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はじめに

まほろば天女ラクシュミー 1~8総集編

をお読みでない方はまずこちらからどうぞ。

山形県高畠町を舞台に繰り広げられる

ご当地美少女戦士のアクションコメディです。


まほろば天女ラクシュミー 9話 ラフランスの男(仮)

9話 ラ・フランスの男(仮)

 

               1

 

「ひぇっぶちん!」

「あらカゼ? それともぼたんちゃんのことを誰かさんが…」

「ちょっとやめてったら……って、前にもこんな話しなかったっけ?」

「ああ、青木君のときね……」

 そういって千代ちんは少し遠い目をする。

 ここは中学校の図書室。いまのくしゃみで、珍しく大勢いるほかの利用者の視線がこちらに向いて少し恥ずかしい。

わたしたちは数日後の文化祭の展示へ向けての調べ物をしていた。

展示のテーマは「高畠の歴史」。

各地区の歴史を共同学習で学ぶことで歴史認識を共有し、いまだギクシャクしてる旧学区の地域間の意識を取り払う、というのが目的らしい。

とはいえ、テーマが固く面白みにかける上に、三年は受験、二年と一年は部活で、面倒なことはわたしらのような文科系だのスクールカーストの低いほうへとお鉢が回ってくる。ここにいるのはみんなそんな面子だ。

わたし達二人はミスター生き字引のシンハがいるから余裕だろう、と軽い気持ちで大まかなまとめの役を引き受けた。しかし、シンハのしゃべる内容が微に入り細に入り細かい上に、おっかな橋の岩井戸の話のように、史実の裏側であったりまったく逆の話だったりと、正確ではあるんだろうがあまりにも記録とかけ離れた点も多く、発表するにも発表できないような中身であった。

結局、夏に訪れた犬の宮の縁起をまとめることにした。

お話のメジャーさに加えて、大和朝廷の進出があの話の大本にあったというのがスケールが大きいような感じがして、純粋にすごいと思ったためだ。

「はい、風邪の予防のビタミンC」

 そういって千代ちんはカバンから密閉容器を取り出した。

 中には皮をむいて八つ割りになったラ・フランスが入っていた。

「あ、それじゃさっそく」

 わたしはプラスチックの楊枝でラ・フランスを突き刺し口へと運ぶ。

「?」

「昨日もらったラ・フランス。さっそく剥いてきてみたんだけど」

わたしの表情を見て千代ちんが心配そうに声をかける。う~ん、ちゃんと教えずにわたしたのがまずかったなと思いながらもまずは口の中をきれいにしないと……

「君たち困るよ図書室での飲食は、いつもこんなことしてると思われたら新聞部のポジション、立場がなくなるじゃないか…」

 そういいながら現れたのは大河原部長だった。

 わたしはあわててラ・フランスを飲み込もうとしてむせてしまう。

 千代ちんもあわてて密閉容器にふたをしようとするが、部長はすばやく容器からラ・フランスをつまみ上げ口の中に放り込んだ。

「……ん、こりゃあれだ、まだ熟してないじゃないか……」

「え?熟してない?」

 容器にふたをする手を止め千代ちんが部長の顔を見上げた。

「あのね、ラ・フランスってへたの周りが柔らかくなってからが食べごろなのよ」

「追熟って言ってね、収穫してから2、3週間くらい置かなきゃならないんだが、このくらいだとあと4、5日ってところかな」

「へぇ~、ちゃんと言ってくんなきゃ、ぼたんちゃん」

 千代ちんがくちばしをとがらせる。

「確かに昨日食べたとき言うほどじゃないなぁって思ったのよねぇ」

 再度容器のふたを開けラ・フランスをひとかじりする千代ちん。

「4、5日後って言ったら文化祭のあたりか、じゃその日のお弁当のデザートね」

「その文化祭の件なんだがな…」

そこまで部長が言いかけたところに先生が入ってきた。

わたしたちは背中を向け大慌てで容器をかばんの中へとしまう。

 先生はわたしたちには気にも留めずに用事を済ませて退室した。

 三人顔を見合わせて、ほっと息をつく。

「あ、そうだ、ここに来た用事なんだがな、その文化祭の部活ごとの発表の際の待機スケジュールを持ってきたんだ」

そういって部長は紙を一枚かばんから取り出し目の前に置いた。

「ええっと、はじめに私と吉田君、次が日下部君と青木君、そして最後が部長とぼたんちゃん……ねぇ……ふぅん」

「え~、わたし千代ちんと一緒がよかったなぁ……」

「そう言わんでくれよ、君ら三人は同じクラスだからバラかさないとまずいだろ」

「そうですか、そうですよね。わかりました」

「それじゃぁ細かい打ち合わせをあさってここでするから青木君にもそういっておいてくれ」

 そういうと部長はかばんを肩にかけなおす。

「あれ、今日は早いですね」

「いや、調べ物がここの資料じゃ間に合わなくてね。町の図書館へ回っていくよ、じゃ」

 そういうと部長は手をひらひらとさせながら行ってしまった。

 部長が図書室から出て行くのを見送ってから振り返ると、千代ちんが妙にニヤニヤした顔をしながら先ほどのスケジュール表を眺めていた。

「どうしたの?そんなににやけちゃって?」

「いやぁ、さっきのくしゃみの元がわかっちゃったかなぁって」

「くしゃみの元???」

 千代ちんが身を乗り出し、小さな声で何か不安になるようなことを言い出した。

「部長よ、クラシックカーの後あたりからなんか変わったなぁって思ってたのよねぇ…」

「はぁ? ちょっと、何を根拠にそんな……」

「根拠その一、最近べたべたされなくなったわ」

「そうなの?」

「あんまり男どもがべたべたしつこいから、青木君に変身したのをきっかけにシンハをカモフラージュにしてたのよ。吉田君は引っ込んだけど部長は相変わらずだったわ……」

「そんなこと考えてたの……」

 千代ちんのしたたかさというか腹黒さというか、知りたくなかった一面を垣間見たような気がして軽く引いてしまう。

「そう、でもね、クラシックカー以降興味がほかに移ったかのようにピタリとおさまったのが気になってたのよ」

「クラシックカーってあの言い争いみたいになったとき? あれから嫌われて距離おかれてるのかと思ったのに……」

「ほうほう、距離感が変わった事は気づいてたのね」

「うん、でもよそよそしくなったのは嫌われたからだとばっかり……」

「ふっふーん、でもあっちはそうじゃなかったみたいね。じゃ、それを根拠その二としましょうか」

「まだ何かあるの?」

「そう、とどめの根拠その三がこのスケジュール表よ」

 そういってスケジュール表を指でつつく千代ちん。

「一緒だからって、た、たまたまかもしれないじゃない」

「一緒だってのもあるけど、注目すべきは時間帯よ」

「時間帯?」

「そう、部長とぼたんちゃんの時間帯は大野君たちのバンドの時間と重なってるのよ」

「バンド……でも大野君たちそんなには……」

「そう下手だわ。でも、この文化祭で垢抜けた企画はあのくらいのもの、だからほかの展示はヒマになる」

「ヒマになるって……」

「つまりこの図書室でぼたんちゃんと部長は二人っきり!」

「ふた……」

 最後まで口に出して言いたくないそのロケーションを想像して身も心も凍りつくような思いがした。

「千代ち~ん……」

 わたしは不安で千代ちんの袖にすがりつく。が、彼女はまだニヤニヤしながら、

「ぼたんちゃん、失恋の痛手を治すには新しい恋をするのが一番よぉ」

 なんていってのけた。

「ちょっとやめでずぅ~」

「お、久々に方言が出たねぇ。まぁ大丈夫よ、イニシアティブ握ってるのはこっちだもん」

「イニシアティブ? 何よ、千代ちんまで部長みたいに難しいコトいって」

「イニシアティブが難しい、って……主導権よ主導権。 恋は惚れさせた方が勝ちなのよン」

「惚れさせた方がって」

「そう、つまり今はぼたんちゃんが勝ってるのよ、主導権を握ってるの!」

 あまりの展開に言葉が出てこないわたしに千代ちんはなおもしゃべり続ける。

「二人っきりになる時間を作ろうとするくらいだもの、部長はいろいろと作戦を練ってるはずよ。でもそうねー、今みたいに動揺してたら、うまく丸め込まれて主導権を奪われちゃうんだから」

「うばわ…れる…」

「そう、部長と付き合うことになるのよ」

「付きあ…」

 映画みて、カラオケ行って、ショッピングして、スイーツを食べて、それから……

いつか彼氏ができたらしてみたいこと、そのすべてのシーンに部長の顔が張り付く。

バラ色で思い描かれていたすべての景色がそれだけで灰色に変わる。

「やんだ! 絶対やんだ!」

「ちょ、声でかいよ!」

 知らずに立ち上がって叫んでいたことを千代ちんに上着の袖を引かれて気づく。ほかの生徒の驚いたような視線の中、わたしはあわてて口を押さえると再び席へと付く。

「ま、そんな感じでちゃんとお断りすれば、ネ」

千代ちんは無責任にそういって作業に戻ったが、わたしはといえばこのとき芽生えたモヤモヤのせいでその日一日は何も手につかなかった。

 

               2

 

体育館のほうから不規則なドラムの音と調子の外れたギター、そして勢いだけのボーカルが聞こえてきた。ちゃんとはっきり聞こえるならまだごまかされるのかもしれないが、マイクとの距離が定まらないのかボリュームが上がったり下がったりして、それがさらにイライラをつのらせる。

にもかかわらず元から少ないお客さんが体育館のほうをチラ見して図書室から出て行くということはあの曲に引き寄せられてるということなんだろう。

「あ、冬咲君もバンド見に行きたかった?」

「え、いや、わたしはそんな……」

 受付に並んで座る部長に気を使われてしまった。

 最後の一人が図書室から出て行く。

ついに訪れてしまった二人だけの時間……

なんて言ったらまるでわたしが望んでいたようになってしまうじゃない。

沈黙……わたしにとっての気まずい沈黙。

ひざの上で指をパタラン、パタランとさせていると、部長が前かがみになり、組んだ手の甲にあごを乗せながら口を開いた。

「冬咲君のトコはクラス展示、何にしたの?」

「わ、わたしのトコは、その、犬の宮のコトでお茶をにごしたって感じで……」

「……そう……」

 再び沈黙が流れる。

 違う、いつもの部長なら聞かれてもないことまでまくし立てるようにしゃべり倒すのに……

 と、思っていたら再び部長が口を開いた。

「今回のクラス展示のこと生徒会に提案したの、あれ、僕なんだ……」

「へぇ、そうなんですか……」

 何なんだろう、自慢なんだろうか? あんな面倒でつまんないコトという認識が大半だと思うんだけど……リアクションに困ってしまう。

「高畠町の歴史って言うテーマにしてもらったのはね、もっとこの町のこと改めて見つめなおしてほしいなって思ったからなんだけど、なんかね……午前中見て回ったら縄文時代とか江戸時代のことばっかりでさ……狙いと違ったなってがっかりしちゃって……」

「はぁ」

 ずいぶん上からで勝手なこと言ってるなぁ、という思いは出さないように相槌を打つ。

「縄文時代のコトなんか日本中にごろごろ転がってるし、県内だったら舟形町の縄文のビーナスにほとんど持っていかれてるようなもんさ。本当に面白い歴史は、その町を形作る元を探すのは近代史だっていうのにな……」

「はぁ」

 部長の語りが始まった。

「たとえば知ってるかい?おしどりミルクケーキの日本製乳、山形の片田舎なのに日本の名前がついてるんだ。雪印だとか森永だとかそんな大手ブランドの乳業メーカーを差し置いて日本製乳だよ。何でかわかる?」

「それは……」

 なるほど、言われるまで気がつかなかった。そういえばなんでなんだろう?

「答えは日本で一番最初に製乳メーカーとして立ち上げたからなんだ。大正八年の事らしい、当時横浜に住んでた外国人が日本製乳の粉ミルクで子供を育ててたなんていう話だそうだ」

「へぇえ……」

 素直に驚いた。

「ほかにも日本一といえばラ・フランスを日本で一番最初に導入したのも高畠町だよ。まぁ、バートレットの受粉用という形からだったそうだけどね」

「へぇ……」

「そのほか今は跡地がコンビニになっちゃったけど長谷川製糸工場なんてあったりね、富国強兵政策下の日本が発展していく中、高畠にも様々な産業が芽生えてどんどん豊かになっていったんだ」

「すごかったんですねぇ……」

 部長の声が熱を帯びてきた。並んで前を向いていたのだが、部長は片手を机の上にバンと置きこちらを向いて、もう片方の腕を振るいながら話を続ける。

「富国強兵といえば工藤俊作艦長だ。知らないかい?テレビでドキュメンタリーにもなった。 敵兵を救助せよ!洋上で発揮された武士道精神!漂流していた敵水兵を危険をかえりみず救った勇気と優しさを兼ね備えた英雄。彼も屋代の出身だ。戦後になってからの高畠だって、たとえばNECの工場を誘致したり、高級な食品で知られるセゾンファクトリーができたり、小森マシナリーなんて会社は印刷機器を作ってる会社なわけだけど、ここの製品は世界各国のお札を作るレベルの機械なんだ」

「お札を……」

いつの間にか話に引き込まれていきそうになる。

「工業面だけじゃない、文化で言えば言わずと知れた浜田広介先生がいるし、農業で言えば上和田有機米だ。国内でも当時は珍しかった有機農業をこの高畠町から発信したんだ。今でも米の食味コンクールで何度も賞を取っている。上和田という名前が先行したから高畠と結びつけるのが難しいとか何とか大人の人に聞いたことがあるよ……」

 と、そこまで言うと部長はなぜかうなだれて、再び正面を向いてしまった。

「本当は、こういうことをみんなに調べて発表してほしかった……」

「部長……」

 声をかけつつ先日の千代ちんの言葉を思い出す。

落ち着けわたし! うまく丸め込まれて主導権を奪われちゃダメだ!

流されないようにと再び部長の言葉に身構える。

「冬咲君は覚えてるかなぁ、何年か前夏祭りにニコニコ町会議なんてのが来たこと」

「あぁ、そういえばありましたねぇ」

 確か平成二十五年の夏だったかな、日本で一番大きな動画サイトのイベントが突如高畠にやってきたのは。女子高生が応募したから来たなんて言ってたような気がしたけど……

「あのイベントがくるときね、選考基準って言うのかな、寂れてる感じがするから、なんて意見が出たんだって」

「えぇっ!」

 それは初耳だった。なんだかがっかりした。

「お祭りのときは面白かったんだけど、後でそれを知って、なんだか悔しくなってね……、で思ったんだ。僕の手でもう寂れたなんていわせないような町を作ってやろうって、ね」

「……」

「この新聞部を立ち上げたのもそのためだし、高畠の町を盛り立てるには何をしたらいいか、いろんな大人に聞いてみたり、いろんなもの調べたりね……こういう話を覚えたのはその結果なんだ」

「はぁ……」

「そこでね、気がついたんだ。こういった新しい町の形を提案した人って何かかにか事業を興している、って。富国強兵だったり、高度経済成長期だったり、時代の流れにうまく乗ったからって言うのもあるだろうけれど、何かしかの大きな事業を興してこの町の形を作ってきたって。僕はそういった人たちの気持ちをこの企画でみんなに知って欲しかったんだ……」

「でも……」

「確かに、回りくどい方法だったし、うまく伝わらなかったみたいだ。だから……だから君にだけはこの思いを聞いて欲しくてね……」

 よりによって、

「わたし……に……」

「ああ……この間のクラシックカー、まずは失礼なことを言ってすまなかった」

「あ、いえ、もう……」

「あのときの君の意見を聞いて思ったんだ、君の目は未来を向いてる、君と一緒に未来の高畠を作りたい。って……」

「…………」

 部長はイスごと体をこちらに向け、さらに暑苦しく言葉を続ける。

「僕はいつかこの高畠町に新しい事業を興し、雇用を増やしたり、たくさん税金を納められるような、そんな男になりたいと思ってる。確かに夢見がちな話かもしれない、まるでドン・キホーテだ。でもね、この町を変えてきた男たちは夢のような話を時間をかけて現実のものとしてきたんだ。まるでラ・フランスが追熟しておいしさを増すように……ドン・キホーテがラ・マンチャの男なら、僕は……僕もラ・フランスの男になってやる、だから僕といっしょに!」

部長が興奮して立ち上がる。

「ちょ、ちょっとまってくださいよ……なんだかその、言葉が重くてまるで……」

中学生の告白どころかまるでプロポーズだ……

部長は目をつぶると胸に手を当てゆっくりと目を開き言葉を続ける。

「ああ、僕は本気さ。陳腐な言い方をすれば毎朝味噌汁を作って欲しい、一緒の墓に入って欲しい、君を一生守っていきたい、つまり……」

「や、や、だから部長」

わたしは腕を突っ張って距離をとろうとする。

「冬咲君は僕のことが嫌いなのかい?」

「そういうわけじゃないですけど……」

 ほんとはそうだけどそんなこといえないじゃない。

「じゃぁどうして……ほかに好きな人でもいるとか……」

 どうしてそういう思考になるかがわかんない。

が、ほかに好きな人という言葉でなぜか赤木君の顔が頭に浮かんだ。

その時、体育館のほうから大きな爆発音が聞こえた。

 

               3

 

「な、いったい何が……」

 部長は目を丸くしてイスの上に座り込む。

 わたしは体育館の見える窓まで行き外を見る。と、逃げ惑う学生や親の間を駆け回る紫色の犬のようなものが数匹確認できた。

 それを追うように体育館の窓をぶち破って出てきたのはミレニィだ。窓ガラスの破片が避難している人たちに降り注ぎ、悲鳴が上がる。

痛ましい。が、しかし眼下の混乱の中ではそれも些細なことに感じられてしまう。

「いったい何の騒ぎなんだ……」

 ようやく窓際まで来た部長があまりの光景に絶句する。

 先生たちの「落ち着いて!」の叫びは命の危険の前にはまったくの無力だった。逃げ出す人の波の中で何箇所にも転んで、それを踏みつけてといった光景が広がっている。

ミレニィも駆け回る狼ダデーナーを攻撃しようとはするものの、人ごみにまぎれると炎での攻撃が二次被害を生んでしまいそうで、もどかしそうに一匹ずつ追い掛け回している。

そんな中、一人の男子生徒がこちらへ向かって走ってきたかと思うと大きく跳躍した。

その人並みはずれた跳躍で図書室の窓をぶち破り押し入ってきたのは、青木君に変装したシンハだった。

「ぼたん! これをっ!」

 そういって如意宝珠をわたしへと放ってよこす。

「青木…君か、何だってそんなジャンプ……」

「それは……!」

 ガシャン!

 なんと説明しようかと思った矢先、狼ダデーナーがシンハを追ってきたのか二頭飛び込んできた。

 うち一頭はシンハへと飛び掛り、もう一頭が如意宝珠を持っているためか、わたしへと顔を向ける。

腰を落とし身構える。と、わたしと狼ダデーナーの間に部長が割って入った。

「ここは俺が食い止める! 早く逃げうわぁっ!」

 声をかける途中、振り向いたのをきっかけに部長にダデーナーが飛び掛る。

「部長っ!」

「早くっ! 冬咲君、逃げろおぉおぉ……」

 部長はわたしに飛びかかろうとするダデーナーに必死にしがみつく。

「部長!」

「何してるっ! 行けえっ!」

 きゅん……と胸が締め付けら……いやいや何かの間違いだ。

しかし部長の熱い気持ちは受け取った。

「部長、ごめんなさい。さっき部長が言おうとしていたこと、それには応えられません。でもこれからお見せする秘密。これだけはどうかお墓の中まで持ってってください」

「冬咲君!いったい何を!?」

 わたしは如意宝珠を高々と掲げ、

「オン・チンターマニ・ソワカ」

 と唱えた。

 

「冬咲君、なのか……」

 部長が驚きのためか力を緩めた。

 その隙を突いて、ダデーナーがわたしへと飛び掛ってくる。

 その狼の口のサイズのパリッチャを出すと、わざとそれを噛ませ、そのあとで大きく広げてやる。混乱した狼の腹部を殴りつけ、動きを止めたところをシンハを襲っているもう一匹に叩きつける。

「シンハ!文珠を! トゥインクルロッド!」

 トゥインクルロッドを引き出すと同時に、自由になったシンハが放ってよこした文珠をつかみエネルギーを吸い上げる。

「ラクシュミー・トゥインクル・ファウンテンッ!」

 もつれて動けないでいる二匹のダデーナーに、ノーモーションからのファウンテンをお見舞いする。

「ダ、ダデエェエェェェェエエエナアァァァアアアァァアァアァアアァァァ……」

 絶叫を上げてダデーナーが消えていく様を部長は腰を抜かしながら見ていた。

「部長、このこと絶対にみんなに内緒ですよ」

「……あぁ、情報提供者の個人情報の秘匿は、ジャーナリズムの鉄則だ……」

その言葉を聞くと、わたしと覆面姿になったシンハは混乱の続く校庭へと身を躍らせた。

 

               4

 

最初に見たときよりもだいぶ避難が進んだためだろうか、外は人がまばらになっていた。

しかしところどころ、特に体育館の入り口付近には転んで踏まれたのか、うんうんとうなっている人が倒れている。

その光景に何か引っかかるものを感じるが、まずは一刻も早く狼たちを追って浄化しないと。

ドン!

ドン!

ドン! ドン!

グラウンドに次々火柱が上がる。

ミレニィが狼を追っているのだ。

炎に包まれた狼が動きを止めた。チャンス

「トゥインクル・ファウンテン!」

 光がまっすぐ狼にのびて絶叫とともに浄化させる。

「ピオニィおっそーい!」

 こちらに気がついたミレニィがとなりへと降り立った。

「状況は?」

「残りは四匹、鬼ごっこでからかわれてる感じ。でも何が目的なんだか……人に直接危害を加えようとはしないのよね。大きい集団を追い掛け回してるだけで、でも特に何かに執着してるわけでもないし……」

「……?」

 さっき気がついた違和感。人を害するなら転んだ人に飛び掛って、もっとひどい目に合わせるはずなのに……何が目的? わたしたちをおびき寄せるため?

「何はともあれ文殊の回収だッハ」

いまだ砂煙が舞い上がるにもかかわらず、シンハがさっきしとめたダデーナーの元へと走りよった。

その砂煙が一陣の風で払われ、中から大柄な人影が現れた。

「赤木……」

 すでに文珠を拾い上げていた赤木君は、ねめつけるようにシンハを見ると重心を落とした。

 まさかこの間みたいに文珠を……

 わたしはとっさにシンハの前に立ちふさがる。

 パリッチャを展開するのと赤木君の手が出るのが一緒だった。

 バチン!と大きな音を立てて赤木君がはじき飛ばされる。

「シンハ! 戻って!」

 ミレニィの声に振り返るとシンハとミレニィが正面からぶつかって尻餅をついていた。

「ちがう! 小さく!」

 再び叫ぶミレニィに言われるままシンハが姿を変えると、ミレニィはシンハを抱き上げて赤木君の手の届かない上空へと飛び上がった。

「文珠が!」

「一個ぐらい我慢なさい! それより残り四体、校舎に入った! 追ってピオニィ!」

 言うとミレニィは火の玉を撃ち出す。

火の玉はわたしと赤木君の間に着弾し煙幕のように砂煙を立てる。

「でも……」

「ダデーナーを浄化させられるのはピオニィだけなのよ! みんなを! 早うわぁっ!」

大声に当たりを付けた赤木君が砂煙の中から跳び上がり、ミレニィの足にしがみつく。

「こんのぉ! 行って! ピオニィ!」

 そういうとミレニィはシンハを校舎に向かって放り投げた。

 情けない声を上げながら飛んでいくシンハを追ってわたしは走った。

 ゴゴウッ! という炎の音。

 ゴスッ! ガスッ! というこぶしとこぶしがぶつかる音が背後から聞こえてくるが……いや、ここは任せてシンハに集中だ。

 軌道が思いのほか高い。

校舎を駆け上がり、三角とびの要領ででシンハをつかまえる。

 同時にミレニィの様子を、ううっ、さっきより校舎側に来てる。押されてるみたい。

「とにかく中を片付けるッハ」

 目を回しながらもシンハがけなげにうったえる。

 わたしは二階の窓から体を校舎に滑り込ませると耳をすませた。

 悲鳴の方向は……あっちか。

 廊下へ出たわたしは悲鳴のするほうへと足を向ける。

 と、廊下をいっぱいにふさいでこっちへかけてくる一団が……

 とっさに壁を蹴り、天井に駆け上がり一団をかわすと、いた、追っかけてくるダデーナー。

すぐさま文珠からロッドに気力をチャージ。

反対側の壁に足を付けると同時にファウンテンを放つ。

「ダデエェェエエエナアァァァアアアアァァァ……」

 の、悲鳴の中にガラスの派手に割れる音。

「ごめえぇぇぇえぇぇ、通したぁぁぁぁあ……」

 ミレニィの声が聞こえる。赤木君が校舎へ入ってきたようだ。

 階段を駆け上がってくる常人よりも力強い足音。

彼の狙いはシンハ、なら。

わたしはシンハを抱えあげると手近な教室の窓辺へと走り寄り、

「口開いちゃダメよ」

 と短く言うとミレニィへと向かってシンハをぶん投げた。

 わたしの考えを理解したミレニィがシンハをキャッチし上空へと避難する。

 安心して振り向いたその時、背をかがめながら赤木君が教室のドアから転がり込んできた。

 彼は教室中を見回すと腕を振るいながら、

「文珠は? 青木に化けたあの犬はどこだ!」

 と叫んだ。

 その開かれた腕。皮膚の下には筋肉がまるで数千匹のミミズでものた打ち回っているかのように脈動していた。

「ダメよ! またこの間みたいに力が暴走でもしたら……」

 ちらりと自分の左腕を見た赤木君が、納得させるかのように、マッサージするかのように反対の手で揉みながら、

「大丈夫さ、少しずつ慣らしていけばな……」

 と、つぶやいた。

「でも、もしか……」

「なぜ俺を気遣う? どうせ消してしまう気なんだろう……」

「ちが……わた……わたし、赤木君を消したりなんかしないよ!」

 赤木君は顔を上げる。その目は恐ろしく冷たい。

彼は腰を落としながらゆっくりと教室の中央へと移動した。

きっとわたしが何かしたときに動きやすい位置へとの思いだろう。

その目、その声、その動き。

あぁ彼の中でわたしは「敵」なんだなぁ。そう思うと涙がにじんでくる。

「……どうして……」

 と、赤木君が問いかけた。

「だっ、だって友達じゃない……友達を消しちゃうなんて……できないよ……」

「……友達……」

 赤木君が意外そうにつぶやく。

「そうだよ、あの日言ったじゃない、友達になるって……」

 芋煮会の後、四人で笑った帰り道。赤木君も思い出したのだろうか、そっと目を伏せた。

 が、すぐに顔を上げると、

「しかし、俺はお前たちを……」

 と叫ぶ。きっとクラシックカーの日のことを言っているのだろう。でも、

「しかたないじゃない、青木君がやられて悔しかったんでしょ! わかるよ気持ち! 強くならなきゃって、あせってただけでしょ」

「わかったようなことを……」

 両のこぶしを握り締め、しぼり出したような赤木君の声は震えていた。

「そりゃ……全部はわかんないかもしれないよ! でも……でもつらいのや、切ないのはわかる。なんとか……なんとかしてあげたいの!」

「…………」

 わたしの視線を正面から受け止めきれず、赤木君は目を伏せる。その姿がなんとももごさくて、

「ねぇ……一人で抱え込むのはやめてよ……わたしも手伝うよ、青木君の敵討ち」

 と、声をかけた。

すると赤木君がゆっくりと顔を上げ、刹那、

「……うわぁああぁあぁぁあぁっ!」

 と、こぶしを振りかぶって襲い掛かってきた。

 それまでの彼からは想像もできないリアクションで、あまりのことにパリッチャを出す間も無く身をすくめることしかできなかった。

バキィッ! ドガッ!

背後から鈍い音がした。

恐る恐る振り返ると、いつの間に忍び寄ってきていたのか、狼のダデーナーが掲示物をまき散らしながら教室後方の黒板にめり込んでいた。 

「赤木君……」

「信じていいのか……その言葉……」

わたしは黙ってうなずいた。

 

               5

 

黒板に叩きつけられたダデーナーが遠吠えの様な声を上げた。

わたしがロッドを構えると、赤木君はわたしをかばうように前に出た。

その背中が信頼されていることを物語っていて、なんだかうれしい。

もう文珠は手元にはない。

トゥインクル・ファウンテンを放つには儀式で気力を充実させるほかはない。

よしとロッドを構えなおすと、突如前のドアと窓ガラスをぶち破って残る二匹のダデーナーも教室に押し入ってきた。

後ろの黒板のダデーナーもずるりと床に落ち、もにょもにょと再び狼の形をとった。わたしたちは囲まれるようなかたちとなる。

赤木君がすっと背中合わせになるように体を入れかえる。

その周りを三匹は、仕掛けるタイミングを測りつつゆっくりと回り始めた。

教室後ろのダデーナーが廊下側に回り込んでいくのを目で追いきれなくなり、首を動かした。

その瞬間、窓側に回っていたダデーナーが飛び掛ってきた。

振り向きざまそれを叩き落す赤木君。しかしその隙を突いて正面にいたダデーナーが赤木君に襲い掛かる。

わたしはその前に立ちふさがり蹴り飛ばす。

その足に向かって噛み付いてくるダデーナー。

しかし、わたしをベリーロールした赤木君に踏み潰される。

先ほど殴られ、蹴り飛ばされた二匹のダデーナーはスーパーボールのように跳ね回り、勢いをつけて天井から落下するように襲い掛かってくる。

わたしは赤木君の背中に転がりあがると、その勢いでダデーナーを蹴り飛ばす。

しかしその着地点にはトラ罠のように変態したダデーナーがわたしの足を狙っていた。

赤木君はわたしの腰を抱いて引き寄せ、間一髪で難を逃れることができた。

赤木君はその勢いで回転し、トラ罠ダデーナーを蹴り飛ばすのも忘れない。

ダデーナーたちは一連の攻防で教室の隅へと追いやられる。立ち上がろうとする姿がまるで生まれたての子馬のようだ。

 そこに窓の外から小さな火球が連続で叩き込まれた。

「ミレニィ!」

「今よ!ピオニィ!」

ミレニィがウィンクする。

わたしはロッドを構えなおし、気力をチャージする。

ダデーナーが反応するたびにミレニィの火球が動きを止めてくれる。

「ようし、気力充実! ラクシュミー・トゥインクル・ファウンテーン!」

 光の噴水がダデーナーを包み込み、

「ダデェエェェェェエェエェエエエナァアァアァァアアアァァアァァッ!」

 の絶叫が響き渡った。

 コツン、ココツンと文珠が三つ転がり落ちる。

 赤木君はそれに手を伸ばしかけてやめた。

 

「ブラボォ! ブラ~~~ヴォ!」

 妙なハイテンションで窓からミレニィが入ってきた。

「やー、今のすごかったわー まるで競技ダンスかフィギアのペアかってな感じ!」

「ミレニィ……」

「あ、ちょっとまってね」

 ミレニィは笑顔のままツカツカと赤木君の前まで進むと、えぐるように彼のわき腹へと左のこぶしをねじ込んだ。

「ちょ!」

 赤木君は微動だにせず、真剣な面持ちでミレニィを見下ろしている。

「……うーん、効いてないのは悔しいけど、まぁいいわ、これでチャラにしてあげる」

 そういってミレニィは口の端をあげる。

 二人に何があったかは知らないが許されたと感じたのだろう。見下ろす赤木君の顔もほっとしたような表情になった。

「ミレニィ! ピオニィ! 早くその文珠を拾うッハー!」

 窓のサッシからシンハが叫んだ。

 思わずわたしはミレニィの顔を見る。彼女はわたしの視線を受け止め、その視線を赤木君へと送った。赤木君がゆっくりと身をかがめる。

「なにやってるッハ! 早く拾うッハ!」

 シンハが再び叫ぶ。わたしは動けない。ミレニィは動かない。

「はやっ! あぁあぁ~っ」

 赤木君が文珠を拾い、シンハが大きくため息をついた。

 赤木君は文珠を手のひらにのせしばらく眺めていたが、ふとシンハへと向き直り、そっとそれを放り投げた。

「っと なにを?」

あわててシンハは文珠に飛びつく。後ろにそらさぬよう小さな体をいっぱいに開いて受け止めたものだから、受身を取れずに床へと落ちた。

「ど、どういうことだッハ?」

「そういうことなんじゃない」

 あわてて頭を上げたシンハの問いにミレニィがあっけらかんと答える。

「どういうことだッハ?」

 今度はわたしに向かって問いただす。

その視線から一度は目をそらしたが、一呼吸してシンハに向き合い、

「……一緒に戦うことにしたのよ。岩井戸をやっつけるために……」

 と、言った。

「な、な、な、なにをバカなこと言ってるッハ! 文珠はどうするつもりだッハ?」

「どうするも何も、文珠返してくれたじゃない?」

 横からミレニィが口を出すとシンハはいらいらした様子で、

「これじゃなくてあいつの体の中の文珠だッハ! ピオニィ! 早くファウンテンで浄化するッハ」

 シンハは怖い顔をしてわたしをにらんだ、が

「……ごめん、シンハ……わたし、友達にそんなことできないよ」

 と、はたから聞けば消え入るような声で返した。

「友達ね……」

きししとミレニィが含みを持たせるようにいやらしく笑った。

「……いやな予感はしてたッハ……けどその感情はちがうッハ、それはただのつり橋効果だッハ! 一緒に戦ってきた興奮と、れんばびっ……」

 まくし立てるシンハの前にミレニィが座り込み、

「ハイそこまで」

 と、チョップして口をふさぐ。

「なにをするッハ」

「友達って言ったでしょ」

「だってミレニィが……」

「シャーラーップ、ピオニィが消したくないって言ったら消せないのよ」

 言うとミレニィはシンハを胸の前に抱き上げる。

「いい、整理するわよ。シンハの目的は二つ、文珠を全部回収することと岩井戸を再び封印すること。赤木君の目的は岩井戸をやっつけることでシンハとかぶるわね」

 いいながらシンハと赤木君を向きあわせるミレニィ。

シンハは赤木君に目を合わせようとしない。

次にミレニィはわたしの方へと向きを変える。

「で、もうひとつの目的の文珠の回収だけど……これができるのは、ピオニィのトゥインクルファウンテンだけ、私やシンハには無理。つまりこの件でイニシアティブを握ってるのはピオニィなのよ」

「イニシアティブ……」

 みんなの目線がわたしに集まる。

「そう、決断を下せるのはピオニィしかいないって言うことになるの。ただ……」

 そういって今度はシンハを自分のほうに向ける。

「私たちを変身させることができるのはシンハだけだから、私たちをクビにして別のラクシュミーを作るという方法もあるわ。でも、半年ダデーナーと戦って力を付けた私たちを切ったとして、果たして新人さんが狼ダデーナーに勝てるかしら? そもそもこんな戦いに巻き込まれようとする物好きがいるかしらね~」

 ミレニィの言葉にシンハは、

「ぐぬぬ……」

 ともらすことしかできなかった。が、体を振るってミレニィの手から落ちると、キッとわたしを見上げながらなかばキレ気味に

「ピオニィ! 岩井戸はみんなが思っているような生易しい相手ではないッハ! この選択がいつか後悔に変わる。そんな日が来ても知らないッハよ!」

 と、叫んだ。

 わたしはチラと赤木君を見ると、再びシンハに向き直り、

「大丈夫シンハ。わたしは……わたしは絶対に後悔しない……」

 と言った。

 シンハはしばらくわたしの顔を見上げていたが、

「勝手にするといいッハ……」

 と言って一人廊下へと出て行ってしまった。

第九話 了

 


あとがきに代えて

と、いうわけで前回の8話から1年かけてやっと9話目です。

タイトルに(仮)と入ってますがたぶん総集編出したときにタイトル変更されます。

 

さて何でまたこんなに時間がかかったかといいますと、

私生活でいろいろな役職が降りかかってまいりまして、

それに追われてなかなか時間を取れなかったという、まそれだけではないんですが。

そんなさまざまの中に、本編でも言及しましたが

ニコニコ町会議2013 第5回:会場山形県高畠町がございまして、

割と深めにかかわったので舞台裏等かける範囲で書いてみたいと思います。

 

役場産業経済課から連絡あったのは5月の末か6月の頭かそんなころでした。

公式発表の1ヶ月ほど前くらいかな、今となってはうろ覚えですが

「若者団体的にはどうなんだ?」とたずねられました。

私としてはニコ厨でしたので「これほどの幸運はないですよ」的な発言で

役場職員さんと盛り上がったのですが、

やはり一般人目線をもつ関係団体メンバーからは不安視されました。

とはいえやると決まったからにはやるっきゃないわけで、

じゃぁなにをすればいいのだと構えていましたが、

結構ニコニコの運営さんがのんびりで、というかほとんどパッケージングされているので

こちらのかかわる点もさほどないという風にも見えましたが、

町PRステージ企画でのネタ出し等で時々役場に呼ばれていました。

そんな折、議題に上がったのが駅から会場への移動でした。

駅から会場までは6~7キロ、約2時間の道のりです。

臨時にしろお金を取る運行ってのが半年前から国土交通省に申請を出さなければならないとかあるらしく、

無料バスをチャーターすれば20万近くかかるとのこと。

ニコニコは振って沸いた企画のなので町にも余計な予算はなく、

じゃぁどうするよと思いついたのがオリジナルうちわを売って金を捻出しようという企画でした。

ちなみに今回の表紙はそのためのイラストでした。

そんなこんなやっているうちに第1回岩手県洋野町会場での開催です。

「おんなじ東北だし無理すれば行って見てこれるんじゃねぇか」と考え東北道を飛ばしました。

甘かったです。山形の南から岩手の北まで、後で見たら東京行くのに近い距離でした。

駐車場から会場まで歩くこと約7~8分、高畠だと役場から会場かなと思いながら会場入りしてびっくり。


うちわ配ってました。


これじゃ高畠オリジナルうちわなんて売れっこない。在庫を抱えて泣くはめになる。

ラクシュうちわ作成計画崩壊の瞬間でした。

ニコニコ神社に高畠とラクシュのPRに行った後、

失意の中自分で割ったウニや炭火で焼いたイカやさばなどを食べては

ビールを飲めない運転手のわが身を呪うさなか友人から電話が。

「せっかくだからニコニコのハッピ買ってきて」

販売ブースの列は100メートル以上、あそこに並ぶのかと半ばうんざりしながらも

最後尾の看板を持つボランティアスタッフの方とお話をしたところ、

「大体が親の送り迎え」との情報をゲット、

またしばらく並んでいると雨が落ちてきました。

すると前に並んでいた中学生くらいの女の子が親に迎えに着ての電話を、

「そうか、さすがにこのくらいの子なら親が送り迎えするよな・・・」

間違った認識が芽生えた瞬間でした。

これでバスはそこそこ出していればいいという報告が役場へと行くこととなったのです。

延々炎天下歩いた皆様本当にごめんなさい。

 

さて、8月に入って役場から電話が

「ドグマチャレンジって言う企画でぶどう農家に民泊したいって言うんだけど誰かいい人いない?」

「いつですか?」

「8月13日」

「お盆じゃねーか!」

もう笑うしかありませんwww

何とか対案を考えないとと何とか出したおみこし作成。

「予算は?」

「ゴメン!」

6500円ほど自腹です。ま、あとで補助金3000円いただきましたが。

そんな予算ですからあんなできです。

ライトの固定甘くて前面の障子をぶち破ったりというハプニングもありましたが

楽しそうに皆さん担いでたんでね、よかったのではないでしょうか。

 

詳しくはニコニコ夏まつり動画ご覧なっていただければと思います。

結構の頻度で町関係イベントに出てますので

ここまで読めばどれが私かに加えて親の顔までわかると思います。

 

ラクシュの聖地巡礼であそこまで町が盛り上がればいいななどと妄想しつつ、

物語はいよいよ残すところあと4話、なんだかんだでプロットは上がってます。

さらにまだ公開してませんが、エンディングテーマ「さくらんぼカレー」と

部長のテーマ「ラ・フランスの男」も8割がた出来てます。

余計なことばかりしてるから筆が進まないんです。

今度こそ本当に今年度中に完結させられますように願いつつ。

 

平成25年9月23日 加藤義博


この本の内容は以上です。


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