まじょこ
魔女様は死んだ。その黒すぎる魔力を我らに預け百年。生まれ変わりの少女がお屋敷に現れた。最敬礼でお迎えする我らにチョコをひとつずつ手渡し、お茶をい れてさし上げるとありがとうと笑う。おやすみ前の絵本係を巡り我ら今夜も血で血を洗う争い。魔法をお返しするのはもう少し後だ。#twnovel
ヒーロー
ヒーローになってすぐに選択を迫られた。戦い方をお選びください。街や採石場で戦う目に見えるタイプ以外にも悪との戦い方はたくさんあるのだという。僕は 震えている。心に囲った悪を押さえつけるタイプのヒーローであることなど誰も知らない。この病室でたった一人世界を守っている。#twnovel
不死鳥
不死鳥が蘇るのを待ってる。灰の中から目覚める小鳥。いない間は寂しいけれどそれにも慣れてくるのかな。おかえりなさい現実へ。#twnovel 我らは戦っている。短い命を散らしては輪廻転生を繰り返す。天国ではいつも私は鳥の姿だ。おかえりなさいと天使が囁くから、死ぬのはちっとも怖くない。
本の霊
昨日読み終えた本をもう一度読み返す。悲しい結末だった。そのはずだったのに、もう一度読んだその本の結末はハッピーエンド。そういえば聞いたことがあ る。惜しくも捨てた結末が霊となり本の結末を書き換えることがあると。ないはずの結末。ないはずの幸せに悲しみが深まる午前2時。#twnovel
ねこさま
地域猫の中には時々いつからいるのかわからない猫がいる。どの猫よりも昔からいて、どの猫よりも、人よりも長く生きる。実は一度も死んでいない。人より ずっと先に生れてかれこれ数億年。この場所が荒野や森であった頃からここに住む猫たちは、くるりと体を丸くする。飼い主を真似て。#twnovel