病名:中二病 ただし健康
302号室の患者様は左目が疼いたり片翼がなんとやら。誰より落ち着いておられますが退院だけができません。社会生活に支障をきたせばまた病気とされます からと先生。それでは何が治れば退院できるのでしょう。窓の向こう、闇を見据えて先生は仰います。もしも世界が治ったならば。#twnovel
けるべろS
ケルベロスが現れたが僕ではレベル不足のようで、頭同士会話しながら片手間に戦いやがる。頭A「僕と結婚して」 頭C「えっ///」 頭B「俺とだろ」 完全おいてけぼりの僕。「ところで皆さん男ですよね?」という確認がこの種族への必殺技になるのかどうか。使い所を、隙を伺う。#twnovel
つまらない本
その本は人気がない。ある男の日常を描いただけの穏やかなものだから仕方ない。けれどいるのだ。その本を投げ捨てたりぎゅっと抱きしめたり。そんな方たち をそっと手招きし、手を引き連れて行くあの人の部屋。ただいま。目覚めぬ主に帰るかつて逃げ出した人格たち。おかえりなさい。#twnovel
船
俺は昔、船だった。ここに来るたび公園のベンチは海の話をしてくれる。遭難したこと、それから怖い船長のこと。あの頃はどこにでも行けた。世界一、自由 だった。懐かしそうに語る彼に時々貝や珊瑚を届ける。それくらいしかできない。海は干からび消えたことなど届けることはできない。#twnovel
万華鏡
万華鏡を作って。幾つもの硝子の破片を渡された。また壊してやったわ。つまりこれはお嬢様へ向けられたどなたかの恋心。お嬢様は時折、恋心の屍をお持ちになります。万華鏡が出来上がるとくるくる回し、飽きたと棚へ並べる。一番綺麗な形で留めていること、知らぬはずがございません。#twnovel