なほ
しおりをつける魔女
魔女が死ぬと魔法は然るべき場所へと還る。今まさに旅立とうとする魔法を僕は必死で押さえ込んだ。然るべき場所はそちらではございません。やがて疲れ果て 静まる魔法を分類、洗浄し新しい体の然るべき場所へと納める。彼女の魔法を愛してる。目を開けた新しい魔女様にキスで誓う忠誠。#twnovel
狐の子
おみくじ係になった狐は鳥居をくぐって町へ行く。学校へ通って友達と遊んで。人の喜び悲しみを知る。毎日一緒に過ごしたあの子は多くのことを教えてくれ た。さてさてそろそろ書きますか。願望、強く願えば叶う。学業、励め。恋愛、恋愛は。気づけばあの子の名前を書いて大慌ての狐。#twnovel
金魚
言葉の通じぬ女中はいらぬ。辛い目にあうといつもここにきた。慣れぬ袂に気をつけ屈めばゆうらり集まる金魚たち。慰められた気がして涙が落ちる。広がる波 紋。その向こうから金魚が少女を覗きこむ。我もその青き水面に溺れたい。少女の美しい瞳に映りこむ金魚を自身と知らず焦がれる。#twnovel
生まれ変わると
生まれ変わると蝶でした。これなら何一つ汚すことはないとふわりお側へ。臈長けたあの方の帯に止まるとまるで帯留めねとお笑いになるけれど、私は蝶。つま り貴方が花なのですわ。静かな逢瀬。やがて、あの子をなぜだか思い出してと涙ぐむ貴方。元あの子の私はただ羽を震わせるのです。#twnovel
不死鳥
不死鳥が死んだ。魔女に殉じて呆気ない最期。男は落胆する。憧れの鳥、その存在を自らの手で消したのだ。いつしか骸は腐敗し魔女の骨と不死鳥の核を残して 魂は巡る。破られる沈黙。核から小さな羽が。主なしでは死も同然としばし生を拒んでいた不死鳥が、輪廻の匂いに誘われ羽ばたく。#twnovel