船長と僕と使い魔と
魔法学校の入学通知を船長に見せた。夢がみつかるまでは下船禁止だクソガキが。とかなんとか。意地悪な船長に嫌みの一つも言われるかと思っていたら祝いだと竿をくれた。糸を垂らす。使い魔はまだ釣れないのかと笑われる。接岸する船。餌をつけ忘れていることなどとっくに気づいてる。#twnovel
蛇口と文字と
はじめは蛇口から流れる水だった。次々と身の回りの物が文字にみえるようになる。例えば道端で「蒲公英」という文字が揺れている有様。正しい名前で咲いている。苦しくて親友の貴方にだけ相談した。大変だね。口から吐き出される文字裏腹、貴方の胸の辺り、「嘘つき」の文字が揺れる。#twnovel
電源オフ
電源をオフにする仕事をしている。けれど世の中便利になって自動で切れるものばかり。星の光を落とす仕事も今日で最後、残された仕事はひとつきりだ。明け方、静かに扉を叩く。お茶をいただいたり世間話をしたあとで電源をオフにする。旧式ロボットの彼らに僕は死神と呼ばれている。#twnovel
神様の糸
国境警備を任された。この深い森に線を引くことなどできない。人の壁とし派遣された僕らは隣国の同じ立場の彼らと出会う。はじめは双眼鏡越しに見た。同じ色の髪と瞳。同じように笑い踊る。手を振り近づき、いつしか酒を酌み交わす。毎日交わる国境をよそに遠くの街には爆弾が落ちる。#twnovel
コンポタオゴレ
「宇宙人の僕を彼女は明るく迎えてくれた。その温かさに恋をした僕は彼女にあれやこれや。言えないような営みをしやがて僕らに子供が生まれる。けれど生まれただけだ。生まれながらに冷たい我子の亡骸を僕は」「子供はつめた~いお飲み物か。妄想のお詫びにあたたか~いコンポタ奢れ」#twnovel