閉じる


試し読みできます

まえがき

滅びの時代である。

おおよそ意思決定は代表議会によるのではなく宗主国によるのであり、諸制度は多国籍資本によって改定されるのであり、もはや様相は社会調整機能の一切が東インド会社というコングロマリット(半官半民の植民地企業体)に委ねられたイギリス領インド帝国となんら変わりがないだろう。つまり本質としてこの体系は「半植民地(Semicolony)」なのだ。

過去10年にわたり外国勢力の要求に従い、労働者の非正規化、医療・福祉・教育の切捨て、東証企業の外資化が推進されたのだが、その結果天文学的なカネが国民経済から揮発し、社会も人心も荒廃世界の様相を呈している。つまるところTPP(自由貿易構想)とは侵略の終章であり、それはすなわち今後100年以上に及ぶ我々の奴隷化を意味するのである。

原発事故はもはや収束の目処が立たず、住民の被曝が累積しながら行政は無策であり、むしろ汚染ガレキを拡散し汚染食品を流通させるのであり、そのような人間理性に反する振る舞いは集団自殺するレミングの群のようであり戦慄を禁じえないのだ。

我々は単層の危機ではなく(経済侵略、原発事故、財政破綻という)重層の危機に直面しているのだが、厳戒な報道管制によって知覚を欺かれ、未だ何が進行しているのかすら理解できないのだろう。あらためてメディアとは知性のロールシャハ・テストであり、見識のリトマス試験紙であり、それに整然の秩序を見出すのか、周到の作為を感知するのか、あるいは隠然する殺意を抽象するのか、向き合う者の原質を対面鏡のように映し出すのだ。

かくして本書の狙いは荒廃世界を生き抜くフレームワーク(認知的枠組)の提供である。略奪者の内在論理を暴く219の言葉とパラグラフ(解説)の対置は統合の試みであり、ある種の閃光とともに直感的な理解と瞬時の観念作用をもたらすだろう。

つまるところ我々は新世紀ファシズムに抗う精神(エートス)を模索するのであり、脱植民地化に向けたオルタナティブ(対抗理論)を構想するのであり、本書がその階梯(テクスト)となり、未来を切り開く手懸かりとなれば幸いである。

 2013年10月8日 響堂雪乃


試し読みはここまでです。続きは購入後にお読みいただけます。

この本は有料です。閲覧するには購入する必要があります。
購入するにはしてください。
有料本の購入に関しては、こちらのマニュアルをご確認ください。
販売価格700円(税込)

読者登録

響堂雪乃さんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について