使い魔グリフォン
魔法学校の入学通知が届いた。退屈な 日々だ。こんな戯れも悪くはないと魔王城より旅立つ。入学の日。使い魔のグリフォンを従え校内を巡る。やがて差し掛かった曲がり角でそれは待ち受けてい た。どーん。我は女の子とぶつかる。涙目で睨む彼女の名札には「勇者」。運命の物語が始まる。#twnovel
時計塔幽霊
時計塔には幽霊が住んでいる。最近よく聞く噂話に彼は表情を強ばらせた。怖いのねと笑えば不機嫌そうに私を睨む。かくして二人は塔の中。いつもより大きな 鐘の音を聞く。幽霊なんて嘘じゃないか。別にそんなのどうだっていい。望み通り繋がれた手を握り返すと鳴り終える13回目の鐘。#twnovel
魔女の箒職人
魔女の箒を作っている。仕上げた箒は庭の大きな楠に隠しておけばお代と引き替えに消えているため、魔女を見たのは最初の一度きりだ。今宵、いつも通り箒を 枝に隠すとややあって扉が開く。届かないの。泣き出しそうな少女には魔女の面影。僕は箒を手渡すと、長すぎる初恋を悼んだ。#twnovel
書けないわけでは
僕は番人をしている。毎日一話、また一話。物語を牢から解放するのだ。罪を犯した物語がその罪を改め、成熟した物語へ生まれ変わる様は美しい。僕は番人た り続けるため今日も不完全な物語を作る。何かが足りない罪深い物語を。決して完成品を書けないわけではない。書けないわけでは。#twnovel