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序文

 この電子書籍は、2013年に刊行した『Starry souls』の改訂版です(2017年7月末に改訂版刊行)。
 3人の宇宙意識体存在からの情報を、それぞれ1人称の語りの形式で起こしたチャネリング記録であることや、大筋は変わっていません。しかし意識体存在であるヒューマノイドソウル(人間)がどうやって物理界に降り、物理像をつくるのか、他星の意識体存在たちによってテラン(地球人)が創出された経緯とその後の展開など、本書のキモといっていい情報の部分がもっと詳細になり、訂正を必要とする箇所もあったので、全体を見直して改稿しました。
 チャネリング(チャネル=周波数帯を合わせる)とは、天使だとか精霊、神話という形で伝えられている神々、「ハイアーセルフ」と呼ばれるソウルコスモス(魂宇宙)の中軸意識など、物理的には認識できない存在から送られてくる信号を受信することです。それは直感、気づきとして起きることもあれば、エネルギーとして感じることもあります。一部には、言葉、絵、音楽、ダンス、技術、製品、何らかの行為など、体性感覚で認識できる形に変換してアウトプットされることもあります。
 この本が小説という形式をとったのは、見たりさわったりできない、さらには感情でも思考でもない非物理帯域には、仮の世界を設定したり、喩えを使ったりしないと言い表せないことが多々あるためです。
 たとえば、非物理帯域では、時間や空間は、伸ばしたり縮めたり、位置を変えたり、順序を逆にしたり、飛ばしたりと自在に扱えるのですが、これを正確に描写するのはおよそ不可能なので、文中では「ある日」「次に」「ここで」「どこそこに向かって」といった、物理界の通常の時空表現を導入して、それに沿って出来事を進行させています。また、文中ではとくにことわっていませんが、西暦2010年あたりに合意された事項が前世紀に実現するという矛盾も、非物理帯域では矛盾ではありません。地球に生まれることが2010年に決定した人物の人生が、遡って20世紀の後半からスタートするといったようなことです。
 さて、私のチャネリングの対象は宇宙人です。宇宙人といっても、「アリゾナ州で発見された、墜落したUFOと思われる物体の残骸から地球外生命体とおぼしき遺体が」といった類の人たちではありません。そういう存在も実在するのかもしれませんが、私はまだそういうケースには遭遇したことがないのでわかりません。ここでいう宇宙人とは、天使や精霊と同じく、物理的には認識できない意識体存在です。私には宇宙人として感知される存在でも、別の人が感知したら、天使や精霊など別の形態をとり、別の名前をもっているということもありえるでしょう。
 チャネリングというのは客観的に証明できる現象ではなく、「これは本物/偽物」と保証することは誰にもできません。真実性を担保するのは本人の確信だけです。ですから本書も、他愛ないSFとして読んでいただいてもいっこうにかまいません。どのような形であれ、楽しんでいただけましたらさいわいです。


1
最終更新日 : 2017-07-27 13:46:42

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第1章 野生の秘書エスラの咆哮

1.
 俺の名はエスラ(Eshurah)。アルドラ人だ。
 アレクセイ書記官にくっついて、星から星、会議から会議へと、あっちこっち飛び回ってる。俺は書記官付の秘書なんだ。つっても、実際やってることはボディガードなんだがな。
 文官付の秘書といやぁ、たいていは執務室だの図書室だのに詰めてて、資料をいじくってたり、文官宛の連絡通信に応答したり、文官の動きに先んじて何やかやとデータやデバイスを用意したり、来客とくっちゃべりつつ取り次ぐべきかお帰り願うかを判断したり、そんなもんだ。あとは、情報収集と称して、仲間内でうわさ話に興じてたりとかな。でもって、ヒマができると学校に行ったり、音言学だか量子なんとか学だか、何かしらんが個人的な研究とやらに精を出してる、らしい。だいたいそんなとこが文官付秘書のライフスタイルだ。
 自分がなってみるまで俺は、秘書ってのが何をしてる連中なのか、さっぱりわからんかった。そもそも文官の役割自体わかってなかったし、お近づきになるご縁もなかった。関心もなかった。俺はテレポート便の配達ドライバーだったんで、執務室に荷物を届けにいくことはあったが、バックヤードについちゃ完全にスルーしてたよ。伝言付の荷物を届けにいくと、最初に応対に出てくるのがこの秘書とかその見習いなんだが、どいつもこいつも似たような周波数をしてやがって、区別がつかん。何のためにこんな地味な黒子みたいなのがうじゃうじゃいるのかって、考えてみたことすらなかった。
 はっきりいって俺は、ちまちまと神経を使う細っけえ仕事には向いてねえ。
 性に合わねンだ。
 最初のうちは、前任者や室長のサイラスから手とり足とり教わって、努力はしてみたよ。こんな俺でも一応がとこはさ。けど「レグルス人にミザール人のふるまいを期待するな」の諺どおり、やっぱり性分には逆らえねえや。箸にも棒にも掛からねえってやつさ。室長の野郎、俺がライトスクリプト(高次文字)はひとつも読めねえと知って、ぶっ倒れそうになってたっけ。
「自分は文字は使ったことがありません。これまでずっと必要ありませんでした」って、悪びれずに言ってやったら、その場で凍りついてんの。それこそ文字どおりエネルギーをフリーズさせちまってさ。
 サイラスってのは、ベガとその周辺から一歩も出たことのねえ深窓のご令息でよ、むろん悪いやつじゃねンだが、頭にベガがつくくれえクソ真面目なんだよ。お育ちのいい雰囲気とか、打たれ弱い感じとか、わりと形態模写はしやすいタイプだから、行きつけのアストラル酒場じゃ何度もネタにさせていただいたぜ。
「きみにレコード(記録、文献)管理のイロハを教えておく。イロハのイは、引き出した資料をきちんと元の場所に戻しておくことだ」
「アリョーシャ私蔵の資料を除いて、ここに所蔵されているレコードをきみが読んでもいっこうにかまわない。ただし目を通したら必ず初期化しておきたまえ。さもないと、きみが読んだこと


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最終更新日 : 2017-07-27 12:28:11

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第2章 灼熱評議会

1.
 あの日、お出かけになるときの先生は、いつもどおりでした。
 ふだんと変わりなく、少し瞑想されて、全次元の座を調律され、会議に出席なさるときの習慣で、いくつかのマントラを詠唱なさいました。会議やギャラクティックカレッジでの講義の予定があるときには、先生は、そのときどきのご自身の調子に適したマントラを、息を長く保って、節をつけて朗誦され、前もってエネルギーの入出力を整えておかれるのです。
 お髪は薄紫色のリボンで束ねて、お召し物はオリエンタルブルーのローブ、ドレープのところだけ銀色の生地になっているもので、これはご自身の瞳の色に合わせておられるのです。指輪はアメジストのついたもの、これも、外出のおりにはよく身につけていかれますね。
 もともと先生は、外見にかまう方ではありません。コノハナサクヤヒメノミコトやプレアデスの方たちのように、スタイルを考案したり工夫したりすること自体が大好きで、『天界VOGUE』や『ELLE天使界版』などを定期購読されているとか、そういうご趣味ではないのです。ひとたび研究に没入なさると、ずっと同じ色、形のアバターのまま、お髪の手入れなどもなさいませんので、いつぞやなど、お髪がスズメの巣に…いやこれは喩えではございません、プレアデス星団のメロウペから来た5次元スズメたちが棲みつき、お髪全体が巨大なスズメの巣になってしまいました。それでも先生は、ご自分の髪からヒナが巣立っていっても、てんと気がついておられなかった。周りの者はみな気づいていましたが、一心不乱に文献をひもといておられ、鳥の巣がどうとかいうことで声をかけられるような雰囲気ではなかったのです。スピカのご学友、プラトニアさんなどは、「ソフィアがスズメの生態やDNAを調査していて、あれはスズメに優しい非侵襲的な実験施設なのかと思った」と真顔でおっしゃってましたな。
 本来はそんなご気性で、「アバターの造作などどうでもよい。面倒くさい。円い盆に五芒星か六芒星か、梵字のへのへのもへじでも描いておけばよろしかろう」という方なのですが、いかんせん、波動の特徴だけを引用した偽者が多数出没するので、やむなくアバターの身だしなみにはある程度、気を配っておられるというわけでして。
 偽者といっても、ほとんどは悪意のない、他愛のないもので、形態を模すことでリスペクトの心情を表現する…コスプレというんでしょうか、その程度のものです。それでも星間談話室だとか、あの種のいかがわしい盛り場では、悪乗りして堂々と先生を騙り、駄弁を弄する輩もおりますから、油断はできません。
 あの日のご予定も、いつもとさして変わりなく。土星評議会のあと、もしタイミングが合えば、ラパ・ヌイ星のポワズ氏と会うことになるかもしれないとおっしゃっていました。ラパ・ヌイというのはアンドロメダ星雲の中心近くにある恒星で、ポワズ氏は銀河間使節団の一員であるとともに、さまざまな星域に伝わる意識天体図を研究しておられる方です。私もよく存じ上げております。コンパクトな、白い円筒型の宇宙船がご愛車で、私も一度、小マゼラン星雲のセンターへの案内役として乗せていただいたことがありました。


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最終更新日 : 2017-07-27 13:05:47

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第3章 金星人少女セルジィの疾風怒濤(シュトゥルム・ウント・ドランク)

1.
 えっと、何からどう言えばいいかな。
 臭い。
 ここに来ていっとう最初にキタのはそれ。どこへ行っても臭いの。臭すぎる。
 あたしがエネルギーフローのエイペクスを潜在系寄り(注)で調整してるから、よけいきついのかも。テランでいうと、ジェンダーをフェム(女性)寄りにしてるってこと。だけどニューター(中性)に合わせてたとしても、これはきびしいと思うわ。この充満するテストステロンのにおい。
 環境とか、設備はいいのよ。お洒落じゃないけど、余計なものがない、簡素でオーガニックテイストで、無印良品ぽいっていうか。あたしはついこないだまでテラにいたから、そういえば無印良品のお店ってこんな雰囲気だったっけって思う。全体に白っぽくても病院みたいじゃないし、リジェネレイト(更生)を強制されてる感はない。
 センターが運営してるとこだけあって、ハコは申し分ない。これで素敵なおねえさまが大勢いたりなんかしたら、あたしにとっては楽園なんだけど、そんなことありえない。金星でもテラでも、どこでもそうだけど、素敵な人っていうのは、こんなばかげたところにはいないの。ぶっちぎりで縁がないの。素敵な人は、素敵な人とだけ、固まって存在してんの。ばかげたところにいるのは、ばかげた連中だけ。そういう磁場ってきっちりしてんのよ。
 再教育棟って、双六でいうと「ふりだしに戻る」じゃなくて、ゲームを続行不能にしちゃったから、ゲームの外にはじかれて、参加できるレベルまでトレーニングしてからもう一回出直せって、そういうとこ。員数外。こういうとこに来んのはたいがい、力が余ってどっかでやらかして大破しちゃったってやつ。アルドラ人のエスラがいい例。
 あたしはそういうのとちがうんだけど、でも五十歩百歩かな。自滅って、要するに自爆だもん。矛先が逆向きなだけで、大破と変わんない。
(注)アストラル帯域のエネルギーの流れを潜在系:0系寄りにするとアセンド(上昇)してZPF(ゼロポイントフィールド)に戻りやすく、顕在系:1系寄りにするとディセンド(下降)してエーテル帯域に降りやすくなる。後者のエネルギーはエーテル帯域からZPFに戻る流れをつくる。
2.
 あたしは、太陽系の第2惑星、金星で物理界を完了した金星人。金星の物理帯域がハビタブルゾーン(生存可能圏域)だったころは、まだ太陽系の軌道に入ってなかったけど、太陽の周波数圏内だったから、太陽系生まれといってもいいと思う。コードネームはセルジア・セルジオ・ピウス。センターのテラン支援プロジェクトに含まれてるスターシード・プログラムの現地サポートメンバーとして、つまりスターシードとして、テラに派遣されてました。テラン年齢で47歳のとき、仕事中にビル火災に遭って亡くなりました。


43
最終更新日 : 2017-07-27 13:21:09

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