埋める
大切なものだから穴を掘って埋めた。未来のためのドングリ。食べ忘れたとしても木となり実をつけ、いつかの未来の糧となる。いつもは向日葵の種をくれる白 い指を土で汚し、君は泣きながら死体を埋めた。愛する犬の。君の真意は解らないが、その行為が未来の糧となりますようにと願う。#twnovel
病名:連鎖 治療:贄
607号室の患者様はいじめが原因の隔離入院。症状も治まり静かに日々を過ごされておりますが、退院はまだ難しいとのこと。戻せば今度はいじめられる。患 者が入れ替わるだけですからと先生。この子は連鎖を先延ばしするための生け贄。そういえば同じ制服の子、もう何人目でしょうね。#twnovel
死んでいる
死のうと思いました。でもできなかった。ビルの屋上、項垂れる人を何人も見てきた。生きることに無頓着な君達は死にも当然無頓着で、考えなしに死のうとす るからこうして悔やむことになる。死ねるはずもない。やり直しなどきくものか。納得できない死に方だってお前はもう死んでいる。#twnovel
門前の土産屋
門前の土産屋に訪れるのは人ばかりじゃない。「御守りください」と弾む息。「神様のじゃなくて人間の御利益のあるお守りはありますか」ってなるほど。少し ばかり考えて太鼓を叩き続けるお猿から乾電池を抜いた。これには命が宿っているの。お客の目が輝く。尻尾は隠して帰りなさいね。#twnovel
天国と地獄
死んだ君を然るべき場所へ送り届ける。つまらない人生を巻き戻し君をまた君の役に据えると、やり直せるんですねと感謝された。君にとってここは天国でそれ から僕は天使なのだろう。僕にとっては地獄だった。繰り返しを拒みこの役についた。貴方にとっては天国ですか。地獄でしょうか。#twnovel