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劇場版タイムスクープハンター 安土城 最後の1日

2013年9月27日鑑賞
歴史を生き抜いた、名も無き人びと


いわゆる企画ものなんですね、この映画。こう言う類いの映画は、普通僕は敬遠します。だけど、テレビシリーズの「タイムスクープハンター」は毎回楽しみに見てました。それが映画になる。これは劇場で見る価値あり、と思いました。
「タイムスクープハンター」を初めてテレビで見た時
「んんっ!!」と目が釘付けになりました。
「おおっ、このチョンマゲは?!」
今までの時代劇の時代考証と明らかに違う。これはリアルだ、と感激しました。あの黒澤明監督は「七人の侍」を撮るときに、戦国時代にふさわしい特注のカツラをわざわざ作らせるほど、時代考証を大切にしていた監督さんでした。そのこだわりが平成のテレビの世界で受け継がれている。これはなんとも嬉しかった。と同時に、映画界は何をやってるんだ! と思った次第です。
さて本作は、様々な時空にワープして取材し、時代の真実の姿をスクープする「時空ジャーナリスト」沢嶋(要潤)の目線で描かれるお話です。

 


なによりうれしいのは、この主人公が取材対象とするのは、歴史に埋れてしまいがちな、庶民たちの姿である事です。
僕は興味があって平安時代のことを調べています。源氏物語や、貴族の資料、文献はそれこそ、掃いて捨てるぐらいある。ところが、平安期の庶民の記録は皆無に近いのです。
なんでだろう? いろんな文献を当たり、絵巻を見たりしました。無い頭を絞って、う~んと唸って考えていると、ふと気がつきました。
「文字」です。
「庶民は、読み書きができなかった」
実にアホみたいに、簡単な事でした。
だから記録が残っていないのです。
おそらく庶民たちが読み書きを習える様になったのは、江戸時代頃からなのでしょう。
本作は安土城最後の一日に迫ります。なぜ安土城は燃えてしまったのか?
織田信長が本能寺の変で、歴史の舞台から姿を消した直後の京の街。
そこは無法地帯になっていました。
本能寺の変の前日、信長は茶会を催していました。そこに招待されていた博多の豪商(上島竜平) 彼は本能寺の変のまさに真っ只中にいた、歴史の生き証人でした。彼の懐には、戦火をくぐり抜けた大事なお宝がありました。それは信長が愛した茶壺です。
「これひとつで国が一つ買える」とまで言われた名品です。
タイムスクープハンターは彼に密着取材を試みます。旧織田家側の武士(時任三郎)と合流した彼らは、武士の警護のもと、博多の豪商と「一国が買える茶壺」を明智軍や、野武士、盗人がいたるところ出没する中、敵中突破を図ります。彼らは豪商を無事、博多まで送り届けられるのでしょうか? そして、安土城焼失の謎は?

 


時代考証というのは、本当に重箱の隅を顕微鏡で探る様な作業です。しかも、重箱の隅の砂粒一つの位置が違えば、周りから文句を言われる、そんな分野です。
ただ、時代考証の面白さは、やはり、「その時代、人はどう生き抜いたのか?」という人間への興味なのです。それは人間そのものを見つめる作業なのです。いわば人間という「本丸」へ迫る為に、「時代考証」という「外堀」をコツコツ手作業で埋めてゆく作業なのだと思うのです。
「タイムスクープハンター」テレビシリーズの面白さの秘密は、正にその時代に生きた、名も無き人々の息づかい、ため息までも、資料の行間から読み解こうとする姿勢にあるのです。
彼らはどんな服をきて、何を食べ、どんなところに住んでいたのでしょう?
そして、彼らは何を祈ったのでしょう? 心の拠り所はなんであったのでしょう?
どんな時代にも言えることだと思いますが、人の生き方に、正解はないのだろうと思います。
人間は多面体です。ある光線を当てれば善人に見え、その影の部分では悪人でもあります。
古えの人の生き方を、謙虚に見つめ、学び、より善い生き方を学びたいものです。それが歴史を学ぶ大きな醍醐味だと思います。
**************
天見谷行人の独断と偏見による評価(各項目☆5点満点です)
物語 ☆☆☆
配役 ☆☆☆
演出 ☆☆☆
美術 ☆☆☆☆
音楽 ☆☆☆

総合評価 ☆☆☆
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作品データ

監督   中尾浩之
主演   要潤、時任三郎、上島竜兵、杏、夏帆
製作   2013年
上映時間 102分

予告編映像はこちらのアドレスをコピーしてお使い下さい。


http://www.youtube.com/watch?v=YveUHqxYUZs


奥付



映画に宛てたラブレター2013•10月号


http://p.booklog.jp/book/76588


著者 : 天見谷行人
著者プロフィール:http://p.booklog.jp/users/mussesow/profile


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