目次
第1章 経営者になって8年目の今、考えていること
1.1 はじめに。
1.2 景気の良し悪し、弊社への影響。
1.3 変化する社会における会社の目標。
1.4 社会貢献じゃないビジネスって?
1.5 もし独立・起業に迷っているなら。
1.6 独立・起業の要件とは何か。
1.7 「歩みたいと思う人生そのもの」という指標。
1.8 独立・起業するなら、ぜひとも早めの決断を。
1.9 人生の時間を最適に配分する。
第2章 会社員時代の思考
2.1 会社員の頃に考えていたことを振り返ると。
2.2 会社員時代のメンタリティ。
2.3 会社員のメリットとデメリット。
2.4 お金と時間の捉え方、用途の変化。
2.5 会社員としての成功、限界、諦観について。
2.6 経営者が考える従業員の幸せ。
2.7 成功に必要な条件とは。
第3章 起業準備期間の思考
3.1 会社を辞めた理由、辞める際の心境。
3.2 なんとか食べてはいける、という認識。
3.3 無職状態の不安、その後の見通しへの焦り。
3.4 消費と投資、お金と時間の共通点と違い。
3.5 そのときにしか出来ないことをやってみる。
3.6 不確実性を減らすには知識と経験を増やすしかない。
3.7 中小企業診断士の勉強を開始。
3.8 勉強すること自体が目的ではない。
3.9 変化して行く状況下での時間の使い方。
3.10 無職から再就職、そして独立・起業へ。
第4章 経営者の思考(個人編)
4.1 起業家と経営者の位置づけ。
4.2 すべての時間を仕事に向ける。
4.3 危機感や孤独感と向き合う。
4.4 論理と感情の両立をはかる。
4.5 満足度を高めるために意思決定する。
4.6 限定合理性を理解した上で経営判断する。
4.7 思考を磨き続ける姿勢。
4.8 意思決定の責任、その中身と範囲。
第5章 経営者の思考(組織編)
5.1 会社組織における経営者の役割と責任。
5.2 経営者に求められる人間力。
5.3 苦しく厳しい時期のお金と経験について。
5.4 働く上でのモチベーションと目的意識。
5.5 チームワークとインセンティブデザイン。
5.6 経営者、リーダーに必要な一貫性。
5.7 事業の発展性、成長と安定。
5.8 社内でアイデアを練り上げる。
5.9 事業の位置づけ、組織の構造。
5.10 スペシャリストを管理するゼネラリスト。
5.11 ゼネラリストによるプロデュースの本質。
5.12 どんな分野のプロジェクトにも求められるプロデュース思考。
5.13 ゼネラリストからスペシャリストへの権限委譲。
5.14 権限委譲後の発展性とジレンマ。
5.15 従業員を大事にすることの意味。
第6章 人生目標とこれからの経営
6.1 何を残せるか、いつもそれを意識して生きよう。
6.2 最良の敵は良である。
6.3 常に誰もが世界に影響を与えている。
6.4 決断し、人生目標を目指そう。
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1.1 はじめに。

 ノットフォーセールスインコーポレーテッド株式会社の代表をしております、西脇建治と申します。弊社は、飲食店の総合プロデュース・経営コンサルティングサービスを提供しており、おかげさまで2013年に創業8年目を迎えました。


 まず、私の経歴紹介から本書を始めたいと思います。私の出身地は大阪です。建築の専門学校を卒業し、建築会社に入社したのが20歳の時でした。その会社で4年間ほど現場監督という仕事をしていました。現場監督の業務とは、工事(プロジェクト)全体の進行や予算を管理しつつ、工事を図面通りに効率的かつ安全に進めるというものです。なので、職人とは違います。ひとつの工事の予算を管理しながら、たくさんの職人に指示を出し、極力無駄なく進行させ、納期を守って利益を捻出するというこの業務はマネジメントであり、若いながらも管理職でした。


 立場上は部下にあたる職人の方々は自分より年上がほとんどで、父親より上の方もいたりするわけですが、職人達を管理し仕事を進めて行くというのは初めの内はなかなか難しかったような記憶が・・、実はあまりありません。当初より自分にはこの仕事は向いていると感じていました。もちろん、自分より経験も知識もある年上の職人さんからダメ出しされることもあればバカにされることもありましたが、現場を知るにつれ、だんだんと自分のやり方でマネジメントできるようになって行きました。


 そして、入社した建築会社がそんなに大きな会社ではなかったことから、入社後、半年もすると現場を完全に任せてもらえるようになりました。工事が問題なく進行していれば現場でとりあえず一番偉いという立場を手に入れ、ある程度自由な気持ちで仕事していました。とはいえ、工事は命がけですので常に緊張感もありました。マネジメントの仕事を一つずつ覚えて行き、鉄骨も鉄筋コンクリートも木造の住宅もひとしきりこなしたところで、景気があまり良くなかったということもあり、一旦一区切りという気持ちで4年間の現場監督生活にピリオドを打ち、無職の身となりました。


 次にお世話になったのは南米のフルーツなどを輸入販売する商社兼飲食店でした。まさにベンチャーという雰囲気の伸び盛りの会社で、かなり早いタイミングで参画することができ、成長過程の会社の様々な局面に立ち会う機会に恵まれ、大変勉強になりました。そしてさらに有り難いことに、大手の飲食チェーン(上場企業)が店舗をFC展開してくれたおかげで、飲食チェーンのノウハウや収益構造、利益の上げ方、マネジメント方法など、多数の面で学ばせていただきました。その時にお世話になった方が、弊社の創業当初より取締役として名を連ねております。


 このような経緯で、大雑把に申し上げると、飲食と工事、それらの進行管理という、飲食店の開業に必要な要素の大部分をいつの間にか学んでいました。また、個人的に、経営やマネジメントなどコンサルティングを行うのに役立つ知識も蓄えていたことから、開業する方々のお役に立てるのではないかと考え、弊社を創業するに至った次第です。


 弊社のメインの事業は開業のお手伝いです。顧客からお金をいただいて経営のノウハウを伝える側が、お店を一つも持っていないのはいかがなものかと感じ、飲食店の中でも一番儲かりにくいと思われる「カフェ」業態を自社で開業・運営することが最低限必要だと考えました。そこで、EMPORIOカフェダイニング駒沢通り学芸大学店を起業と同時にオープンさせ、今もたくさんのお客様にご来店いただいています。スタジオ事業、デザイン事業など、その他の事業については、弊社のホームページをご覧いただけると幸いです。


 ここで少し補足ですが、24歳で建築会社を辞め、27歳で商社兼飲食店の会社に入社するまで、空白の3年間がありました。この期間は独立・起業に向けて準備してはいましたが、社会的には無職でした。第3章で詳しく述べますが、今振り返るとこの準備期間に学んだことは多く、弊社の創業には欠かせない期間でした。


 以上が、現在に至る私の大まかな職務経歴です。


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最終更新日 : 2013-10-13 08:22:40

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1.2 景気の良し悪し、弊社への影響。

 さて、最近、アベノミクスの影響で景気が回復していると言われています(2013年8月時点)。弊社も、グローバリズム、マクロ経済のなかで事業を行っているわけですが、正直、弊社のように小規模で、かつ、大企業の下請けをほとんどしていないような事業形態では、景気の影響というのは感じにくいです。


 もちろん、何の影響もないとは言えないのですが、実感が湧かないというのが本音です。株価や景気、大企業の動向から影響を受けそうなスタジオ事業でさえ、売上が増えたとしても、各月の振れ幅の範囲なのか、外部環境の変化からの影響なのかは、何ヶ月間かの推移を見てみないと分からないです。


 景気変動には短期、中期、長期、それぞれの波があって、良い時期と悪い時期とが一定のサイクルで繰り返されるというのが経済学の通説です。弊社にもそれなりに良し悪しの波があります。いずれにせよ、今やるべきことをやり、やった方が良いことを前倒しでやり、次にやるべきことをいつも考える、という弊社および私個人のスタンスに変化はないです。ですがやはり、景気の良い雰囲気を感じたり、景況感が上向いているといった新聞記事などを読むと、なんだかウキウキした気持ちにもなります。


 とは言え、弊社のような小規模な会社であっても時代の変化にはついて行く必要があり、むしろほんの少し先を行かねばならないと感じています。どれほど優れた商品やサービスと言えど、あっという間に競合他社が追い上げ、供給過剰が価格下落を引き起こしコモディティ(汎用品)化するのが現代であり、そういう時代の流れとは直接的な関係がないように見える弊社の事業も何かしらの影響は確実に受けます。


 例えば、消費の動向が変われば、広告の手法も変えねばなりません。また、消費者の財布の中身、予算には制約があるので、スマートフォンやタブレットPC等の携帯端末に多くの通信料を払うようになると、外食を控えるかもしれません。なので、同じ業界の動向以外も視野に入れ、世の中の大きな流れを意識し、「今後はどんな風に変わって行くのかな」と自分なりに予想するようにしています。


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最終更新日 : 2013-10-13 08:33:12

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1.3 変化する社会における会社の目標。

 ノットフォーセールスインコーポレーテッド株式会社という社名の由来は、「売ることのためだけに事業をしているわけではない」という姿勢を表したい、というところから来ています。現在もその考え方は変わっていません。


 ビジネスでは、もちろん「売る」は非常に重要ですが、最重要なのかどうか、というのは考えるべきだと思っています。当然ながら売れないと話になりません。商品やサービスが売れなければ会社は存続できず、経営者も従業員も別な職を探さねばなりません。ならば、「存続することが会社の目標なのか?」と自分自身に問うと、「もちろんそれはとても重要だけれど、存続のために起業したのではなく、それよりも上位の目標がある!」となります。存続はその上位の目標を達成していくための条件でしかなく、それを忘れないようにしたいと思っています。


 「この会社があるのは何のためだろう?」と自問自答を繰り返して行くと、(そのとき考える)上位の目標が自分の中から湧き出てきて、納得のいく感触が得られます。「ああ、今の自分はこのために会社を経営しているんだ」そういう腑に落ちる感覚です。


 やや大雑把な言い方になりますが、一般的に会社の目標というのは、「誰かを幸せにして、自分も幸せになる」ということに行きつくのではないでしょうか。ビジネスの方法や道のりが会社によって違うだけで、最終的な目標はどんな会社にとっても同じようなものではないかと感じています。弊社の目標もそうであり、経営者としても、また一個人としても、私自身、「誰かを幸せにして、自分も幸せになる」を人生の目標としています。


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最終更新日 : 2013-10-13 08:45:24

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1.4 社会貢献じゃないビジネスって?

 そして、会社の目標をもっと一般的に言うと、「社会貢献」になるかと思います。社会貢献という大きな枠で世の中のビジネスを捉えた場合、弊社のビジネスしかり、ほぼすべてのビジネスは社会貢献の要素を持つと言って良いと思います。というのも、他者のためになっておらず、社会に貢献していないのに、どうやってお金をいただくのでしょうか。それは需要と供給の関係上、BtoCにも、BtoBにも言えることです。

 

 しかしながら、世の中には顧客や消費者、あるいは下請けや取引先などから搾取するようなビジネスをしている会社もあります。「搾取」をどう捉えるかにもよりますが、そういったものを含めると、会社の目標 = 社会貢献、という等式は、単純には成り立たないのかもしれません。ビジネスでは「Win − Win」の関係や「三方良し」の関係が理想ですが、取引にはチカラ関係もありますので、搾取する側とされる側とに分かれてしまうのも仕方ない面があるように思います。良い悪い、好き嫌い以前に、そういう構造は実際にあるというのが経営者としての実感です。

 

 アダム・スミスが『国富論』を執筆して200年以上が経ちました。そこには、次のようなことが書かれています。

 

「人は自分自身の安全と利益だけを求めようとする。その利益とは、例えば、巨万の富を生み出し得る物を生産するといった形で、事業を運営することによって得られるものである。そして、人がこのような行動を意図するのは、他の多くの事例同様、人が全く意図していなかった目的を達成させようとする見えざる手によって導かれた結果なのである」

 

 とても分かりやすい論理ではあるのですが、私は、「アダム・スミスが著した頃のビジネスと比べて、現代のビジネスは多様で複雑になり過ぎているし、このような見えざる手というのは的を射た言い回しだと思うけど、さらに上の次元で物事やビジネスを考える必要があるんじゃないかな」という考えを僭越ながら持っています。経済学者ではないので、あくまで経営者としての肌感覚の考えですが・・。


 理想としては、すべての会社や個人が、自社・自分の長期的利益(Win − Winや三方良しの関係性に基づく)を求めることにより、経済発展が機能的に進行していくのが望ましいです。他方、その理想に反して、短期的な利益を追求し、信頼に基づく継続的な関係という長期的な利益をないがしろにするような取引を求める会社や個人もいます。前述の通り、私は、「誰かを幸せにして、自分も幸せになる」ということを会社経営の目標としているので、事業によってケースバイケースではありますが、基本的には中長期的な視点でビジネスを捉えるよう心掛けています。


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最終更新日 : 2013-10-13 09:40:16

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1.5 もし独立・起業に迷っているなら。

 専門学校の講師をしておりますので、前途有望な若い学生さんや、独立志望の社会人の方と接する機会は多い方だと思います。そういった方達から独立・起業に関する相談を受けたとき、まず申し上げるのは、「やめておいた方が良いですよ」です。安易に起業を勧めるほど、私は無責任ではありません。


 その上で、熱意がある方に対しては次のように言うようにしています。「挑戦してください。ただし、自己責任でお願いします」と。熱意をお持ちの方でしたら、今のご自分にとって簡単にはできそうもないことに挑戦してほしい、そして成功してほしい、そう思っています。ですが、世の中そうそう上手く行くわけでもないですから、失敗するかもしれません。そうなっても誰かのせいにはせず、もう一回挑戦してほしいです。成功するまで何度でも。失敗のまま諦めてほしくないです。


 私がなぜそう思うのか理由は単純で、一つは、数打てば当たる可能性が増えるから。もう一つは、そういった人生の方が楽しそうだと感じているから。私は、独立・起業を主観的にはそう捉えています。


 さて、今の自分では簡単には達成できそうもないことって一体どんなことでしょう。目標をイメージする際、リザルトイメージとプロセスイメージとを分けることが重要です。ゴール(リザルト)はイメージできるけれど、ゴールまでの道のり(プロセス)が全てイメージできる状態になっていないなら、それは今の自分にとって簡単には達成できないことです。「途中にある全部の信号が青になってなくて、いくつかが赤だったり黄色だったりして進み方が見通せず、不安定な状態」とも言えます。


 そういう不安定な状態で意思決定し行動していく姿勢が独立・起業には求められます。途中、傷つくことがあるかもしれませんし、心身ともに痛みを伴うことになるかもしれません。そうなった場合、立ち上がるのはなかなかしんどいです。しかし、それが挑戦であって、その本質はスポーツでも、勉強でも、独立・起業でも同じです。まずは独立・起業をそのように単純化して捉えてみると良いです。私は、そういった意思決定と行動を楽しめるような気持ちがまだないなら、独立・起業はしない方が良い、そう思っています。「実際、楽しいわけではないけれど、楽しんでいるんだ!楽しむんだ!」というような強がりが言えればOKかと思います。


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最終更新日 : 2013-10-13 09:43:24

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