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帰り道

帰り道     ツナマヨ

 

 

空からは水滴が

ポタリポタリ

 

 

部室を一人で片付ける

つもり

鍵をもらいに

職員室へ

 

 

鍵がない

そんな現実を受け入れる

 

 

水滴無視して

走る

 

部室に向かって

走る

 

 

鍵は空いていた

 

 

ドアノブひねり

中へ

 

 

タオルを首にかけた

マネージャーが

振り向いた

 

 

自然と笑みがこぼれる

 

 

一瞬で心が満たされる

 

 

 

 

 

 

 

帰路には傘をさす

二人の影が

伸びていた


五時間目

五時間目     加藤

 

 

チャイムが鳴る

席には着かない

やつはまだ来ない

 

やつらはサルだ

騒ぎ、食い、寝る

上裸が目に入る

 

方程式より弁当だ

実験よりゲームだ

音読より睡眠だ

 

弁当より方程式だ

ゲームより実験だ

睡眠より音読だ

 

チョークが耳障りだ

板書が目障りだ

やつが癪に障る

 

会話が耳障りだ

スマホが目障りだ

やつらが癪に障る

 

チャイムが鳴る

ノートは真っ白

気分は爽快

 

黒板は真っ白

気分はどんより

チャイムが鳴り終わる

 


新     ツナマヨ

 

 

春から始まる

新しい生活

 

新しいものを

買いそろえる

 

新しく始まる

新しい生活を

新しい気持ちで

新しく迎える

 

ワクワク感

 

始めて教室に入る

その瞬間

ある気持ちが

自分の脳裏を横切る

 

―トモダチ デキルカナ―

 

不安と―

不安と―

 

ドキドキ感

気持ちがいっぱいの中

 

続いてやってくるのは

センセイ

優しいセンセイ

怖いセンセイ

面白いセンセイ

はたまた

大きいセンセイ

男のセンセイ

 

どんなセンセイが

やってくるのか

 

心配で―

心配で―

 

心の中は

 

ドッキンドッキン

バックンバックン

 

高鳴りしている

 

ガラガラッガララッッ

 

ドア開いて

新しいセンセイがやってきた

 

見た目は怖い―

 

けれど

 

だんだん話していくと

心は落ちついてくる

 

なんだか

優しいセンセイに

思えてくる

 

 

朝が過ぎ

期待と不安が入り混じった

昼がやってきた

 

 

なぜかって…

給食だからさ

またある気持ちが

自分の脳裏を横切る

 

―キライナモノ デルカナ―

ふと見た空は

雲でいっぱいだった

 

 

給食の時がやってきた

 

 

危うく

キライナモノは

無かった

 

少し

ホッとした感に

おおわれた

 

あたたかい

あたたかい

やわらかな

陽射しで

 

ドギマギしたまま

生活してたら

 

続いて帰るときが

やってきた

 

そしてまたまた

ある気持ちが

自分の脳裏を横切る

 

―ヒトリデ カエルノカナ―

 

もう一つの気持ちも

自分の脳裏を横切る

 

―トモダチト カエリタイケド

                トモダチ イナイシナ―

 

不安

不安

不安の

気持ちだ

 

 

センセイの声が鳴り響く

 

―サヨナラ―

 

普通の挨拶だが

突き放されるように聞こえる

 

―トモダチト カエルンダヨ―

(ト、トモダチッ!?)

 

僕はトモダチなんていません

 

そう言ってやりたかった

 

でも

言えなかった

 

空がまた曇り

太陽が雲に負けていた

 

その瞬間

 

―ネェ イッショニ カエロ?―

 

言葉が出なかった

なんと言い返そうか

というより

自分に向けて

言われた言葉なのか

 

口が勝手に開いた

 

―イイヨ―

 

自分でも訳がわからない

さっぱりわからない

 

なぜ言ったのか

なぜ口が開いてしまったのか

 

トモダチではないのに

トモダチ扱いされたのは

 

初めてだった

 

 

楽しい時間が過ぎ

家へたどり着いた

 

母がいた

 

いつもとは違う

優しい目をしていた

 

今日の出来事を

隅から隅まで伝えた

 

伝え残すことなく

伝えた

 

夕方

外へ出た

 

みんなが歌っていた

 

新しい草が

新しい森が

新しい川が

新しい山が

新しい風が

新しい海が

 

そして

 

真っ赤な

真っ赤な

新しい夕陽が

 

僕のために

歌っていた

 

僕は

新しい月と星が

歌うのを待っていた