図書館女子
図書館で見かける人に憧れてるの。そういうことにしておくのが都合よかった。本好きな暗い子というレッテルを貼られずに好きなだけ本を読みにいける。だか ら困るの。あの子の借りた本など追いかけないし来館時間もあわせない。だからお願い。お願いだから、そういうことにさせといて。#twnovel
るるう
僕がルルウとお話していると、誰もいないじゃないとママは困った顔で言う。そんなはずはない。ルルウはここにいる。小さな頃からずっと一緒、これからも変 わりなくて変わりたくなくて。ルルウがいないというのならママだっていない。屋根裏でひとり寂しく震える僕を思い出させないで。#twnovel
図書館の
あの子毎日いますね。図書館に入り浸る子を気にかける新人。話してみますと言うから誰もいないじゃないと止めた。戸惑う新人に更に続ける。座敷童じゃない?声なんかかけちゃダメ逃げちゃうわ。#twnovel 昔、先輩に言われた言葉を繰り返す。当時の座敷童は今じゃ大学生。時々本を借りに来る。
結婚する前に
結婚する前に言っておきたいことがあるといわれ、私もだと思い出す。実は魔女の家系なのと切り出すとうちは狼男だと彼。二人だけの秘密にドキドキして運命 を感じてた。特別な私たちの特別な関係。人に身をやつし人として生きる種族に溢れるこの世界に人はもういないことなど知らずに。#twnovel
綿毛
たんぽぽの綿毛のお世話係をしている。綿毛を育て飛べるよう整えるのだ。きちんと教育しなければ着地点を思い描くことができないしそもそも発育不全では飛 ぶことすらままならない。定められた旅立ちの日、風が吹く。青い空へと飛び立つ綿毛たち。行く手にはまるで希望しかないように。#twnovel