チーム・ミラノのユニフォームを着ていた。続けて次々とチームの自転車が走って来る。

 

 岩澤さんは脇の農道に車を止めた。車から降りたら、前方からも後方からもミラノメンバーのロードバイクが走っては通り過ぎていく。

 この道路を何往復もするトレーニングが、今日のアサランの主目的だったのだ。なんとストイックな日曜日。

 ふと気づいたら、トラクターが現れこっちに合図を送っていた。農道に入るから車をどかせという意味だ。私たちは車に乗り込んで運転を再開することにした。

 

 ミラノメンバーの自転車が前方を1列で走っている(必ず1列だ)。車がどんどん追い抜く。自転車ライダーはこっちを見て手を振る。

 先行の車が詰まって速度が落ちると、ライダーがどんどん追い抜く。

「クルーザーと戯れるイルカの群れみたいですね」と言ったら、

「知っている人にはそう感じていただけるんですが、自転車を嫌う人は迷惑がるんですよ」と岩澤さんが答えた。

 自転車の列はときどき順番が入れ替わるようだ。

 「先頭は風よけ役。随時交代するんです」とのことだ。

 

  やがて車は松戸野田有料道路から外れ緑豊かな道路を走り、沿道のローソンの駐車場に入った。

 先に着いていた自転車乗りたちが休憩していた。あとから到着する人たちもいて、アサラン参加者は合計20人ぐらいだったことがわかった。

 今回の参加者たちの年齢は、いちばん若い方が29歳で最高齢は68歳だそうだ。60代はあと2人いた。意外と年齢層が高い。

 68歳の方は自転車を初めてまだ7年だというから驚き。60代でロードバイクデビューなのだ! 精悍な体つきだったので何かやっていたのかとお聞きしたら「百姓だ」というあっさりした返答。


 

「ああ、一番若いのはオレです!」と26歳の岩澤さんが手を挙げた。

 

 岩澤さんはどんな人なのか、クラブメンバーの1人に聞いてみた。

「メンバーはみんな年長なのに、それを束ねる力量はすごい。頼れる男だね」

 

 アサランはこの場で解散となった。11時ごろだった。岩澤さんは草加に戻りこれからミラノを開店する。

 定休日の火曜と水曜は何をやっているのか尋ねたところ、有志を募ってツーリングに行くという。そこでもサポートカー担当だ。

 

 自分では自転車に乗る暇などない。1年中、自転車乗りたちをサポートする役割に徹しているのだった。

 

※埼玉県のスポーツサイクル専門店 ROAD GALLERY MILANO

http://rg-milano.jp/


「ロードギャラリーミラノ」

草生人2013年初夏号「自転車特集号」にて取材させていただきました。

PDFファイルのダウンロードはこちらから:http://www.asymos.com/soseijin/isuue/



試し読みできます

ヤンキー文化が発する 街おこしのメッセージ 2013年8月15日号

●漢字の当て字のチーム名

 

 よさこいの連の名称に暴走族のような漢字の当て字が目につくため、暴走族とでも関係があるのではないか、と心配する人がいた。

 去る7月20日と21日に開催された草加よさこいサンバフェスティバルに出演した連だと、輝楽喜楽連(きらきられん)、疾風乱舞(しっぷうらんぶ)、朝霞襲雷華撃団(あさかしゅうらいかげきだん)あたりが、そんな余計な心配を引き起こすのだろうか。

 実際には輝楽喜楽連は草加市内の大人の女性チーム、疾風乱舞は平塚のダンススクールが母体となった若い女性たちのチーム、朝霞襲雷華撃団は朝霞市の若い男女のチーム。いずれも暴走族と無縁だ。

 ちなみに疾風乱舞は数々の受賞歴を誇る有名なチームである。今年の11月4日の「踊るん♪よさこい」にも出演するので、その艶やかな美の乱舞をぜひ見逃さないでほしい。

 

●よさこいに連なる「ヤンキー文化」

 

 裾の長い和のテイストの衣装や気合いの入ったかけごえから、よさこいと原宿竹の子族やヤンキー文化との類似を指摘する人は多い。

 この数年、ヤンキー文化は研究対象になりつつあるようだ。

 たとえば以下のような書籍が刊行されている。

 

ヤンキー文化論序説』(五十嵐太郎著)

 あらゆるジャンルの研究者、ライターたちが、硬軟あらゆる側面から日本に偏在するヤンキー的なものを執筆した本。

世界が土曜の夜の夢なら ヤンキーと精神分析』(斎藤環著)

 精神医学者がヤンキー的なあらゆる事象、矢沢永吉、B ' z、EXILE、木村拓哉、白洲次郎などを分析しつつ、日本人の国民性をあぶりだす。

 

 ヤンキーな男女は日本中に大勢いて、生活や文化を享受している。ヤンキーじゃない人というと、どうやら「おたく」などがその代表といえるようだが、おそらくヤンキー層のほうが多数派なのではないだろうか。

 また、ヤンキーは「今・ここ」を肯定するメンタリティだと、大学の講義で聴いてきたと娘が言った。八百万(やおよろず)の神々がいる日本は、どこも神聖な場所であり、つまらない地元もすばらしい故郷たりうるのだ。これがヤンキーが地元で踏ん張って幸福を追求する動機なのかもしれない。

 最近草加のよさこいチームの関係者と話す機会が多い。彼らはみな仕事に熱心な市民であり、またまちづくり、まちおこしの活動にも情熱を傾けるきわめてまじめな大人たちだった。彼らはよさこいを通して街を元気にしようと真剣に考えている。

 よさこいに燃えるとき、自分の中のヤンキー魂に出会うのだろう。

 ヤンキーこそ地元の仲間がひとつになる共通の精神なのだろう。

 

●ヤンキー発のポジティブなメッセージ

 

 ヤンキー文化が気になり始めてから、ヤンキーならではの熱いメッセージが筆者の心にも届き始めた。

 たとえばNHKの連続テレビ小説『あまちゃん』。橋本愛が演じる足立ユイは上京してアイドルになる夢を持っていたが、家庭のトラブルが元で夢が破れ岩手県北三陸に留まらざるを得なかった。そして見る見るうちに風貌、言動が不良に、すなわちヤンキーになっていった。

 だが、周囲の愛情によって明るさを取り戻し、最後は親友の天野アキ(能年玲奈)といっしょに地元のアイドルになった。まちおこしに身を投じたのだ。

 ヤンキーの青春模様を歌い続ける氣志團は、去年から「氣志團万博」という音楽フェスティバルを南房総(袖ヶ浦)で開催し、「自分の生まれ故郷で生きる若者たちに、勇気を与えること」という夢を高らかに掲げた。

 EXILEは斜に構えて威嚇するような目つきの男たちだが、彼らが歌う「Rising Sun」には日本の明るい未来を信じるまっすぐでポジティブなメッセージが込められている。

 これからの日本を考えるとき、ヤンキーは無視できないと思う。自分の中のヤンキーを見つめなおそう。


試し読みできます

草加ふささら祭り「踊るん♪よさこい」レポート 2013年11月5日号

 2013年11月4日(月・振休)、草加ふささら祭り2日目、綾瀬川左岸広場のメインステージと、県道草加足立線と、綾瀬川沿いのウォーターフロントステージで、40組のよさこいチームによる大規模なよさこいイベント、「踊るん♪よさこい」が開催された。

 雨が降ったり止んだりの最高とは言えないコンディションだったが、合計2,000人にも及ぶ踊り手たちの演舞を観客たちは熱く見守った。

 強い印象を残したチームがいくつかあった。

 

維新~心ひとつ~」は千葉県鎌ヶ谷市から来たチームだ。

「維新」というチーム名と「新撰組」をイメージするような衣装から明治維新の時代を連想する。もっとも新撰組は維新派(倒幕派)の敵なのだが。激動の時代に寄せて若者の生き様を表現しているのだろう。

 青春の焦燥と夢を歌い上げる音楽がいい。途中メンバーたちが声を張り上げて一緒に歌う。「でも僕には仲間がいる!」。

 

※参考:Youtube「維新~心ひとつ~ 鎌ヶ谷駅前祭り オリジナル 2013 07 27」

http://www.youtube.com/watch?v=q9EeLhw4HnM

 

 明治維新の時代に寄せたチームがもう一つあった。会津から来た招待チーム「郷人(ごうじん)」。テーマはずばり白虎隊。

 演舞冒頭で、女性鉄砲隊がズドンと一斉射撃。これはただのよさこいじゃないと気づいた。大人数の若い男女が力いっぱいのダンスと表情で表現するのは歴史の悲劇と生命の輝き。ミュージカルの一場面のような完成度。見守っていた他のよさこいチームが感嘆の声をあげていた。

 

※参考:Youtube「郷人 ~2013YOSAKOIソーラン祭り(ファイナルステージ)」

http://www.youtube.com/watch?v=b4RUWd6l6cM

 

 平塚からの招待チーム「疾風乱舞」は中、高、大学生の女性だけのチーム。

 さきごろAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」の「神奈川県 Ver.」という動画がYoutubeで公開されて話題になっていたが、疾風乱舞はそこにも登場したほどの神奈川を代表するよさこいチームだ。

 激しいメタル系ロックに艶やかな衣装とつけまつげばっちりの化粧で、不敵なほほ笑みと前方を睨みつける、いや、ガンを飛ばす凛々しい表情からふと浮かんでくる言葉は「レディース」。個人のダンススキルも素晴らしい上に、衣装や持ち物(傘や扇子)の変化の効果もあって、変幻自在な舞台構成の豊かさは1回では味わい尽くせない。ステージのあと、県道の流し踊りもフォローせざるを得なかった。

 

※参考:Youtube「原宿スパよさ'13 疾風乱舞 - 飛天夢想」

http://www.youtube.com/watch?v=o_0V_zL9mtg

 

 福島からの招待チーム「うつくしま復興PR隊」は小さい子供から大人までの大所帯チーム。素朴な振付の曲なのだが、それが盛り上がりへの伏線。メンバーが客席周辺に散っては、他のチームの踊り手を引っ張って来ていっしょに踊らせる。どんどん踊り手が増えていく。しまいにはステージ周辺は踊り手たちが溢れて楽しさが溢れて、感動に包まれた。

 

 40チームが繰り広げたメインステージの最後に登場したのは地元草加の「team清門」。小学生と中学生を中心としたチームだが、最後にふさわしい大きい演舞。

 ところで「team清門」の県道での演舞が撮影された動画を紹介したい。ここでは自分たちの持ち歌、とくに最近の新曲で踊るのではなく、「うつくしま復興PR隊」のレパートリー曲を踊っている。

 すると途中で沿道にちょうど「うつくしま復興PR隊」が応援してくれている。清門の子供たちは彼らを踊りに引き入れて、いっしょに踊る。みんな本当に楽しそうだ。

 草加のお祭りでは草加のチームはホストとして客人をおもてなしする役割も演じなければならない。team清門は、7月のよさこいサンバフェスティバルでも他市からのチームとのコラボを堂々とこなしていたが、今回の頼もしい活躍ぶりはどうだ。自然に楽しく外部と交流できるような人材がよさこいから育っていくのは間違いない。

 

※参考:Youtube「team清門@2013 草加ふささら祭り・踊るん♪よさこい」

http://www.youtube.com/watch?v=1guyBG87ueU

 

 そのあと、メインステージでは司会者が前の週に行われるはずだった千葉県最大のよさこいイベント「ちばYOSAKOI」が台風で中止なってしまった事情を話した。今回の踊るん♪よさこいには、千葉県から7チーム参加していた。司会者は千葉のチームに、今ここでぜひ「ちばYOSAKOI」で踊れなかった曲を踊ってくれと呼びかけた。千葉からのチームがステージ上や前に駆けつけ、千葉よさこいの総踊り曲「ちばよさこい村」を踊った。

 いや、千葉だけではない、埼玉のチームもその他のチームも大勢がいっしょに踊っていた。みんな踊れるのだ。よさこいの一般教養か。

 感動のフィナーレへと心の準備が整ってきた。

 大旗の競演。何十本もの旗が舞う。

 司会者が声をかける。「そのまま旗を立てていてください」と。「2分後に飛行機が飛んできて、ここを空撮します!」

 来た。南西の方向からまっすぐこちらに飛んでくる。セスナだ。

 無数の大旗が空に向けて掲げられ、踊り手たちは鳴子を振り上げた。

 セスナは上空を2回旋回して去って行った。

 

 フィナーレ。曲は「よっちゃれ」。2000人全員踊れる、これもよさこい界の共通言語だ。

 最後は「うらじゃ音頭」。これまたよさこいの必須演目。踊り手たちが輪を作りながら踊る曲。雨が強くなってきた。踊りの輪はますます大きくなってきた。

 

 こうして今年の踊るん♪よさこいは閉会した。

 


試し読みはここまでです。続きは購入後にお読みいただけます。

この本は有料です。閲覧するには購入する必要があります。
購入するにはしてください。
有料本の購入に関しては、こちらのマニュアルをご確認ください。
販売価格100円(税込)

読者登録

ASYMOSさんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について