鳩
鳩という鳩が飛びたつ。森から山から屋根裏から。次々集まりこの街の空を黒く覆い隠す。脅える子供らを慰める大人も不安で仕方ない。世界の終わりかそれとも。#twnovel「街が見えません」操縦士は墜落の危機に脅えながら群れを避ける。高度を上げる。落とすはずの開戦の合図を落とせずに帰る。
皿数える
お嬢様を探していると井戸の辺りで声がする。一枚、二枚……一枚足りない。悲しそうな幽霊に皿を差し出すお嬢様。一枚、二枚……一枚足りない。そんなはず ないわ。共に数え直しほらあるじゃないと鼻高々のお嬢様。戸惑い泣き出しそうな幽霊に失礼しましたとお詫びしお嬢様を連れだす。#twnovel
漂流
飛んできた風船には「ぼくのわたしの夢」と書かれた紙がくくられていて、開いてみると「みんなながいきできますように」とたどたどしい文字。学校で書けと言われて書きましたみたいなこんな事務的な夢に励まされるとは。君の夢を叶えたい。漂流生活5日目の青い空の下。青い海の上。#twnovel
死にたい
試し書きコーナーのそれは日記のようで、読みにくい黄色の字で彼氏と別れたこと、テストの愚痴なんかが書かれていた。気になって足を運ぶ回数が増え学校でも密かな話題になりはじめた頃、赤い字で「死にたい」。#twnovel それは私たちを試す。心に赤く刻まれそれぞれに問う。ねえ、死にたい?