冬の社
師走の社。毎年最後のお仕事は大体いつでも捜し物。さてさて今年はどこかしら。私に作戦があります。巫女はそう言うと、「羊が一匹、羊が二匹」と数え始め ました。するとどうでしょう。ぴょんぴょん飛び出す羊たち。今年一年ありがとうと元の世界に見送り、さてお猿さんを迎えましょ。#twnovel
煩悩
そろそろかしらとお部屋をのぞくとお世話になりましたと一礼する年神様。こんな日にボクなんだか汚くてすみません。今年のはじめ、真っ白だった体は今じゃ すっかり灰色。だけど汚くなんか思えない。痛みや苦しみ煩悩や罪。そんなものたちを君が拭ってくれたから、今日も世界は美しい。#twnovel
年末最後の
忘れていたこと忘れていたいこと。そんなことってきっとたくさんありますでしょう。今年の汚れは今年のうちに。とはいえ全てが綺麗に片付くものじゃない。 だから私が引き受けましょう。さあさこちらへぽいっとどうぞ。年末最後のゴミ収集。ゴミならどうぞ。それはホントにゴミですか?#twnovel
ショッピング
タイムセールのご案内。耳塞がれても気にしない。もっと大きくもっと高く。届け、2階を突き抜けモールを抜けてどこかに住まうあの子まで。何度も来ては値 札を眺め、ただため息をついていた。半透明のあの子に似合うワンピが今日はお買い得。だから届け。半額で~すいらっしゃいませ。#twnovel
銀河鉄道
たった一人の乗客のあの子が乗客じゃなくなるものだから、今日を限りに線路とはお別れ。ガタンゴトン。最後の感触を楽しむ。あの子は僕に言った。さあ、出発よ。指さしと共にふわり浮かぶ車両。慣れた線路とさよならをする。銀河鉄道機関士となった彼女との新たなる旅のはじまりだ。#twnovel