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算命学余話 #U26 (page 1)

 前回の余話では「男性的な直線思考」と「女性的なループ思考」に触れましたが、この点を算命学的に説明すると、男性(陽)は「外側への発展」を、女性(陰)は「内部の維持」をそれぞれ意味しています。

 これを人間の体に譬えるなら、生まれたばかりの赤ん坊はその後摂取した栄養を成長のために使い、すくすくと大きくなります。大人になるためには急いで「発展」しなければならず、生命維持以上の養分摂取ができなければ少なくともサイズ的には大人になれません。故に人間の成長期には直線的ともいえる猛烈な推進力、発展力が必要なのです。

 

 一方、子供が成長して大人になればもうそれ以上の成育は必要なく、肉体的成長は自然に止まり、後はその体格を維持するための養分摂取だけで済むようになります。仮にそれ以上摂取してももはや成長はせず、贅肉がついていくだけで却って害になります。しかし成長が止んだとはいえ活動は続いており、少なくて済むようになったとはいえ養分は現状維持のために効率よく摂取・消化されなければなりません。食べ過ぎれば健康を損ね、食べなくても害になる。その間の丁度いいバランスを保つ力が要求されるようになるのです。

 ダイエットでお悩みの皆さん、これは簡単な真理です。あなたが本当に肥満しているなら、それは食べ過ぎのひと言に尽きます。そして食べ過ぎている自分を自覚できないほど、あなたの脳はバランス感覚をどこかで失ったか、元より成長過程で取得できなかったということです。具体的な原因についてはあなたを育ててくれたご両親にお尋ね下さい。

 

 産業革命から構造主義を経て今日に至る消費社会にあっては、生産性の向上があたかも人間の幸福と同義であるかのように宣伝されてきましたが、これは男性的直線思考にすぎないというのは、上述の例でも判る通り、社会が「成長期」にあったから通じたセオリーであって、ある程度成長してしまった肉体がそれ以上巨大化しないように、社会もまた成長を止めて維持保存に努め、無用な肥大化をやめる時期がやってくる。成長期でもないのに細胞が増殖するということは、それはガン細胞だということです。維持存続すべき時期に成長にこだわる社会は、ガン化してさまざまな疾病を招くのです。

 

 こう見ると、先進国として永らくやってきた日本は既に充分成長し、あとは維持存続がテーマになってくるので、もはや男性の出番はなさそうに見えます。実際、社会には女性が進出し、男性が不得意とするそのバランス感覚が重宝される時代であり、そのトレンドに合わせて生き残るべく草食男子が増加している。社会進出の機会を得た女性たちはその対価として出産の機会を減少させ、少子化が進んでいるけれども、もはや成長する必要のない社会であるならば、子だくさんを奨励する必要はありません。かつて日本政府が「産めや育てや」と連呼していたのは、戦争で人手が足りなくなって補充したかったからであり、戦禍による窮乏で日本が再び「成長期」を迎えたので、細胞が直線的に増殖することが求められたからです。

 

 戦後から高度成長期に猪突猛進してきた肉食男子は用済みになったのでしょうか。いいえ、それは一時的にはそうですが、将来的にはまた活躍の季節がやってきます。なぜなら維持保存というのは、実は簡単でもなければ恒久的なものでもないからです。バランスボールに乗り続けるのが難しいように、丁度いいバランスをとるのは結構難しく、少しの衝撃で一気にバランスを崩してせっかく築いて来た積み木の城が一挙に崩れ去るということが起こり得る。維持保存状態は一見すると安定しているようですが、実は不安定要素を内在させており、その不安定性が本体の土台を突き崩した時、新たに更新された成長期がやってくるのです。こうして陰陽は常に入れ替わって巡るのです。


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最終更新日 : 2013-10-14 13:14:44

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